2話 全校合同合宿
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ふと私の姿を見た宍戸が、ぎょっとした。
「おい!あんた大丈夫か!?」
いやもう本当に精神的には全然大丈夫じゃないです。
「ったく・・・俺の後輩がすまん!」
「いや、こっちが悪いので・・・」
っていうか10割、私のせいなんですけどね?
「とりあえず、これで・・・おい、こっち向け!」
ちょっと待って!
『これ』って、『それ』!?
無茶を言いなさる、このお方!
明らかに、あなた様の使用済みタオルですよね?
首に引っ掛けてたとこ見ると、朝練かなんかした後から首に引っ掛けてたんですよね?
もっと鼻血でそう・・・
「ほらっ!こっち向けって!」
そう言って彼の手が私の顎を捕まえて、ぐっと自分の方に向かせる。
やばいやばい!
生身の宍戸は直視できない・・・!
彼の手が触れてる頬が熱くなる。
心臓がバクバクとうるさい。
やばい・・・なんて破壊力なの・・・!
今日から数日、耐えるの?
この人に?
無理でしょ!
「ほら、抑えてろ」
言われるがままに、自分の手でタオルを鼻に固定する。
「あ、ありがとう・・・」
私がお礼を言うと彼が、
「ちょっと、汗臭いかもしんねぇけど我慢な?」
なんて、にこっと笑って言ってみせるから益々、心臓がうるさくなる。
こんなリアルに、ときめくことってあるんだな。
いや、そもそもこの体験をリアルと言ってもいいものかは判断しかねるけど。
「長太郎。こいつの荷物・・・と俺のも頼んでいいか?」
「あ、はい!」
「私ならこの通り平気・・・うっ!」
2人にこれ以上、迷惑をかけてはなるまいと立ち上がると同時に左足首に激痛が走る。
ほう・・・これは捻りましたな?
「おい。足、痛むのか?」
脳内で自己完結していると宍戸から心配された。
あぁ・・・好き。
「い、痛くない!平気だから気にしないで!」
そう言い放ち、自分のキャリーケースを引いて足早に立ち去ろうとしたが今度は右手首が悲鳴をあげる。
「はぅ・・・!」
思わず声が漏れる。
尻もちついた時に手もついたんだが、あれか!
なんて脆いの、私の身体。
あれか?普段、運動しないから身体にガタがきてんのか?
・・・この歳で!?
「おい、無理するな!・・・長太郎、荷物頼んだ」
「はい、宍戸さん」
突然、宍戸がグッと近づいて来たかと思えば直後、浮遊感に襲われる。
「よっと!」
ちょっと待って?
あれ?私、お世辞にも軽いと言えないんだけどいとも簡単に持ち上げたね?
ってか、これ俗に言う【お姫様抱っこ】ってヤツでは!?
縁が無いと思ってた!
「お、下ろして!」
思わずそう言う。
頭がパニック状態だ。
「そうは言うけど、歩けないだろ?」
と私の顔を覗き込んでくる。
いや、正論なんだけど近い!近い!!近い!!!
「嫌だって言っても、このまま救護室まで運ぶからな?」
そう言って彼は、私を労わりながら小走りで目的地を目指すのだった。