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たとえそれが恋じゃなくても【BL】



カタカタカタッ…

「…ふぅ」

「お、何だ梶、居たのか!」
「え、真山さっ…!?」

PCモニターと睨めっこしてたら、外の雨に降られたのか、ハンカチで肩や足の雨滴を拭きながらフロアに入ってきた真山さんに、いきなり声をかけられた。


「だ、大丈夫ですかっ!?」

そう言いながら持ってたタオルを渡すと、「おお、悪りぃっ」と真山さんはタオルを受け取ってヘラッと笑った。


「乾かしてて下さい」
そう告げると、俺は給湯室へホット珈琲を入れに行った。温かいカップをひとつだけ握りしめ出ていこうとしたら、知ってる温もりに手を捕まれた。

「お前も飲みなさいよ、疲れてんでしょーが」
「…っ、」

そう言って、ひょっこり現れた真山さんは、左手で俺の手ごとカップを握りしめると、もう片方の右手で新しいカップを取り出した。そして、俺が入れた珈琲カップを受け取ると、自分が入れた熱々の珈琲を差し出してくれた。

「はい、残業お疲れさんっ」
「………っ、」




あの日。あのどしゃ降りの雨の中、俺はありふれた日常から転落した。光の無い闇の中へ堕ちて、そして…堕ちた先にはこの人が居た。



鼻腔を擽る香ばしい香りと、すっかり見慣れた優しい笑顔に癒されて、俺はその手から温かいカップを受け取った。


「………ありがとう、ございます」





fin,
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