短編/SS集
嗚呼、神様。
「神様、お願いします。俺の中から、あの人を消して下さい」
「………」
「お願いします」
「本当にいーの?」
……………?
見上げたら、誰か居た。
「あんた誰?」
「神様だけど」
……………。
『あ、もしもしおまわりさん。今目の前に不審者が…』
「あーーーっ!!」
警察に電話したらスマホ取り上げられた。
「ちょっ、スマホっ!」
「何すんの!何その不審者扱い!失礼だわ、ほんとっ」
「思っきり不審者じゃん!」
「今自分で呼んだんでしょーが!」
「呼んでねーよ、不審者なんか」
「だから不審者じゃな…。あー、もーっ、疲れるっ」
不審者がキレた。
「てか、どっから入ってきたんだよ」
「上から」
「テキトーかよ」
「もう完全に信じる気無いよね」
更に、溜め息つかれた。
「まったく、これだから人間は嫌になるよな。困った時と初詣の時だけ無理難題な願い事しといて、あとは見返りも無くほったらかし。クリスマスは雰囲気に流されて信仰心の欠片も無いくせに偉そうに祝賀ムード。あー、言い始めたらきりがないわ、アホっ」
「ア…」
「あーあ、練習だから行ってこいって突き落とされたけど、聞いてらんないわ。俺、帰る」
「え、ちょっ…」
- バンッッ!! -
足首掴んだら派手に転んだ。
「何すんだてめぇっ!」
「や、だって、急に帰ろうとするから」
「不審者扱いなんだろーが!」
「え、まぁ、そーなんだけど。てか、ちょっと落ち着いて話そうよ」
「これが落ち着いていられるかっ!」
めっちゃ怒鳴られたけど、とりあえず宥めた。
「で、話まとめると。君は神様で、新人で、願い事を叶える練習をするために此処に突き落とされた、と」
「…そーだけど。何?」
うっわー、不貞腐れてる。まぁ、そりゃそーか。
「キミ、本当に願い事叶えられるの?」
「条件にもよるけど」
「俺の願い…叶えてくれる?」
「だから条件にも…って、そーいやさっき何か言ってたな」
「俺の記憶から人を一人消してほしい」
「何があったの?面倒臭いけど仕方ないから聞ーてやる」
「…上からだね」
俺も仕方ないから、随分上から目線な"神様"に願いを話した。
俺の中から『あの人』を消してほしい。それが俺の願い。
「好きだったの?」
「…」
「今でも?」
「……最初から、何もかも間違ってたんだと思ってる。でもまだ"消えない"から、きっと好き…なんだろうね」
「………生き物って面倒臭いよな」
「何が?」
「"好き" とか "嫌い" とか、余計な感情があるから、流されんだ」
「キミにもあるでしょ」
「無いに等しい」
意味がよくわくらなかった。
「どういうこと?」
「俺達は世界を公平に見るために感情ってのは捨てるように訓練されてる」
「訓練?」
「あぁ、"そういうもの"で流されないように教え込まれんだ。あれだな、所謂職業病ってやつだ」
「…何か、神様って大変そうだな」
「そーでもないけどね。テキトーに楽してる奴もいるよ。そーいうのは別に普通の人間と変わんないんじゃない?」
そーいうもんなのか?
「で、本当に忘れて良いの?」
「どういう意味?」
「だってさ、ほっといてもいつか忘れるでしょ? 人間そーいう風に出来てるんだから」
「でも…」
「辛いことでも、覚えてるから同じ過ちを繰り返さずに済むんじゃないの? 今全部忘れたら、また何年後か、早ければ数ヵ月後には同じ失敗して同じ台詞繰り返してるよ」
すごい悔しいけど、ちょっと納得した。流石神様…ってとこかな。諭された。
「…うん。そっか、…そーかもしれないね」
「人間は忘れるように出来てる。どんなことがあっても、ちゃんと前を向いて生きていけるよーに最初から創られてんだ。無理矢理忘れなくてもいーさ。そのうち時が解決してくれる」
「…あぁ、そうだな」
思いの丈を話したら、不思議と心が少し軽くなった気がした。
「やるな、神様」
「これくらい朝飯前だな」
じゃあ…と、『神様』が立ち上がる。
「解決したなら俺帰るわ」
「あぁ、何か…ありがと」
「良いってことよ。仕事だしな。じゃ、達者で暮らせや」
『神様』は爽やな笑顔で背を向けた…が、
「………あれ?」
「ん、どーした?」
「…えっ!?」
「んだよ」
「………、帰れん」
「は?」
「へ?」「ほっ!」「よっ!」と色々頑張ったようだが、結局何の変化も起きなかった。
「…本当に、帰れないのか?」
目の前で必死に足掻いて力尽きた『神様』見てたら、何かちょっと不憫に思えた。
「何でだ。………あ、」
「え?」
「俺、お前の『悩み』は解決したが、結局『願い』叶えてねーんじゃ…」
「え」
「ちょっ。『願い事』! 『願い事』は!?」
そんなこと急に言われても、今キミに色々解決してもらったとこで。
「そーだよ、忘れたいんだろ!?忘れたいんだよな!!?」
「ちょっ、話ちがっ」
「いーよ、叶えてやるよ!忘れろよ!」
「ちょっ…!!」
……………。あれ、何も起きない。
「おいっ!『忘れたい』って願えよ!」
「そんな無茶苦茶な」
「『願』わなきゃ『叶』えられないだろーが!!」
「お前が俺を諭したんだろーが!!」
………、結局散々喧嘩して。それでもやっぱり急に願い事なんて思い付かなくて。
「どーすんだよ、これから」
「知らねーよ。お前の『願い事』が決まるまで此処に居なきゃ仕方ねーんじゃねーの!?」
「んだよ、それ!いきなり居候かよ!」
「仕方ねーだろ!お前が『願い事』思い付かねーからだろーが、この役立たず!」
「なっ!」
あー…もぅ。何だこグダグダは。
『ぐぅ~っ』
「…おい、腹鳴ってんぞ」
「うっせーな、神でも腹くらい鳴るわ」
「何か食うか?」
「食わなくても生きていけるけど、とりあえず形だけでも何か食わせろ」
「相変わらず上から目線だな」
「そーでもしねーとやってらんねーわ」
そんなこんなで? 何故か今日から神様と同居することになりました。…あぁ。
「早く『願い事』考えろよ」
「焦らすなよ、飯食わさねーぞ」
「…人間ごときが…」
大丈夫…なのでしょーか、神様。あ、いや、…仏様。
fin,
「神様、お願いします。俺の中から、あの人を消して下さい」
「………」
「お願いします」
「本当にいーの?」
……………?
見上げたら、誰か居た。
「あんた誰?」
「神様だけど」
……………。
『あ、もしもしおまわりさん。今目の前に不審者が…』
「あーーーっ!!」
警察に電話したらスマホ取り上げられた。
「ちょっ、スマホっ!」
「何すんの!何その不審者扱い!失礼だわ、ほんとっ」
「思っきり不審者じゃん!」
「今自分で呼んだんでしょーが!」
「呼んでねーよ、不審者なんか」
「だから不審者じゃな…。あー、もーっ、疲れるっ」
不審者がキレた。
「てか、どっから入ってきたんだよ」
「上から」
「テキトーかよ」
「もう完全に信じる気無いよね」
更に、溜め息つかれた。
「まったく、これだから人間は嫌になるよな。困った時と初詣の時だけ無理難題な願い事しといて、あとは見返りも無くほったらかし。クリスマスは雰囲気に流されて信仰心の欠片も無いくせに偉そうに祝賀ムード。あー、言い始めたらきりがないわ、アホっ」
「ア…」
「あーあ、練習だから行ってこいって突き落とされたけど、聞いてらんないわ。俺、帰る」
「え、ちょっ…」
- バンッッ!! -
足首掴んだら派手に転んだ。
「何すんだてめぇっ!」
「や、だって、急に帰ろうとするから」
「不審者扱いなんだろーが!」
「え、まぁ、そーなんだけど。てか、ちょっと落ち着いて話そうよ」
「これが落ち着いていられるかっ!」
めっちゃ怒鳴られたけど、とりあえず宥めた。
「で、話まとめると。君は神様で、新人で、願い事を叶える練習をするために此処に突き落とされた、と」
「…そーだけど。何?」
うっわー、不貞腐れてる。まぁ、そりゃそーか。
「キミ、本当に願い事叶えられるの?」
「条件にもよるけど」
「俺の願い…叶えてくれる?」
「だから条件にも…って、そーいやさっき何か言ってたな」
「俺の記憶から人を一人消してほしい」
「何があったの?面倒臭いけど仕方ないから聞ーてやる」
「…上からだね」
俺も仕方ないから、随分上から目線な"神様"に願いを話した。
俺の中から『あの人』を消してほしい。それが俺の願い。
「好きだったの?」
「…」
「今でも?」
「……最初から、何もかも間違ってたんだと思ってる。でもまだ"消えない"から、きっと好き…なんだろうね」
「………生き物って面倒臭いよな」
「何が?」
「"好き" とか "嫌い" とか、余計な感情があるから、流されんだ」
「キミにもあるでしょ」
「無いに等しい」
意味がよくわくらなかった。
「どういうこと?」
「俺達は世界を公平に見るために感情ってのは捨てるように訓練されてる」
「訓練?」
「あぁ、"そういうもの"で流されないように教え込まれんだ。あれだな、所謂職業病ってやつだ」
「…何か、神様って大変そうだな」
「そーでもないけどね。テキトーに楽してる奴もいるよ。そーいうのは別に普通の人間と変わんないんじゃない?」
そーいうもんなのか?
「で、本当に忘れて良いの?」
「どういう意味?」
「だってさ、ほっといてもいつか忘れるでしょ? 人間そーいう風に出来てるんだから」
「でも…」
「辛いことでも、覚えてるから同じ過ちを繰り返さずに済むんじゃないの? 今全部忘れたら、また何年後か、早ければ数ヵ月後には同じ失敗して同じ台詞繰り返してるよ」
すごい悔しいけど、ちょっと納得した。流石神様…ってとこかな。諭された。
「…うん。そっか、…そーかもしれないね」
「人間は忘れるように出来てる。どんなことがあっても、ちゃんと前を向いて生きていけるよーに最初から創られてんだ。無理矢理忘れなくてもいーさ。そのうち時が解決してくれる」
「…あぁ、そうだな」
思いの丈を話したら、不思議と心が少し軽くなった気がした。
「やるな、神様」
「これくらい朝飯前だな」
じゃあ…と、『神様』が立ち上がる。
「解決したなら俺帰るわ」
「あぁ、何か…ありがと」
「良いってことよ。仕事だしな。じゃ、達者で暮らせや」
『神様』は爽やな笑顔で背を向けた…が、
「………あれ?」
「ん、どーした?」
「…えっ!?」
「んだよ」
「………、帰れん」
「は?」
「へ?」「ほっ!」「よっ!」と色々頑張ったようだが、結局何の変化も起きなかった。
「…本当に、帰れないのか?」
目の前で必死に足掻いて力尽きた『神様』見てたら、何かちょっと不憫に思えた。
「何でだ。………あ、」
「え?」
「俺、お前の『悩み』は解決したが、結局『願い』叶えてねーんじゃ…」
「え」
「ちょっ。『願い事』! 『願い事』は!?」
そんなこと急に言われても、今キミに色々解決してもらったとこで。
「そーだよ、忘れたいんだろ!?忘れたいんだよな!!?」
「ちょっ、話ちがっ」
「いーよ、叶えてやるよ!忘れろよ!」
「ちょっ…!!」
……………。あれ、何も起きない。
「おいっ!『忘れたい』って願えよ!」
「そんな無茶苦茶な」
「『願』わなきゃ『叶』えられないだろーが!!」
「お前が俺を諭したんだろーが!!」
………、結局散々喧嘩して。それでもやっぱり急に願い事なんて思い付かなくて。
「どーすんだよ、これから」
「知らねーよ。お前の『願い事』が決まるまで此処に居なきゃ仕方ねーんじゃねーの!?」
「んだよ、それ!いきなり居候かよ!」
「仕方ねーだろ!お前が『願い事』思い付かねーからだろーが、この役立たず!」
「なっ!」
あー…もぅ。何だこグダグダは。
『ぐぅ~っ』
「…おい、腹鳴ってんぞ」
「うっせーな、神でも腹くらい鳴るわ」
「何か食うか?」
「食わなくても生きていけるけど、とりあえず形だけでも何か食わせろ」
「相変わらず上から目線だな」
「そーでもしねーとやってらんねーわ」
そんなこんなで? 何故か今日から神様と同居することになりました。…あぁ。
「早く『願い事』考えろよ」
「焦らすなよ、飯食わさねーぞ」
「…人間ごときが…」
大丈夫…なのでしょーか、神様。あ、いや、…仏様。
fin,
