僕の可愛い子猫ちゃん(R18)
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恋戦記は現在一部のお話のみヒロインの名前変換可です薄桜鬼とテニプリは名前変換可、刀剣乱舞はネームレス夢です
恋戦記小説について
現在一部作品のみ名前変換可にしていますが、ヒロインの下の名前「花」が一般名詞でもあるため「花瓶の花」などで巻き込み変換されてしまいます
それでも良い方は変換してお楽しみください。それがダメな方はデフォ名「山田花」でお楽しみください
すみませんが、よろしくお願いいたします
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「さっきは僕にあんな恥ずかしい物真似させたんだから、君もやってよ」
微妙に黒いオーラの笑みでそうねだられて、千鶴は有無をいわさず例の衣装を着せられていた。先ほどまで沖田が身に着けていた黒猫のような狼の衣装だ。といっても千鶴の場合は裸に獣耳に首輪、黒手袋に同色のニーハイソックスという格好だったが。
ニーハイは沖田が仮装の衣装と一緒に買っていた千鶴サイズのものだ。そして、沖田は衣装の装着を終えた千鶴の首と両手首に鈴モチーフの装身具をつけた。ネックレスとブレスレットのようなもので、これも千鶴に着けさせようと彼がこっそり買っていたもの。
もともと狼というより黒猫のような衣装だけど、鈴をつけるとますます猫らしく見えてくる。まさしく『僕の可愛い子猫ちゃん』だ。
自身のあまりに卑猥な格好に、千鶴は頬を染めて瞳を伏せる。
「……は、恥ずかしいですにゃ。ご主人様」
装身具に手袋や靴下は身に着けていても、肝心の胴体部分には何もつけていない。
両方の胸も脚の間の薄い下生えも剥き出しのまま沖田の眼前に晒されていて、千鶴はいたたまれない気持ちになってしまう。こんな格好、裸でいるより恥ずかしい。
彼に強要されている猫語やご主人様呼びも妙にいやらしくて、千鶴をさらに追い詰めていて。そのうえ、千鶴が身じろぎをするたびに両手首に首元の鈴が音を立てて、それもまた淫らがましく思えてしまう。
コスプレは高校時代の文化祭でメイド喫茶のメイドをしたことがあるけど、あくまでもその程度で。さすがにこのような仮装は初めてだった。
「千鶴ちゃんエロすぎでしょ…… 君は犬系かと思ってたけど、猫姿の君もいいね」
興奮気味に沖田は千鶴を褒めそやす。飼い主に従順な犬もその愛らしさに欲望をかきたてられるけど、女子のコスプレ映えといったら、やはり猫なのかもしれない。古いことわざで『猫は傾城の生まれ変わり』とも言うし。
裸に靴下にカチューシャに首輪に手袋。どうでもいいところは隠しているのに、大事なところは隠していないのがたまらない。両方の胸は丸出しでふたつの乳首はしっかりと見えているし、脚の間もなにも纏っていないから、茂みの奥の可憐な割れ目まで見えていた。
先ほどまでずっと沖田に愛されていた千鶴の割れ目は、傍目にもわかるほどに潤っており、男の固い昂ぶりを宛がわれてしまったら、あっさりと最奥までのみ込んでしまいそうで、たまらなく魅力的だった。
「……ほら、今度は君の番。僕に尽くしてみせてよ」
上機嫌な沖田はさっそく卑猥な姿の千鶴を自分の身体の上にのせて、奉仕させようとしてくる。
「そ、総司さん……」
早く早くとばかりに急かす彼に、千鶴はやはり戸惑ってしまう。今度は君の番と言われても、責めるのが苦手な千鶴はどうしていいかわからない。
しかし沖田は容赦がない。何としてでも千鶴にやらせようとしてくる。
「こら、今日はご主人様でしょ。飼い主様でもいいけど。語尾ににゃんもちゃんとつけてね」
「わ、わかりました…… にゃん……」
「今までコスプレなんて興味なかったけど……。君がやってくれるんなら破産するまで貢いじゃいそうだよ。結構楽しいね」
千鶴をまぶしそうに見上げながら沖田は頬を淡く染め、緑の瞳を溶かして笑う。彼らしい色めいた笑みだが、発言内容は思いのほか奔放だった。悪ノリしているというか明らかに、沖田は新たな扉を開きつつある。
「ご、ご主人様……!?」
総司さん、何言ってるんですか!? そう口にしたくともできない千鶴は、本日の彼の呼び方を口にして窘めようとするが、沖田は止まらない。
「……こんなに可愛くてサービスのいい猫ちゃんなら家で飼いたいし、君とやらしいことして遊ぶのが楽しすぎて、部活も勉強もどうでもよくなりそうだよ」
本気なのか嘘なのか。相変わらず沖田は口が上手い。彼が剣道への関心を無くすなんてありえないから、お世辞だとわかっているけれど。そうやって褒めてもらえるのはやはり嬉しい。恋人冥利に尽きるというか。
いつまでも付き合いたての頃のようなドキドキをくれる彼。ちょっと意地悪なところもあるけどすごく甘やかしてくれて、そんな沖田になんでもしてあげたいと思っている千鶴だけど。
「……ねぇ、動画撮ってもいい? 君が裸ニーソで猫耳つけて、僕の身体を舐めてるところ」
「っ、えっ!?」
「ミルク舐めてる子猫みたいで、可愛いからさ」
沖田はどこからかスマホを取り出してきて、何のためらいもなく裸よりも卑猥な格好をしている千鶴に向ける。
「ダメですっ!」
さすがにそれは許容できない。千鶴は真っ赤な顔で沖田を睨む。いくら大好きな彼が相手でも、許せることと許せないことがある。
「え~ ちえっ、つまんない」
あからさまにがっかりとした様子で、沖田はスマホを置く。
「わかったよ、撮影は諦めるからさ…… そういえば、ねぇ千鶴猫ちゃん。君はどんな体位が好きなの?」
「えっ……!?」
あまりに唐突な質問に、千鶴は目を見開く。撮影を諦めてくれたと安心したら、今度はそんなことを。沖田の悪戯はとどまるところを知らない。撮影がダメなら別のやり方で、千鶴を困らそうとしてくる。
「せっかくだから、今日はそれで抱いてあげる…… いっぱい気持ちよくしてあげるよ」
妙に上機嫌に微笑む沖田に、千鶴は戸惑ってしまう。
「っ、総司さ…… ご主人様……」
さすがにこんな質問には答えられない。これまでの沖田とのお付き合いで、色んなやり方を経験してしまったけれど。どれが好きかなんて考えたこともないからわからない。それに仮に一番好きな体位があったとしても、そもそもそんなこと恥ずかしくて答えられないし。
千鶴は返答に窮して口ごもる。羞恥がこみあげて、また顔が赤くなってしまう。
「わ、わかりませんにゃ……」
「こら わかりませんは禁止だよ。ごまかさないで」
「……っ」
沖田に優しく追い詰められて千鶴はなんとか答えをひねり出す。適当な思い付きだけど嘘ではない答え。
「うーんと…… 抱き合ってするやつ…… ですにゃ」
「正常位だ」
沖田はおかしそうにクスクスと笑う。『本当に? 猫かぶってないよね?』彼がそう思ったかは定かではないけど。
「千鶴猫ちゃんは正常位が好きなんだね。可愛いけど、なんかノーマルすぎるなぁ」
千鶴の無難な返答がつまらなかったらしく、沖田は考える仕草をする。
「うーん、君の反応が一番よかったのは…… そうだなあ。騎乗位は胸が揺れるのが見れて良かったけど、君の反応が特別良かったわけじゃないし、僕も責められるより責める方が好きだし……」
責めるのは大好きだけど責められるのは嫌い。悪戯もするのはよくてもされるのは嫌いな彼らしい。
しばらく考えてみたものの特に思い出せなかったのか、沖田は別の話題を持ち出してきた。
「……あ、君ってあそこのでっぱったところ弄られるの好きだよね。あと、僕のを口でするのがとっても上手い」
爽やかな笑顔の沖田だが、発言内容はかなりひどい。
「っ、ご主人様恥ずかしいですにゃ……」
あけすけな指摘に真っ赤になりながらも千鶴は否定せず、上機嫌な沖田に突っ込みを入れられてしまう。
「否定しないのは肯定と同じだよ、千鶴猫ちゃん。猫ちゃんはおしゃぶりが得意で、あそこのでっぱったところ弄られるのが大好きって、ちゃんと覚えておくね」
「……っ!」
ニヤニヤと楽しそうな沖田に、千鶴は『違います!』と口にしたい衝動にかられるが。けれどそう言ったら言ったで『嘘つかないでよ』と絡まれるのがわかりきっていたから、千鶴は黙り込む。
とはいえ本当は沖田の言う通り、あの場所をいじられるのも好きだし、彼のものを口でするのも大好きだった。さすがにこんなこと言えないけれど。
千鶴は頬を染めたまま、視線をそらして顔を伏せる。愛の営みの最中のことを改めて尋ねられるのは、やっぱり恥ずかしい。
けれど、沖田は千鶴の黙秘を許さずに追撃をかけてきた。
「……それで? 本当はどの体位が一番好きなの?」
緑の瞳の奥にある不穏な輝きから『逃がさないよ』という意思はひしひしと伝わってくるけど、それでもわからないものはわからない。
「っ、それは…… やっぱりわかりません……」
千鶴はそうとしか答えられない。しかし、沖田は意外にも仕方がなさそうに笑ってくれた。
「はは、猫ちゃんにはやっぱり難しいか」
諦めてくれたのかな、彼の口ぶりに千鶴は希望を持つが。
「――じゃあ、今から色んなやつ試してみよっか。どれが一番良かったかあとで教えてよ」
「そ、総司さん……!」
さすが筋金入りのいじめっこ。やすやすと諦めるような人ではない。悪戯が好きでからかうのも好きで意地悪するのも好きな、そんな彼だから。
「こら、ご主人様でしょ。語尾ににゃんもつけて」
千鶴に注意しながらも、沖田は手近な場所に用意していた四角形の個包装を取り出す。
「猫の交尾は後ろからなんだけど、可愛い君の顔が見れないの嫌だから前からしちゃうね。いいよね? 僕の猫ちゃん?」
一応質問の形をとっているけど、もちろん千鶴の答えなど聞いていない。
「今日のゴムはツブツブがついてるやつだよ。やらしい猫ちゃんに違いがわかるかな?」
手際よく避妊具をつけ終えて、沖田は千鶴の小さな裂け目に充血した自身を宛がった。
千鶴の目からでもゴムには細かな突起がびっしりとついているのがわかって、にわかに興奮してしまう。これを中に入れてしまうなんて……。
けれど、千鶴が卑猥な避妊具に気を取られているうちに。
「っ、あっ……! ああっ……!」
千鶴は白い喉をそらして、ひときわ甲高い悲鳴をあげた。あっと思う間もなく、千鶴は沖田のものを入れられてしまっていた。千鶴の中にずぷりと侵入した沖田自身は、そのままいともたやすく彼女自身を最奥まで貫いた。
「……あははっ、すっごく簡単にはいっちゃったね」
「っ……!」
クスクスと笑う沖田に、挿入の違和感に顔をしかめる千鶴。くっついてじゃれあっているうちに、千鶴の無防備な割れ目は沖田をあっさりと受け入れてしまった。
千鶴は淫らな衣装をつけた裸身を震わせて、あえかな喘ぎを漏らす。痛いわけじゃないけど、急に入れられて驚いてしまったから。
「――大丈夫? 僕の猫ちゃん」
艶めいた笑みからは、彼の真意はわからないけれど。沖田の気遣いに千鶴は安堵する。挿入はちょっと強引だったけど、千鶴の中の彼の猛りが彼女自身に馴染むまで、沖田は待ってくれた。
意地悪で強引な振る舞いをしていても、千鶴を苦しめたいわけじゃないという、沖田なりの優しさだ。おかげで、挿入の違和感は比較的すぐに去ってくれた。
「大丈夫?」
沖田の問いかけに千鶴は小さな頷きを返す。
「はい…… 平気です……」
すると、そこからまた彼の甘い意地悪が始まった。
「……こら、ちゃんと語尾ににゃんつけて」
「はい…… ですにゃ」
「ゴムについてるツブツブ、わかる?」
こんなことまで聞かれちゃうんだ。千鶴は羞恥に耐えながら、首を縦に振る。首輪に重ねづけされた鈴がチリンと音をたてる。
「どんな感じ……?」
沖田は重ねて尋ねてくる。千鶴は自分の裂け目の中の彼自身に意識を集中させながら、なんとか言葉を紡ごうとする。
「なんだか、いつもと違う感じが…… しますにゃ……」
自分の中の彼の猛りの表面にびっしりと纏わりついているツブツブ。避妊具のものとはいえ、なんとなくの異物感で不思議な感じがする。今は沖田が動いてないから、ツブツブのひとつひとつがよりしっかりと感じられる気がして。
なんだかくすぐったいようなむず痒いような不思議な心地よさだ。千鶴はそれを素直に沖田に伝える。
「くすぐったくて、もぞもぞして、すっごく気持ちいいです…… にゃ」
もぞもぞとして、ぞくそくして、もっと欲しくなってしまう。この異物で自分の中を蹂躙されたら、一体どうなってしまうんだろう。
「いつもより、気持ちいい……?」
笑みを浮かべる沖田に重ねて尋ねられ、千鶴は赤く染まった顔で頷く。首の鈴がまた澄んだ音で鳴った。
「そっか、ならよかった」
沖田は満足げに微笑むと、穏やかに続ける。
「僕もね、なんだかいつもと違う気がする。今日の千鶴猫ちゃんの中すごく熱くてぬるぬるしてるよ。――すっごく気持ちいい……」
最後だけ、吐息交じりの囁き声だった。沖田はそのまま心地よさそうに息を吐く。それがたまらなく格好よくて、いやらしくて、千鶴の背をぞくりとした震えが駆け抜ける。
無意識のうちに自分の中にいる彼を締めつけてしまって、それが伝わったのか沖田はわずかに眉を寄せた。
「っ…… なんかもう、すぐ出ちゃいそうなんだけど……。可愛い猫ちゃんのために我慢するね。出すのは君をたくさんにゃんにゃんさせて、満足させてからにする」
「っ、総司さ…… ご主人様、恥ずかしいですにゃ……」
沖田の言葉を受けて、千鶴は律儀に言い直した。今日の自分は彼の可愛い飼い猫だから。
「……っ、あはは! ……なんかもう楽しすぎるよね。卑猥でいいよ千鶴ちゃん」
生真面目な千鶴に吹き出すように笑うと、沖田は彼女の頬にキスをする。まるで従順なペットにご褒美をあげる、ご機嫌な飼い主さんのように。
もともと悪戯や悪ふざけが好きな沖田は、この恥ずかしい猫ごっこも乗り気でやっていた。
ちょっと度が過ぎている気もするけど、彼が喜んでくれるのが嬉しくて。そして千鶴自身もまた、この冗談みたいな愛の行為が楽しくなってしまっていた。
裸ニーソに猫耳に首の鈴という卑猥な格好で上機嫌な沖田に犯されながら、彼をを喜ばせるためににゃんにゃんと猫の物真似をし続ける。こんな悪ふざけのような性の営みが楽しいだなんて。
けれど、その不思議な快楽にとりつかれてしまった千鶴は、もっと彼が欲しくなり、自分から沖田に猫なで声で甘えてしまう。
「ご主人様…… もっと気持ち良くしてくださいにゃあ……」
鼻にかかった甘やかな囁き声。実際の猫はもっと気ままでそんなに媚びたりしないのに。千鶴は飼い主を慕う子犬のように、沖田にシッポを振ってしまう。愛を伝えるために彼の身体を舐めていたのも、見ようによっては犬みたいだ。
けれどこんな自分の淫らな獣性をさらけだすかのような振る舞いも、沖田の言う通りすごく楽しくて気持ちいい。自分もまたすっかり毒されてしまっていた。
「千鶴ちゃん、すっごく可愛いよ……。それじゃあ、動くね……」
彼の言葉に千鶴は小さく頷く。
「……喘ぎ声も猫語がいいなぁ」
熱を帯びた囁きはまるで悪い魔法のようだ。細められた緑の瞳は艶やかに濡れていて、千鶴はすっかり魅入られてしまった。
「にゃあっ……! あっ…… ああんっ……!」
猫の声を真似ようとした喘ぎ声と、その裏でチリンチリンと鳴る澄んだ鈴の音。沖田の激しい突き上げを受けながらでは、やはり猫語で喘ぐのは難しいようだ。
「さすがに…… 猫であえぐのは…… キツイ…… みたいだね……」
沖田に揺すぶられながら、千鶴は懸命に頷いた。愛するご主人様の願いは何でも叶えたいけど、これは難しそうだった。物真似をする余裕がない。
苦しげな千鶴が不憫になったのか、不意に沖田は突き上げのペースを緩めると。
「……でもまあ可愛いから、許してあげる。普通に喘いでいいよ、千鶴ちゃん」
欲望の炎を瞳の奥に燻らせながらも、穏やかにそう口にした。千鶴はそんな彼を見上げながら。
「ご、ご主人様……」
「なあに? 僕専用の可愛い猫ちゃん」
「気持ちいいです…… にゃ……」
「うん、僕もすっごく気持ちいい。今からは、ゆっくりしてあげるね」
言葉通り。沖田は先ほどまでとは一転して、ゆったりとした抜き差しをし始めた。入れるときは時間をかけて、けれど抜くときは素早く。
彼のものが勢いよく抜かれるときに、ぞくぞくとした快感が千鶴の身体を駆け抜けて、千鶴は沖田の昂ぶりがもっと欲しくなってしまう。
「あっ…… ああっ…… にゃあっ…… にゃあん……」
千鶴が身もだえるのに合わせて、あえかな鈴の音が鳴る。時間をかけた抜き差しだから多少の余裕がある。沖田に求められた通り、千鶴は懸命に猫語で喘いだ。そんな彼女に沖田は苦笑する。
自分が「やってほしいな」とひとこと口にしただけで、こんなに下らないことを、こんなに懸命に頑張ってくれる優しい千鶴。
(君はお人好しすぎて心配になっちゃうよ。悪い男に騙されないでね。もう遅い気もするけど)
しかし、そんなことを思うくせに。彼女へのいやらしい意地悪や悪戯は絶対にやめない。それが沖田の愛だった。彼の意地悪は愛情表現でもあるから。
(ああ、もう可愛いなあ。千鶴ちゃんは…… やっぱり、我慢できないよ……)
彼女が瞳を閉じてよがっているのを確かめると、沖田は手近なところに隠していた自分のスマホに手を伸ばした。
「――にゃあっ…… にゃあん…… ご主人様ぁ……」
淫らな雌猫の鳴き声に、かすかに鳴り続ける鈴の音。そのコントラストが倒錯的だ。
誘惑に負けた沖田は、スマホのカメラを起動して千鶴に向けていた。消音の動画撮影モード。見つかったら絶対に怒られるけどやめられない。いけないことをするのは、どうしてこんなにも甘美で心地いいのだろう。
我ながらひどい彼氏だと思う。けれどこの背徳感やスリルがあるから、この手の悪戯はやめられないのだ。
(ごめんね千鶴ちゃん…… 僕だけの秘密の宝物にするから……)
心のうちで言い訳をしながら、沖田は彼の挿入を受けながら気持ちよさそうにしている卑猥な姿の千鶴に、カメラのレンズを向け続ける。
まるで媚びるように猫の鳴き真似で喘いで、愛の営みを楽しんでいる様子の千鶴はとてもいやらしくて可愛い。彼女が身をよじるたびに鳴る鈴の音も絶妙に卑猥だ。
そんな彼女と彼女をとりまく全てを記録に残すために、沖田は快楽に夢中になっている千鶴の姿をひとしきり動画に収めた。瞳を閉じて沖田を感じている表情、波打つように揺れている裸の胸、そして、沖田の挿入を受け入れている生々しい裂け目の様子まで。
先ほど口にした「君に関しては全部諦めたくない」をこんな形で実践してしまった、そんな自分を卑しむように沖田は薄い笑みを浮かべる。
「ああっ…… にゃあ…… にゃんっ……」
チリン……。可憐な喘ぎの合間に、密やかに鳴る美しい鈴の音。
可哀想なほどに生真面目でお人好しな千鶴は、まさか愛する彼にこんな動画を撮られているとは夢にも思わないだろう。ただ彼を喜ばせるためだけに、言われるがまま卑猥な衣装を着て動物の物真似までして。
けれど、沖田の肉の楔に貫かれている小さな裂け目からは、水のような体液がとめどなく溢れていて、彼女もまたこのこの卑猥な営為を楽しんでいるのがわかった。
「すっごくいいよ…… 千鶴ちゃん……」
沖田は再び千鶴の脚の間にカメラを向けて、自分のものをくわえ込んでいる千鶴の淫らな裂け目の様子を撮影する。女の子の一番大切な秘密の場所だ。
しかしその場所は今は赤裸々に暴かれて、充血しきった男の欲望が突き立てられて、遠慮のない抜き差しをされている。
こんなところのこんな様子を動画に撮ってしまうのは、本当に悪趣味だと思うけど。可愛い千鶴の可愛い場所は全部記録に残したくて、沖田は千鶴の淫らな裂け目にカメラを向け続けた。
意外なほどに快楽に貪欲なところも、千鶴の美点のうちのひとつだ。控え目なふりをしてこんなにも奔放に乱れてくれる。
(……やっぱり、してるときに積極的な子っていいよね)
沖田は改めて乱れる彼女の裸身の全てをカメラに収めると、ようやくスマホを置いた。これ以上撮影を続けて彼女にバレて怒られるのは、さすがに沖田といえども嫌だった。
(千鶴ちゃんだからいきなり修羅場ってことはないだろうけど、やっぱりね……)
さりげなくスマホを隠してから、沖田は再び千鶴が最も感じてしまう割れ目の先端の突起に触れた。
「ああっ……!」
千鶴の唇から漏れた吐息には、確かな歓喜の響きがあった。彼女の素直な反応に気をよくした沖田は密やかな笑みをこぼして、さらにその場所を刺激してやる。
「すごくいいよ…… 僕の猫ちゃん……」
「ご主人様ぁ…… そこがいいですにゃあ……」
彼女の言葉を追うように澄んだ鈴の音が鳴り、聴覚でも沖田を煽ってくる。
「……やっぱり、ここが一番なんだね。可愛いよ、千鶴ちゃん」
一番感じてしまう突起を弄られて喜んでいる、まるでマタタビを与えられた子猫のような可愛い姿も撮影したかったけど、さすがに危険すぎるだろう。けれど、一番のいい絵が撮れずとも沖田は満足していた。
(うん、あの動画は永久保存版だね…… あとでパソコンに転送しとこ)
彼は千鶴の突起の愛撫をやめてから。
「――じゃあ次は後ろからしてみよっか。可愛い猫ちゃん」
ベッドの上で千鶴をうつ伏せにさせて、真っ白なおしりだけ突き出させて。沖田は彼女の腰をつかんで、ゆるやかに突いてやっていた。
「……ほら、猫ちゃん同士の交尾だよ。千鶴猫ちゃんはいつも他のオス猫たちとこうしてるの?」
「してませんにゃ…… ご主人様だけですにゃ……」
沖田の抜き差しに合わせて無防備な腰を揺らしながら、千鶴は沖田に媚びるように答えた。しかし、彼はつれない。
「……本当に?」
「ひどいですにゃ……」
「ごめんごめん。だって君があんまり可愛いからさ。よそのオス猫たちとも交尾して、飼い主とも交尾してるのかなって」
するはずもない浮気の疑いをかけられるのは、これで何度目だろう。沖田の抜き差しに合わせて裸の腰を振りながらも、千鶴は悲しい気持ちになってくる。
彼の固い昂ぶりのおかげで身体は強い快楽を得ているけど、心は悲しく寒い。沖田はいつも『君が可愛いから心配なんだ』って冗談めかして笑うけど、それでもつらい。
浮気なんてするわけないのに、するような子だと思われているのだろうか。身も心も許して、全てを委ねて愛を交わすのは。後にも先にもご主人様…… 沖田とだけだ。
後背からの突き上げも心地いいけど、彼の顔が見えないから心細くなってくる。ただの冗談ですまない浮気疑惑を何度もかけられているから、なおさら。
「総司さっ…… ご主人様……」
「……なに?」
「やっぱり…… 抱き合ってしたいですにゃ……」
「えっ……?」
「後ろからだと顔が見えなくて寂しいから…… 抱き合ってするのが、やっぱり一番好きですにゃ……」
恥ずかしがりながらも懸命に、千鶴は猫語で愛を伝える。愛の行為の最中に体位のリクエストをしたのなんて初めてだ。だけど、何かと不安がる飼い主さんに自分の気持ちをわかって欲しかったから。
甘い容姿でも気高い猫が媚びるのはただひとり、身も心も許した飼い主さんだけ。こんなにも愛しているのはあなただけ……。
そんな千鶴の想いが伝わったのか、沖田の纏う雰囲気が不意に和らいだ。穏やかで優しい緑の瞳には、さきほどまでの不安の光は宿っていなかった。
「……うん、そうだね。僕も正常位が一番かも」
不意にこぼされた沖田の今日で一番甘く穏やかな言葉に、千鶴は泣きそうになってしまう。これはきっと嬉し泣きだ。
意地悪な煽りでもなく、猫なで声の甘やかしでもない。優しくて温かい愛のこもった彼の言葉が嬉しくて、涙がこぼれそうになってしまった。
最後はしっかりと抱き合って、千鶴と沖田はお互いを懸命に求めあう。
「千鶴ちゃんっ…… 気持ちいいよっ……」
「にゃあっ……! ああ……っ 総司さんっ……!」
千鶴が激しく突き上げられるたびに、千鶴の身体につけられた鈴が澄んだ音を立てる。掠れた喘ぎ声に重なる清廉な鈴の音の二重奏は、たまらなく扇情的だ。
鈴の音が鳴るような千鶴の声と本物の鈴の音が絡み合い、さらに情事のさなかの淫猥な水音に肌と肌とがぶつかり合う音までが混ざりあう。
耳慣れない不思議な合奏は、次第に沖田から現実感を奪ってゆく。鈴の音と猫の鳴き声が沖田を惑わせる。
激しい突き上げを続けながらも、沖田は改めて千鶴を見おろした。卑猥な衣装で自分に犯されている彼女はあまりにも新鮮で、千鶴ではない別の女の子と行為をしている錯覚すら覚えてしまう。
本当にいけないことをしているみたいだけど、この喘ぎ声や温もりは間違いなく千鶴で、沖田は不意に新たな興奮を覚えてしまった。
女の子との行為も慣れているつもりだったのに、ここにきて新たな愉しみを知ってしまった気がする。
「っは…… こんなの初めてかも…… すごいよ千鶴ちゃん……」
しばらく抜き差しを続けて、そして。
「っは、千鶴ちゃん…… 出すっ……」
非日常な状況に昂っていたのか、沖田は思ったより早く千鶴の中に白い欲望をぶちまけた。体内で沖田のものが脈動するのを感じながら、千鶴は安堵の息を吐く。
今日はすごく気持ちよくて興奮できたけど、なんだか疲れてしまった。特有の充足感と倦怠感に包まれながら、千鶴は彼を呼ぶ。
「総司さん……」
「……今日もすごくよかったよ。ありがと。僕のやらしい子猫ちゃん」
機嫌よく微笑む沖田に千鶴はまたしても頬を染めてしまう。千鶴の脳裏に改めて今の自分の格好やこれまでの言動が蘇った。
「……っ! 総司先輩、猫耳もう外しますね」
急に猛烈な羞恥がこみあげて。耐えきれなくなった千鶴はそう口にすると同時にカチューシャを外した。
沖田の返事も待たずに、続いて首輪を外し始める。沖田の呼び方も総司さんから総司先輩に戻っていた。
「えっ!? もう外すの……」
裸のまま避妊具の後始末をしながら、沖田は愕然とした顔をする。彼としてはもう少し事後の余韻に浸りながら、猫姿の千鶴とまったり過ごしたかったのだが。
しかし何かを思い直したのか、沖田は仕方がなさそうに苦笑すると。
「……でもまあ仕方ないか。うんいいよ、お疲れ様」
本当はもう少しゆっくりしたかったけど、初心な千鶴を頑張らせちゃったし仕方ないか。沖田は自分をそう納得させていた。
その後、千鶴の部屋には着々と新しいコスプレ衣装が増えていった。
(……また、届いてたんだけど)
あの淫らな猫ごっこからしばらく経ってから。部屋のテーブルの上に鎮座する小包を見つめながら、千鶴は途方に暮れていた。
発送伝票の品名欄にはなぜかパソコン用品と記載があるけど、中身はセーラー服だ。数日前に沖田に連絡をもらっていたから知っていた。まさか、大学生にもなってセーラー服を着ることになるとは思いもしなかった。
『ねえ千鶴ちゃん、今度は体操服とセーラー服どっちがいい?』
『総司先輩…… また買うんですか?』
『いいじゃない。君って清楚系すごく似合うよね。迷っちゃうよ。あ~ なんか全部着せたいな。全部買いたくなる。よし買おっと。通販で発送先そっちにするから。着日わかったら連絡するね、受取りよろしく』
ちなみに、体操服は明日届く予定だ。伝票の品名欄にはまた明らかな嘘が記載してあるのだろう。千鶴は小さく息を吐く。新たな扉を開けてしまったのか。最近の沖田は毎日元気に通販三昧していた。
いつもと違う君の姿を見るのが楽しいと、口にする沖田が買ってくれた衣装はどれも妙につくりのいい高級志向のもので、彼の財布の中身が若干心配だけど気にしないことにしよう、うん……。
(……破産するまで貢いじゃいそうっていうのは、ただのお世辞だから)
さすがに目端の利く沖田がこんなくだらないことに、身を持ち崩すほどハマったりはしないはず。しないはず……? ここしばらくの彼の言動を思い出し、千鶴は自分の家に届いた荷物の数を指折り数えた。
「……も、もう考えないことにしよっと」
衣装のほかには変わった下着に妙なタイツとかもらった気もするけど、思い出したくもない。千鶴はひとり天井を見上げた。
(あの衣装、他の人に見つからないように隠しておかないと……)
特に自分の兄には絶対に見つかりたくない。大好きな沖田のせいで、大好きな沖田のために。まるで思春期の男子のような悩みを抱える千鶴なのだった。
番外編
ある日の部活終わり。汗をタオルで拭いながら道着のまま更衣室に向かおうとした沖田は、とある人物に声をかけられていた。後輩の井吹龍之介だ。
二人の様子から察するに、沖田は井吹に何かの頼みごとをされているようなのだが……。
「……コスプレ屋台の売り子? 面倒くさいな」
「沖田先輩~~ 頼むよ~~ あとは先輩だけなんだよ~~」
もうすぐ行われる大学の学祭。その出し物の勧誘だった。
剣道部有志というよりは井吹を中心としたメンバーで立案された、ハロウィン直前特別企画のコスプレ屋台。井吹及び剣道部の部費稼ぎも兼ねた、学祭の賑やかしだった。
沖田の華やかな容姿で女子客からの荒稼ぎを目論んでいるのか、井吹はなんとか彼を口説き落とすべく、先ほどから平身低頭している。
しかし、沖田はあからさまに嫌そうにしていた。やはり、学祭の出しものとはいえホストまがいの接客を強いられるのは嫌なようだ。
「……だいたい衣装はどうするのさ。君が用意してくれるの?」
不機嫌そうな半眼で見おろしてくる沖田に、井吹は必死に食い下がる。
「衣装は先輩の好きなの買ってきてくれればいいからさ……! 代金は払うし、衣装も終わったら先輩にあげるから……!」
「衣装なんて、そんなのもらってもね……。別にコスプレなんて興味ないし、どうせ使わないから要らないんだけど」
他人に頼み込んでいる立場で『衣装はそっちで用意して』などと適当なことを口にする井吹に、沖田は露骨に顔をしかめる。
どんな衣装なら着てもいいかとかサイズとか、本人じゃないとわからないこともあるから。当人に買わせて後から衣装代を払うのは合理的なのかもしれないけど、ちょっと気に入らなかった。
けれど、井吹はめげずに沖田に言い募る。
「衣装がいらないなら捨ててくれていいからさ……! それにせっかくちょうどいい時期なんだし、ハロウィンのときに着ればいいだろ? 先輩みたいなリア充はどうせ、仮装パーティーとかするんだろ? すっげえいかがわしいやつを」
「……別に僕は君が思うようなリア充じゃないし、そんなパーティーの予定はないけど」
井吹の偏見を正しながらも、沖田はあることを思いつく。
(……そっか、買った衣装は千鶴ちゃんに着せればいいのか。僕サイズの服は着れなくても、頭につける飾りやアクセサリーなら使えるだろうし)
幸いにも衣装代は井吹持ちで、好きなものを買っていいと言われている。そういうメリットがあるなら、この面倒な依頼も受けていいかもしれない。
「……わかった。別にいいよ。やってあげる、コスプレ屋台の売り子」
「あっ、ありがとな! 沖田先輩っ……!」
「でも、貸しだからね? 覚えておいて」
本当は私欲のために受けているだけ。けれど、そんなことはおくびにも出さず、沖田は井吹に平然と恩を着せる。
「わかってるって! 斎藤先輩も藤堂先輩もやってくれるって言ったし、沖田先輩も参加してくれるんなら大儲け間違いなしだぜ!」
「えっ、平助はともかく一君の了承を取り付けたの? 君すごいね。土方さんより商才あるんじゃない?」
井吹の意外な行動力を絶妙に貶しつつも、沖田はさっそく条件の確認をし始める。
「ところで、衣装はどんなの買えばいいの? あと予算はいくらまで?」
「おっ、さすが話が早い! 助かるぜ先輩! えっとな予算は……――くらいで」
「へえっ、結構潤沢なんだね。どっから沸いてきたのそのお金」
「おう、俺は本気だぜ!!」
予算の出どころはスルーして、井吹は熱意を示す。本気で儲けるつもりのようだ。井吹は瞳に米ドルのマークを輝かせながら、固く握り拳を作った。
「仮装は女子受けするストレートにカッコいいやつで頼むぜ! オモシロ系やウケ狙いはナシで! 先輩の唯一のとりえの顔面をいかして女子客を……!」
「ねえ井吹君、君さっきからちょいちょい僕を貶すよね。今から稽古つけてあげよっか……?」
井吹の軽口もそろそろ看過できない。『ねぇ君、僕を何だと思っているのかな』と言わんばかりに、黒い笑顔で沖田はすごむ。
彼のシゴキのきつさは部内でも有名だった。
「わわっ……! 悪かったよ沖田先輩!」
井吹は慌てて謝るが、この程度で納得するほど沖田は甘くない。
「ったく、なんでみんな僕が不純異性交遊してる前提で話をするのかな。これでも結構真面目なつもりなのに……」
ぽつりとつぶやきながら、沖田はこれまでの自分を振り返る。
青春の情熱の大部分はこれでもスポーツに捧げてきたつもりだった。興味のない相手とくだらない遊びをしている暇があったら稽古をして、少しでも強くなって敬愛する人の役に立ちたかった。
そして異性に対しての心からの愛情はただ一人、あの子にだけ捧げられている。昔も今もこれからも。
「……って言っても誰も信じてくれないんだけどね」
沖田は切なげに苦笑するが。その両腕は井吹にプロレスの締め技をかけて、きっちりと彼に制裁を食らわせていた。
「いでででででで……っ! 沖田先輩離してくれっ……!」
井吹は青い顔で苦しそうにうめく。しかし沖田の腕は緩まない。口は禍の元と言うべきか。相変わらず不憫な井吹と想い人以外には辛辣な沖田なのだった。