CANDY NIGHT(R18)
名前変換設定
恋戦記は現在一部のお話のみヒロインの名前変換可です薄桜鬼とテニプリは名前変換可、刀剣乱舞はネームレス夢です
恋戦記小説について
現在一部作品のみ名前変換可にしていますが、ヒロインの下の名前「花」が一般名詞でもあるため「花瓶の花」などで巻き込み変換されてしまいます
それでも良い方は変換してお楽しみください。それがダメな方はデフォ名「山田花」でお楽しみください
すみませんが、よろしくお願いいたします
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金曜日の夜はいつも浮かれてしまう。大好きな原田先生に会えるから……。
通いなれた道を小走りで駆け抜けた名前は、見慣れたマンションに辿り着くと、エレベーターで上階へ上った。表札を確かめて、貰った合鍵で部屋に入る。
(やっぱり、ドキドキするな……)
たとえ何度も訪れたことのある恋人の部屋であっても、他人の家に自分ひとりで上がり込むのは緊張してしまう。原田からは変な遠慮はいらないともう何度も言われているのに……。
室内に人の気配はなく明かりはついていない。原田からは今日は仕事の飲み会で遅くなると既に連絡をもらっていた。名前はリビングの電気をつけて荷物を床に置いてから、ソファーに腰を下ろす。
(左之助さんのお部屋だ……)
改めてあたりを見回し、名前は妙な感動を覚える。一線を越えたのは最近だけどお付き合い自体は長くて、原田のこの部屋に来たことも何度もあるはずなのに、いまだにこの癖が抜けない。
名前は短大の一年で、高一の終わりから原田と付き合い始めたから、もう二年以上。仕事の都合で早く帰れないときもある、迎えに行けないときもあるからそういうときのためにと、合鍵を渡してくれたのは原田の方で。
そして今日「遅くなるから先に部屋で待っててくれ」と、名前を自室に呼び寄せたのも原田だった。
名前の方から「合鍵が欲しい」「部屋に先に行って待っていたい」などと言い出したことはないけど、控えめな彼女の性格を知っている原田は、日頃からこうして先回りをして、名前に恋人らしい振る舞いを促していたのだった。
名前はひとしきり室内を見回して感慨に浸ってから、改めてスマホを取り出すと原田に連絡を入れた。
『今お部屋に着きました。夕飯は済ませてきたので待ってますね』
するとすぐに返信が来た。
『俺も今終わったからすぐ帰るぜ。わかってるとは思うが、ちゃんと支度して待ってろよ?』
原田の意外なほど早い返信と妙な念押しに、名前は思わず笑みをこぼす。ちゃんと支度しておけというのは、先にシャワーなり風呂なりを済ませておけということだ。会ってすぐに抱き合って愛し合えるように。
しばらく前、今よりずっと子供だった名前は当初その意味を理解できずに、原田に苦笑されてしまったことがあった。
「シャワーも浴びてねぇし、風呂にも入ってねぇのか? 俺は…… すぐ始めたかったんだがな」
その日は結局、明るいバスルームで仕置きのように長々と愛されてしまった。……恋人同士の暗黙の了解を名前に教えてくれたのは原田だった。ときに言葉で、ときに行動で。原田は年上の男らしく、まだ幼かった名前の無垢で無防備な心と身体に、そのひとつひとつを教え込んだ。
甘く優しく、そして熱く……。彼を愛する名前はその全てを疑うことなく受け入れて、素直な彼女は今やすっかり原田に染められていた。全てを捧げるように愛されて守られて、甘やかされてしまったら、そうなるほかない。自分でも気づかないうちに、名前はすっかり原田に骨抜きにされていた。
「早くシャワー浴びとかなきゃ……」
無意識のうちに漏れたつぶやきに滲んでいるのは、焦りではなく期待と喜びだ。早く愛し合いたいと願うのは名前も同じ。原田が大好き、会えるときはいつも浮かれてしまう。倦怠期とは無縁の二人は、いつだって付き合いたての恋人同士のようだった。
その後しばらく経ってから。ようやく原田が部屋に戻ってきた。部屋の鍵を開けて早速、中にいるはずの恋人に声をかける。
「――ただいま。おい名前、待たせて悪かっ……」
しかしその声は途中で途切れた。部屋の明かりはついていたが、人の気配がないのだ。名前は彼女は先に来ているはずなのに。自分の声かけに何の返事もないことも妙だった。
「……おいおい、勘弁してくれよ」
若干の焦りをにじませてカバンを投げ捨てるように置いて、原田は名前を探す。しかし、幸いなことに彼女はすぐに見つかった。
「……ったく、心配させやがって」
ベッドルーム。シャワーから出て髪を乾かしていたのだろう。彼女はドライヤーを出したまま、原田のベッドで彼のグレーのワイシャツを着て眠っていた。
「……こういうところは、なんというかやっぱり子供だな」
準備万端といった様子で自分を出迎えて、そのまま嬉々として押し倒されるような大人の女も、それはそれで魅力的だけど。ちゃんとやろうとして失敗している詰めの甘い年下の彼女も、原田にとっては愛おしく感じられた。
懸命に背伸びをしている姿がいじらしく健気で。さきほどまで自分の心を満たしていた欲望やよこしまな感情も、すっかり鳴りを潜めてしまった。
女の寝顔なんて見慣れていたはずなのに、名前のいかにも年下の女らしいあどけなさや無防備さは、原田にはとても新鮮で眩しく映って。
(……いや、年下だからってわけじゃねえか)
名前がこんなにも眩しく愛おしく思えるのは、彼女が年下だからじゃなくて、名前だからだ。
(……すっかり毒気を抜かれちまったな)
原田は瞳を伏せて苦笑する。
(でもまぁ、たまにはこういうのもいいいか)
今夜は名前の可愛い寝顔をを肴に飲み直そう。風呂上がりに男物のワイシャツ一枚を着て、白い太腿もあらわに眠る姿を、せっかくの機会だから堪能させてもらって、気が済んだら隣で眠ればいい。
(……その前に、俺もシャワー浴びとくか)
名前の頬にキスをして、ほんの少しの悪戯心を発揮してから、原田はバスルームに向かった。名前をひとり残しベッドルームをあとにする。
***
そして。充分に疲れを癒し、加えて近くに人の気配を感じ取った名前は、ようやく目を覚ました。
「……っ、あれ?」
数度まばたきをして、名前はいまだ眠気の残る頭で、今まで自分が何をしていたのか思い出そうとするが。
「――よぉ、起きたか?」
「は、原田先生!?」
ほど近くから掛けられた声に、名前の眠気は瞬時に吹き飛ぶ。
「おいおい、今さら先生はねえだろうが。もう何度も言ってるが」
缶チューハイをちびちびと飲みながら、原田は呆れたような怒ったような様子で不満を口にする。
付き合いだした当初から、原田は名前に自分を下の名前で呼ぶように何度も言っていた。原田先生では周囲に不審がられるし台無しだからと。そのたびに名前は「左之助さん」と言い直していたけれど。
しかし、また性懲りもなくその禁を破ってしまった名前は恐縮しきりだ。
「すっ、すみません……。あ、あと私、なんか勝手に寝ちゃってて、それも本当に、その……」
瞳を伏せてしどろもどろになっている名前を、しかし原田は優しく励ます。
「いや別に、謝ることじゃねえよ。お前が俺を下の名前を呼びたがらねぇのは、今に始まったことじゃねぇし、俺もあえて起こさなかったからな」
「……え?」
あえて起こさなかった。原田の意外な発言に名前は思わず顔を上げ、彼を見つめてしまう。原田は寝室の窓辺に置かれたスツールに腰を下ろして、名前を楽しそうに眺めていた。
煌々と明かりが灯されたベッドルーム。部屋着のジャージのズボンを履いて、裸の上半身の首にフェイスタオルをかけている原田は、いかにも風呂上りといった様子でいつにもまして色っぽかった。名前は恋人同士の営みの直前の彼を思い出してしまい、どぎまぎとしてしまう。
とはいえすぐ近くのテーブルの上には、ビールやチューハイの缶が何本も空けられていて、それなりの時間の経過が感じられた。風呂から上がったはいいものの、いつまでも名前が寝ていたから仕方なく、酒を飲んで時間を潰していた様子の。
「早く起こしてくれれば良かったのに……」
名前は思わず唇を尖らせるが、原田は楽しげな笑みを浮かべたまま、いつも以上に甘い言葉を口にする。
「……お前の寝姿をもう少し眺めてたかったんだよ。こうやってお前が俺の服着て俺のベッドで、俺と同じシャンプーの匂いさせて眠ってるの見てると、なんかこう、妙に幸せな気持ち気分になっちまってな」
「……っ!」
「こういうのも、ベタには違いねぇが、やっぱりいいもんだよな」
「さ、左之助さん……」
名前の頬はもう真っ赤だ。愛する原田にこんなことを言われてしまっては、何もかもがどうでもよくなってしまう。これまで口にしていた彼への文句も、全部どこかに行ってしまった。
いつもいつも、この手口にしてやられてしまう。心を奪われ、骨抜きにされ、口に含んだ飴玉を舐め溶かすように甘やかされて、結局は彼の好きにされてしまうのだ。
(……左之助さんはズルい)
名前は唇をきゅっと噛むと俯いた。すると、自分の太腿とベッドのシーツが目に入る。そう、自分のいるここは、原田の部屋の原田のベッド。本当なら、仕事の飲み会から帰ってきた原田をすぐに出迎えて、今頃は彼の濡れた髪をドライヤーで乾かしてあげながら、他愛ない世間話をしているはずだったのに。
……そういえば、少し前にも同じようなことがあった。不意に、名前は昔を思い出す。原田とお付き合いを始める少し前の、高校一年のお正月。二人で行った初詣のあと、原田が電車で海に連れて行ってくれたとき。初詣の早起きで疲れていた名前は、帰りの電車で原田の肩を借りて熟睡してしまったのだ。
その頃から憧れにも似た好意を原田に抱いていたとはいえ、当時はまだ担任の先生と生徒という関係だったから、名前はずいぶん恥ずかしく、恐縮してしまった。
それから二年以上の月日が経ち、原田との関係も変わり、自分も少しは大人になったはず、だったのに。昔と同じ失敗を繰り返す進歩のない自分に、名前は情けなくなってしまう。
名前は眠っている間にすっかりはだけてしまったシャツの胸元を、きゅっと合わせた。おぼつかない手つきで、外れていたボタンを留めてゆく。シャツを着たときは胸元が見えてしまわないように、第一ボタン以外は全部留めたと思ったのに、起きたらなぜか全部外れていて、すっかり半裸の状態だった。
胸を覆う下着はつけずに素肌に直接着ていたから、原田にはきっと全部見られていたはずだ。両方の胸の色づいた先端も、原田のために買った面積の少ないショーツだけをつけた下半身も。
……原田先生、じゃなくて左之助さん。そうここで、原田の部屋のベッドの上で、もう何度も愛し合っていて。彼からも変な遠慮はせずに恋人らしい振る舞いをしろと、もう何度も遠回しに叱られているのに。なぜかいつも上手くいかない。なんとなく悲しい気持ちになりながら、名前は長い睫毛を伏せて、意味もなくシーツを見つめ続ける。
そんな彼女を不憫に思ったのか、おもむろに原田は話題を変えた。
「でもまぁ、せっかくお前が起きたんなら……。そうだな。――なぁ、顔上げろよ名前」
前半は普段と同じ明るい調子。けれど後半はどことなく艶のある響きで、名前はハッと顔を上げ原田の方を見てしまう。彼の瞳には、先ほどまでの軽いやりとりをしていたときにはなかった欲望の色が、確かにあって。
真剣な眼差しに射抜かれてしまう。蜂蜜を溶かしたような琥珀の瞳の甘い熱に囚われて、名前は動けなくなってしまった。
「……そっち行って、いいか?」
そっちというのはベッドの上だ。原田が何を言いたいのかなんて、さすがの名前でもはっきりとわかった。頬が熱を持ち始め、羞恥で瞳が潤む。
「っ……!」
知っている。こういうときの原田先生は――左之助さんは――決して逃がしてはくれない。原田は名前の返答も待たずに、首に掛けていたタオルを床に投げ、彼女の方に近づいてくる。
そう広くない室内。ベッドのきしむ音はすぐにした。ベッドの上に乗った原田はその逞しい腕で、緊張に固まる年下の恋人を抱きすくめると、彼女の顔を自分の胸に埋めさせる。彼が先ほどまで飲んでいたアルコールの匂いが濃厚に漂う。
「……ほら、お前が返事しねぇから悪いんだぜ?」
「……左之助さん」
原田はそのまま名前の髪を優しく撫でてやりながら。
「今夜もお前をたっぷり甘やかしてやりてぇんだが……。いいか?」
熱い吐息が名前の耳元にかかり、名前の身体が切なく震える。どんなお菓子より甘い囁きに、これまで胸の奥に隠していた素直な欲求が溢れてしまう。どうしようもなく、彼が欲しい。
名前は緊張に喉を鳴らすと、原田の背中にそっと手を回し自身のありのままの気持ちを伝えた。
「たくさん甘やかして…… ください……」
羞恥のあまり、名前はぎゅっと瞼を閉じる。後半は消え入るようだった。しかし、原田は満足げに口の端を上げて笑う。彼の琥珀の瞳が細められ、赤茶の髪がわずかに揺れる。
「……いい子だ」
確かな熱を孕んだ囁きが、名前の耳に届いた。
***
「……俺のシャツ着てくれたんだな。似合ってるぜ。薄桜学園でお前の担任してたときに着てたやつだな」
原田は名前を逞しい腕に抱いたまま、本日の彼女の服装を褒める。逢瀬の最初のよくあるやりとりだ。しかし原田は狙ってやっているわけではなく、あくまで本心として口にする。
「……やっぱりそうなんですね」
名前は改めて着ているシャツに視線を落とすと、感慨深そうな様子でじっと見つめる。
「ああ、昔のやつでもう着ないからしまっといたんだが……。今日は着たまましてみるか」
「……着たままですか?」
「ああ、前のボタンは全部あけさせてもらうがな」
言うが早いか、原田は名前のシャツのボタンを慣れた様子で外していく。あっと思う間もなくシャツの前は全て開けられ、名前の両胸と色づいた突端が原田の眼前に晒される。
しかし、名前はショーツだけは身に着けていた。淡い色の繊細なレースが飾られた面積の少ない薄手のもの。それを目にした彼は少し残念そうな顔をする。
「やっぱり、下は履いてるんだな」
たとえ面積が少なくとも、男としては履いているより履いていない方がそそられるようで、原田もまた素直な本音を口にする。
「別に履いてなくてもよかったんだぜ? どうせすぐ脱がすんだから」
「も、左之助さん」
せっかく選んだ下着をそんなふうに言われて、名前は顔をしかめる。
「お前だって汚したら嫌だろ、ほら」
何が「ほら」なのか。気遣いなのか催促なのかもわからない原田の言葉にに、名前は戸惑ってしまう。恥ずかしくても脱がないといけないのはわかる。だけど……。
「でっ、でも」
名前はいまだに明るく灯ったままの天井の照明に、ちらりと視線をやる。
「そ、その前に…… 電気を消してもらえませんか」
名前にそう促され、原田はそういえばそうだったといった顔をする。
「こればっかりは…… 仕方ねぇな」
若干不服そうにしながらも、原田は名前の願い通りに部屋の電気を消してやる。オレンジの優しい光を放つ常夜灯のみにした。全部消さないのは、名前の感じている姿や裸の身体を見たいからだ。
「……ほら消したぜ。脱いでくれよ」
これでもう、後戻りできない。恥ずかしさで余裕をなくしながらも名前は小さく頷いて、原田の目の前で腰を浮かし、そのままショーツをそっと下ろした。
頼りなく儚げなそれは、いとも容易く名前の足からするりと抜けて、シーツの上に置かれたが。原田の手によってすぐにベッドの下に落とされる。
「っ……!」
名前はまるで命綱を取り上げられたような、心細い気持ちになる。いつも優しい原田だが、ベッドの上では意地悪な面も覗かせる。
男の人によくある、好きな女の子への意地悪やからかい。今だってとても楽しそうに、あえて名前を追い詰めていた。
室内とはいえ、空気に直接肌を晒すと特有の解放感が訪れる。戒めから解き放たれたかのようなスースーとしたもの。けれどやはり原田の前で、裸同然の無防備な姿でいるのは心もとなく、名前はそわそわとした不安な気持ちになってしまう。
自分は裸の身体に前を全て開けたワイシャツを羽織っているだけで、胸のふくらみもその先端も、局部の下生えまで原田の眼前に晒しているのに。しかし原田の方はといえば、上半身は脱いでいるけど下はジャージの長ズボン。
「あの…… さ、左之助さん」
「何だよ」
原田は妙に上機嫌だ。明らかに状況を楽しんでいる。今も名前が何を言いたいかなんてわかっているのに、あえて言わせようとしていた。
「左之助さんも…… その…… 脱いでください」
「じゃあ、お前が脱がせてくれよ」
ほら、と原田は自分の下腹部を指さす。一文字に入ったお腹の傷のすぐ下、蝶結びにされたジャージのズボンの腰ひものあたり。
けれど、そう言われても。名前に手を伸ばす勇気などあるわけもなく。いつまでも躊躇っている彼女に待ちくたびれてしまったのか、原田は彼女の手を取ると強引に、自分のその場所に押し当てた。そう。ズボンの腰ひもではなく、下着の向こうで硬く猛った原田自身に。
「っ、きゃっ……!」
急にそんなことをされてしまって、名前は驚きに小さな悲鳴を上げてしまう。反射的に手を引っ込めて、名前は涙目で原田を睨みつけた。
「ちょっ 何ですかいきなり……!」
しかしながら柳に風だ。原田は相変わらず楽しそうに笑っている。
「いいだろ。したくなったんだよ」
「っ~~~!」
自分は真面目に怒っているのに、少しも堪えた様子のない原田に、名前は唇を噛む。なんだか悔しい。自分はこの人にいつも軽くあしらわれてばかりだ。
しかし原田はそんな名前を見つめながら、不意に琥珀色の瞳を細めると。
「……お前は本当にかわいいよな」
意外なほどに真面目な様子で囁かれ、名前は戸惑う。
「え……っ?」
けれど彼はすぐに先ほどのふざけた調子に戻ると。
「それで、脱がしてくれるんだろ?」
「えっ…?! で、でも」
しかし名前は困った様子で眉を寄せる。やはり彼女にはまだ難しいようだ。
「じゃあ、ズボンだけでいいぜ」
仕方なく原田は引いたふりをする。とはいえ、単にハードルを下げただけだ。ズボンだけでも名前にやらせようとする。
「わ、わかりました」
とはいえ、名前にしてみれば心理的な負担が大幅に減ったようなものだ。覚悟を決めた様子で息を呑むと、名前は気恥ずかしさに震える指先で、原田のジャージのズボンの腰ひもを摘まんだ。
ゆるく蝶結びしてあるだけの白い紐は、ほんの少し引っ張っただけでするりと解けた。いよいよだ。緊張に身体を固くしながらも、名前は原田のズボンのウエストに手をかけ、そのまま引き下ろした。
そのあとは原田が自分でしてくれた。黒一色のぴったりしたボクサーパンツ。学校の体育の先生としてスポーツを日常的にしている彼らしい動きやすそうなもの。
けれどぴったりとしているぶん、彼の脚の間のものの様子もすぐにわかってしまう。薄手でフィットした下着は硬く充血した彼自身の形状をしっかりと拾っていて、名前の頬に熱が集まる。
先ほど強引に触らされたから、どうなっているのかは知っていたけど、いざ目の前に晒されてしまうと、どうしていいのかわからない。なぜか目が離せなくなって、じっと見つめてしまう。すると、不意に原田が喉を鳴らして笑った。
「……何だ、そんなに興味があるのか?」
からかうような口ぶりに、名前はハッと我に返るがもう遅い。
「それなら、今日は口でしてもらうとするか」
すっかり彼を焚きつけてしまった。
「えっ、でも……!」
名前は戸惑うが、原田はあっさりと下着を脱ぎ捨ててしまう。今度こそ本当に、彼自身のものが一糸まとわぬ姿で名前の目の前に晒された。しっかりと血が通い、より太く硬くなって先端が天を向いている、雄々しさそのものの姿。
名前は無意識のうちに喉を鳴らして小さな胸をときめかせながらも、脚の間の可憐なつぼみを切なく疼かせてしまう。
「つけちまったら、出来なくなるだろ? だからその前にな。……ほら、してくれよ。名前」
原田に腕を引かれて、名前は彼の下腹部に強引に顔を埋めさせられる。
「っ、左之助さ……」
さすがに心の準備が出来ていない。名前はためらうが原田はやめるつもりはないらしく、容赦なく彼女の口元に自分自身の先端を差し出してくる。
つるりとした赤黒い突端。自分にはない男の人の特有の部分だ。どことなくグロテスクで、けれど何だか愛おしくも思える。これを口に入れるなんて……。
すっかり怯んでしまった名前は、戸惑いに瞳を揺らし睫毛を伏せるが。しかし原田は、よほど早くしてほしいのか、大きな手のひらを名前の首の後ろに回し、がっちりと固定してしまう。今度こそ本当に。口元に差し出されている原田のものから、名前は逃れられなくなってしまった。
(……どうしよう)
鼓動が早鐘を打つ。名前は緊張に息を詰めるが、やはりどうあっても、名前に口でさせたいらしい原田は、艶めいた低い声で名前に囁きかけてきた。
「――自分からじゃ出来ねぇんなら、俺が入れてやってもいいんだぜ?」
「っ!」
彼にここまで言われて、ようやく原田の本気を悟った名前は、観念した様子で瞳を伏せた。
「……わかりました。……入れてください」
羞恥に震える唇でそう答えて、名前はおそるおそるといった様子で大きく口を開いた。
原田に求められたから渋々そうしているだけなのに。恥ずかしそうに頬を染めながら瞳を伏せて、原田のものを求めて口を開けている名前は、まさに男の肉棒を求めて口を開けている可愛らしい裸の少女そのもので、原田の興奮はますます高まる。
愛しい名前にそんなふうにねだられてしまえば、いかに年かさの原田といえども冷静さを失ってしまう。無意識に呼吸を荒くしながら、原田は目を眇めて口の端を上げて笑うと、名前の小さな口の中に自身の猛りをそっと差し入れた。
「っ…… んっ……」
しっかりと充血した彼のものが、名前の口内にゆっくりと入り込んでゆく。歯を立ててしまわないように気をつけながら、名前は愛しい彼の分身を受け入れた。
「つっ…… ん」
前にも何度か口でしたことはあった。けれどやはり原田のものはとても大きく、名前の口内はすぐにいっぱいになってしまう。苦しさを感じた名前のまなじりに涙が浮かぶが、それはすぐに原田の指先によって拭われる。
「……無理のない範囲でいいから、そのまましてみてくれねぇか?」
ひときわ甘い彼の囁きは、まるで名前の理性を溶かそうとしているかのようだ。原田は泣きそうになっている名前をいたわるように、手の甲で名前の頬を撫でてやりながら、優しく彼女を促した。
「……裏筋を舐めて、境目も舐めて、強く吸ってみてくれ」
名前に口淫の手ほどきをしてやりながら、羞恥と息苦しさに戸惑うばかりの彼女を、原田は少しずつ焚きつけてゆく。懸命に舐めて奉仕する名前の髪を撫で、心地いいと何度も伝え、上手くできたらしっかりと褒めてやる。
当初は恥じらいと遠慮でただ口に含むだけだった名前の愛撫は、原田に何度も促され、今やすっかり深く濃厚なものになっていた。
幼げな容姿とは裏腹に意外と肝の据わったところのある名前は、このような大胆で破廉恥なことでも、原田に搦手を使われてしまえばあっさりと受け入れてしまう。
今や彼女は恍惚に浸った表情で、彼のものを根元近くまでくわえこみ、硬く猛ったそれを何度もきつく吸い上げていた。
長い睫毛を伏せて、原田の下腹部の猛りに唇を寄せる名前の姿は、淫らでありながらも花々の蜜を吸う蝶のような可憐さで。原田は琥珀の瞳を溶かして、満ち足りた笑みを浮かべてしまう。
無防備な裸の身体に男物のワイシャツ一枚を羽織って、幸福そうに口淫に耽る年下の恋人の愛らしい姿に、すっかり魅入られてしまっていた。控えめで清楚な恋人が見せるあまりにも大胆で淫らな一面に、身の内の欲望がさらに煽られてしまった原田は、再び名前の後頭部に手をやった。そして。
「……もっと奥までしてくれよ、名前」
彼女が吸引をやめた瞬間を見計らい、原田は名前の首の後ろをぐっと前に押し込んだ。
「っ!!」
今度こそ本当に、名前は喉の奥までまで原田の猛りをくわえこまされる。名前のまなじりに再度、涙が浮かぶ。
当人の体格の良さに比例して逞しく存在感のある原田の肉の楔は、名前の小さな口内をこれ以上ないほどに満たし、今もこうやって押し込まれているだけなのに、名前は幸福のあまり快楽の頂点を迎えてしまいそうになっていた。
「んんっ…… っ……」
眉を寄せながらも溶けそうな表情で、自分ひとり寸前の快楽に浸り、愛撫が疎かになっている名前を、原田は甘く叱りつける。
「ほら、いつまでもただくわえたままじゃ埒が明かねぇぜ。でもまあ俺としては、これはこれで悪くねえんだが」
原田は改めて勃起した男のものをくわえながら、瞳を閉じて頬を染めている名前を見つめる。無防備な裸身に男物のワイシャツを羽織っただけの姿で、淫らな奉仕の虜となっている彼女の姿は、やはりたまらない可愛らしさで、これはこれでずっと眺めていたいようにも思えたが。やはり原田には男として先に進みたい気持ちがあった。
「このまま…… もう一度舐めたり吸ったり…… できるか?」
原田は名前の髪を撫でながら囁きかける。口調こそ甘く優しいが、内容は少しも甘くない。硬く猛った男のものを喉奥までくわえこんで行う口での奉仕は、息苦しさも相まってなかなか大変なことなのに。
このような無理強いをする人だっただろうか。名前は違和感を覚えるが、彼から漂う濃厚なアルコールの気配にあっさりと納得してしまう。さきほども寝室のテーブルの上に、ビールやチューハイの空き缶がいくつも置かれていたのを見たし、飲み会から帰ってきてさらに飲んだのなら、それなりの深酒なわけで、今宵の彼の様子が違うのはそのせいだろう。
それならと、名前は原田の要望通りに彼の猛りに口で奉仕し始める。歯を立てないように気を付けながら、吐息交じりに彼のものをきつく吸い、あるいは裏側の筋を舌先でなぞって、そのまま雁首の付け根を丁寧に舐めてゆく。
「ん、いいぜ…… そのまま、俺の方を見ながらしてくれ」
「……っ」
今夜の原田は、いつも以上に注文が多い。情欲に掠れた声で囁かれる淫らな願いは、まるで甘い魔法のようだ。油断するとつい流されてしまいそうになる。しかし名前はその魔法によってではなく自らの意思で、彼の願い通りに振舞っていた。
昼間は原田が名前の願い通りに。けれど夜はその逆だ。ベッドの上では名前が原田の願い通りに。名前が原田の願いを叶える番。
原田の猛りを口にくわえたまま、名前は彼を見上げた。少しだけ呼吸を荒くしながらも、穏やかな笑みを浮かべていて、けれど蜂蜜色の瞳の奥には危うげな火種が燻っている。
行為の最中の原田の表情だ。男の人なのにずるいほど色気のあるその表情。俯いているせいで赤茶の長い横髪は頬にかかり、それが作り出す陰影が、名前にはどうしようもないほど美しく思えた。
彼を見つめながらの口での奉仕は、恥ずかしくて仕方がないけれど、促されるまま続けているうちに、名前は不思議な心地よさを感じ始めてしまう。
愛する原田に自分自身の全てをさらけ出しながら淫らな奉仕を行う、尽くす悦びだ。こうやっていると本当に、自分は彼のものになったんだと実感する。女の部分を見せるのは原田の前でだけ。名前はまさに原田専用の所有物となっていた。
目じりを下げた原田に慈しむように見つめられながら、ご褒美とばかりに優しく髪や頬を撫でられて、甘やかされているうちに、名前はいよいよ口淫の愉しみに溺れてしまう。たったひとり夢中になって、とろりとした瞳で彼の猛りをきつく吸い上げる。
名前が原田の肉の楔の好い場所を舐めるたびに、あるいはしっかりと吸うたびに、彼のものが名前の口内で脈打ち、より大きく硬くなってゆく。その確かな手ごたえが嬉しくて、名前はさらに口での奉仕を続ける。
「名前っ…… っ……」
やがて。ついにこらえきれなくなった原田が眉を寄せ、切なげに彼女の名前を呼ぶ瞬間を目にした名前は、いよいよたまらない気持ちになってしまう。
「いいぜ…… っ…… そのまま……っ」
興奮に呼吸を浅くしている彼に欲望に掠れた甘い声で褒められて、名前の秘部もまた切なく潤う。彼の乱れる姿をもっと見たくなってしまった名前は、原田の肉棒をいっそうきつく吸いあげる。彼が感じている顔をもっと見たい、心地よさに喘ぐ声をもっと聴いていたい。
「っ…… 今日は随分…… サービスがいいんだな……」
いつもは余裕たっぷりの彼の、焦りをにじませた負け惜しみのような嫌味が妙に嬉しい。これまでは大人で経験豊富な原田に、いつも自分ばかりが喘がされていたから。
だからこそ。うっすらと汗を浮かべながら垂れた瞳を焦りに眇め、もたらされる快楽にじっと耐えている、その苦悶の表情すら愛おしかった。
愛しい彼が余裕をなくしている姿をもっと見つめていたくて、気取った仮面を剥ぎ取ってみたくて、名前は原田を見上げたまま、彼の猛りをさらにしっかりとくわえこみいっそう強く吸い上げる。充血しきった原田自身はいよいよ名前の口内でぴくぴくと跳ね、その硬さを増して反りあがる。
いよいよ限界が近い。具体的な言葉はなくとも、原田は自分自身の全てで雄弁にそう告げていた。瞳を伏せて眉を寄せ、唇を噛みながら。原田は名前の射出へのいざないに必死で抗っているようだった。
「つっ…… くっ……」
心地いいけど、営みを始めてすぐのこのタイミングでまだ出したくはない、ということなのだろうか。
しかし名前は、彼に出してほしかった。大人でいつも余裕たっぷりの原田を、自分だけの力で追い込んで、追い詰めて。彼を快楽の高みに行かせてやりたかった。悦楽の頂点を迎える瞬間の彼の姿を、その表情を、この目でつぶさに見届けたかった。
「っ…… 名前っ……」
原田の頬は興奮に淡く染まり、その呼吸はいよいよ早くなってゆき。吐息交じりの喘ぎにわずかな焦りがにじむ。
「つっ…… は…… 駄目だっ……」
荒い呼吸、熱く甘い喘ぎ。俯いた顔にきつく閉じられた瞳。額にはうっすらと汗が浮かび、寄せられた眉根には深い皺が刻まれ、長い赤茶の髪はわずかに揺れている。
男らしくも甘い、憂いと切なさを帯びた原田のその表情は、野性味と秀麗さという相反する魅力を合わせ持っていた。
「っは…… 名前……っ! もう……!」
原田はいよいよ感極まった様子で彼女の名前を呼んだ。まるで救いを求めるように。
彼の猛りはいよいよ名前の口内で限界を目指してぎちぎちと膨れ上がり、名前はそんな彼のものが口の中から逃げ出てしまわないように、硬く反りあがった彼の愛しい分身を喉の奥まで咥えこんだ。
(左之助さん……!)
屹立した彼の猛りを強い力で吸い上げながら、名前は胸の内で愛する原田の名前を呼んだ。すると、それに応えるように。
「名前…… 口、開けろ」
口を開ける? 原田の言葉の意味が一瞬理解できないが、名前は彼に命じられるまま口を開いた。
次の瞬間。口内から原田のものがずるりと引き抜かれ、そのまま名前の顔にどろりとした何かがかけられる。あたりに漂う独特の匂い。
「左之助…… さん……」
「すまねぇな……。まだ出さねぇつもりだったんだが」
先ほどまでの興奮から一転、冷静さを取り戻した原田は、なんとなく気まずそうにしている。何かを誤魔化すように長い髪をかき上げ、乱れた呼吸を整えようとしていた。
「お前のがあんまり良かったから…… つい、な」
ほんのりと赤く染まった頬で苦笑される。これは、敗北宣言なんだろうか。名前は顔に原田の白濁をべっとりとつけたまま、呆けた様子で彼を見つめる。
最中にこんなふうに照れる彼を目にしたのは初めてで、ほんの少しの間を置いて、名前の身の内から達成感にも似た喜びがわきあがる。
原田は瞳を閉じて額の汗を手の甲でぬぐいながら、ようやく呼吸を整えると、手近なところに用意してあったティッシュを取り、名前の顔にかかった白濁をふいてやる。
「……顔にかけちまったのは初めてだな」
なんだか申し訳なさそうな照れた様子で、原田は優しく丁寧な手つきで、自らの欲望の残滓を残さず彼女からぬぐいとった。
「……本当は全部飲んでもらいたかったんだが、それはまた次にするか」
「えっ……!?」
さも当然のように含みのある発言をして、にわかに慌てだした名前を原田はそのまま押し倒した。形勢逆転。原田はようやく主導権を取り戻す。
「っ、あの、左之助さん」
今度は飲むって、あれは飲むものなんですか。あたふたと尋ねてくる名前の質問には答えず、原田は唇を笑みの形に吊り上げる。
「……今度は俺が良くしてやるよ 名前。さっきのサービスの『礼』だ」
さっきのお返しとばかりに気合の入った表情で、原田は手近なところに置かれていた枕を掴み取った。
***
「あの…… 本当に私はいりませんから……」
「なぁに、遠慮するんじゃねぇよ。礼だって言ってんだろ」
「でも……」
「――今度はお前の番、だ。自分だけ逃げようとするんじゃねぇ」
「っっ!」
冗談なのか本気なのかわからない軽口を叩きながらも、原田は名前の頭の下に高さのある大きな枕をセットしていた。
感じている彼女の顔がより可愛らしく見えるようにという、主に自分のための配慮だ。名前はそれを知っていたが、渋々ながらといった様子で受け入れていた。
意外と子供っぽいところもある原田。こうなってしまった彼は名前の言うことなど聞いてくれない。支度を終えた原田は改めて名前を組み敷くと、大きな手のひらで彼女の裸身を撫で始めた。
「……ほら、今度は俺の好きにさせろよ」
「左之助さん…… っ! ……んっ」
名前の素肌を撫でる原田の節くれだった指が、彼女の胸の先をギュッと摘まむ。驚いた名前は瞳をきつく閉じ、びくりと身体を跳ねさせてしまう。
「あの……っ 左之助さん……」
普段の原田はこんな驚かすような触れ方はしてこない。不安になった名前は原田を呼ぶが、しかし彼は答えなかった。本心の読めない瞳でただ名前を見つめてくるだけ。
本当に『お返し』されてしまうのかもしれない。名前は先ほどの自分自身の行為を悔いるが、しかし心の奥には既にほのかな期待が生まれてしまっていた。
今夜はどんなことをしてもらえるんだろう。もたらされる快楽を前にした、浅ましくも甘美な女としての期待感。
原田は名前の素肌のなめらかさを楽しみながら彼女の下方に降りてゆくと、いよいよその言葉を口にした。
「……名前。足、広げてみろよ」
ほのかな酷薄さを感じさせる原田にそう命じられ、いよいよ名前の下腹部は甘く潤う。
「……ここ、もうこんなになってるぜ。口でするのが、そんなに良かったのか?」
「……っ!!」
まずはお約束の煽りから。原田は名前のその場所の入り口付近に触れながら、彼女にそう尋ねかけた。
名前のそこは既にぐっしょりと濡れていた。今夜はまだほとんど触れられていないはずなのに、先ほどまでの原田との淫らで密なやりとりのせいで、名前の秘所は今すぐに彼の猛りを入れられても平気なほどに。
「名前、ほら、言ってくれよ。言わねぇとずっとこのままだぜ?」
「っ……! 左之助さん……」
容赦なく自分を煽ってくる原田に名前は身体を固くしながらも、彼の望む答えと素直な本心を口にする。
「……良かったです、だから」
そこで一旦言葉を切ると、名前は改めて原田を見上げ。
「だから、早く入れてください」
左之助さんが欲しいんです。流れるように続けた名前に、原田は一瞬目を見張ると。
「……まいったな、そんなふうに言われたんじゃ、毒気が抜かれちまう」
お前はすげぇよと囁いて、原田は喉を鳴らして小さく笑った。先ほどまで彼を支配していた酷薄さやどことない冷たさが、溶けるようにして消えてゆく。
「……左之助さん」
「……だがなぁ、名前。お返しはしねぇが、礼はさせろよ?」
「えっ……?」
原田の発言の意味がわからず戸惑う名前だが、すぐに本人による解説が入る。
「まぁつまり……。ちゃんとお前も良くしてやるよ、ってことだな」
間を置かず、節くれだった原田の指が名前の秘唇の中に侵入してきた。
「っ……!」
名前は反射的に瞳を閉じる。しかし、痛みはほとんど訪れなかった。名前の潤ったその場所は、原田の指をいとも容易く飲み込んだ。
「……安心しろ。痛くはしねぇし、すげぇ濡れてるから、何されても痛みは感じねぇはずだ」
「っ……」
相変わらず、優しいのか優しくないのか。含みしかない台詞で自分を翻弄しようとしてくるいつもの原田に、名前は不思議な安堵を覚える。
さっきの酷薄な彼もぞくりとするほど格好よかったけど、やっぱり自分が好きなのは、いつもの明るくて優しい原田だ。大人だけど少しやんちゃで、男らしい……。
「だから…… ちゃんと俺にも愛させろ」
愛しくて仕方ない彼にこんな口説きをされてしまえば、もう拒めるはずもなかった。
「……しっかし、本当にビショビショに濡れてるよな」
名前の割れ目の内側を指で確かめるように探りながら、原田は煽るでもなく素直な本心を口にする。名前のそこはぐっしょりと濡れている上に熱く柔らかく、まさに準備万端といった状態だった。
「今日お前のここを触るのは今が初めてのはずなんだが……。本当に口でするのが良かったんだな」
妙にしみじみとした口調で愛する彼にそんなことを言われてしまい、名前は恥ずかしさのあまり頬を赤く染め、ぷいと瞳を逸らした。
こんなことになってしまったのは、自分ではなく原田のせいだ。感じている原田があんまり格好よかったから、自分も全力で彼の猛りに吸いついて、脚の間をぐしょぐしょに濡らしてしまいながら、口で奉仕してしまった。
原田が頂点を迎える瞬間の表情もとても格好よくて、これが見られるなら何度でも彼に淫らな奉仕をしたいとすら思った。
けれど、さすがにそんなことを原田に打ち明ける勇気はなく。名前は原田から目を反らしたまま、頑とした様子で口をつぐんでいた。彼女のそんな様子を見た原田は、しかし、自分ひとり何かを納得した様子で。
「……でもまあ、お前の新たな一面が見れてよかったぜ」
なぜか彼女を励ますようにそう言うと。名前のそこから指を抜き、原田は改めて彼女に覆いかぶさってきた。名前の脚の間に膝を割り入れて、楽しげに笑う。
「それじゃあ俺も、しっかり口でしてやるか」
「っ、左之助さん……!」
「ほら名前、もっと脚広げてみな」
「……っ!」
今更ながら、名前の胸に羞恥が込み上げる。けれどもう、後戻りなんてできるはずもなく、名前は頬を真っ赤に染めながら、原田の眼前で渋々と脚を広げたのだった。