CANDY NIGHT(R18)
名前変換設定
恋戦記は現在一部のお話のみヒロインの名前変換可です薄桜鬼とテニプリは名前変換可、刀剣乱舞はネームレス夢です
恋戦記小説について
現在一部作品のみ名前変換可にしていますが、ヒロインの下の名前「花」が一般名詞でもあるため「花瓶の花」などで巻き込み変換されてしまいます
それでも良い方は変換してお楽しみください。それがダメな方はデフォ名「山田花」でお楽しみください
すみませんが、よろしくお願いいたします
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常夜灯の薄明りの中。原田は宣言通りかつてないほど丁寧な口での愛撫を、名前の秘部に施していた。名前はベッドに寝そべったままビクビクと身体を跳ねさせ、時おり甘い喘ぎを漏らしながら、原田の口淫によってもたらされる、甘美な心地よさを味わっていた。
名前の割れ目の上端にある小さな肉芽。快楽を感じるためだけに存在しているその器官をぐりぐりと弄りながら、原田は唇の端を上げて笑う。
「……やっぱり、ここが一番いいみたいだな」
名前は恥ずかしさをこらえながらも、睫毛を伏せてこくりと頷く。そこが一番好きだから、もっとして欲しいです。原田にそう伝えたいものの、なけなしの羞恥が邪魔をして言葉にできない名前の、精一杯の意思表示だった。原田はそんな彼女を見おろして笑うと。
「なら、いっぱいしてやらねぇとな」
素直ないい子へのご褒美だ。そう続けて、原田は名前の下腹部にふたたび顔を埋める。包皮を被った彼女の肉芽を舌先でつついて充血を促し、
まるで口の中の飴玉をコロコロと転がして楽しむかのように、丁寧に舐めてゆく。
原田はどこまでも甘く優しく、名前の肉芽に奉仕した。まるで少しでも歯を立てれば崩れてしまう繊細な砂糖菓子を、優しく舐め溶かすように。
「っ……! 左之助さんっ……!」
名前の喘ぎが次第に掠れて高くなってゆく。心地よくて仕方がないのだ。原田のぬるりとした温かく厚い舌が名前の柔らかな肉のつぼみを存分に嬲り、そのあまりの良さに名前の身体をぞくぞくとした甘い震えが駆け抜る。
ぴくぴくと小さく身体を跳ねさせながら、名前は次第にその呼吸を荒くしてゆく。温かく柔らかい濡れた何かが敏感な粘膜の上を這いまわる、むずむずとした、くすぐったいような気持ちよさ。
名前は自分で触れるときには決して得られない、その不思議な快楽の虜となっていた。
(どうしよう…… 気持ちよすぎて変になっちゃう……)
ずっとこうやって舐められていたい。原田の巧みな愛撫によって、そんな破廉恥な感情まで呼び起こされてしまった名前は、まるで助けを求めるように、自分のその場所を舐めている彼の方を見つめた。
睫毛を伏せて丹念に口淫を行う原田は、まるで女を誘惑してその精を吸い取る淫らな魔物のようだった。いわゆる夢魔だ。襲われる人間の理想の異性の姿で現れて、一糸まとわぬ姿で抗いがたい誘惑を仕掛けてくる。
寝室の常夜灯のもとで。原田の意外なほどに端正な容貌は、ますますその凄みを増して色香を放つ。
彼が唇を薄く開くたびにちらちらと覗く赤い舌が、名前の肉芽に伸ばされるたびに、彼女は甘やかな悲鳴をあげながら、無防備な半裸の身体をのけぞらせて悦んだ。
(ああっ…… 気持ちいい…… もっと…… もっと……)
あまりの心地よさに名前は夢中で喘ぎながら、その心の内で原田にさらなる奉仕を強要した。きっと彼女が仔犬であれば、ちぎれんばかりに尻尾を振って喜んでいたに違いない。
大好きな飼い主からの今宵のご褒美は甘すぎるほどに甘くて、ついこの間まで本当の子供であった名前にとっては、あまりにも過分なものだった。もうすっかりやられてしまって、この教わったばかりの大人の愉しみに、すっかり依存させられていた。
原田の口淫は、やはりとても巧みだった。一体どれほどの経験を積めば、このような愛撫が施せるようになるのだろう。
かつての彼は名前の憧れの先生だった。まだほんの二年と少し前。原田は名前が高一のときの担任で、生徒の皆に人気のある、格好よくて優しい保健体育の教師だった。そんな原田が自分の秘部に顔を埋め、淫らな肉芽を愛おしげに舐めているなんて。
ずっと彼に憧れにも似た想いを抱いていたとはいえ、年が離れている上に自分の担任の先生でもあった原田と、本当にこのような関係になってしまうと思っていなかった名前は、不意に倒錯した快楽と不思議な満足感を覚えてしまう。
いつかのバレンタインの日に夕暮れの教室で原田がくれた大切な言葉が、名前の脳裏に蘇る。
『俺は学園からいなくなって、おまえの担任じゃなくなるが、……俺はおまえのものだ』
名前の前で膝をつき、彼女のその場所に口で奉仕する原田は、まさに名前の所有物そのものだった。
その姿はまるで年若い主君に侍る手練れの色小姓のようでもあり、感極まった名前は原田の名前を呼ぼうとするが。
「――なんだ、そんなに気になるのか?」
からかうような楽しげな声がしたと思えば、にやにやと笑う原田がこちらに視線を送っていた。隠れて見つめていたのに、どうやら気づかれていたらしい。
「ち、ちがいます……!」
恥ずかしさのあまり、名前は思わず否定してしまう。本当はずっと気になって見つめていましたなんて、口にできるはずもない。けれど、原田は飄々とした様子で。
「別に、気にしててくれていいんだぜ? むしろ、俺のことだけを気にして……。俺だけを見てろよ、名前」
瞳を細めてそう口にして、原田は名前の可憐な肉芽の包皮を剥き、その場所にふっと息を吹きかけた。
「きゃっ……!」
思わず名前はびくりと肩を竦め、小さく悲鳴を上げてしまう。長々とした愛撫でぷっくりと充血していた自分の一番敏感な場所に、そんな悪戯をされてしまったら、もうどうしようもなくなってしまう。
気持ちよくなっちゃうから、そんな意地悪しないでください。そんな思いを胸に秘め、名前はぷるぷると震えながら、潤んだ瞳で原田に強い視線を送った。そんな彼女を愛おしそうに見つめながら。
「……かわいいぜ、名前」
そこで一旦言葉を切ると、原田は改めて。
「……せっかくお前のためにやってるんだから、俺が口でしてるとこ、ちゃんと見ててくれ」
もう何度目かの恋人らしい振る舞いの催促をする。お互いの全てをさらけ出して、見せ合うこと。原田にもまた、自分が淫らな奉仕をしている姿を愛する女性に見届けられたいという、本能に根差した願いがあった。
「……左之助さん」
「俺だけ見て、俺のことだけ考えてろよ…… 名前」
「っ……!」
あまりにも気取った彼の言葉に、名前は顔を真っ赤にする。にわかにゆでダコのようになってしまった自分を、彼に見られたくなくて。名前は思わず両手で自分の顔を覆ってしまうが。
「こら、顔を隠すんじゃねえ」
優しく叱られて、左右の手をどかされてしまう。
「……顔と身体を隠すのはナシだぜ。ちゃんと全部、俺に見せてろ」
「左之助さん……」
「あとは声も…… 我慢するな」
「っ!」
よく声を堪えてしまう。最中のその癖は、やはり原田に気づかれていた。
「……そんなに恥ずかしいんなら、目でも閉じてな」
優しいのか優しくないのか。気持ちを逃がして羞恥を緩和させるコツを教えてくれた原田に、小さな頷きで答えて。名前は教わった通りに固く目を閉じた。完全ではないものの視界が闇に閉ざされれば、いたたまれない気持ちも少しは和らいだ。
先ほどまでは恥ずかしさのあまり、つい手を顔にやってしまいそうになっていたが、今はなんとか踏みとどまれる。
「……いいぜ、名前。そのまま全部見せてろよ」
薄闇の向こうから原田の声が降り落ちてくる。お互いの全てを見せ合って、恥ずかしいところも気持ちいいところも、全部相手に知ってもらって。
今の自分は彼の瞳にどんなふうに映っているのだろう。それは知る由もないけれど、名前は自分の全てが見たいという原田のために、両方の手で自分の頭の下にある枕の隅ををぎゅっと掴んだ。
ともすれば反射的に顔に手をやってしまいそうになる彼女の、精一杯の工夫だ。
(全部見せないと…… 左之助さんに……)
名前は原田の愛撫を受けながら、彼に自分の全てを見てもらうために、
すでに十分に大きく開いているその脚を、さらに広げた。膝がベッドのシーツにつきそうなほどしっかりと脚を広げて、先ほどから彼にずっと愛されている脚の間の裂け目を見せつけるようにして、原田を惹きつける。
自分が原田に愛されて、心地よくなっている姿の全てを。感じている表情も、無防備な裸の身体も、全部見てもらいたい……。
名前は自らの秘部に原田の奉仕を受けながら、まるで彼に自らの淫らさを見せつけるように、大胆に喘いだ。恥ずかしい姿を愛しい彼に見てもらう心地よさに、目覚めてゆく。
やがて、原田は身体を起こすと。改めて彼女のぷっくりと膨れた肉芽をを指で愛撫し始めた。
「あっ……!」
舌とは違う強くしっかりとした刺激に、名前は小さな声を上げ、びくびくと身体を震わせる。
肉芽の下の割れ目にも、原田の指が入れられて、緩く動かされていた。節くれだった原田の指が名前のそこに入り込み、くちゅくちゅという水音を奏でている様子はとても淫らだ。
そして、名前のその場所もまるで原田の愛撫に応えるように、何本もの男の指をくわえこみながら嬉しそうに蜜を溢れさせていた。
名前のそこを好きに弄る原田は、とても楽しそうだ。薄い笑みを浮かべながら、原田は彼女のその場所にさまざまな触れ方を試してくる。
恥ずかしがった名前が制止しようとしても耳を貸さずに続けるその様子は、彼女への奉仕ではなく、まるで彼自身の好奇心や悪戯心を満たしているだけのようにも思えて。
名前はまるで自分の大切な場所……脚の間の割れ目や肉芽を、原田にオモチャにされているようで、消え入りたい気持ちになったが。
しかし、その良さには抗えなかった。自らの秘部を、小さな裂け目や包皮を被った小さな芽を、愛する原田にもてあそばれるのが、心地よくてたまらない。
からかわれて、遊ばれて。手慰みにするように触れられているのに。名前の心のうちに沸き起こるのは「もっとして」という浅ましい欲求ばかりで。名前は枕をきゅっと掴んで、自分の両脚を大きく広げたまま、愛する彼に自分の素直な気持ちを告げた。
「左之助さん…… 気持ちいいです……」
甘えて縋るような囁きは、無意識のうちに滑り出る。
「もっといっぱい…… オモチャにしてください……」
名前のあまりの発言に、さすがの原田も苦笑する。
「…………おいおい、とんでもねぇな」
原田は口の端を上げて笑いながら、名前の肉芽を指先で優しく弾いた。
「……今のやつ、録音してなかったのが悔やまれるぜ」
水のような蜜は飛び散るだけではなく、伝い落ちてシーツを汚す。名前の蜜は原田の指や名前の内腿を汚すだけでなく、ベッドシーツにまでいくつもの染みを作っていた。
「……すげえな、お前のやつがシーツまで垂れてるぜ? 指でされるのも大好きなんだな」
何をされても心地よくなってしまう彼女の淫らさを褒めながら、原田は名前の割れ目の中に差し入れている何本もの指を、ゆっくりと曲げ伸ばしし始めた。
「……っ!」
その場所を内側から大きく引き伸ばされる感覚に、名前は呼吸を詰めるが。
節くれだった原田の指は、容赦なく彼女の中で動き回る。あちこちを探ってみたり、あるいはぐりぐりと回転したり、バラバラと不規則に動いて名前をいっそう嬲ってみたり。
「……左之助さんっ ……だめです ……そこは」
名前は心地よさに半泣きになりながら、原田に縋ろうとするが。名前の中を無遠慮に動き回る彼の指は止まらない。
「んっっ……!」
名前はついに、身体を大きくのけぞらせてしまう。原田の下腹部の昂ぶりを入れられたときとは違う、 節くれだった男らしい指の異質で奔放な動きは、驚くほどに心地よかった。
お腹の中で違う生き物がぐにぐにと動いているかのような、不思議な感覚。こんな触れ方をされても気持ちよくなれるなんて……。名前の脳裏に先ほどの原田の言葉が蘇る。
『すげぇ濡れてるから、今日は…… 何をされても気持ちいいはずだぜ』
まさに彼が予見した通りだった。今日は何をされても気持ちいい。大好きな原田に裸の身体をオモチャにされて、脚の間のその場所にたくさんの悪戯や意地悪をされて。卑猥な言葉を投げかけられて、からかわれて。
それでも、自分でもびっくりするくらいに、気持ちよくて幸せだった。
けれど、幸福なひとときにはやがて終わりが訪れる。
「――今日はたくさん遊んで、気持ちよかったな」
からかうような原田の囁き。しかし名前は、素直な気持ちを吐露してしまう。
「……はい……」
既に理性も羞恥も原田の手によって溶かされてしまった。当初は枕を掴んでいた名前の両手は、今やは彼女の両胸の上に置かれ、その柔らかなふくらみの先端をくりくりと刺激していた。
原田にそうするよう言われたわけではない。自らの秘部への刺激だけでは物足りなくなってしまった名前は、無意識のうちに自分から、自らの胸のふくらみを弄る自慰を始めてしまったのだ。原田の眼前だというのに。
「……俺も良かったぜ。お前が自分でしてるとこも見れたしな」
原田は甘く垂れた瞳を細めると、恍惚に浸った様子の名前を見下ろしながら。
「それじゃあ、お前にもイってもらうとするか」
その言葉が、合図だった。
そのすぐあとに、とびきりの甘い衝撃が名前の無防備な裸身にもたらされる。包皮を向いた名前の肉芽に原田が爪を立てたのだ。
その瞬間、名前の全身を痺れるような心地よさがひと息に駆け抜け、名前は悦楽の高みに攫われていた。悲鳴を上げて無防備な裸身をのけぞらせ、間断なく甘い悲鳴を上げながら名前はぽろぽろと涙をこぼす。
原田に見つめられながら、彼の手によって。名前は悦楽の頂点を極めてしまった。
「……はは、泣くほどよかったんだな」
囁くようにそう言って、原田は名前を見おろし淡く苦笑した。そして、ようやく原田の指が名前の秘部からずるりと引き抜かれる。
呆然とした様子で呼吸を荒くしながら、名前はゆっくりと瞬きをする。光を失ったかのようなとろんとした瞳で、ただ寝室の天井を眺めていた。
今夜もまた、原田の極上の愛撫に溺れてしまった。先ほどまでのあまりにも浅ましくはしたない自分の振る舞いの数々が、名前の脳裏を走馬灯のように駆け巡る。
自分の恥ずかしい裂け目を「もっとオモチャにして」と原田に甘えて縋って「録音しときたかった」なんて揶揄されて、そのうえ彼の目の前で自慰まで始めてしまって「見れてよかった」なんて言われてしまって……。
原田の愛撫はこの上もなく甘く巧みで、彼にしてみれば名前のような無防備な年下の少女を絡めとることなど、造作もなかったのだろう。見事なお返しをされてしまった。
今更ながら恥ずかしくて仕方なくなってしまった名前は、頬を染めて長い睫毛を伏せる。そんな彼女を見おろしながら、原田はいつも通りの余裕たっぷりの笑みを浮かべた。
「良かったぜ、名前」
原田は名前の蜜で濡れた指を手近な場所に置いていたティッシュで拭き、彼女の脚の間も綺麗にしてやる。
「……俺としてはもう少し長いことしてやりたかったんだが、案外早かったな」
「ごめんなさい……」
「いや、別に悪かねぇよ。……すぐにいけるってえのは、感じやすいってことだからな」
「っ……!」
自らのはしたなさを指摘され、あまりの恥ずかしさに名前の頬に朱が差すが。原田は気にしていないようだ。垂れた目じりがさらに下がり、彼の優しげな容貌にさらなる甘さが加わる。
原田は名前の頬に手を添えながら。
「しかし…… 感じやすくて反応のいい女ってえのは、罪なもんだよな。その上こんなにかわいいツラしてるんじゃ、男はみんなのめりこんじまう」
「っ……!」
「何度抱いたって飽きねえし、何度でもイかせて……。みたくなっちまうもんな」
人一倍欲望が強いだけの自分を、こんなふうに褒めてもらえるなんて思わなかった。名前は真っ赤になりながらも、艶めいた微笑みを浮かべる原田から目が離せない。
(……罪づくりなのは、左之助さんの方です。先生なのにこんなに格好よくて、私の全てをめちゃくちゃにしてしまう)
頂点を迎えたばかりの火照る身体を持て余しながら、名前は乱れた呼吸を整えて事後の甘い余韻に浸る。つかの間の休息だ。今日はたくさんのことがあったから少し疲れてしまった。
名前がぼんやりとしている間に。原田はあらかじめベッドサイドに用意していた小さな箱に手を伸ばしていた。
正方形の包みを取り出すと慣れた手つきで開封し、いまだ猛りを失わずにいる自分自身に装着すると、そのまま彼女に声を掛ける。
「――名前」
名前だけを呼んでこちらを向かせて、彼女の脚の間のその場所に自らの猛りをあてがうと、名前が小さく息を呑むのがわかった。
「……っ!」
まだ休んでいたかったのか、名前はためらうような素振りを見せるが。けれど、原田は先ほどまでの濃密な愛撫でもう我慢しきれなくなっていた。
指で弄っただけであれほどまでに乱れられては、早く本物をその場所に差し入れて存分に突き上げたくなる。それはもう、いかんともしがたい男の本能だろう。
「……入れるぜ」
言い切るように口にすると、しかし名前は、ためらいながらも小さく頷き返してきた。疲労はあっても先に進みたいのだろうか。
「……入れて ……ください」
先ほどの絶頂の余韻で潤んだ瞳で、名前は確かにそう口にした。まだ前戯を終えたばかりだというのに、もう既に事後のように乱れ切った彼女に乞われて、原田はうっすらと笑みを浮かべる。
昼間はあんなにも清楚なふりをしているくせに、ベッドの上ではこんなにも快楽に貪欲な彼女が愛おしい。
無事に名前の了承を得て、原田はゆっくりと腰を進めた。
***
「っ……! んっ……!」
名前の身の内に、ついに原田の猛りが入り込む。充分に潤った柔らかく温かな秘部への挿入だったが、やはり圧迫感があるのか、名前の瞳はきつく閉じられて眉間に深い皺が刻まれる。
しかし彼女の苦悶の表情は思いのほかすぐに消えた。これまでの長々としたやりとりで、しっかりと準備を整えられていた名前の秘唇は、充血しきった原田の猛りをいとも容易く呑み込んでしまった。
甘いお菓子を食べさせあうような淫らな戯れに興じてから、二人はようやく繋がりあう。
原田は名前の腰を両手で掴むとわずかに持ち上げて、彼女の秘部を自分自身の下腹部にぐっと引き寄せる。
「っ……!」
名前がわずかに顔をしかめる。痛みを覚えているのだろうか。しかし、体格の良い原田はこうでもしないと根元まで入れられない。名前は華奢で小柄だからなおさらだ。
何度もぐいぐいと押し付けてようやく、原田は息を吐く。これでようやく自らの猛りを根元までしっかりと差し入れられた。
「……全部入ったぜ ……名前、平気か?」
ちゃんと濡れて柔らかいから大丈夫だろうと思いながらも、名前が心配になってしまった原田は、いまだに眉を寄せる彼女に問いかける。
「……はい」
蚊の鳴くような声ではあるが、名前は返事をしてくれた。
「そうか……」
一応の安堵を覚えた原田は淡い笑みを浮かべると、おもむろに名前を抱きしめた。これから自分が持てるすべてで良くしてやる身体だ。
男物のワイシャツ一枚を羽織った半裸の肉体は、折れそうなほどに細かったが、今夜は容赦なく抱いてやるつもりだった。
先ほど射精してしまったのは自分でも誤算で、お返しとばかりに自分も相手をいかせたけど、濃厚な戯れを楽しんだあとだというのに、身の内の熾火のような情動は今もくすぶり続けている。
原田にとっては満足にはまだ遠かった。
しかし、そんな彼の心情を察したのか。原田の背に腕を回している名前が、不意に囁きかけてきた。
「……左之助さん」
掠れた声で彼を呼び、名前は原田の耳元で彼の全てを欲しがった。
「……今日はいっぱい ……ひどくしてください」
原田の姫君は今宵も快楽に貪欲だった。最初はいつも恥ずかしがるくせに、いざ営みを始めてしまえば自らの欲望にこんなにも忠実で、素直すぎるほど素直に原田自身を求めてくる。
原田の耳朶を名前の吐息がくすぐり、彼が意識しないうちに、元々質量のある原田のものがよりいっそう大きく硬くなる。
「……ああ、わかってるぜ」
名前の髪を撫でてやりながら原田が淡く微笑むと、彼女もまた嬉しそうに原田の首筋に顔を埋めてきた。
名前の細い腕が改めて原田の首の後ろに回されて、白い脚が彼の腰に絡みつき、原田が抜き差ししやすいように名前の下の口が上を向く。
原田の両腕もまた彼女をしっかりと捕らえて、いよいよふたりの交合が始まった。
最初の数度こそゆるやかだった原田の動きはすぐに早くなり、名前は既に気を失ってしまいそうだった。
ただ入れられただけでも、原田の充分すぎる質量を持った肉の楔で苦しいほど満たされていたのに、それが激しく動かされて、名前の柔らかな最奥めがけて激しい刺突を浴びせてくるのだ。
(……左之助さん……)
原田は体格の劣る非力な名前を容赦なく組み敷いて逃げられないようにしてから、彼女を貪るようにして抱いていた。昼間はあんなにも優しいのに、夜は野性味あふれる力強さ。
名前の望み通りに、そして己の望み通りに。原田は名前を力任せに突き上げていた。普段から原田の愛の営みは、体格の良さを生かした力強いものだったが、今夜はよりいっそう能動的で強引だった。
そのうえ名前の勘所など知り抜いている原田は、名前の弱い部分ばかりを狙い容赦のない突きを浴びせてくる。
彼の猛りが勢いよく抜き放たれるたびに、名前の肉体を甘い痺れが駆け抜け、そのたびに彼女は可憐な悲鳴をあげて、原田に心地よさを訴えてしまう。
名前は振り落とされてしまわないように、しっかりと原田の身体にしがみつきながら、一糸まとわぬ肉体で今まさに自分を愛してくれている、原田の全てを噛み締める。
速いペースでの抜き差しがもたらす快楽は、それこそ強すぎるほどで、強引に求められるのも、それだけ深く愛されているようで嬉しかった。
名前の秘部からはとめどなくさらさらとした蜜が溢れ、原田の抜き差しを助けるように彼女のその場所を潤していた。
今夜はこのまま、彼の手によって愛情の高みに攫われてしまうのだろうか。
名前がそんなことを思った瞬間、不意に原田の揺さぶりが緩やかになり、やがて止まった。
(左之助さん……?)
名前が不思議に思う間もなく。原田は繋がりあったまま、改めて彼女に口づけをしてきた。濃厚なアルコールの香りがじかに伝わってくる。
「んっ……! っ……!」
そしてすぐ、薄く開いた名前の唇に原田の舌が入り込んできた。舌を舌で絡めとられて口づけの深さと甘さが増し、名前は眩暈を覚えるが。
しかし、今夜の原田はいつもよりずっと強引だった。互いの舌と舌を絡めたまま名前にぐっと体重をかけて、彼女をベッドに沈めようとしてくる。
原田の唾液からチューハイの苦い後味が伝わってきて、アルコールが苦手な名前は無意識に、口づけを拒否し彼の身体を押し返そうとしてしまうが。
そこは圧倒的な体格差。原田の逞しい肉体は名前が押し返した程度ではびくともしない。
恵まれた体格にスポーツで鍛えられた筋肉、豹のようにしなやかな体躯は見惚れてしまうほど美しく、名前に覆いかぶさる原田の裸の肉体は、まさに雄々しさそのものだった。
広い肩幅、厚い胸板 固い筋肉。全て自分にはないものだ。名前の柔らかな素肌にじかに触れる、うっすらと汗のにじんだほんの少しだけ硬い皮膚。
自分の柔らかなばかりの身体とは全く違う、鍛え上げられた男の人の身体。
こうして一糸まとわぬ姿で抱き合っているとよりいっそう、自分との差異と彼の肉体の全てを実感できる。
(左之助さん……)
互いに舌を絡めながら、互いの秘部でも繋がったまま。名前は原田の素肌の温もりに浸った。
(気持ちいい……)
肌と肌との触れ合いはとても心地いい。口づけを通じて伝わってくるアルコールも、名前の酔いに拍車をかける。酒に酔いそう、原田に酔いそう。アルコールと愛の営みの快楽で、名前はすっかりのぼせあがってしまっていた。
あまりにも幸福な夜だ。これ以上の幸せなんてきっとない。
名前は無意識のうちにさらなる快楽をを求めて、原田の腰に絡めた脚を動かしてしまう。彼の胴回りや下肢に自分の太腿やふくらはぎをすりつけて、さらなる愛撫を求める。
それに応えるように原田の挿入がよりいっそう深くなり、名前は幸福のあまり甘やかな悲鳴を上げた。
「ああっ……」
挿入が深くなるにつれ、彼の厚い胸板が名前の裸の胸にぴったりとくっつき、名前は自然と原田の腕に抱かれている格好になる。
下の口で彼のものを最奥までくわえこみながら、上の口でも舌を絡めあう口づけをし、互いの肌の温もりと、上下の口づけの甘さを味わう。
激しい抜き差しはせずとも、名前はこうやって好い姿勢で互いに愛し合うのも好きだった。ぴったりと身体を重ねたまま、二人はしばらくの間互いの体温を噛み締めていた。
やがて、原田は唇を離してわずかに身体を浮かし、片方の手で名前の身体を探り始めた。
名前の裸の胸を撫で突端を摘まんで慈しみ、彼女の素肌に顔を埋めながら、原田は名前の裸身のあらゆる場所にその大きな手のひらを滑らせて、丁寧な愛撫を施していく。
「ああっ……。はぁっ……」
過敏になった名前の肉体は、優しく撫でられただけでも彼女を甘く喘がせるが、もう触れられるだけでは足りなくなっていた名前は、じれったそうな様子で原田を呼ぶ。
「左之助さん……」
欲望に掠れた物欲しそうな声。愛する男の全てをを欲しがる浅ましい女の囁きそのものだ。名前を呼ばれただけだったが、名前の様子から彼女が何を言いたいかなんて、原田には手に取るようにわかった。
控えめな彼女がここまで素直に自分を求めることもそうそうない。不意に愛しさが込み上げて、原田は名前を見おろしながら淡い笑みを浮かべる。
「……どうして欲しいんだ? 名前」
「左之助さんの好きに……」
二人の暗黙の了解だ。昼間は原田が名前の、そして夜は名前が原田の願いを叶える。それはずっと昔からの二人の間の決まりごと。もうずっと前から二人はそうやって過ごしてきた。
薄桜学園で教師と生徒として巡り逢うより遥か昔。京の街を浅葱色の羽織姿で駆ける彼に出会い、一生一度の誠の恋をしたあの頃から変わらずずっと……。
(……左之助さん、あなたの願うことなら全部叶えてあげたいんです。かつてのあなたが、私にそうしてくれたように……)
名前は原田を見つめ、改めて口を開く。
「好きに…… してください……」
あなたが望む通りに。
「そうか……」
原田は目じりを下げて微笑むと、名前をそっと抱き上げた。
名前の上体が倒れこんでしまわないように、彼女と両手を繋ぎながら。原田は名前を自身の腰の真上に跨らせ、彼女を下から突き上げていた。名前は切なげに眉を寄せながらも甘く喘いで、原田のなすがままにされていた。
快楽に溺れる彼女の全てが眺められる体位として、原田はこの姿勢を気に入っていた。いつも見おろすばかりの彼女を、下から仰ぎ見るのも新鮮だった。
内気で恥ずかしがり屋の彼女の裸身が、自分の匙加減ひとつでどこまでも奔放に揺れ動き、存分に乱れてくれるところも、原田にとってはたまらなかった。
原田の突き上げに合わせて、名前の長い髪は跳ねるように揺れ、控えめな胸もまた上下に動いていた。
原田のされるがままになりながらも切なげに眉を寄せ、下方からの突き上げの衝撃と間断なく押し寄せる快楽に耐えている名前は、この上もなく淫らでとても可愛らしかった。
腰からぐっと反らされた女性らしい曲線を描く半裸の肉体も美しく、原田は名前を緩く突き上げてやりながら、自分に跨る彼女の全てを鑑賞した。
すっかり快楽の虜となっていた名前は、無防備な自分自身の全てを彼に見られていることにも気づかない。
大胆な痴態を彼の目の前で披露しながら、名前はただひとり獰猛な彼の猛りに真下から貫かれる喜びに浸っていた。
「ああっ……! 左之助さん……!」
ときおり強くされるたびに漏れる、喜悦に満ちた甘い悲鳴。原田は眩しそうに名前を見上げながら腰を振り、彼女にさらなる喜びと幸せを与えてやる。
いたいけな名前もこのときばかりは妖艶で、男の体の上に跨ってはしたなく喘ぐ彼女の姿をもっと楽しみたくなった原田は、名前が着ていた自分のグレーのワイシャツを肩から落とすようにして脱がせると、ようやく彼女を生まれたままの姿にしてやった。
行為の最中の女の美しさは格別だ。愛する男に見せる、全てをさらけ出した無防備な姿。自らの秘部を男の猛りで貫かれている女の裸の肉体は、えもいわれぬ色香を放ち、自分をこの上もなく魅了する。
その美をいっそう味わうために。原田は名前の両手を強く握りしめ、繰り返し激しい突き上げを見舞った。
「ああっ…… あっ……」
逃げられぬよう身体の自由を奪われてから、原田に容赦ない快楽を与えられ、名前は顎をのけぞらし、もうたまらないといった様子で喘ぐ。
硬く巨大な肉の楔を下方から何度も打ち込まれ、すっかり理性を溶かされてしまった名前は、やがて自ら腰を揺すり始めた。さらなる快楽を得るために、原田の動きに合わせて自分も腰を振る。
そんな名前の姿にいっそう焚きつけられてしまった原田は、長い時間をかけてたっぷりと、このままの姿勢で彼女を愛してしまったのだった。
やがて、原田の両手が名前から離された。支えを失った彼女の上体は大きく傾ぐが、すぐに原田の逞しい腕が伸ばされ、名前はそのまま彼の身体の上にゆっくりと倒れこんだ。
原田は疲労のにじんだ表情で浅い呼吸を繰り返す名前を抱きしめて、その労をねぎらう。
「……疲れただろ、名前。よく頑張ったな。綺麗だったぜ」
「……っ」
いつも以上に甘い原田の言葉に名前の頬に赤みが差す。かわいいではなく綺麗なのが嬉しかった。
荒くなってしまった呼吸を整えながら、名前は原田の胸板にその顔を擦りつける。照れ隠しでもあり返事の代わりだ。
下方からの刺突を受けながらの長時間の騎乗は、名前の体力を大きく奪う。名前はぐったりとした様子で、原田の身体の上でつかの間の休息をとっていた。
原田との行為は心地よいけど大変だ。体力と体格に恵まれた精強な彼に合わせて、自分も頑張らなくてはいけない。 さきほどからずっと自分を貫いている肉の楔だって、ずっと硬いままで名前のその場所を満たし続けているし。
「…………」
疲労でつらくなってきた彼女の胸の内に、若干の恨めしさが込み上げる。少しはこちらの都合も考えて欲しいというか……。
名前は原田の胸板に爪を立てた。まるで拗ねた仔猫のような振る舞いだが、それでも原田にはなぜかその意図が伝わった。
「……はは、しつこくして悪かったな。そんなに疲れたのか?」
名前はこくりと頷いた。疲労で言葉を発する気力はないけど、頷くくらいならできる。
「……じゃあ、次で終わりにするか」
一応の満足を得たような、穏やかな原田の様子に名前は安堵するが。
しかしいざ「次で終わり」と言われてしまうと、少し残念な気持ちになる。疲れているけどもっと繋がっていたい。もっと抱かれていたい気もするけど、もうお終い。
けれど、こういうことは物足りないくらいでいいのかもしれない。
次もまた沢山欲しくなるから。
原田は片腕で名前を抱きながら、そのまま彼女と身体の上下を入れ替える。
「……しっかり捕まってろよ」
そう促された名前は小さく返事をすると、細い腕を彼の広い背へと回し、白い脚を彼の腰へと絡めて、原田の身体にしっかりと密着してくる。
以前の名前はいつも恥ずかしがるばかりで、原田にされるがまま何も返そうとしなかった。原田にきつく抱きしめられても、おそるおそるといった様子で彼の脇腹のあたりにそっと手を添えるだけで。
恋人同士のはずなのに、控えめな名前は原田の身体に触れることすら、どこか遠慮しているようだった。
けれど「それでは寂しいから」と何度も原田の催促や叱りを受けて、しっかりと刷り込まれた結果。
今や名前は原田にに求められずとも、自分から彼を欲しがるようになっていた。入れられているときに彼の腰に脚を絡めたり、自分から彼に胸や局部をこすりつけたり。
「……動くぜ」
いよいよだ。名前はこくりと頷いた。
原田はまず慣らすような緩やかで優しい突き上げを何度か行い、名前の秘部が充分に潤んでいるのを確かめてから、徐々に突き上げのペースを速めていった。
そして、名前の裸の身体が原田にひときわきつく抱きしめられた、その瞬間。
最も強い突き上げが名前の最奥に見舞われて、そのまま名前の体内に原田の白い熱情が吐き出される。
「――名前っ」
情欲に掠れた原田の囁きを、一糸まとわぬ肉体の全てで感じながら。名前もまた愛欲の頂点を迎え、その意識を手放した。
ようやく全てを終えて。穏やかに眠る名前の髪を、原田は優しく撫でていた。
小さな丸い額は汗ばんでおり、淡く上気した頬と掛布団から覗く裸の肩口は、いかにも情後の幸福な眠りといった様子で。
交際を始めて二年と少し。出会った頃は高校一年だった名前も、もう短大生。すっかり大人っぽくなった。
しかし、身体を重ねた後の名前の寝顔は無防備であどけなく、原田は彼女と同じ学園で過ごしていた頃のことを思い出す。
あのときも、名前は周囲の男たちから人気があって、担任の教師という立場でありながら彼女に恋をしていた自分は、ずいぶんともどかしい思いをしたけど。
今こうして普通の同世代の恋人同士のように、当たり前の日常を過ごしているのが、なんだか不思議な気持ちだ。原田は自分のベッドで眠る名前を見つめながら、とりとめのない物思いに耽る。
あれからずいぶん遠くに来てしまったような気もするけど、彼女への想いの強さは今も少しも変わっていない。
情熱の炎はその勢いを減じることなくこの胸に在り続け、ときおり恋を知ったばかりの少年のような、くだらない独占欲が頭をもたげることがある。そう。例えば、今このときのように。
原田は名前の上にかかっているブランケットをそっと取り、彼女の胸元を優しく撫でた。そして、鎖骨に唇を寄せる。きつく吸い上げて小さな痣を残して、その場所を舌先で舐め、彼女の素肌の甘さと柔らかさを味わった。
水のたまるような鎖骨は、昔から原田の好きな場所だった。
女性らしいほっそりとした美しい首周りは、つい目が惹かれてしまう。そのまま原田は彼女の鎖骨にいくつもの赤い花を咲かせる。
しかし、そんなことをされているというのに、名前が起きる気配はない。よほど疲れているのだろうか。
「……ったく、こんなにされてんのに気づかねぇなんて、何されても知らねぇぞ」
原田は瞳を細めて笑う。まだ行為を終えたばかりで、下着一枚を履いただけの半裸の身体には、その余韻が残っていた。猛る欲望を鎮めるべく、原田は名前に覆いかぶさり、彼女の無防備な身体を探る。
胸の突端のすぐ上、臍の横、そして太腿の内側に脚の付け根……。さまざまな場所に痕を残してようやく満足した原田は。
「……さてと、じゃあ俺も寝るか」
明日の朝の名前の反応を楽しみに、彼女の隣で眠りにつくのだった。
***
翌朝。目覚めたばかりの名前はさっそく、無断でつけられたいくつもの痕に気がついて、原田に文句を言っていた。
「も、勝手に痕をつけるのやめてくださいって、いつも言ってるのに……!」
「見えねぇところなんだからいいじゃねぇか」
「だ、だめです……! 私がいやです……! とにかく、勝手につけないでくださいね!」
「そりゃあ無理な相談だな」
名前は真面目に怒っているようだが、昨夜と同じく裸の身体に原田のシャツ一枚という姿だったため、かわいらしいばかりで少しも怖くなかった。
しかも、彼女が昨夜身に着けていたショーツは、いまだに寝室の床に落ちたままで。ということは今の名前は何も履いていないわけで、そんなことも原田を上機嫌にさせていた。
とはいえ、いつまでも続けられるこの話題にも飽きてしまった原田は、彼女を煙に巻こうとする。
「そんなことより腹減っただろ、トーストでも焼いてやろうか」
「も、そうやってすぐ誤魔化して!」
さすがにその魂胆には気づかれていた。しかし、その後に続けられた名前の言葉に原田は呆れてしまう。
「原田先っ…… 左之助さんは」
「――おいおい、この期に及んでまだ先生なのかよ、俺は」
お前は先生の家でノーパンでうろちょろするのか? そう問いかけたいが呑み込んで、ついでにノーパンの彼女のシャツの裾をめくりあげたい悪戯心も呑み込んで、原田はわざとらしくため息をつく。
「ご、ごめんなさい」
名前は慌てて謝るが、しかしこれはもう彼女の癖や性分のようなものなのだろう。そういうものだと諦めて、原田はかぶりを振って苦笑する。
「もういいさ、そういうところもお前だもんな」
いつまでも初々しくて可愛らしい名前。この素直さをずっと失わないで欲しいと原田は願う。
(……そのためには、俺がしっかり守ってやらねぇとな)
彼女を守りたい。そして、ようやく手に入れたこの穏やかな幸せも。
愛しい人と同じ朝を迎えるたびに、原田は遥か遠い過去から変わらずに抱き続けてきた願いを、改めて思い起こす。
教師と生徒として彼女と巡り合うずっと前、百代の昔、祖国での戦いを終えて異国に渡り、馬賊として槍を振るっていたときと、同じ願いを。