【跡部】続・みえない星(二)
名前変換設定
本棚全体の夢小説設定薄桜鬼とテニプリは名前変換可、刀剣乱舞はネームレス夢です
※恋戦記小説について
現在一部作品のみ名前変換可にしていますが、ヒロインの下の名前「花」が一般名詞でもあるため「花瓶の花」などで巻き込み変換されてしまいます
それでも良い方は変換してお楽しみください。それがダメな方はデフォ名「山田花」でお楽しみください
すみませんが、よろしくお願いいたします
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「……んっ ……ッ」
長いキスに名前は苦しそうな吐息を漏らす。けれど跡部は容赦なく彼女の背中を壁に押しつけ、その口内に舌を差し入れる。
「……ッ」
壁と跡部の腕の中に閉じ込められながら、名前は苦しげに呻いた。深い口づけに息ができない。距離を詰められて身じろぎもままならず、逃げたくても逃げられない状況に陥ってしまっていた。求められるままに、激しいキスを受ける。
しかし、不意に跡部の唇が彼女から離れた。今がチャンスとばかりに、名前は跡部を見上げる。
「せ、先輩……」
訴えかけるようにつぶやいた。けれどその続きは言葉にならない。苦しいからやめてと言いたかったはずなのに、息が上がって声が出なかった。
「……あーん?」
そんな彼女を跡部は面白くもなさそうに見下ろす。
「テメェ、ネコは受け止められても、この俺様の愛情は受け止められねぇって言うのかよ」
「そ、そういうわけじゃ……」
「ならいいだろ」
こともなげにそう言って、跡部は名前のトップスに手を入れる。未だに抵抗しようとする彼女には構わず、背中に手を回して下着のホックを外した。躊躇いなくその膨らみに顔を埋める。
「……ッ」
名前の身体がびくりと震える。大きな瞳が一瞬だけ見開かれ、次第に羞恥に潤み始める。布越しの感触を堪能しつつも、跡部は彼女のブラウスのボタンを外していく。あっという間に外し終わると、容赦なく胸元をはだけさせて、その素肌に唇を寄せた。
「せ、先輩…… だめ……っ」
恥ずかしさに名前は跡部を止めようとするが、それを理解している跡部はもちろん行為をやめない。ふにふにとした触感を今度はじかに楽しみながら、色づいた突端に口づけた。もう片方の膨らみは手のひらですくい上げるように刺激して、彼女をその気にさせていく。
「……ッ、せんぱい」
苦しげな名前の声に、跡部の加虐心が頭をもたげる。柔らかな胸を覆う手のひらに力を込めると、跡部はずっと口に含んでいた、彼女の先端に歯を立てた。
「やっ……!」
敏感な場所に噛みつかれ、名前は悲鳴を上げて細い身体を仰け反らせる。ついに耐えられなくなったのか、その場にずるずるとしゃがみこんだ。背中を壁につけたまま、俯いて苦しそうに息をする。
しばらくの間、跡部は両手を壁についたまま、懸命に呼吸を整える彼女を見下ろした。着衣を乱して頬を染め、肩を上下させる姿を眺める。白く薄い肌は情欲に火照り、胸の先端は愛撫によってたちあがり、片方は自分の唾液で濡れていた。長い睫毛は悩ましげに伏せられ、脚の間からは白い下着が覗いている。
そんな彼女をもっと困らせてやりたくなって、跡部は唇の端を上げると、へたりこんでいる名前のすぐそばに片膝をついた。顎を掴んで無理やり上を向かせて、先ほどよりも深く口づける。
「…………ッ!」
声にならない名前の悲鳴を聞きながら、跡部は強引に彼女の唇を開かせる。自分の舌を押し込んで、彼女のそれを絡め取った。強引な跡部の愛撫に、しかし名前の下肢は熱くなる。心の奥の被虐心が刺激されたのか、たまらなくなって、その場所が切なく疼き始める。
跡部と唇を重ねたまま、名前は自分の身体の奥のじんわりとした熱に耐える。やがて、彼女の入り口から温かな蜜が溢れ出す。……早くその場所に触れられたい。無意識に、名前はそんなことを願ってしまう。既に理性は溶けかけて、跡部自身を求め始めてしまっていた。
強引な口づけを気が済むまで楽しんでから。ようやく跡部は彼女から唇を離す。
その瞬間、名前は跡部に限界を訴える。
「け、景吾先輩…… もう……」
情欲に疼く身体を持て余して頬を染め、名前は泣き出しそうな表情で跡部を見上げる。そんな彼女に、跡部は満足げな笑みを浮かべる。愛らしい彼女のその場所に、早く自分を与えてやりたい。
「……ベッド行くぞ」
はやる心を抑えながら、跡部は名前を抱え上げた。
華奢な身体を横たえて、そのまま覆い被さる。トップスを下着ごと脱がせて、露わになった二つの膨らみに、跡部は改めて顔を押しつけた。
「……っ」
何かをこらえているような可愛らしい息遣いを聞きながら、色づいた先端に舌を伸ばす。片方の先を丁寧に舐めてやりながら、もう片方を指で摘んだ。
「んッ…… あ……」
瞳を閉じて、名前は熱っぽい息を吐く。それに呼応するかのように、跡部に触れられている先端が次第に固さを増していく。それまで軽く開かれていた彼女の脚が、おもむろにしっかりと閉じられた。恥じらうように、もぞもぞと動き始める。
名前のその仕草に気がついた跡部は、片方の手を彼女の下半身に伸ばす。どんなふうにしているのか確かめたくなり、名前の身体にまとわりついているスカートを、そっとたくし上げた。そのままその場所に手を這わせ、身体を撫でるようにしながら、彼女の動きを確認していく。
自分の予想した通り、名前は内腿を擦り合わせて、その場所に刺激を与えようとしていた。跡部は目を眇めて笑う。こんなにも欲望に正直な彼女が愛しくて仕方がない。軽く息を吐いて、跡部はゆっくりと身体を起こした。欲求のいいなりになっている恋人を見下ろす。
長い睫毛を伏せて、呼吸を荒くしながら、名前はベッドの上で思うさま乱れていた。性感の虜になっている愛らしい姿を楽しみながら、彼女自身を煽るように、跡部は名前に囁きかけた。
「……可愛いぜ」
吐息混じりの声でからかう。しかし彼女は答えない。脚をもぞもぞとさせたまま、とろんとした瞳で跡部を見上げた。その沈黙を催促と受け取ると、跡部は彼女のスカートに手をかけた。
「……脱がすぞ」
そう言って優しく引き下ろす。次いで下着も取り去って、跡部は名前を一糸纏わぬ姿にする。ずっと邪魔に感じていた衣服をようやく全て除かれて、名前は喜びに息を吐いた。我慢できなくなったのか、たまらない様子で跡部を強請る。彼女の求めに応じて、跡部は露わになった名前のその場所に、そっと指を這わせていった。
彼の指先が、彼女のそこにわずかに触れる。
「あ……ッ」
喜びに掠れた声を漏らして、名前はうっとりと身体を震わせた。さらなる悦楽を求めて自分から脚を広げ、跡部にその場所を差し出す。差し出されたその場所に、跡部はぴったりと長い指を沿わせていく。
既に蜜の滲んでいる、いやらしい割れ目の真ん中に指を置き、跡部は少しずつその中に、自分の指先を沈めはじめた。あまりの良さに名前は切なげに喘ぎ、さらなる挿入を跡部に求める。彼女の可愛らしいおねだりに、跡部の機嫌はさらに上向く。もっとたくさん強請って欲しくて、じりじりとした挿入をわざと止めた。
「せん…… ぱい……ッ」
困ったような名前の声を聞きながら、途中までそこに差し入れた指を、跡部はゆるゆると動かし始める。ぬるついた割れ目の浅い場所だけを刺激して、彼女をじらして困らせる。
「……ほら、もっと強請ってみせろよ」
その吐息混じりの囁きは、まるで悪い魔法のようで。逆らうことなんてできない名前は、跡部に求められるまま、はしたない言葉を口にする。その場所を優しくかき混ぜられながら、名前は潤んだ瞳で跡部を見つめ、彼の長い指と彼自身を何度も欲しがった。跡部は小さく息を吐く。
「……仕方ねぇな」
「あ……ッ」
待ち焦がれた刺激に目を見開いて、名前は甘やかな声を上げる。ようやく、跡部の長い指が自分自身の一番奥まで入れられたのだ。求め続けたものがようやく与えられた喜びに、名前は身体の内側をさらに濡らす。
眉をわずかに寄せながらも、彼の腕の中で、名前はうっとりと跡部からの愛撫を楽しんだ。緩やかな抜き差しに、割れ目から蜜を滴らせ、華奢な身体をくねらせて、自分自身を高めていく。
跡部の指が増やされる。狭いその場所を広げるように、何本もの指が彼女の中で意志をもってばらばらと動く。たまらずに、名前は切なげな喘ぎを漏らす。容赦なくそこが広げられていく感覚。
興奮に、彼女の身体から水のような蜜が溢れ出す。純白のシーツが汚れていく。もう無理と、耐えられなくなった彼女が限界を口にしようとしたそのとき。跡部の指が引き抜かれた。
名前が訝った瞬間、彼女の一番弱い突起に電流のような刺激が走る。ひときわ甘やかな、名前の嬌声が寝室に響く。
「やッ…… そこ…… だめなの……」
一番弱い場所に容赦なく触れてくる跡部を、名前は泣きそうな表情で止めようとする。しかし彼女の素直な身体は、跡部が触れるたびにピクピクと反応し、心地よさを訴えていた。
「……良すぎるからダメなのか?」
突起への刺激を続けながら、跡部は名前を挑発する。
「ち、ちがうもん……」
「違わねぇだろ、こんなに濡らして」
そう言って、跡部は名前の入り口に指を入れ、わざとくちゅくちゅと音をたてた。自分の性器から聞こえてくる淫猥な水音に、名前の瞳が恥じらいに揺れる。
「……ッ」
悔しさに息を漏らして、名前は睫毛をそっと伏せた。跡部の言う通りだったのだ。跡部は喉を鳴らして笑う。本当は素直になりたいくせに、つい意地を張ってしまう彼女を、思い切り可愛くしてやりたくて。とんでもない言葉を口にした。
「……いいぜ、もっと良くしてやるよ」
けれどこれは、跡部にとっては当然の台詞だ。青い瞳が楽しげに細められる。
「っ……! やだ……ッ」
言葉の意味をすぐに理解した名前は、必死に抵抗しようとする。けれど、非力な名前が跡部に敵うはずもない。あっさりと華奢な身体が押さえつけられ、完全に自由を奪われる。
容赦なく、彼女のそこが愛され始める。電流のような心地よさが、その場所から名前の全身に広がっていく。
「……い、じわる ……ッ」
大きな瞳を潤ませて、観念したようにつぶやくと、名前はそっと目を閉じた。抵抗を諦めて、跡部に自分の全てを委ねて、身体の力を抜いていく。跡部の指が彼女の中に入ってくる。
「あ……ッ」
内側を擦られる感覚に、名前はうっとりと息を漏らす。彼女の様子を確かめながら、跡部は指を増やしていく。彼女の身体が自分の指に馴染むのを待って、ストロークを開始した。
最も感じてしまう突起をいじられながらの抜き差しに、名前は夢中で声を上げた。全身を痺れるような快感が駆け抜ける。彼自身を入れられている時とはまた違った良さに、名前の意識はひと息に高みに連れ去られる。……抗えない快楽が押し寄せて、彼女の目尻に涙が浮かぶ。そして。
「……あッ ……もう」
どこか嬉しそうにそう口にして。名前の小さな唇がうっすらと笑みの形を取った。焦点を失った瞳から、ひとすじの涙がこぼれ落ちる。跡部は満足げに微笑むと、興奮に浸る名前を促した。
「……ッ」
彼女が苦しげに呻いた、そのとき。華奢な身体が瞬間的に強張って、白い足先がぴんと伸びる。ひときわ愛らしい悲鳴が上がる。跡部に見つめられながら、名前は一糸纏わぬ無垢な身体を、本能のままに痙攣させた。
荒い呼吸に胸を上下させながら、頂点の余韻に浸る彼女を、跡部は愛おしげに眺める。情欲に火照った華奢な身体も、未だにヒクヒクと震える下肢も、その全てが可愛らしくてたまらない。
「……よかったか?」
とろんとした瞳で、名前は頬を染めて頷く。その素直さに跡部はさらに欲情する。すっかり理性を失っている様子の、愛らしい恋人に命令した。
「なら、今度は俺を良くしろよ」
生まれたままの姿で、名前は跡部の上に覆い被さってその身体を舐めていく。ベッドの上に膝をついて腰を高く掲げたまま、跡部の首筋に顔を埋めて、懸命に舌を伸ばして彼の素肌を愛してゆく。
よほど興奮しているのか、ときおり名前の腰が甘く揺れる。その様は発情したネコ科の動物のようにいやらしい。そんな彼女の後頭部を、跡部はねぎらうように優しくなでる。
恥ずかしがり屋の恋人の大胆な奉仕に、跡部の下肢はさらに固く充血していく。今すぐにでも押し倒して中に入れたい。そんな衝動をこらえながら、跡部は懸命に自分に尽くす名前を見上げる。
彼の服を脱がせながら、彼女は跡部の美しい裸体に夢中で唇を寄せていた。首筋から鎖骨、そして次は胸の先、それから鍛錬に割れた腹筋に口づけて。興奮に呼吸を乱しながら、名前は彼の下方へと降りていく。
ようやく、その場所に辿り着いた。跡部の視線を受けながら、ぎごちない手つきで、名前はボトムスの固いボタンをなんとか外す。恥じらいと期待に震える指先で、そっとファスナーを下ろしていく。
「……っ」
怯んだように名前は息を呑む。跡部のその場所は下着越しでもわかるくらいに膨らんでいた。ほんの少しの躊躇いのあと。名前はおそるおそる、跡部の下着の中から彼自身を取り出した。
固く充血し、たちあがったそれが、彼女の眼前に晒される。何度も見ているはずなのに、こんなにも近くで目にすることはあまりなかったからだろうか。名前は不思議な感覚に囚われた。剥き出しになった彼自身から、どうしても目が離せない。自分の下肢からまた蜜がにじんで、その場所がさらに熱くなる。
「……どうしたんだよ?」
艶やかな声で煽られる。その瞬間、彼女の中の何かが崩れた。たまらなくなった名前は、跡部に促される前に、彼自身をくわえてしまった。
独特の味が口内に広がる。けれど今はそれすらも愛しく感じてしまう。小さな口を懸命に開いて、名前は跡部のものを喉の奥までくわえ込んでいく。
「……っ、ん」
口の中がいっぱいになって、息が苦しくなる。けれど名前は、離したいとは思わなかった。愛しい彼の分身をずっと口内に含んでいたい。もっと良くなってもらいたい。名前は瞳を潤ませながら、跡部自身に懸命に尽くした。教わったことを忠実に実践し、充血しきった彼を愛する。
名前の奉仕を受けながら、跡部はゆっくりと上体を起こした。自分から男のものを口にくわえて、恍惚に浸っている様子の彼女の、綺麗な髪を優しく梳いてやる。跡部に可愛がられながら、名前は口淫に溺れてゆく。口の中で舌を遣って器用に裏筋を舐め上げながら、淫らな奉仕の興奮に、自分自身を濡らしていった。
「……ッ ……あ」
吸引の合間に名前は熱を帯びた息を漏らす。そしてついに、彼女の腰が揺れ始めた。跡部は嬉しそうに目を細める。充血した自分のものをくわえながら、幸せそうに腰を揺らす恋人の姿に、支配欲と征服欲が満たされる。
彼女のサラサラとした髪をひと束手にとって、愛おしげに口づけた。うっとりと口淫に耽る名前の姿を鑑賞しながら、跡部はすぐそばのサイドテーブルに手を伸ばした。置いておいたそれを開封し、自分自身に装着した。彼女を身体の上に乗せて促す。
「ほら、自分で入れてみろよ」
もう一度上体をベッドに倒して、嗜虐な笑みを浮かべながら、跡部は名前を見上げて笑う。口元を指先で拭って、名前は小さく頷いた。跡部のものにそっと手を添える。両膝をベッドについて、彼自身の真上に跨がった。先ほどからずっと疼いて仕方がなかった入り口を、そそり立つ先端に宛がう。そのまま、名前は腰を落としてゆく。
「あ……ッ、あ……」
淫猥な音をたてながら、名前の可憐な裂け目の中に、跡部のものが呑み込まれていく。切なげな喘ぎを漏らしながら、真っ白な喉を反らす愛しい名前の姿に、跡部は呼吸を荒くした。
昼間の彼女とは全く違う、真夜中だけの姿に興奮する。このギャップがあるからこそ、やみつきになってしまうのだ。あの無垢で素直な身体をもっと感じさせてやりたい。情欲に囚われて、甘く乱れる姿を見たい。
たちあがった跡部自身を身体の奥まで呑み込むと、名前は熱っぽい息を吐いた。
「ぜんぶ、入っちゃった……」
うわごとのようにつぶやいて、幸せそうな笑みを浮かべた。そして、わずかに身体を仰け反らせる。彼女の内側が、跡部の形ぴったりに馴染んでいく。
吸いついて離さないといった名前自身からの刺激に、跡部もまた快感に、熱を帯びた息を漏らした。柔らかく温かな、潤んだ感触が心地よい。名前の身体が充分に馴染むのを待ってから、跡部は彼女に囁きかけた。
「……動くぜ」
小さな頷きを返される。ようやく出されたお許しに、跡部はまた身体を起こす。彼女を抱きしめてベッドに倒した。上質なベッドが、二人の体重を静かに受け止める。
「……腰上げろよ」
彼に言われるがまま、名前は限界まで腰を浮かせる。白く細い足を、彼の腰に絡みつかせる。跡部はさらに彼女の奥まで、自分自身を沈めていく。
「……あ ……ッ」
名前はうっとりと喘いだ。その瞳は既に焦点を結んでいない。身体の内側が目一杯に満たされる感覚に生理的な涙をこぼして、彼女は目を閉じた。……跡部の緩やかな抜き差しが始まる。ぞくぞくとした快感が彼女の中をせり上がっていく。
「……んっ」
うっとりとした声を漏らして、名前は跡部にしがみついた。首の後ろに手を回してすがるように抱きつく。ゆったりと何度も揺すられて、次第に彼女の意識は心地よさに溶けていく。
無意識に、名前は跡部をさらに求めた。彼の鍛えた身体に巻き付けている自分の手足に、よりいっそう力を込める。もっと彼とひとつになりたい。そんな彼女の仕草に、跡部は愛おしげに目を細める。
次第にペースが速まっていく。熱く潤った内側を思い切り擦り上げられるたびに、名前の身体を痺れにも似た快感が駆け抜ける。
「……あッ ……ん」
薄く開かれた唇からは甘く掠れた声が漏れ、あまりの感覚の昂ぶりに彼女の全身が熱を帯びる。身体の全てが跡部に煽られていく。あまりの良さに、名前はうっとりと息を吐く。このままずっとこうしていたい。肌を重ねる幸福感に満たされながら、彼女は高みに昇っていく。そしてついに、名前は浮遊感にも似た何かに囚われた。
「あ……ッ」
導かれる直前の、ふわふわとした特有の気持ちよさ。津波のような感覚が押し寄せて、全身が瞬間的にこわばる。名前がそれ迎えようとした、そのとき。無情にも、彼女の中から跡部自身が引き抜かれた。
「え……?」
直前でおあずけをされたもどかしさに、名前は泣きそうな顔をする。しかし何かの言葉を口にする間もなく、彼女はすぐに跡部にうつぶせにされた。腰をだけを高く持ち上げられて、強引に膝をつかされて、再び奥まで差し入れられた。
「あッ……」
たっぷりと潤んだその場所は、たちあがった彼自身をあっさりと呑み込んだ。じんわりとした心地よさが戻ってくる。
今度は後背から愛される。跡部の突き上げを受けながら、名前はそれに応えるように、ひたすら甘い声を上げる。シーツに顔を押しつけて、悦楽の波に溺れながらも、名前は不意に今の自分の姿を想像した。一糸纏わぬ姿でリネンに上体を押しつけて、腰だけを高く掲げて跡部を受け入れている、はしたない自分の姿だ。
動物の交尾のような姿勢に、名前は羞恥に襲われる。けれど同時に被虐の快感にも襲われて。たまらない気持ちになった彼女は、思わずつぶやいていた。
「……もぉ ……やだ」
「あん? 何がイヤなんだよ」
「……だって、こんなのはずかしい」
あさましい熱にうかされながら、名前は大粒の涙をこぼす。しかし、本能からもたらされる快楽には抗えない。無防備な彼女の身体は、跡部の激しい愛撫によって、これ以上ないほどの反応を見せていた。
抜き差しのたびに、繋がり合っているその場所からは水のような蜜が飛び散り、真っ白なシーツに小さな染みを作っている。こんなになるまで感じておいて、今さら恥ずかしがる名前に、跡部は喉を鳴らして笑った。抜き差しを繰り返しながら、羞恥を煽るように言ってやる。
「こんだけ乱れといて、よく言うぜ」
「いじわる……っ」
そんなやりとりを重ねながら、跡部は名前の腰を掴んで、何度も彼女を突き上げる。彼女の被虐心を刺激して、性感を感じさせてやりながら、肉付きのよいヒップと細いウエストが織りなすしなやかな曲線美を、視線だけで愛でていく。
この体位でなければ楽しめない素晴らしい眺望だ。やがて跡部の青い瞳に、彼女の一番恥ずかしい場所が映った。ほのかな明かりの中で跡部のものを咥えながら、ヒクヒクと震えているその場所はとてもいやらしくて可愛らしい。
しかし名前は、自分のそんなところが見られているとは思わない。早く達してしまいたいという思いに囚われて、跡部の眼前に自分の全てをさらけ出して、切なげな声で喘いでいた。
名前の内壁が、さらなる悦楽を求めるように跡部自身を締めつける。そんな彼女に応じるように、跡部は抜き差しを速めていく。ふたりの興奮が高まって、いよいよ限界が近くなる。名前の喘ぎがひときわ高くなり、白い背中が反り返る。彼女がそれを迎える予兆に、跡部の性感も昂ぶっていく。
「もぉ、だめ……ッ」
ひときわ愛らしい名前の悲鳴に、ぞくりとした快感が跡部の背筋を駆け抜ける。ほぼ同時に締め上げられる。激しい収縮に促され、跡部は真っ白な熱を彼女の内側で吐き出した。
「……っ、くッ」
たまらない心地よさに我慢しきれず、跡部は眉根を強く寄せ、射出の快感に呻いていた。自分自身のの脈動が収まることすら待てず、跡部は呼吸を荒くしたまま、名前の身体を引っ張って、強引に自分の方を向かせた。そのままの勢いで口づける。荒々しい彼の口づけに、しかし名前は懸命に応えた。
***
全てを終えて、身支度を終えた跡部はバルコニーに出た。ライトアップされた美しい庭園を見おろしてから、ふと空を見上げた。夏の終わりの、美しい東京の夜空。なぜか郷愁を覚える。さきほどからずっと聞こえてくる、虫の音のせいだろうか。
「――いつまで、こっちにいるんですか?」
いつの間にか、そばまで来ていた名前に尋ねられた。自分が留学先に戻る日取り。
「……来週だ」
「そうなんですね」
そうとだけ答えて、名前は軽く微笑む。何でもないふりをしているけれど、やはりどこか寂しそうだ。
「そんな顔するなよ。またすぐに会える」
そう言って、跡部は彼女を引き寄せた。細い身体を強く抱きしめる。彼の腕の中で、名前はこくりと頷いた。夜風の中に、微かなすすり泣きの声が混じる。ふたりの夏が更けていく。