現パロ文花
名前変換設定
恋戦記は現在一部のお話のみヒロインの名前変換可です薄桜鬼とテニプリは名前変換可、刀剣乱舞はネームレス夢です
恋戦記小説について
現在一部作品のみ名前変換可にしていますが、ヒロインの下の名前「花」が一般名詞でもあるため「花瓶の花」などで巻き込み変換されてしまいます
それでも良い方は変換してお楽しみください。それがダメな方はデフォ名「山田花」でお楽しみください
すみませんが、よろしくお願いいたします
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ほんの少しの眩しさと息苦しさを感じて、花は目を開けた。
(あ……)
まだ日が昇ってすぐの冬の朝。目の前にあったのは、文若の寝顔だった。温かなベッドの中で規則正しい寝息を立てている。
パジャマを着た彼の腕がまるで花を抱きしめようとするかのように、彼女の身体の上に回されており、それが少し重く感じる。
休みの日も規則正しい生活を送っている文若だから、花が文若より早く目が覚めるのは珍しい。
こういう機会でもないと文若の寝顔なんて見られないから、花は文若をじっと見つめた。
切れ長の目は閉じられて、眉間に皺はなく、就寝中らしく少しだけ乱れた髪が色っぽい。いつもきちんとしている彼が花にだけ見せる隙が愛おしかった。
(……かっこいいな)
肌も髪も綺麗で、すっきりと整った顔立ちだから、寝顔だって惚れ惚れするほどだ。
(ずっと、眺めていたいな……)
まだ眠気が残っていたが、花は何をするでもなく自分の隣で眠る文若を見つめていた。
文若はいつだって真面目で優しい。
出会ったばかりの頃の辛辣さも今はすっかり鳴りを潜めて、ずっと接しやすくなった。
あのお風呂場での一件以来、文若はまるで何かが吹っ切れたかのように、自分の感情を隠さなくなった。
まるで今までずっと押さえつけていたものを解き放ったかのようで、触れ合いにも積極的になってくれた。
元々は鋼の理性で押さえつけていただけで、本当は情熱的な人なのだ。
女の子の気持ちに多少鈍感なところはあっても、今の彼は朴念仁ではないと思う。花にとっては大好きな彼氏で婚約者だ。
(えへへ……)
文若の寝顔を見つめながら、花は目尻を下げた。すると、ようやく視線に気がついたのか文若が目を覚ました。
「――……花?」
「……文若さん」
「……もう、起きていたのか」
「……ついさっき、目が覚めたんです」
嘘はついていないけど、本当でもない返しをして、花は微笑む。
「そうか……」
花の笑顔につられて文若も微笑んで、不意に文若は枕元の時計に視線をやった。
「そろそろ、起床時刻だな……」
「はい……」
起きないといけない。だけど、なんだか名残惜しい。花は文若の胸元に顔を埋めると、わかりやすく彼に甘えた。
「……もう少し、こうしていたいです」
「……そうだな。起きねばならんのに、こうしていると離れがたい」
文若もまた花を甘やかしてくれた。囁き声に甘さが混じり、切れ長の瞳が愛おしげに細められる。
これも、昔じゃ考えられない。かつての彼は朝寝坊なんて許してくれる人ではなかったから。
「……こうしてお前を腕に抱いていると気持ちが安らぐ。心が温かくなるな」
そう口にして文若は自分の胸に顔を埋めている花の後頭部を優しく撫でる。
「文若さん……。私も同じです。こうしてると、すごく幸せです」
「そうか……」
この時間がすごく好きだ。ふたりで一緒にベッドでのんびりという、恋人らしいひととき。
このときばかりは、いつも仕事にかまけている文若を独り占めできる。
自分の胸にすり寄って甘える花の頭をあやすように撫でながら、文若はおもむろに口を開いた。
「……そういえば。花、お前は湯たんぽのたんぽが何を意味するか知っているか」
「えっ、知りません…… どういう意味なんですか?」
「妻や母という意味だ。寒い日に妻のかわりに抱いて眠ると温かい、ということらしいな」
「そ、そうだったんですか……」
知らなかった意外な由来。奥さんの代わりに抱いて眠るってすごい発想だなと花は思った。湯たんぽの名付け親は愛妻家の男性だったのだろうか。
そして。文若は二人でいるときに、たまにこの手のよくわからない豆知識を披露してくれる。今もどこか得意げだ。
「……湯たんぽは温かいのかもしれんが、私はあんなものでは到底満足できんぞ。抱いて眠るのはお前でなくては」
「文若さん……」
ここぞとばかりに、ぎゅっと抱きしめてくる文若の腕の中で、花は淡く頬を染めた。
もしここに文若の上司がいたら。『花ちゃんと湯たんぽを比べるな』と文句を言っていただろう。けれど、花は気にならなかった。
文若のこの手のズレた発言が、花は好きで仕方がなかった。花よりもずっと大人のはずなのに、ずるいほどに可愛くて愛しい人。
出会ったばかりの頃は仕事をしている姿以外が想像できないくらいの生真面目な人だったのに。
一線を越えてからの文若はなかなかに情熱的な恋人だった。
夫婦であれば寝室をともにするのは当たり前という考え方のようで、眠るときも花を離したがらない。
当初、花が恥ずかしがって共寝を拒もうとしたら「解せん」という顔をしていたくらいで、そんな彼が口にする湯たんぽの豆知識が面白い。
文若は腕の中の花を見おろすと、改めて名前を呼んだ。
「……花」
「はい」
「お前は温かいな」
優しげなのに、どこか男らしい微笑みを浮かべている。そんな彼が不意に足を絡めてきたから、花はあからさまに動揺してしまう。
お互いにパジャマのズボンを履いているけど、文若の折り曲げた脚が花の脚を挟み、文若の靴下を履いていない足先が花のふくらはぎのあたりを掠る。
足を絡めるのは愛の行為の最中を彷彿とさせるから、花はたじたじだ。
「っ…… 文若さん……」
意外なほどに情熱的な彼は時々さらりとすごく大胆なことをやってのける。
ひとつのベッドでふたり横になって、足を絡めたり抱きあったりするなんて。お互いに服を着ていても、気持ちが高まっておかしな雰囲気になってしまう。
しかし文若は、花を強引に求めるような真似はしなかった。
「別に何もしない。だから…… もう少しこのままで、いさせてくれるか」
「はい……」
背の高い文若が軽く身体を丸めて、ベッドの中で花を丸ごと抱き締めている。まるで包み込まれているかのようで花は嬉しくなった。
文若が惜しみなく与えてくれる幸せと安心感。彼の腕の中で、花はそれらを噛み締める。
***
しばらくの間、文若の腕の中でうとうととしていた花だったが。なんとなく視線を感じて、ふと目を開けると。文若と近い距離で目が合った。
「――花」
甘い囁き声で名前を呼ばれて、自然な流れで文若の顔が近づいてくる。花が瞳を閉じて軽く顎を上げると、ついばむような口づけが唇に落とされた。
「……っ」
触れ合うだけのキスを角度を変えて何回か。文若は口づけが好きなようで、一度ではなかなか終わらない。そして、酸素を求めて花の唇が薄く開けられると。文若の舌が入り込んできた。
「……!」
反射的に花の身体が小さく震えるが。文若は彼女を宥めるように、あるいは彼女が逃げてしまわないように、花の頬に片手を添えた。
そのまま、文若の大きな手は花の首筋をなぞって彼女のうなじにたどり着く。
「っ…… 文…… 若、さ……」
「花……」
「……っ」
深い口づけの合間に熱を帯びた吐息が漏れる。感じているときの甘やかな息遣いや喘ぎ声は、まるで自分じゃないみたいだ。もっと彼が欲しくなった花は、文若の舌に自分の舌を緩く絡めて想いを伝える。
すると。まるでそれに応えるかのように、文若の触れ方がよりいっそう熱を帯びてきた。彼の手が花の胸にそっと重ねられ、服の上から乳房を揉まれる。何もしないって言ったのに、これじゃあ今にも始まってしまいそうだ。
けれど花は抵抗もできずに、文若にされるがままだった。口内で舌を絡め取られて、口づけも深さが増してゆく。こういうときは意外なほど積極的な文若は、一度スイッチが入るとなかなか離してくれない。
「……っ ……ん」
しばらくの間、お互いの感触を確かめあったあと。不意に文若が唇を離した。そして。
「……花 ――私を、受け入れてくれるか?」
文若の黒耀石のような瞳が間近で煌めいて。囁かれると同時に、彼の下腹部が花の身体に押しつけられる。夜着越しでもわかる確かな固さに、花の頬が淡く染まる。
けれど、恥ずかしがりながらも花は小さな頷きを返した。すると。
「――感謝する」
意外なほど男らしい笑みを返されて、花はますます追い詰められる。
『――いいかい花ちゃん、男の言う「絶対に何もしない」は絶対に嘘だから、絶対に信じちゃだめだよ』
得意げにそう教えてくれたのは、そういえば文若の上司だったと思う。共通の知人でもある彼は女性経験が無駄に豊富で、よくこの手の豆知識を意味もなく披露してくれるのだが。
文若が作り出した甘い雰囲気に、ただ流されている自分がなんとなく悔しくて。花はつい文若に意地悪を言ってしまう。
「……さっきは、何もしないって言ったのに」
「……男の『何もしない』ほど当てにならぬものはないな」
まるで他人事のような笑みを浮かべて、文若はさらりと返してくる。あまりに堂々とした『当てにならない』宣言に花はむくれる。
「文若さんのえっち……」
「それで構わん。男は皆、似たようなものだろう」
「……」
スマートで図太い文若は、全くからかい甲斐がない。それに今は男性一般の話じゃなくて文若本人の話をしているのに、主語をずらすのはズルいと思う。
「好いた女が隣で眠っていれば、手を出したくもなる……。それに、お前のほうがよほど、己の欲に正直だと思うがな」
「っ……!」
むくれていたら返り討ちにされてしまった。返す言葉もなく、花は頬を染めて黙り込む。確かにストイックな彼と距離を詰めたくて自分からお風呂に乗り込んだり、やらかした自覚はある。
文若はなぜか自信に満ちた笑みを浮かべると。
「……ちゃんと満たしてやるから、大人しくしていろ」
引き金を引いたのは文若の方なのに。しっかりと花のせいにしてきた。
この人はいつの間に、この手の立ち回りがここまで巧くなったのだろう。花はなし崩しに言いくるめられて、雰囲気で納得させられてしまう。
だけど、彼が筋の通らないことをしてくるのは愛ゆえだと知っているから。……文若が好きだ。その想いに正も誤もない。それは文若だって同じだと思う。
ぐずる花を宥めてやりながらも、文若は彼女のパジャマのボタンを片手で外していく。
元々手先が器用な人だから、この程度のことはお手のもの。たった数度の愛の行為で、文若がすぐに身に着けてしまった技術だ。
朝の光の中で見る寝起きの文若は、清潔感がありながらも色っぽくて。
(明るい中でするの、そういえば初めてかも……)
気がつくと同時に肌寒さを覚える。文若の眼前に自分の素肌が晒されたのだ。余計に気恥ずかしくなって、花の頬にさっと朱が差した。
文若の大きな手が好きだ。肌に触れる手つきだってこんなにも優しくて、愛されて想われている実感をくれる。
慈しむような瞳で素肌に滑らされる手のひらからは、触れられているところから愛を注がれているような気持ちになれる。
だからこそ。もっと触れられたいという、気持ちになるのだ。
胸の膨らみを直に弄られて、それでも花がされるがままでいると、今度は口づけを落とされた。
「っ、文若さん……」
文若は花の白い乳房に唇を触れさせながらも、今度は彼女のパジャマのズボンの中に片手を入れてきた。下着の上から彼女のその場所に触れる。そんなことをされてはもうたまらない。
「っ……! んっ……」
花の唇から甘い喘ぎが漏れて、体の内側がとろりと潤い始める。
「そんなとこ、だめです…… 文若さん…… 」
「断る。この間の仕返しだ」
「え……?」
「花、腰を浮かせろ」
「っ……!」
命じられるまま腰を浮かすと、パジャマのズボンと下着を一緒に脱がされてしまった。そのまま花は大きく脚を広げさせられる。
「あっ……!」
脚の間の小さな裂け目が、生まれたままの無防備な姿で文若の目の前に晒された。
裂け目の粘膜に外気がじかに触れて、なんだかそこばかりが肌寒い。手で隠したくても、さりげなく文若に阻止されて隠せない。
一番秘密にしなければならない場所を、大好きな文若に暴かれて、花はたまらない気持ちになる。
「っ! 文若さ、ん……」
「――いい眺めだな」
口の端だけを上げて。文若はまるで花を煽るかのような余裕の笑みを浮かべる。
悪巧みを成功させたイタズラ少年のように楽しげな、生真面目な文若のこんな表情はなかなか見れないから、花の鼓動はますます高鳴る。
普段の謹厳実直な彼を知っているだけに、その落差にくらくらする。そんなに得意げな顔をしないで欲しい。
「ぶ、文若さん…… 恥ずかしいです…… こんなの……」
「駄目だ。往生際が悪いぞ、花。この間の仕返しだと言っただろう、観念するんだな」
「そんな……」
しかし、花の言葉とは裏腹に。欲望に素直な彼女の身体はその内側を熱くする。脚の間がじん、と熱を持ち、内側がとろりと潤い始める。
文若もまたそんな花の心の動きを読んでいたようで、的確な指摘を加えてきた。
「……口ではそんなことを言っているが、本当は見られるのが好きなのだろう? 本当に嫌なのであれば、もっと抵抗するはずだからな」
「文、若さん……」
「これでは仕置きなのか褒美なのかわからんな。――私にとっては褒美でしかないが」
不意に文若の切れ長の瞳が愛おしげに細められた。文若は花のあの場所を見つめているのだ。花の一糸まとわぬ無防備な性器を。
文若の真っ直ぐな視線の熱さにあてられて、花の身体はますます昂ぶる。恥ずかしい場所を彼に見られるだけで興奮できるなんて、知らなかった。
花のその場所から視線を外さぬまま、文若は穏やかな笑みを浮かべると。
「お前のあられもない姿を、こうしてずっと眺めていたいようにも思うが……。あまりにも可愛らしいものを見ていると、やはり触れたくなってしまうな」
「えっ…… あっ……!」
不意に、花のその場所に文若の顔が近づけられて、無防備な裂け目に舌が這わされた。
「っ、文若さん…… そんなとこ…… だめ……」
すごく可愛いものを見ていると触れたくなるの結果が、口淫だなんてあんまりだと思う。こんなの筋が通らない。
ぴちゃり、くちゃり。文若はわざと音を立てながら、花の性器に自らの舌と唇を触れさせてくる。あまりにも淫らな口づけの音に花は耳まで嫐られてしまう。
神経質で潔癖な文若なのに。彼の口淫はあまりにも大胆で、容赦がなくて、丁寧で。ひとかけらのためらいも迷いもなかった。花は文若の口淫のあまりの心地よさに甘やかに喘いで身悶えた。
朝日の差し込む薄明るい寝室の真っ白なシーツの上で繰り広げられる、あまりに濃密な情事。
「だめ、です…… 文、若さん……」
間断なく与えられ続ける快楽に声を震わせながらも、花は文若を止めようとしたが。文若はもちろん耳を貸さない。花のこの手の哀願は『もっと』なのだと知っている。
やがて、花が最も感じてしまう肉芽の包皮が文若の手によってきっちりと剥かれ、彼の舌が無防備な花の肉芽を丹念に刺激し始めた。
「あっ……! っ……! ああっ……!」
文若の愛撫は意外なほど巧みだ。神経が細やかな彼らしく、花の反応を確かめながら、彼女が良い反応を返してしまう場所ばかりを丁寧に責め立てる。
「っ、文若、さんっ…… だめ、です…… そこは……」
「そうか、ここがいいのだな」
「っ! そんな……」
「獲物の居場所を教えてどうする…… と言いたいところだが。素直なお前が愛しいぞ、花」
「……っ」
「良いときは良いと言葉でも伝えてくれるか? そうしてもらわねば私は、お前の嫌や駄目も全て『そこが良い』のだと判じてしまう」
「……は、い」
まるで調教されているみたいだ。
文若の理路整然とした注意を受けていた花は無意識に、浅ましくその場所を濡らしていた。かつての上司とこんなことをしているという背徳感。
文若は女性経験が特別豊富というわけではなかったが。元が優秀な分何でも飲み込みが早いので、花と何度か身体を重ねるうちにあっという間に要領を掴んで、今や花を容赦なく翻弄してくる。
今もそうだ。花の制止も聞かずに、彼女の中に何本もの指を差し入れて中を拡げてやりながら、間断なく彼女の肉芽を慈しんでいた。
控えめなように見えて意外なほど我が強く、自分の意志をきっちりと押し通す彼らしく、自分がやりたいと思ったことは、花に拒まれようとも必ず実行しようとしてくる。
文若の容赦のない愛撫のあまりの心地よさに、花の瞳に生理的な涙が浮かぶ。愛の営みの最中に気持ち良すぎて泣いてしまうことがあるなんて、花は知らなかった。
「っ…… 文、若さん…… っ……」
声が甘く震えてしまう。このままでは自分ひとりだけ果ててしまいそうだ。花は泣き出しそうな瞳で文若を見上げたが。
「――ああ、いいな。そのまま私の名前を呼んでいろ」
不思議なほどに。今の文若は楽しげで、満ち足りた笑みを浮かべていた。その上、彼は平然と恥ずかしい命令まで下してくる。
「……っ!」
花は唇を噛んで声をこらえながらも、自分の脚の間に顔を埋めている文若の髪を撫でた。
自分の秘部を舐められながら文若の名前を呼ぶのは心理的なハードルが高いけど、これくらいならやってあげられる。
花は先程からずっと自分のその場所に奉仕してくれている文若を慈しむかのように、彼の髪を優しく撫でた。
文若の綺麗な黒い髪は、ずっと触れていたくなるくらいサラサラだ。見事なまでのストレートが羨ましいくらいで。
あの場所を舐められるのはまだ抵抗があるけれど、自分の脚の間を文若に弄ってもらうのが、花はとても好きだった。
恥ずかしいけど気持ちよくて、自分で触れるときよりも彼にしてもらっているときのほうが、ずっと心地よいのが不思議だった。
今だって包皮を向かれた肉芽をきつく吸われているのが、もうたまらない。
痺れるような心地よさが、体の真ん中から全身に広がって、こんなにも刺激的で満たされる愛の行為があったなんて、文若に教えられて初めて知った。
すごく幸せで、ずっとこのまま彼に肉芽を吸われて愛されていたい……。と願う反面、女性と接しているイメージが殆どなかった生真面目な文若の、意外なほどの技術の高さをどう受け止めていいのかわからない。
(どうしよう…… 気持ち良すぎるよぉ……)
花の両足はつま先までぴんと伸ばされ、悦楽の頂点が近いことを、これ以上ないほどわかりやすく示していた。しかし、本心と裏腹な言葉は花の口をついて出てしまう。
「文、若さん…… あそこ、いっぱい、吸うの…… だめ、です……」
とはいえ、大きく開いた脚を閉じもせず、自分の脚の間に顔を埋めている文若の髪を慈しむように撫でながら、彼の口淫の心地よさに浸っている様子の今の花が、そんなことを口にしても白々しいだけだ。
「――好いた女にそう乞われて、やめられる男がいたらお目にかかってみたいものだな」
淡く苦笑される。文若の笑みは年相応の大人の男らしい。
文若が言葉を発するたびに、彼の吐息が花の裂け目の粘膜にかかり、花はますます追い詰められた。息を吹きかけられているだけなのに、こんなにも刺激的で心地よい。
「足の爪先までしっかりと伸びているようだが……。ここまで喜ばれるのなら、男冥利に尽きるというものだな。……花、もう少し慣らしておくか」
嬉しげな、しかしどこか意地悪な笑みを向けられて。花は意味が分からず涙目のまま戸惑ってしまう。
「っ…… え……?」
けれど。文若は容赦なく指を増やしてきた。くちゅっ、という卑猥な水音が花の裂け目から奏でられ、文若は先ほどまで吸いついていた花の肉芽に今度は指を当ててきた。
そして、中に入れている指を動かして、花が特別に感じてしまう一点を探し当てる。
「この場所…… だな」
「……え? ――っ、ああっ……! ……文若さ、んっ!」
肉芽を吸われるのも良かったけど、中からの刺激もたまらない。文若の男らしくも長く美しい指が花の中でぐっと折れ曲がり、彼女の良い場所ばかりを狙って擦り上げてくる。
「っ、ああっ……! も、だめ…… っ……!」
より甘やかで強い刺激に、花は緩く頭を振って身悶える。
昨日の夜だってしたと思うのに、朝起きてからもこんなふうに求められて、きっちりと追い込まれて。男の人は文若しか知らないけれど、文若はいわゆる精力過多な気がする。こんなに回数多く行為に及ぶのが普通なのだろうか。
花よりもずっと体力があって、体格も良い文若に付き合うのは大変だ。でも、何かにつけて彼に求められるのが嬉しくもある。彼が口にした通り、文若の手によってしっかりと満たしてもらっている気がする。
「っ…… 文若さん…… もう……」
「……花、顔を隠すな。感じているときの、お前の顔が見たい」
「っ……」
いつの間にか、顔を隠すように片手を口元にやっていた。それを文若によってどかされて、花はますます居た堪れなくなる。
朝の光の中で想い人とこんなことをするようになるなんて、思わなかった。こんなにも明るい中で、自分の恥ずかしい場所の全てをさらけ出しながら、行為に及んでしまうなんて……。
「……顔も、身体も隠すな。声も、こらえずとも良い。私の名前も好きなだけ呼んでくれて構わない」
「文、若さ……」
「私で快楽を得ている、ありのままのお前の姿を見せてくれるか?」
「っ……」
こんなお願いはずるいと思う。すごく、すごく恥ずかしい。だけど、大好きな文若の頼みごとは拒めないから、花は「はい」と返してしまう。すると文若は穏やかに笑った。
「……いい返事だ」
この人に褒められると嬉しい。嬉しくてもっと喜ばせたいと願ってしまう。だから結局、気がつけばいつだって彼の願い通り。すっかり言いなりになっている。
***
「――準備をするから服を脱いで待っていてくれ」
そうとだけ口にして。文若はベッドを離れてしまった。けれど、去り際に花の頭をよしよしと撫でて、きちんとご機嫌取りをしてくれるのは、さすがだと思う。
花はいまだに着たままになっていたパジャマの上を脱いで、文若に背を向けて毛布にくるまって待っていた。冬の朝はエアコンがついていてもまだ少し寒い。
なんとなく気恥ずかしくて、愛の行為の準備をしている文若の様子はまだ直視できない。手近な引き出しを開けて何かを取り出したような音と、エアコンの設定温度を上げているらしい音、そして彼がパジャマを脱いでいるらしい衣擦れの音。
音だけなのに刺激されてしまって、花の中がさらに濡れた。すると、支度を終えたらしい文若に名前を呼ばれた。
「――花、待たせたな」
掛け布団の中に、自然と身体を滑り込ませてくる。やはり文若もまた一糸まとわぬ姿のようで、肌と肌とがじかに触れ合い、花は甘やかな興奮を覚える。
先ほどまでは自分は裸同然だったのに、文若はきっちりとパジャマを着たままだったから。素肌同士の触れ合いがなおさら嬉しい。
「こっちを向け。エアコンの温度を上げたから、じきに寒くなくなるはずだ」
「文、若さん……」
「毛布を取るぞ…… 花、私を受け入れてくれるな?」
そんな確認をされたら余計恥ずかしいのに、それでも文若はわざわざ尋ねてくる。
だけど。ひとつひとつの行為すべてに確認を取るのは、生真面目で実直な彼らしい気がする。本当は騙し討ちのような行為を許容できる人ではないから。花は小さく頷いて彼の方に身体を向けた。
一糸まとわぬ姿でベッドの上に膝立ちになっている文若は、正方形の個包装を手早く開封し、充血しきって反り返る己自身にラテックスの皮膜を装着した。時間にして数十秒程度、この瞬間を目にするのがたまらなく好きだ。
手際よく裏表を確認してから自分自身の先端に装着し、張り詰めた屹立に薄い被膜をぴっちりと巻きおろしていく丁寧な仕草。仕事一筋の生真面目な彼が一糸まとわぬ姿でこんなことをしているというギャップに目眩がする。
もう何度も身体を重ねているはずなのに、避妊具を手にしている文若を目にするのが、花は未だに慣れなかった。けれど、文若はそんな彼女の心の内にはお構いなしで、花の上に覆いかぶさってくる。
「……花、入れるぞ」
「……っ!」
しっかりと慣らしていたからか、そこまでの痛みもなく花はすんなりと彼を受け入れられた。けれど、圧迫感と異物感は確かにある。
「っ…… は……」
痛みを逃すように眉を寄せ、切なげな吐息をこぼすと、花の頬に触れるだけのキスが何度も落とされる。
こういうときの文若の口づけは涙が出るほど甘く優しい。挿入の苦しさから気がそれて、花の内部がようやく文若のものに馴染んだのか、圧迫感が次第に減ってゆく。
繊細で神経が細やかな文若は、いつも丁寧すぎるほど丁寧に花を愛してくれるから。そんな彼に尽くされて、想いを捧げられるのがすごく嬉しい。やがて、花の表情からこわばりが抜けたのを見届けて。文若は花に囁きかけた。
「……大丈夫か?」
花はこくりと頷く。
「……そうか。……ならば、動くぞ」
***
「……っ、あ ……ん ……っ」
文若の律動に合わせて花の唇から甘やかな喘ぎが漏れる。
「……花、両脚を私の腰に絡めてくれるか」
早速、文若から体位の指示をされて。花は小さく頷いて両脚を上げ、彼の腰を膝頭でそっと挟むようにした。
彼の腰に両足を絡めるといっても、本当にそうしてしまったら彼の律動の邪魔になるから。あくまでも彼がスムーズに動ける程度。しかし、花の脚の間の入口はしっかりと上を向く。
「――ああ、それでいい」
文若はさらに腰を進めて、挿入が更に深くなった。
「……あっ んんっ……」
文若のものが最奥まで到達した感覚に、花はますます興奮してしまう。
「……このまま動くから、そのままでいてくれ」
囁きと同時に律動が再開される。両足を上げていなければいけないのが大変だけど、文若のものが奥まで入ってくるのがすごい。抜き差しのたびに最奥を突かれて、花は名状しがたい多幸感に襲われる。
大好きな文若のもので自分自身の奥の奥まで愛される幸せだ。深い挿入はまるで彼に征服されているかのような気持ちになる。
やがて文若の両腕が花の膝の裏に通されて、ちょっとした屈曲位のようになった。花の両足がこれまでの比でないほどに高く持ち上げられて、おしりと腰がシーツから浮く。花の身体が文若との結合部を起点に『く』の字を押し潰したように曲げられた。
自分の膝頭が乳房のすぐ近くまできてしまい、花は呻く。
「……っ!」
この体位はちょっとつらい。無理のある姿勢を強引に取らされて、体格のいい文若の深くて重い抜き差しを受け止めるのは、なかなか大変だ。抜き差しのひとつひとつ、一撃一撃が、ボディーブローのように効いてくる。
背が高くて肩幅も広くて筋肉質な文若に対して、花は華奢で小柄だから。余計にこの体位がきつい。まるでプレス機に押しつぶされて、蹂躙されているかのようだ。
(文、若さん、の…… バカ、っ……)
けれど、そんな胸の内の呟きとは裏腹に。花の唇から溢れるのは、さらなる愛撫を求めて文若に媚びるかのような、甘く可憐な喘ぎ声だった。
文若の抜き差しで身体を揺すられるたびにこんな声を出してしまって、花はどうしていいかわからなくなる。これではパワープレイに興じる文若をさらに焚き付けてしまう。そして、花の懸念通りに、文若はますます花を力強く求めてきた。
のしかかられて抑え込まれて、身体の自由を奪われている中で、ひたすら彼の抜き差しを受ける。身動きができないから、今の花にできるのは文若がもたらしてくれる快感をただ受け入れることだけだ。
この体位では文若に何もしてあげられないけど、体重をかけてのしかかられている分、文若とぴったりとくっつける。
いかに恋人同士でも、大好きな文若とこれほどまでにしっかりと深く抱き合える瞬間は、あまりないから。花はそこだけは嬉しかった。けれど、このような体勢では文若から逃れたくても逃れられない。
不意に、文若に愛されているのか犯されているのかわからなくなってしまった花は、妙な気持ちに囚われる。……こうやって彼に激しく愛されるのも。すごく、すごく気持ちいいかも。
呼吸が苦しいせいか、本格的にくらくらしてきた。爽やかな朝の光の中で、自分は一体何をされているのだろう……。
しかし、花の裂け目の中はかつてないほどに熱く濡れていた。彼の抜き差しがよりスムーズになるように水のような蜜を溢れさせ、文若はといえばよほど興奮しているらしく、ひたすらに前のめりで花を力ずくで愛し続けていた。
花の身体の反応がかつてないほどに良いので、自分の振る舞いもこれで良いのだと、思い込んでいるのだろうか。
(……文、若さん……)
理知的で冷静なように見えて、思い込みが激しくて。周りが見えているのかいないのかも、よくわからない。そんな頑固で融通のきかない彼を、花は心から愛していた。
今の体位は確かに少し苦しいけど、大好きな文若に激しく求められるのは紛れもなく幸福で、もっと彼とくっついていたかった花は、自分の両手を彼の肩の上にちょこんと載せた。
本当はしっかりと抱きつきたかったけど、ぎゅっとしがみついたら文若が腰を動かしにくくなってしまうから。あくまでも邪魔にならないように。
すると不意に、文若は柔らかな笑みをこぼした。ようやく彼の律動のペースが緩やかになる。
「……お前の仕草はいちいち可愛らしいな」
「っ……!」
「たまらなくなってしまうぞ。私をあまり煽ってくれるな」
「文、若さん……」
「……朝から付き合わせてすまないな。だが、お前といるとどうしても抑えが効かなくなるのだ」
文若は両腕を花の膝裏から外すと、挿入を保ったまま、シーツに片肘をついた。花は長らくの屈曲から開放されて、ほっと息をつく。今も繋がり合ったままだけど、無理のない体位だからつらくない。
文若は空いている方の手で花の胸の膨らみにそっと触れると、柔らかさを楽しむようにふにふにと揉んで、そっと口づけを落とした。
「……お前の身体にもっと触れたいと、肌を重ねて愛し合いたいと、そんなことばかり願ってしまう」
文若の真っ直ぐな愛の言葉に花は赤くなってしまう。男の人らしい欲望の発露でも、文若が自分に向けてくれる想いなら素直に喜べた。
彼の飾らない言葉が嬉しい。正直で嘘がなくて。だからこそ、この人なら信じられると。心ごと自分の全てを預けられると思えてくる。
「私もです、文若さん。私も文若さんと、こうやって……」
「……花、お前の気持ちは嬉しいが、あまり男を甘やかすものではない」
「え……?」
「すぐに調子に乗って、駄目になってしまうぞ。私とて例外ではない」
「……そうなんですか?」
愛の営みのさなか。余裕をなくして呼吸を荒くしながらも、淡く微笑む文若はかっこいい。
先ほどまでの激しい愛の行為のせいか、文若の髪は乱れて、額にはうっすらと汗が浮いていた。額に張り付く前髪はまさに、年上の男らしい大人の色気だ。
けれど。調子に乗って駄目になる文若なんて想像がつかない。花は不思議に思っていると、不意に文若が喉を鳴らして笑った。
「……納得できない、という顔だな」
文若の優しい笑顔が好きだ。この人を守るためなら自分はどんなことだってできると思う。花の胸に切なさがこみ上げる。文若は穏やかな笑みを浮かべながらも、訥々と続ける。
「……私でも欲に溺れることくらいあるぞ。これもひとえにお前への愛ゆえだな」
「っ、文若さん……」
甘い。ずるい。こんな言い方をされたら、何も言えなくなってしまう。さっきまでは愛しているのか犯しているのかさえわからないような力任せの行為で、花を翻弄していたというのに。
元々が真面目な人だから、恋愛映画のヒーローのような甘い台詞でも、真実味と破壊力がある。
文若の甘すぎる囁きに反応して、花の中がきゅっと締まった。先程からずっと挿入されたままの文若の楔を締め上げて、射精を促す。
「っ……! くっ……!」
その刺激に耐えきれなかったのか、文若がおもむろに顔をしかめた。切なげに眉を寄せて、強すぎる快楽を逃がすかのように、苦しそうに息をつく。
「……こうも歓迎されると、こたえるな。抑えるのもきつい」
荒い呼吸に乱れた髪。余裕をなくして追い詰められた文若の姿は色っぽい。普段がきちんとしている人だからなおさら。自分を組み敷いて苦笑する裸の文若に、花は改めてドキドキしてまう。
けれど、大好きな文若とまだ繋がり合っていたかったから。花はつい彼に甘えてしまった。
「ま、まだ…… 出しちゃダメです……」
「っ、女人がそのような物言いをするな……!」
花の素直すぎる発言に文若はすっかり照れてしまったようで、頬を染めて視線をそらした。しかし、文若はすぐに花に向き直ると。
「そんなことは、お前に言われずともわかっているから安心しろ。……続きをするぞ、花」
「はい……」
再び律動が再開される。今度は屈曲位ではなく無難な正常位だ。花の中を文若のものが行き交うたびに、花の唇からは甘やかな吐息が漏れた。今度は無理のない体位だから、花は安心して彼がもたらしてくれる快楽に浸った。
休みの朝のあまりにも甘いひとときだ。時間を気にせず愛しあう。恋しい人との肌と肌との触れ合いで心身が癒やされて満たされていく。
その後、何度か体位を変えて繋がり合いながらも、最後には正常位で抱きあって、ふたり果ててしまった。
***
「……っ、文若さん……」
まだ愛の行為を終えたばかり。焦点の合わないとろりとした瞳で花は文若を見上げる。
「……すまない、無理をさせたな」
文若はベッドサイドに腰掛けて、そんな花の髪をよしよしとなでていた。パジャマの下だけを履いて上は何も着ていない。
上半身裸の文若は、引き締まった体がかっこいい。胸板だって意外なほど厚くて、さっきまでこの身体に抱かれていたのかと思うと、花の頬は淡く染まった。
掛布団を自分の口元まで引っ張り上げて、赤くなった顔を隠そうとしながら、花はぽつりとつぶやく。
「大丈夫、です……」
「お前はそう言うが、私が心配になるのだ。もう少し加減してやれればよいのだが、なかなか難しくてな」
後半は自嘲のような苦笑のような。強引な行為で花に迷惑をかけた自覚は一応文若にもあるらしい。文若のこんな顔を見られるのはきっと自分だけだ。花は胸を熱くする。
仕事は文若を高めてくれるけど、仕事は休日の朝に彼を抱きしめてはくれないから。その点については負けていないと思う。
文若は柔らかな笑みを浮かべると、花の頭をポンポンと撫でた。
「……お前はもう少し休んでいろ。暖かくしておけ」
そのまま文若は立ち上がると、脱ぎ捨ててあった花のパジャマを拾い、いつでも着られるように彼女の近くに置いた。
「――朝食の支度は私がするから、少し待っていてくれ。できたら呼びに来る」
パジャマの上着を手にして、文若は上半身裸のまま寝室を出ていった。まさに、大人向けの恋愛漫画のような恋人同士のやりとりだ。
彼のこんな台詞を聞けるのも、彼のこんな姿を見れるのも恋人である自分だけ……。そう思うと、あまりにもうれしくて、花の口元は緩んでしまう。
(今日もかっこいいな……)
一人残された花は朝の光の中で幸せを反芻する。今日もまた文若が好きな気持ちを噛みしめる。近くにあった枕を彼の代わりに抱きしめて、頬を淡く染めたまま意味もなく何度も寝返りを打った。
◆番外編・文花『文若さんちの朝ごはん』
◆全年齢ほのぼのト書きです。また今度地の文をつけます。
「わ、かわいい……! パンケーキですか?」
「健康に良いとはいえんが、たまにはいいだろう」
「す、すごいですね。お店のやつよりかわいいです。文若さんが作ったんですか」
「……こういったものが人気があると聞いてな」
否定しない。もとより文若はこの手のメニューが特別好きなわけではない。朝はさっぱりとした和食が多い。
花を喜ばせるために、らしくないことをしてくれたのだ。作り方も調べて頑張ってくれたのだろう。
「……うれしいです、ありがとうございます、文若さん。……食べる前に写真とってもいいですか?」
「……わざわざそんなことをするのか?」
「記念に、したいんです」
「そ、そうか……」
「それに、食べたらなくなっちゃうのが寂しいじゃないですか。こんなに、かわいいのに……」
「っ、花……」
地味好みだけどセンスがよくてお料理上手の文若。盛りつけもすごくかわいい。入念な下調べの賜物か女の子受けのよさそうな出来栄え。元々が優秀な人だから、真面目に取り組めば何をやらせても結果を出す。
自分の分のパンケーキはいたってシンプルなのに花のものだけはフルーツで飾りつけがしてあり、チョコレートソースでくまの絵が描いてある。
「くまさん、すごく可愛いです。文若さん、ありがとうございます」
「……いや、構わない。……ところで花、わかっていると思うが、このパンケーキの話は他言無用だ」
「……え?」
「特に常務には絶対に気取られぬようにしろ。あとで必ずからかわれるからな……」
『――アッハッハッハッハ!! 文若のふわふわパンケーキ!? 笑い死ぬ!! おい俺にも振る舞えよ!! くまの絵も描けよ!!』
大爆笑している孟徳の姿がありありと浮かぶ。文若は眉間に皺を寄せ。
「……このメニューを常務に振る舞うなど絶対に嫌だ。断じてありえない」
そんなことをするくらいなら、自害して果てた方が万倍ましだ。
「……文若さん」
「このメニューは『お前のためのもの』なのだから、私たちだけの秘密だ。いいか、頼んだぞ」
「はい、わかりました!」
その後バレました。
END
あとがき
お疲れ様です。作者です。文若さんのエロ第二弾でした。いかがでしたでしょうか。
前回のお風呂場・素股・事故挿入編も自分的にはすごくお気に入りだったんですが、文若さんでもう少し真っ当なエロも書いてみたかったので、今作を書きました。
今回は前回よりは正統派を目指したかったのですが、文若さんが花ちゃんのク○○○スをしつこく吸いまくったり、愛が高まりすぎて気がつけば勝手に文若さんが花ちゃんに種〇けプレスしだしたりしたので、相変わらず暴走特急文若号はやりたい放題だなと思いました。
でも文若さんの純愛種〇けプレスってめちゃくちゃエロいですよね……!そしてなんかめっちゃ似合ってる……♡(相変わらずひどい下ネタで本当すみません……)
あと花ちゃんの『まだ出しちゃだめです♡』も書けてよかったです。射精しそうになってる男の子の『もう出しちゃいそう、出していい?』に対して女の子が『まだダメ♡』って返すの燃えますよね。
文若さんは真面目で優しいから愛し合うときも真面目だったらいいなと思いました。これだけ真面目で優しくて何をするにも超本気だと女の子も大切にされてる実感が得られそうです。
そして、文若さんはとても厳しい人なんですが、愛し合っている最中とそのあとくらいは甘やかされたいので、お寝坊してイチャイチャして朝ごはんを作ってもらうシチュになりました。
ドラマCDの新郎は仕事の虫でも『これからは甘えて』云々言ってましたし、文若さんに甘えたいですし、甘やかされたいですよね!
後朝シチュは燃えますよね。お料理上手な彼氏の手作り朝ごはんは最高です。
今回のテーマは後朝のイチャイチャなのでフィア○セの同名の香水よりタイトルをお借りしています。
一番最初の下書きでは一応エロはするけどプレイ内容は本当にぬるくて、朝の爽やかなイチャイチャという感じだったんですが、紆余曲折の末こんな内容になりました。
文若さんのパワープレイのせいで爽やかさは吹き飛びましたが、その代わりにエロさはアップしたと思うので、もうこれでいいかなという気持ちです。
朝からやりたい放題の文若さんなのですが、 今作では理知的で冷静なふりをして思い込みの激しい激情家の生真面目文若さんが書けて良かったです。
思い込んだら命がけで意外とパワープレイなんですが、花ちゃんのおかげでそれが中和されるのがいいなと思いました。「文若さんの邪魔にならないように」配慮する花ちゃんもいいですし、あとこの文↓が私の中の文花です。
『だけど、文若が筋の通らないことをしてくるのは愛ゆえだと知っているから。文若が好きだ。その想いに正も誤もない。それは文若だって同じだと思う』
原作の『そばにいてくれ正しくなくても』『貴方を敵と思うのならこのような筋の通らぬことはいたしません』を参考にしました。
内容に関してです。やたら共寝したがる文若さんについては王佐の異変の同衾シーンリスペクトです。最初花ちゃんに同衾を拒まれて『お前は私の妻ではないのか?(解せん……)』と堂々と花ちゃんに尋ねる記憶喪失の文若さんは、年相応の大人の男の人らしくてとてもよかったです。
そして最初に同衾を拒まれても結局は夜更けに花ちゃんの寝室に堂々とやってきて、花ちゃんを口説き落としてちゃっかり一緒に寝ている文若さんが面白かったです。
真面目堅物と見せかけてそこはしっかり我を通すのがムッツリスケベというか、草食のふりした肉食男子でとても良かったです。
朴念仁と見せかけて『夫婦なら共寝が当たり前』『一度断られても諦めきれずに夜這いをかけて、口説き落として結局一緒に寝る』とか、意外なほど強いオスの生命力を感じさせてくれる文若さんが愛おしいです。
いつも一緒にいるのが孟徳さんなので、孟徳さんと比べると確かに文若さんは控えめなところもあるんですが、本人ルートの文若さんは我の強い剛の者ですよね!
そして。文若さんが手先が器用なのは公式です。過去に飛んだときに手先が器用で手際が良くて火を起こしたりするのもうまいとか、焚き火横顔スチルのシーンあたりにそのような描写がありました。
とはいえ、私の場合はイケメンでスマートなモテるヤリチンが好きなので、書けば書くほど公式の文若さんから遠ざかっていく気がします。すみません……。文若さんも描くのがなかなか難しいですね。口調とかいまだにわかりません。
今回のお話も会社のインテリドSエリート上司とビジネス敬語で言葉責めされながらイチャイチャみたいな、どこの女性向け18禁シチュボだよみたいな仕上がりになっています
文若さんは『真っ直ぐで真面目で頑固な王佐』で『主君の過ちは身命を賭しても正す覚悟のある厳しい人』なんですが、そんな彼も本人ルートの最後には『私がこのような筋の通らない正しくないことをするのも、ひとえにあなたを愛するがゆえ』という人になってくれるので、本人ルートハピエンの文若さんには、好きな人のためにらしくないことをしていて欲しいです。
健康に良くなくても花ちゃんを喜ばすために朝食にパンケーキ作ってくれる文若さんが好きです。たまにでいいからこういうスイーツ系ごはんも作って欲しいな~
新郎は仕事の虫の最後でも『私はお前に甘えていた』とか『これからはお前も私にもっと甘えろ。ただ一人の大切な〜』云々甘い言葉を言ってくれた公式の文若さんを信じてこれからも文花の二次創作に励もうと思います
話が長くなってしまいました。すみません。こんなところまで読んでくださってありがとうございました。それではまた次回、お目にかかれましたらうれしいです。
■自分用メモ台詞書き起こし
■「新郎は仕事の虫」第六話・最終トラック4:48~
私にとってお前は唯一無二の、代えがたい存在だ。
これから先何があってもそのことだけは忘れずにいて欲しい。
そして、私もまたお前にとって唯一無二の存在になれるよう、努力をしなくてはな。
お前も同じ気持ちだというのか?
そんな風に言って私を甘やかしてくれるな。
お前という存在に安心して甘えてしまうだろう。
甘えていい?全く、お前には敵わんな。
私はもう充分お前に甘えさせてもらっている。
だからこれからは、お前ももっと私に甘えて欲しい。
寂しいときは寂しいと言え。わかったな。ん
お前のことを、今よりもっと、もっと。ずっと大切にしたい。
そんな風に思う相手はこの世界でお前だけだ。
そのことを忘れるな(チュッ/キスの効果音)