デフォルト名はアリスになります。
Digimon Tamers - ネイビーブルーの痕跡 -
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意識を取り戻したアリスは先ほどの樹莉と同じ様にオロチモンの尾に巻かれている。
頭の先は大きな盃を呷り、グビグビと酒を飲んでいた。
樹莉がお酌をしているらしい。
「はい、どうぞ。」
様子を見るに樹莉は無事でいるようだ。
ほっとしたアリスは自分の状況を探ることにした。
お酒を飲むことに気を取られていてオロチモンはアリスが意識を取り戻している事にまだ気付いていない。
そして手を縛られておらず、少し動けば腿に隠している剣に手が届く体勢だ。
だが、樹莉が進んでお釈をしているのは何か訳があると思ったアリスはある答えに辿り着く。
樹莉はオロチモンを酔わせようとしている。
どんどん酒を注ぎまくる樹莉。
飲み干すオロチモン。
周囲は濃い酒の匂いが充満しており、慣れていなければ頭がクラクラしそうなくらいだ。
変わるがわる酒を飲んでいた首がどんどん酔っ払っていく。
少しずつ尾の拘束が弱くなってきた。
「(あともうすこし……。)」
とうとう機械のような頭は全て酔い潰れて眠ってしまった。
尾からするりと抜け出すと岩陰に隠れる。
アリスはここから隙を伺うことにした。
「このオロチモンだけどうして酔わないの?」
小さく樹莉が呟く。
それもそうだ。
周囲には大量の空き樽が転がっている。
相当飲んだのだろう。
それなのに生身の首だけはずっと酒を飲んでいる。
「貢物の酒でございますゲコ。」
ゲコモン達が酒樽を持って来た。
あのアルコール工場で作った酒なのだろう。
酒樽の蓋がひとりでにガバッと開く。
中からレオモンが飛び出し、続けて隣の樽からレナモンも飛び出しオロチモンを攻撃する。
一発お見舞いし華麗に着地した。
他の樽からもみんなが出てくる。
「きっと助けに来てくれると思ったわ!だからオロチモンにお酒をいっぱい呑ませて酔わせておいたの!」
「……オロチモンは酒を呑めば呑むほど強くなるゲコ。」
「そんな……。」
愕然とする樹莉。
良かれと思ってしていた事が裏目に出てしまったのだ。
「その通り、残念だったなぁ!!ふははははは!!!!」
「レオモン……私余計な事しちゃったみたい…」
「樹莉、気にするな。」
優しく慰めるレオモン。
そこに先ほどまで寝ていたオロチモンの首が襲い掛かって来た。
レオモンは飛び、剣を構えるとオロチモンの首に突き立てる。
「レナモン!」
瑠姫の一声でレナモンが別の首に攻撃。
ギルモンも口から火の玉を吹き出して攻撃した。
それぞれ攻撃を受けた首が消滅していく。
レオモンがオロチモンの首から剣を引き抜くとその首も消滅した。
アリスも連続攻撃に続き、オロチモンの首に剣を振るった。
「アリスちゃん!無事だったのね!!」
樹莉が安堵の声を出す。
しかし、オロチモンの尾が一同を襲う。
一振りで三体と1人を振り払ったオロチモン。
攻撃を受けてしまったが力を上手くいなして着地し距離を取る。
あれだけ攻撃したのに堪えていない様子だ。
「何かがおかしい。」
レオモンが呟く。
「お前達が戦った首はダミーだ!!」
一同をオロチモンが嘲笑う。
「え?ダミー?」
先ほど破壊した首が全て再生してしまう。
「アメノムラクモ!」
オロチモンの尾が再びレオモンに飛び掛かる。
尾の丸まっている部分から剣が出てきた。
レオモンが打ち合う。
その間にアリスが三つの首を破壊する。
隙はできるがそれぞれの首が別々で動いている。
本体と思しき首がレオモンに炎を吐いた。
まともに食らってしまいレオモンが膝をつく。
アリスを攻撃しようとしていた本体らしき首にレナモンが攻撃して大きな爆発が起きた。
「動くなら連携しなさいよ!」
瑠姫が苛立ちをあらわにする。
爆発の煙が晴れてオロチモンの姿が見えるが攻撃が効いた様子はない。
「効かない!」
ギルモンも同じ首に向かって攻撃するが仕返しに炎を吐かれてしまう。
その間に他の首はアリスが破壊し切った。
「あいつスゲー……。」
「完全体並みに強いじゃん。」
少し離れた所で戦いを見ていた博一と健太が関心する。
「小癪な!!酒ブレス!!!!」
残った首がアリスに向かって息を吐く。
炎と違って見えないそれは避けようがなかった。
高濃度のアルコールを含んだ息がアリスに纏わり付く。
「……うっ」
まともに食らってしまい、酩酊してしまうアリス。
「私のせいよ……。私がオロチモンにお酒を飲ませたばっかりに……。」
懺悔する樹莉に博一が駆け寄ってきた。
「テイマーなんだからもっと自信持てって!しっかりしろ!」
「このままでは負けてしまう。他の戦い方をしないと……。」
「他の戦い方……?」
ガードロモンの一声によって何か思いついた樹莉がポケットからカードを取り出した。
「これ!」
「カード・スラッシュ!!」
「レディーデビモン!!」
カードを機械にスキャンさせると光がレオモンに飛んでいく。
膝をついていたレオモンに膨大なパワーが注ぎ込まれ立ち上がる。
咆哮を上げ目を開くといつもの優しい眼差しとは違う凶悪な目……。
「プワゾン!」
オロチモンに向かって口から禍々しいオーラを吐いた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
オロチモンが断末魔を上げながら爆発……。
データの欠片が舞い、禍々しい雲が晴れ穏やかな天気になった。
「勝った……!」
「おめでとう。」
「俺も早くテイマーになりたいなぁ。」
樹莉の勇姿称える瑠姫、それを羨む健太。
「よかったゲコ。これで毎日歌って暮らせるケロ!」
ゲコモン達の喜びの合唱が始まった。
「よかった……。」
岩場の陰からフラフラとアリスが戻ってくる。
よかったと呟いていたのを聞いた瑠姫が思わず愚痴をこぼした。
「何がよかった、よ。あんたなんか足手纏いで何もしてないじゃない。」
「瑠姫!」
雰囲気を壊すまいと静止するレナモンだったが、その声は思ったより大きくみんなに聞こえてしまう。
みんなが瑠姫とアリスに注目する。しかしそれだけでは瑠姫は止まらない。
「どういうつもり?勝手に捕まって勝手に戦って……。」
「レナモンの足まで引っ張って……。」
「私は助けてとは一言も言ってない。」
口論が始まり、一気に場が冷えていく。
女の戦いに口を挟めない男子達……。
「いいじゃない。みんな助かったんだから!」
樹莉が明るく場を取り持とうとする。
「それは結果よ!私が言ってるのはー。」
止まらない瑠姫にさすがのアリスも無視できなくなる。
「じゃあ1人だけ連れて行かれればよかったかしら?」
「っ……。」
「あなたが言っているのはそう言うことよ。」
白熱する2人。
男子達はオロチモンの方がよっぱど怖くなかったとアリスと瑠姫から目を背ける。
「アンタのせいでレナモンが……!」
「瑠姫、いいんだ。」
レナモンが再び諌める。
二度目は瑠姫も押し止まった。
「もういい。」
瑠姫は完全に臍を曲げてしまう。
「そういえばアリスちゃん、怪我してない?」
「大丈夫。少しフラつくだけ。」
この苛立ちも目眩もおそらくさっきのアルコールのせいだろう。
今ここで謝っても瑠姫を逆撫でするだけだ。
「お酒臭かったもんね。」
樹莉がクスリと笑う。それに釣られてアリスも微笑んだ。
空気が戻ったことを察したゲコモンが再び合唱を始めた。
合唱を見つめるガードロモン。それに微笑む博一。
突然光の塊が現れた。
「なんだ?」
光が博一の手に収まると小さな機械に変化する。
それはテイマーと呼ばれる子供たちが持つ機械……。
「デジヴァイス……。」
「もしかして、俺が博一のパートナー?」
「やった!テイマーになれた!!!」
感激のあまりガードロモンに抱きつく博一。
驚く瑠姫。
「やったね!」
祝福する樹莉。
「冗談じゃないよ!俺だけひとりぼっちかよ!!」
座り込んで悲観する健太。
ゲコモンの歌声も混ざり、混沌とした空気の中でレナモンが離れて座り込んでいたアリスに話しかけた。
「アリス、あなたの剣は迷いが無いな。」
「……。」
「しかし同時にこうとも言える。合理的に動いているだけ。」
アリスは何も応えない。
「結果に向かって動くことは悪ではない。しかし……。」
「命を犠牲にするほど、愚かなことは無い。」
少し間が開く。
「それで……。」
やっとアリスが口を開いた。
「そして結果のために動くことは『何も選んでいない』。」
「責任から逃げているとも言う。」
「……責任。」
アリスがの目が鋭くなる。
「かつての私もそうだった。結果を求める余り、守る責任から逃げていた。」
レナモンが続ける。
「瑠姫と私は守る責任を選んだ。」
「私は逃げて無い。」
食い下がるアリス。
「死ぬことで真っ当できる責任などこの世に無い。」
それだけ言い残すとレナモンは瑠姫の側に戻って行った。
「(デジモンって思ったより感情的なのね。)」
アリスの火照った体を爽やかな風が撫でる。
本当は分かっている。
瑠姫が自分に怒っている理由もレナモンが諭してきた訳も。
「(甘いわ……。)」
今のアリスにはそれは幼さ故の甘さにしか思えなかった。
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