謙也×同級生夢主
名前変換設定
恋戦記は現在一部のお話のみヒロインの名前変換可です薄桜鬼とテニプリは名前変換可、刀剣乱舞はネームレス夢です
恋戦記小説について
現在一部作品のみ名前変換可にしていますが、ヒロインの下の名前「花」が一般名詞でもあるため「花瓶の花」などで巻き込み変換されてしまいます
それでも良い方は変換してお楽しみください。それがダメな方はデフォ名「山田花」でお楽しみください
すみませんが、よろしくお願いいたします
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一線を越えたら、あとはもうあっという間だった。今夜も、名前は謙也のマンションにいた。今日もお泊まり。
同じ大学で、どちらも一人暮らしで、ご近所で。だからお互いの家に入り浸りになってしまうのも、この年頃のお付き合いならある意味当然だった。
「……」
時計の針はもう夜遅くをさしていた。しんと静かな、暖房のきいた寝室。お風呂から上がって髪を乾かして、謙也の部屋に置いている部屋着を着て。彼のベッドの上で、名前は何をするでもなくただ座っていた。
けれど、いつもはのんびりとしている名前なのに。今はなんだか様子がおかしい。きゅっと口を結んで、意味もなくシーツを見つめて、そわそわとしていた。
謙也を待っているのだ。名前のすぐあとにお風呂に入った謙也は現在、洗面所で髪を乾かしているところだ。よほど機嫌がいいのか、ドライヤーのごうごうという音に混じって、謎の鼻歌が聞こえてくる。
その鼻歌に、名前はますますいたたまれなくなる。
「……っ!」
頬を淡く染めて、小さく息を呑む。そして、ドライヤーの音がしなくなってすぐ。ばたばたという足音がして。
「――名前っ!」
この上もなく明るくて嬉しそうな声で名前を呼ばれると同時に、彼女のいる寝室のドアが勢いよく開けられた。
「……謙也くん」
開けたのはもちろん彼だった。
「遅くなってスマンな! めっちゃ待ったやろ!」
ジャージの下だけを履いた上半身裸の謙也は、全開の笑顔で名前のもとに向かってゆく。よくも悪くも、謙也はとてもわかりやすい。今もものすごくご機嫌だ。
その様子は、まるで大好きなご主人様を見つけた飼い犬のよう。シッポがあればブンブンとちぎれんばかりに振っているに違いない。
「でもお前も悪いんやで? 一緒に風呂入るん恥ずかしいなんて言うから」
早速ベッドの上に乗って、謙也は名前をギュウギュウと抱きしめる。お風呂上がりの半裸の身体。洗いたての柔らかな金髪から漂うシャンプーの香りが名前の鼻腔をくすぐって、彼女はときめきを新たにするが。
「うん…… 全然待ってないから大丈夫だよ……」
名前の返答はつれない。それもそのはず、彼女は謙也のあまりのスピードに驚いていたところだったのだ。
これ以上ないほどのカラスの行水で、髪を乾かすのまでがすごく早いというか。本当に音速を超えてるかも。
(……そんなに早く、したかったのかな)
思わずそんなことを考えてしまって、名前は謙也に抱きつかれながら頬を染める。したかった、だなんて。
(わ、私のバカ…… 何考えて……)
自身のはしたない空想に慌てる名前を、しかし謙也は自分に抱かれて照れているだけだと都合よく解釈したのか、ひときわ甘い声で囁きかける。
「……俺はめっちゃ待ち遠しかったで。早よ名前ンとこ行きたくて、身体洗うんも全部めっちゃ急いだわ」
「……っ!」
あまりにもまっすぐな愛の言葉。それこそさっき妄想してしまった『早くしたかった』を、こんなにも素直に伝えられてしまって。
名前はますます頬を赤くする。裸の彼の胸に顔を埋めながら、名前は胸の鼓動を高鳴らせる。まだ、衣服に手を掛けられてもいないのに。なんだかもう恥ずかしくて、何も言えなくなってしまう。
しかし、名前が黙っていると、謙也の声が低くなった。
「……名前は違うん? 名前は俺んこと『まだかな』とか思ってくれへんかったん?」
「……ッ、謙也くん」
明確な答えを要求されて、名前はひるむ。言わずに済まそうなんて許さないとばかりに、謙也は腕の中の名前を追い詰める。彼女のトップスの中に手を入れた。お風呂上がりの柔らかな身体をまさぐる。
素肌に直接触れられて、名前はビクリと身体を震わせた。けれど、名前は抵抗しなかった。謙也にされるがまま。緊張と羞恥と、そして無意識の興奮で、名前の呼吸がわずかに上がる。
胸を覆う下着はつけていなかった。謙也の骨張った大きな手のひらが、名前の柔らかな膨らみを直接覆う。
けれど、あくまでも触れるだけ。彼女の膨らみの上に置かれた手は、やわらかなその場所を優しく揉むだけだった。ゆったりと上下に動かされる。
素肌に直接触れられているのに、その刺激はあまりにも物足りなくて。じれったくなった名前はおずおずと彼を見上げた。けれど、謙也は何も言わない。彼女の返答を待っているのは明らかだった。
観念した名前は口を開く。彼の瞳を見つめながら。
「……思ったよ。私も早く、謙也くんとし――……」
そこまで言って名前は羞恥に俯いた。その先を言葉にするのはさすがに恥ずかしい。けれど、謙也は容赦ない。
「……ちゃんと、続き言うて? 名前」
真剣な声で彼女を促す。それに潜む確かな熱と純粋さを感じ取り、名前はじんわりと下肢を潤ませる。
自分に向けられている熱量の大きさを改めて感じて、喜びと充足感がこみ上げた。追い詰められて、意地悪をされているのに、嬉しく感じてしまうのだ。
彼女の膨らみの上の手を優しく動かしながら、謙也は改めて名前を呼ぶ。
「……名前、ほら」
「……で、でも」
裸の彼の腕の中に囚われて、胸の膨らみを弄られて、名前は妙な気分になってくる。なぜか瞳が潤んできて、じんわりと視界がにじんだ。
それが快感のせいだとは、名前はまだ知らなかった。謙也はそんな彼女を見おろすと。
「……名前の口から聞きたいねん。お願い」
愛の言葉を浴びるほど相手に捧げる謙也は、同じだけ相手にもそれを求める。
「俺のために言うて?」
目に見えない何かを確かめようとするかのように、言葉という形を欲しがるのだ。名前もそれを理解していた。彼女は羞恥をこらえながら謙也を見上げると、震える唇に言葉をのせた。
「……私も早く、謙也くんとしたかった」
名前の瞳と、脚の間がさらに潤む。
「ん、一緒やな」
謙也は楽しそうに微笑むと。
「ほなら、もうコレはいらんよな」
「……ッ」
衣服の裾を掴まれて、名前は息を呑む。謙也にしてみれば、二人の肌を隔てる邪魔物でしかないのだろう。恥ずかしさに俯いた名前は、けれど小さく頷いた。彼女なりの意思表示。
それを見届けた謙也は満足げに瞳を細めると、名前をベッドに押し倒した。
苦手なものは待ち時間。焦らしやおあずけといった技巧は、謙也には無縁だ。最初から眼中にないと言ってもいい。
こらえ性のない彼に、名前はあっという間に着衣を脱がされる。身につけているのはもう、下肢を覆う下着だけ。
いつのまにか、謙也もボトムスを脱いでいて、下着姿になっていた。ぴったりとした薄手のそれは、謙也の下腹部の線を拾って、彼自身の状態をそのまま名前に伝えてくる。
まだ、行為の前段階で部屋の灯りもついたままだった。それなのに、謙也は全力で名前を求めてくる。
彼女の首筋に顔を埋めて肌の甘さを味わいながら、柔らかな胸の膨らみを強く揉み、自身の下腹部も彼女の身体にこすりつけて、全身で名前を貪ろうとする。
大学生になった今でもスポーツで身体を鍛えている謙也の、体重をかけられながらの全力の愛撫は、華奢で非力な名前には受け止めきれない。名前の呼吸はすぐに上がる。荒くて、けれど甘さを含んだ息遣い。
もうちょっとゆっくりと優しくしてほしいのに。
「……っ、謙也くん……」
けれどもう既に、名前はか細い声で彼を呼ぶのが精一杯だった。甘い喘ぎの合間に切なげな声で名前を呼んでも、名前の願いが伝わるわけもない。むしろ逆効果にしかならず、さらに謙也に体重をかけられてしまう。
(も、重いのに……!)
けれど、身体はきつくても。彼に激しく求められるのは嬉しくて、心地いい。その苦しさと快感に、名前の身体から次第に余計な力みが奪われてゆく。
彼の肩口をつかんでいた両の指先にも、もう力が入らない。なんとかつかまっているのが精一杯だった。本当に辛くなったら爪を立てようと思っていたのに、それも叶わない。
「ッ……、名前……ッ!」
しかし、謙也は名前のそんな様子にも全く気づいていないようで、彼女の名前を呼びながら、しなやかなその身体を夢中で貪っていた。先ほどまで首筋に顔を埋めていた謙也が、名前の下方に降りてくる。
真っ白な胸の膨らみの色づいた先端に、謙也は噛みつくように口づけた。そのとき。
「つッ……!」
名前が身体をわずかに跳ねさせて、ひときわ甲高い喘ぎを漏らす。しかしやはり恥ずかしいのか、彼女は唇を噛んで、声を我慢しようとしてしまう。
ぎゅっと目を閉じて眉を寄せるその仕草も、謙也には愛しく映るけれど。
「……声、我慢せんで?」
謙也は名前にまっすぐな瞳を向けて、切なげに囁きかけてくる。大好きな彼氏に、そんなふうにお願いされてしまったら、押しに弱い名前は断れない。戸惑いと恥じらいに瞳を揺らして、不安げに彼の名前を呼ぶ。
「謙也…… くん……」
ベッドの上以外の場所でなら庇護欲をそそるそのまなざしも、今は謙也の加虐心と征服欲を煽るだけだった。謙也は嬉しそうに口の端を上げると。
「……ん、ええで。もっと俺のこと呼んで?」
「……ッ」
「俺のこと好きって言うて? ――名前」
改めて、名前を呼ばれた瞬間。彼女の背筋を、ぞくりとした興奮が駆け抜ける。あまりにも純で熱っぽい、ひとさじの狂気すら感じさせる謙也の一途な視線は、名前の理性をどうしようもなく弱らせる。
この瞳に望まれたことは、全部叶えてあげたくなるのだ。
「……好きだよ、謙也く…… んッ……」
しかし名前からの愛の言葉は、それを求めた本人により無理に中断させられた。名前の華奢な身体にのしかかり、謙也は彼女に口づけていた。言い終わるのが待てないとばかりの、乱暴なキス。
強引な口づけは、すぐに深いものに変わる。薄く開かれた名前の唇に謙也の舌が入り込み、そのまま、名前は彼に口内を探られる。
細い身体をベッドに強く押しつけられて、シーツに沈められながらの深いキスだ。
角度を変えて、何度も執拗に求められて。息苦しくなった名前は、わずかにイヤがるそぶりを見せてしまう。無意識に彼のキスから逃げようとしてしまった。
「……舌入れるの苦手なん?」
「ちょ…… ちょっとだけ……」
「俺は好きやから克服して?」
「ッ! も……!」
「……ちゃんと、名前も舌絡めて」
最中の謙也はワガママだ。強引に押し切って自分のしたいようにする。けれど、彼のことが好きな名前は結局それを許してしまう。
つい甘やかしてしまうのだ。かけひきも打算もない、謙也の純粋さには抗えない。どこまでも一途に求められて、それに喜びすら感じてしまう。
謙也の腕の中で、彼の口づけを受けながら。名前はおずおずと舌を伸ばした。口内で、彼の舌に自分の舌を絡める。
ぬるりとした温かな感触に、名前の下肢が甘く潤む。謙也もすぐに絡め返してきて、口づけの深さがさらに増す。
そんなことしているうちに。いつしか名前の意識に靄がかかり始めた。感覚が麻痺して、代わりに痺れるような甘い心地よさだけが残される。苦手だった深いキス。なのに、もっと欲しくなってくる。
彼に抱かれながら、彼の腕の中で、名前は意識を溶かしてゆく。最中の謙也の口づけは極上だ。
「名前…… ホンマに好き……」
合間に囁かれる愛の言葉も、呼ばれる名前も、名前を彼に溺れさせるには充分で。名前は理性も羞恥も奪われてしまう。
やがて口づけは彼女の胸元に移り、そして謙也の指先が、名前の下腹部に伸ばされた。下着越しに触れられた瞬間、名前は身体をわずかに跳ねさせる。
「ッ…… 謙也くん……っ」
すがるように名前を呼んで、彼の身体にしがみついても、謙也は黙ってその場所の愛撫を続けるだけだ。謙也の指先が名前の割れ目を何度もなぞり、彼女はそれに応えるように、もどかしげな喘ぎを漏らして、真っ白な身体を反応させる。
やがて名前のその場所を覆う下着が、彼の手によって脱がされて、謙也の指先が彼女のそこに直接触れた。名前の喘ぎがひときわ甘やかなものになり、彼女は切なげにゆるゆると首を振る。
そんな彼女に向かって、謙也は吐息混じりの声で囁きかける。
「……名前、俺のこと呼んで?」
「謙也…… くん……?」
とろりとした瞳で、裸の彼女に見上げられ。謙也は楽しげに微笑むと。
「ん、ええで。そのまま呼んどって」
「……っ!」
可愛らしいそのおねだりは、冷静に考えるとかなり恥ずかしい気がする。しかし名前は、謙也に脚の間を愛されながら、喘ぎの合間に、懸命に彼の名前を呼んだ。
「ッ…… 謙也くん…… あッ……」
名前を呼ぶたびに、ご褒美のように一番感じてしまう場所に触れられる。あまりの心地よさに、名前の瞳に生理的な涙が浮かぶ。その甘い息遣いも、よりいっそう熱を帯びてきた。
彼女の媚態をより堪能するために、謙也の身体がゆっくりと名前から離される。ずっと謙也の肩口につかまっていた彼女の両手が、シーツの上にとさりと落ちた。
名前のしなやかな白い脚も、いつのまにか大きく広げられて、名前はいやいやをするように裸の身体をよじりながら、謙也の愛撫に身悶えていた。
潤んだその場所を謙也にくちゅくちゅとかき混ぜられながら、彼の名前を切なげに呼んで、うっとりと甘く喘ぐ。
もたらされる心地よさに理性の全てを奪われて、恍惚に浸る名前の様子は可愛らしくて仕方がない。
「謙也くん……っ 気持ちい…… 謙也くん……っ」
自分の名前を呼びながら幸せそうに乱れる名前に、さらなる心地よさを与えてやりたくて。
「名前…… かわええで…… もっと良くなって?」
「……え?」
謙也はそう言ってすぐ、自分の顔を彼女のそこに近づけた。彼が何をしようとしているのかに気がついて。
「もッ…… 謙也く……!」
名前は謙也を止めようと彼に向かって両手を伸ばすが、非力な彼女にそんなことができるはずもなく。
「あ……ッ ん……」
「……前、痛がったやろ。大人しくしとき」
恥じらいに嫌がる名前の腰を押さえつけて、既に蜜を溢れさせている入り口付近に、謙也は舌を這わせ始めた。やがて自分のものを挿入するその場所に、丁寧な愛撫を施してゆく。
「も、謙也くん……」
「……アカンで。じっとしとき」
名前が困ったような声を上げても、謙也は舌での愛撫をやめない。有無を言わせない台詞で、恥じらう彼女を大人しくさせる。
「……ッ」
寝室はずっと灯りがついたままだった。謙也に一糸纏わぬその場所を丹念に舐められながら、名前は羞恥と快感の涙をこぼす。
本当はそんなところを舐めてほしくなんてないのに。けれど快楽に従順な名前の身体は、あまりにも素直な反応を謙也に返してしまう。
特別に弱いところを舌で愛されるたびに、ビクビクと身体を跳ねさせて、謙也にそこが好きなのだと教えてしまう。そして、もちろん。謙也がそれを見逃すはずもない。
彼の舌遣いの精度はすぐに高くなり、ますます裸の名前を追い詰める。こんなことまでのみ込みの早い彼に、名前は恨めしい気持ちになる。
謙也の愛撫によって、彼女の腰は間断なく震え始め、天辺に攫われる寸前だった。まだ、いれてもらってもいないのに。自分だけ導かれてしまうのだろうか。
自分ばかりがいつも困らされているような気がして。悔しくなった名前は喘ぎの合間に口を開いた。
「明るいのに……」
「明るいからエエんやろ」
恨み言を言ったつもりなのに。謙也は悔しいくらいに平然としている。名前の身体の大事な場所を楽しそうに弄りながら、余裕たっぷりの笑みを浮かべる。
部屋は明るいから、自分の身体や表情も全て謙也に見られてしまうけど。それは向こうも同様だった。自分の脚の間であまりにも楽しそうにしている謙也に、名前はますます何ともいえない悔しさに襲われる。
「……も、やだ」
「イヤなん?」
けれど、それでも。謙也にこうやって追い詰められるのを、嬉しく感じてしまう自分もいる。名前は頬を赤く染めて、ぽつりとつぶやいた。
「やじゃない……よ?」
彼女のその台詞に謙也は吹き出すように笑うと、不意にすっと瞳を細めた。
「――ほんなら、じっとしとかんとなぁ?」
最中の彼は、意外なまでに押しが強い。彼に逆らえない名前はすぐに、謙也の好きにされてしまう。下肢の突起の包皮を剥かれて、露わになったその場所を舌先で愛される。
「あッ…… ん……っ」
真っ白な喉をぐっと反らして、名前はその刺激に耐える。心地よすぎて、もうどうしていいか分からない。
いやいやをするように緩やかに頭を左右に振って、彼の名前を呼びながら喘いでいると、すぐに指が入ってきた。
(……早いよ。謙也くん……)
しかし、名前のその思いは言葉にならない。謙也に向かって伸ばしていた手にはもう力が入らず、その柔らかな金髪を優しく撫でるだけになってしまっていた。
唇から溢れるのも、彼の性急な愛撫に反応した甘やかな息遣いだけ。これではまるで、喜んでいるみたいだ。
(あんなところ、舐められてるのに……)
はぁはぁと喘ぎながらも、自分のいやらしさを自覚して、名前は瞳を潤ませる。
先ほどからずっと名前のその場所に入れられていた謙也の指は、容赦なくそこを拡げてゆく。名前の最奥まで何本もの指を差し込んで、謙也はゆったりとその場所を大きくかき混ぜた。
溶けそうに熱い名前のそこは、柔らかく潤んで、謙也の思い通りに形を変える。彼女の喘ぎもよりいっそう高くなり、名前はじれったそうに白い身体をくねらせる。その様子は、もういつでも大丈夫そうだ。
謙也は満足げに笑う。ようやく、愛しい名前とひとつになれる。
『――入れるで?』
謙也が彼女にそう告げようとした、そのとき。
「謙也くん、も、無理……」
溶けそうに甘い声で。
「早く欲しいの…… 謙也くん……」
困ったように先にねだってきたのは、意外なことに名前の方だった。謙也に影響されてしまったのか、名前もすっかり我慢ができなくなってしまったようだ。
「名前……」
自分色に染まりつつある、愛くるしくも淫らな恋人の名前を呼んで。
謙也は彼女に覆い被さった。彼女のその場所に、膜を被せた自分自身を触れさせる。張り詰めたそれはすぐに、彼女の奥まった入り口を見つけ出した。
その瞬間。名前は小さく息を呑む。見つけられただけで、入れられたわけではないのに。彼女はたまらない快感を覚える。
いよいよ彼に侵されるという被虐の心地よさと、期待感。ようやく訪れるその瞬間を前にして、名前はますます自分自身を昂ぶらせる。
「……ッ!」
あまりにも重い圧迫感はすぐにやってきた。ひと息に、名前は謙也に身体の内側を押し広げられる。その場所の最奥まで謙也のもので貫かれてから、名前は彼にきつく抱きしめられた。
「ッ、名前……!」
興奮に息を荒くして、謙也は熱を帯びた囁き声で、愛しい彼女の名前を呼ぶ。
一番深い場所まで互いを繋げ合って、身体を重ねて、素肌をぴったりと触れ合わせて。これ以上ひとつになるのなんて無理というほどに、きつく抱き合っているというのに。
謙也はさらに名前を求めるように、彼女の名前を何度も呼んだ。そんな謙也に応えるように、名前も彼を呼び返す。
「謙…… 也く……んっ」
けれど。体内の圧迫と、彼からの体重をかけられながらのきつい抱擁が苦しくて。名前はひとひらの言葉を唇にのせることすら一苦労だった。喘ぎでない声を出すのも、彼を呼ぶのも一苦労。
しかし、名前がそんな必死の思いで紡いだ言葉も、謙也の耳には届いていないようだった。まるで熱病患者のうわごとのように。謙也は夢中で名前の名前を呼びながら、愛の言葉を囁いている。
「好きや」「ホンマに好き」「めっちゃ好き」「愛しとる……」
繋がり合ってすぐ。謙也はいつもこうやって、何度も彼女の名前を呼んで、愛の言葉を降らせてくれる。
まるでプロポーズのようなそれが、名前はとても好きだった。あまりの嬉しさに、涙をこぼしてしまいそうになるほどに。
囁かれる言葉自体は、彼らしくとてもシンプルで、いつも同じようなものだけど。名前は素直に喜べた。大好きな謙也からの言葉なら、自分は何度だって感動できる。
二人は強く抱き合いながら、互いの全てを感じ合って。しばらくそうした後に、謙也の身体が名前からわずかに浮かされて。そして、抜き差しが始まった。
緩やかな抜き差しは、せっかちな彼らしくすぐに早くなる。謙也の肩につかまりながら、名前は彼のそれを受け入れる。
けれど、彼のペースについていけない名前は、謙也にされるがまま、身体の全てを貪られていた。前傾姿勢のがつがつとした早すぎる抜き差しに、次第に名前の意識が朦朧としてくる。
元々謙也と名前では体格も体力も違いすぎる。そんな彼に手加減なしで愛されれば、こうなることは当然だった。抜き差しを緩やかにしてもらいたくても、謙也の身体を引っ掻くことすら、今の名前には叶わない。
しかし身体はきつくても、名前は謙也に激しく求められるのが嬉しかった。大好きな人に愛されて、必要とされるのは、何にも代え難い喜びだった。
(……謙也くん)
名前のその場所から蜜が溢れて、飛び散って。彼女の内ももと二人の結合部分を汚してゆく。
「名前……ッ」
「……ッ」
彼の名前を呼び返してあげたくても。全力で愛情をぶつけられている今は、声も出せない。名前の唇から漏れるのは、荒く甘い息遣いだけ。
謙也に思いやりがないわけではない。彼はいつだってとても優しい。 けれど最中の謙也は、どうしようもないほどに余裕がないのだ。名前のことが好き過ぎて、彼女が欲しくてたまらなくて、我慢しきれずにがっついている。
とにかくこらえ性がないのだ。熱病にうかされたように彼女の名前を何度も呼んで、愛の言葉を囁いて。自分の愛情の全てをぶつけて、そして彼女からも同じだけのものを、容赦なく求めて奪いとる。
その様は、盛りのついたオス犬か、飛びつき癖のある大型犬といったところだ。
大好きな飼い主に突進して飛びついて、ちぎれんばかりにシッポを振りながら、自分が突き飛ばした飼い主の上に乗り、見境なく愛を表現している。
『待て』もできない。ましてや『おあずけ』なんてきっと無理な、しつけのなっていない金色の大きな犬。
やがて。おもむろに名前のその場所から、謙也のものが引き抜かれる。
「……え?」
自身に課せられていた圧迫を不意に失って、名前は呆然とする。謙也はそんな彼女を引き起こすと。
「名前、口でして……?」
言うと同時に、張り詰めた自身からラテックスの皮膜を引き剥がす。そして名前の後頭部に手をやると、彼女の返答を待たずに、自分の脚の間に押しつけた。
あのまま名前の中にいたら。興奮のあまり、そのまま射出してしまいそうだったのだ。
「……ッ」
まさかこのタイミングで、そんなことをねだられるとは思っていなかった。名前は反射的に息を呑むが。混濁する意識の中、彼女は謙也に望まれるまま、限界まで張り詰めた彼のそれを口に含んだ。
先走りのにじんだ彼のものは、あまりにも独特の味だ。それに先ほどまで装着していたラテックスの匂いが加わる。反射的に名前は眉を寄せるが、けれどそれも愛しい謙也の身体の一部だ。
名前は不慣れながらも、根本までそれをくわえ込み、丹念に舌を這わせ始めた。上端の首の段差の部分や裏側の線条も舌で愛して、そそり立つ彼のものを吸い上げる。
名前の口内の先端から、先走りの体液が溢れるのを感じながら。自身に懸命に奉仕する彼女の髪を、謙也は優しく梳いてやる。さきほどとは逆だ。興奮に呼吸を荒くしながら、謙也は自身に奉仕する名前を見おろす。
彼のものを咥えながら恍惚に浸る名前の表情は、驚くほどに可愛らしくて、謙也は震えにも似た快感を覚える。
やがて、名前が謙也のそれから唇を離す。彼女はゆったりと身体を起こすと、そのまま小さく喉を鳴らして、謙也の先端から溢れた先走りを、自身の唾液とともに飲み干した。
その様を眺めながら、謙也は無意識に口の端を上げる。心の奥底の征服欲と、浅ましいプライドが満たされる。
再び欲望が湧き起こり。謙也は名前に覆い被さるようにして、彼女をベッドに押し倒した。近くに用意していた個包装を手にとって、破りながら尋ねかける。
「……もっぺん、入れてええ?」
しかしもう既に、謙也は開封した皮膜を装着していた。そして彼女の返答を待たずに、自分自身で彼女のその場所を貫いた。
「ッ…… んッ……」
再び訪れた圧迫に、名前は苦しげな表情を浮かべるが。それはすぐに、切なげなものに取って代わる。今回も先ほどと同じ体位。しかし今度は緩やかに、謙也は名前を突き上げる。
ようやく余裕が出てきたのか。謙也は意識を濁らせている様子の名前に、囁きかけた。
「……名前、かわええで」
「っ、謙也く……」
「……気持ちええ?」
「ん…… いい……よ……?」
快感に焦点の定まらない瞳で、しかし名前は幸せそうに微笑んだ。その笑みにつられて、謙也も表情を緩める。
「……俺もやで」
ゆったりとした抜き差しの合間に、謙也は名前を抱きしめる。今度の抱擁は、彼女が驚くほどに優しいものだった。
「……名前の身体、あったかくてやらかい」
「謙也くん……」
下肢で繋がり合ったまま。自分を掻き抱いて、かすれた声で囁く謙也に。名前は瞳を潤ませる。
「……ホンマにずっとこうしてたい」
切実さをにじませた声。謙也は本気だ。本心からそう言っている。謙也はどこまでも純粋で、それが名前にも痛いほどに伝わってくる。
張り詰めた彼自身の圧迫を、自分のその場所で感じながら。名前は痺れるように甘い心地よさに浸る。それは大好きな人に愛されて、必要とされる幸せと喜びだ。
「私も……」
吐息混じりにそう囁いて、名前は謙也を抱きしめ返す。
「ずっと…… 謙也くんとこうしてたい……」
彼の身体の下で、彼の重みと体温を同時に感じながら。名前はうっとりとつぶやいた。そのつぶやきに応えるように。
「ッ、名前……っ」
謙也は名前を抱きしめる腕に力を込める。やがて昂ぶった謙也は、おもむろに抜き差しを再開した。
そのペースはやがて彼の限界まで早くなり。そして。朦朧とした意識の中で、名前は謙也の脈動を感じとる。
「ッ、は……」
彼の切なげな呻きをどこか遠くで聞きながら、名前は満ち足りた思いで瞳を閉じた。
***
「名前~ めっちゃ好きやで愛しとる~」
名前にとっては激しすぎる行為が終わったあとも。謙也は裸の彼女を抱きしめて離さない。無意味に名前の名前を呼んでは、好きだの愛してるだのを連呼している。
「謙也くん……」
しかし名前はそんな彼に、明らかに困っている様子だった。喜びと困惑が入り交じったなんともいえない表情で、彼の腕の中に収まっていた。
(服、着たいんだけどな……)
行為を終えてからほとんど時間は経っていない。まだ二人とも一糸まとわぬ姿のままだった。
洋服自体は二人のすぐ近く、ベッドの下にある。彼女はさきほどからずっとそれを気にしているのだが、謙也が離してくれないせいで取りにも行けない。
このままでは一晩中、裸のまま彼の腕の中にいることになりそうだ。さすがにそれは恥ずかしく、名前は遠慮がちに謙也を見上げる。
「ねぇ謙也くん、お洋服着たいんだけど……」
「必要あらへんやろ。寒いなら暖房一晩中入れっぱでええわ」
あまりにもあっけらかんとそう言われてしまって。名前は何も言い返せずに黙り込む。
「…………」
嬉しいような、そうでないような。複雑だ。しかし、黙っていたら追い打ちをかけられた。
「……お前ギュッとしとらんと寝られへんねん。このままでええやろ」
「……謙也くん」
名前には優しくても、謙也は地球には優しくなかった。暖房代なんて気にしない。男の子だからか、それともお父さんが開業医だからか。そのあたりはとてもルーズ。
自分の気持ちが最優先。真冬だろうと裸の彼女を抱きしめて、朝までぐっすりと眠りたい。もちろん自分も裸のまま。
そんな調子では、この冬の暖房代はいくらかかってしまうのだろう。可愛い犬のような、可愛い彼氏のわがままに、名前は思わず苦笑する。けれど惚れた弱みを握られている自分が、逆らえるはずもない。
「……もう」
仕方がなさそうに息を吐いて、名前は衣服を諦める。この際、彼で暖を取ってしまおう。テニスで鍛えている筋肉量の多い彼は、きっと体温も高いに違いない。
裸のまま、彼の腕の中で。名前は謙也の背中に腕を回す。白く柔らかな身体をくっつけて。世間話を始めた。
「そうだ。実家でね、犬飼ってるんだ」
「……言うとったな」
「コロっていうの。すごく可愛いんだよ」
「……そうなん」
まだ二人とも気持ちが昂ぶっていて眠れない。謙也は名前の身体を感じながら、彼女の話に耳を傾ける。
自分もペットを飼っているから、ペットの話題はキライじゃない。むしろ好きな方だった。
「妹が飼いたいって言って飼い始めたんだけど『待て』と『おあずけ』が苦手で……」
「……?」
自分のことを言われているのだろうか。訝りながらも何も言わずに、謙也は名前の話の続きを聞く。
「……でも、頑張ってしつけたんだよ」
「へぇ……」
そのとき。ふと謙也の脳裏に、呆れた表情の後輩が浮かぶ。
『――謙也さんもしつけてもらったらええんちゃいます?』
「それでね、あとね、ボールで遊ぶのが好きで……」
(……でも、名前にならしつけられるんもええかもな)
名前のソプラノを聞き流しながら、謙也は空想の翼を羽ばたかせる。犬じゃなくて人間のオスのしつけは、調教師か猛獣使いか。
ふと『アメとムチ』という慣用句を連想して、謙也はそれを脳内から追い払う。
アメだけでいい。ムチはいらない。痛いお仕置きはイヤだ。可愛くて優しい名前には、至らない自分の全てを温かく包み込んでもらいたい。
『――とんだ駄犬っすわ』
脳内の後輩はやはり相変わらず手厳しい。けれど。
(……駄犬上等やっちゅー話や)
駄犬扱いされようとも、もらうのはご褒美だけでいい。甘い香りのする名前から。同じくらい甘いキャンディーを。それこそ口移しで食べさせてもらいたい。
謙也はそのままつらつらと、裸の彼女に口移しで甘いお菓子をを食べさせてもらう妄想に耽る。
(……ああ、何やむしろこの行動がデザートやわ。食い物の方はどうでもええわ)
妙な妄想に関心の全てをもっていかれて、名前が喋っているというのに、謙也はすっかり上の空になってしまう。話などもちろん聞いてない。
「――謙也くん聞いてる?」
「ん、聞いとるで」
咎める彼女に、しかし全開の笑顔でウソをついて。謙也はおもむろに名前の胸に顔を埋めて、その柔らかな感触を存分に味わった。
「……も、絶対聞いてない」
謙也の身勝手な振る舞いに、名前は怒ったふりをするが。
「しょうがないんだから」
しかし、それはフリだけだ。彼女はこれくらいのことなら許してくれる。名前はそのまま、自分の胸元に顔を埋める謙也をぎゅっと抱きしめた。
彼女の柔らかな膨らみが、謙也の顔面に密着する。しかし名前はそんなことなど気にも留めない様子で、謙也の後ろ頭をよしよしと撫でた。彼のひよこのような後ろ髪がふわふわと揺れる。
この大らかさに夢中なのだ。名前の胸に埋もれながら、謙也はそんなことをふと思う。そして。
(……もう寝よ思っとったのに、何やおっきしてしもうたわ)
男ならきっと、その言葉の意味はすぐに分かる。
「なぁ名前」
「え? ……ッ、謙也くん」
謙也の下腹部の異変に気がついて、名前は顔を赤くする。彼女の恥じらいに、謙也はにわかに調子づく。口の端を上げて、調子よく笑った。
「……もっぺん、したいんやけど」
尋ね方もストレートだ。元来謙也はそれしか投げられないし、それを何よりも尊ぶタイプ。
「も、もう遅いからダ……」
言わせない、とばかりに。謙也は名前の唇を、自分自身のそれで塞いだ。スピードスターの面目躍如の、見事な早業。深いキスに移行しながら、謙也は羽毛布団の奥の名前の下肢をまさぐった。
裸のそこは予想通り、既に熱く熟れていた。名前はよほど感じやすいのか、こうやって深いキスをしてやるだけで、すぐにぐっしょりと濡れてしまう。
「……今度は優しくするから、名前が上や」
「も、しょうがないんだから……」
妹のいる内気な彼女は、面倒見がよくて押しに弱い。謙也はそれを分かった上で、あえてその弱みにつけ込む。押し切ったもん勝ちだ。
邪魔な掛け布団をよけてから。裸のまま、名前はゆっくりと謙也の上にまたがった。そしてすぐ、避妊具を装着した謙也のものが、名前の中に呑み込まれてゆく。
明るい部屋の中、謙也の身体に馬乗りになって。名前は自身の腰を揺らす。白い喉が淫らに反らされて、裸の身体がゆらゆらと動き、胸の膨らみがそれにあわせてふるふると揺れる。
その様子は素晴らしくいやらしい光景だ。謙也はそれを見上げながら、口の端をわずかに上げる。
最初は恥ずかしがって身体を隠そうとしていた名前だけど、今は謙也に全てを見せながら、うっとりと乱れてくれていた。自ら快感を求める浅ましい姿を、謙也の眼前で惜しげもなく披露してくれている。
これも自分のおねだりのおかげだと、謙也は思いを新たにする。名前もまた自身の痴態を見つめられるのに興奮したのか、内側はびしょびしょだった。これなら激しい抜き差しにも耐えられる。
謙也は心地よさそうにしている名前の腰を掴んだ。
「……ッ、謙也く……ん」
「名前、動かしてもええ……?」
「……ちゃんと、優しくしてね?」
「……ん、頑張るわ」
頑張る、なんてバレバレのウソだ。しかし名前も気づいている。
「もぅ……」
いつもこうやって困ったフリをするけれど。名前は激しくしても許してくれる。本人の反応も激しいときの方がいいくらい。
謙也は名前の腰を大きく揺らしてやりながら、下から勢いよく突き上げた。名前が甘やかな悲鳴を上げる。
(……俺が駄犬なら、名前はダメなご主人様やろ)
名前の腰をしっかりと固定して、早いペースで突き上げてやりながら謙也は思う。
(……甘やかしてしつけに失敗どころか、逆に飼い犬にしつけられとる)
今夜だって先に『入れて』とねだってきたのは彼女だったし、今もがっつかれて喜んでいる。柔らかな内側は充分すぎるくらい濡れていて、彼女もまた最後までされたがっているのが明らかだった。
謙也は身体を起こすと、瞳をとろんとさせている様子の[#da=1#]を押し倒した。
「謙也くん……」
案の定。[#da=1#]はすぐに、もの欲しそうな瞳を向けてくる。
「……[#da=1#]」
その言葉を彼女の口から言わせたくて、謙也は[#da=1#]の反応を待った。せっかちで待つのが苦手な自分だけど、こういうご褒美があれば待てる。我ながら本当に調子のいい犬のようだ。
しかし[#da=1#]は、謙也の願い通りに自ら彼の愛撫を求めた。
「……もっといっぱいして?」
大人しそうなふりをして、こんなにも[#da=1#]はいやらしい。自分と同じくらい欲望に素直で、性に貪欲なところも大好きだ。それにしても。
(……何や『して』が『しつけて』に聞こえたわ)
先ほどのペット談義のせいか。謙也はありえない聞き間違いをしてしまう。
『――もっといっぱいしつけて?』
(なんやむっちゃエロいわ…… ビックリや。エロいしつけてどんなやろ)
頭の隅でそんなことを考えながら。しかし謙也は眼前の[#da=1#]に微笑みかけた。自信満々の不敵な笑み。
「……俺からしたい言うたのにな」
「だって……」
「……ええで。めいっぱいしつけたるわ」
謙也のその言葉に、[#da=1#]は一瞬不思議そうな顔をするが。すぐに幸せそうに微笑んだ。
「……うん」
しつけのくだりは、向こうも聞き間違えている様子だった。語感も似ているし、まさかそんなことを言われているなんて思わないだろう。
『――エロいしつけ、いっぱいしたるわ』
『――うん、しつけて……?』
今と同じ、ベッドで裸というシチュエーションで。[#da=1#]と互いにそんなことを囁きあっている様子を空想して。謙也は改めて確信を深くする。
やっぱりペットは最高だ。可愛くていやらしいことが大好きな、人間の女の子。
一見しただけではそんな風には見えないのに、実はこっちがびっくりしてしまうくらい欲求に素直で、自分をたくさん喜ばせてくれる。
(アカン、[#da=1#]、ホンマに最高すぎるで……!)
そういえばペットも恋人も、全力で可愛がる対象というのは同じだ。無邪気でどこまでも真っ白な彼女を、自分色に染め抜きたい。
自分好みにきっちりとしつけて、自分だけのものとして、ずっと手元に置いておきたい。
「……[#da=1#]、めっちゃ好きやで」
ホンマに愛しとる。何度目かはもう忘れたけど、そう言って口づけて。再び謙也は、[#da=1#]の華奢な身体を抱きしめた。