短編/SS集【BL】
月とソーダ
カーテンが揺れるワンルームの部屋の隅。
うとうとしてると、乾いた風に草の匂いがした。
『夏だなぁ…』
そんなことをぼーっと考えていたら、蝉の声が遠くなった。意識を手放す瞬間に思い出したのは誰の顔だったろう。
どれくらい、深い処にいたのだろうか。
シンクを叩く水の音で僕はゆっくりと覚醒した。
「起きたか?」
「………いつの間に」
「とっくに」
暗い部屋の中、台所の灯りと並んで見慣れた背中が見えた。
「窓開けたまま寝るなよ。何回言ったらわかるんだ?」
「ごめん…なさい…」
まだ、頭は別の世界にいるようだった。
「…喉、乾いた」
ぽつりと呟いた一言に、聞きなれた足音がペットボトルを運んでくれた。
「冷蔵庫にこれしか入ってなかったから我慢しろ」
後で何か買ってきてやろうか? そんな声が聞こえた気がしたが、俺は窓際に置かれたペットボトルの炭酸の泡と、その向こうに浮かび上がった三日月をただぼーっと眺めていた。
まるで、炭酸の泡の中で月が溶けて、欠けてしまったかのような、そんな不思議な色がした。
飲んだら、お月様が溶けている分、少し甘いのだろうか? そんなことを、ふわふわした頭で考えながら、俺はもう少しだけ目を閉じた。
fin,
カーテンが揺れるワンルームの部屋の隅。
うとうとしてると、乾いた風に草の匂いがした。
『夏だなぁ…』
そんなことをぼーっと考えていたら、蝉の声が遠くなった。意識を手放す瞬間に思い出したのは誰の顔だったろう。
どれくらい、深い処にいたのだろうか。
シンクを叩く水の音で僕はゆっくりと覚醒した。
「起きたか?」
「………いつの間に」
「とっくに」
暗い部屋の中、台所の灯りと並んで見慣れた背中が見えた。
「窓開けたまま寝るなよ。何回言ったらわかるんだ?」
「ごめん…なさい…」
まだ、頭は別の世界にいるようだった。
「…喉、乾いた」
ぽつりと呟いた一言に、聞きなれた足音がペットボトルを運んでくれた。
「冷蔵庫にこれしか入ってなかったから我慢しろ」
後で何か買ってきてやろうか? そんな声が聞こえた気がしたが、俺は窓際に置かれたペットボトルの炭酸の泡と、その向こうに浮かび上がった三日月をただぼーっと眺めていた。
まるで、炭酸の泡の中で月が溶けて、欠けてしまったかのような、そんな不思議な色がした。
飲んだら、お月様が溶けている分、少し甘いのだろうか? そんなことを、ふわふわした頭で考えながら、俺はもう少しだけ目を閉じた。
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