レットイットスノー(R18)
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恋戦記は現在一部のお話のみヒロインの名前変換可です薄桜鬼とテニプリは名前変換可、刀剣乱舞はネームレス夢です
恋戦記小説について
現在一部作品のみ名前変換可にしていますが、ヒロインの下の名前「花」が一般名詞でもあるため「花瓶の花」などで巻き込み変換されてしまいます
それでも良い方は変換してお楽しみください。それがダメな方はデフォ名「山田花」でお楽しみください
すみませんが、よろしくお願いいたします
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「花ちゃんかわいい……。今日、普段より興奮してるね」
宣言通り。今まさに花は孟徳に困らされていた。こんな場所、つまりリビングのソファーで行為に及んでいる。孟徳は上機嫌なようだけど、花にはいまだに迷いがあった。
(こんな、なし崩しでいいのかな……。こんなところでしちゃう、なんて……)
けれど、こんな戸惑いや迷いも、孟徳から与えられる快楽の前には何の意味もなさない。
「……ああっ!」
花は甘い悲鳴を上げて、身体を大きく震えさせてしまう。いつもと違う場所で緊張しているせいか、ささやかな愛撫に自分でも驚くほど過剰な反応を返してしまった。これじゃあ孟徳を余計に喜ばせてしまうだけなのに。
「……いつもよりいい反応だね、花ちゃん。すごく気持ちいいって君の身体が教えてくれてる。でも、あんまり動いたらソファーから落ちちゃうよ」
「っ……!」
指摘されるまで忘れていた。今いるソファーは確かに大きいけどベッドほどの幅はないから、下手に動くと落ちてしまう。すると、孟徳が意味ありげに微笑んだ。
「――落ちないようにしてあげる」
「え?」
花があっと思う間もなく、孟徳は花の右の膝裏に手を入れて、花の右脚だけを上げさせると。そのままソファーの背もたれに引っ掛けて、花の脚を大きく開かせてしまった。
既に一糸まとわぬ姿にされていた。明るい中で無防備な秘部を晒されて、花の頬にさっと朱が走る。
「っ、こんな……!」
「うん、これで危なくない」
満足げに花の太腿に唇を寄せて、孟徳は薄く笑う。
「……っ!」
孟徳に太腿の裏を舐められるたびに、口づけられるたびに、花は甘く喘いで無防備な裸身をびくびくと震わせる。昼日向の明るいリビングで、こんなところをじっくりと愛されるなんて初めてだ。
「だ、駄目です孟徳さん、こんな……」
「……恥ずかしい?」
「恥ずかしい……。です……」
照明を落とした寝室でもダメなのに、こんなところでされてしまうなんて、花にとってはもはや罰ゲームだ。せめてもの抵抗で、花は自分の脚の間を片手で隠した。
リビングの壁を埋め尽くす巨大な窓にカーテンはなく、外の景色は丸見えで、こんな開放的な明るい場所で裸の身体を晒すのは初めてだったから、恥ずかしいやら辛いやらで、花はたまらない気持ちになっていた。
「……大丈夫だよ、そんなのすぐにどうでもよくなる。ほら、手をどけて」
「っ、でも」
「でもじゃないよ。ほら。――手をどけなさい」
「……っ」
孟徳の命令形はずるい。絶妙な威圧感で逆らえない何かがある。特に今日は自分に後ろめたさがあるからなおさら、弱みを握られているような錯覚を覚えてしまう。
花は渋々と手をどけた。既に下着も脱がされていたから、濡れた粘膜に外気が直接触れる感覚が、心もとなくも新鮮だった。眼前にようやくお目当てのものが晒されて、孟徳の瞳の奥に獰猛な輝きが宿る。
「……よくできました。それでいいよ」
無防備な花の裂け目を見つめながら、孟徳は彼女にさらなる要求を重ねる。
「身体、隠さないでね。顔も。ちゃんと全部、俺に見せて」
「孟徳さん……」
「……俺のお姫様はどこもかしこも可愛いね」
「っ!」
脚の間に不意に指先を伸ばされて、花は思わず身体を跳ねさせてしまう。反射的に右脚に力を込めたから、かろうじてソファーから落ちずに済んだが、これは心臓に悪すぎる。
けれど、ソファーの背もたれに掛けた右脚を今さら外すわけにはいかないから、花は羞恥に身を固くしながらも、脚の間の秘部をなぞる孟徳の指先に耐えた。
それにしても。熱く潤んだ粘膜を他人に弄られていると、なんだか不思議な気持ちになってしまう。自分の大切な場所を無防備に晒す心もとなさと、名状しがたい癖になるような開放感。
自分が今いるここは明るいリビングのソファーの上だというのに、孟徳の淫らな愛撫を受けるのが心地よくて仕方がない。
孟徳もまた花のそのような心の動きを理解しているようで、羞恥を煽るかのように意地悪な笑みを浮かべて尋ねてくる。
「……明るい中で、ソファーでこんなことさせられて、恥ずかしい?」
「……恥ずかしい、です」
「……うん。でも、それだけじゃないよね。恥ずかしいけどすごく気持ちいいなって。君は思ってるはずだよ」
「っ、そんなこと……。ないですっ……!」
「――嘘だね」
「……っ!」
「花ちゃんは本当にかわいいな。俺に嘘は通じないってわかってるはずなのにね。もっとよく見えるように、クッション使おうか」
「……っ、きゃっ!」
孟徳は近くの床に投げ置かれていたクッションを掴むと、花の腰の下に差し入れた。腰だけが急にせり上がり、花は小さな悲鳴を上げる。
「も、孟徳さんっ……」
先ほどよりもさらに恥ずかしい体位だ。生まれたままの姿なのに、孟徳の目の前で大きく脚を広げて、腰だけを高く上げさせられている。これでは無防備なその場所を孟徳に見せつけているみたいだ。
いよいよ切羽詰まってきた花は羞恥と戸惑いに顔を赤くするが、そんな彼女を孟徳はさらに追い詰めてくる。
「大胆な君も素敵だよ。これでもっと気持ちよくなれるね」
「っ、孟徳さ……」
「……たくさん愛してあげる」
「えっ、きゃっ……!」
ついに、花の秘部に孟徳が顔を埋め、そのまま孟徳は花の割れ目に舌を這わせ始めた。
「……っ!」
恥ずかしい悲鳴を上げてしまうのが嫌で、花はつい声を抑えてしまうが、やはり孟徳は許してくれない。
「……声、我慢しないで。いつも言ってるでしょ」
花の脚の間に吐息がかかると同時に、小さな裂け目に孟徳の指が入り込んできた。最初は中の様子を確かめるかのようにそっと探られて。
けれど、そこが充分濡れているとわかると、孟徳は容赦なく指を増やしてきた。まるで隘路を広げようとするかのように、孟徳の何本もの指が花の体内でばらばらと動かされ、独特の圧迫感に花は眉を寄せた。
「……っ!」
孟徳は花が感じてしまう場所など知り尽くしていて、そこばかりを巧みに攻めてくる。これ以上のことをされたら、どうなってしまうかわからない。みっともなく喘ぐ姿を彼に見せたくなかった花は、反射的に孟徳を拒んでしまった。
「……っ、やだ。……孟徳さん、やめて」
「嘘、本当はもっとしてほしいくせに」
「っ……!」
花は息を呑んで顔を赤くする。嘘が分かるという特技は卑怯だ。せめて、本当のことに気づいても、空気を読んで黙っていてくれればいいのに。
普段は甘く優しくても孟徳の本質はそうじゃないから、身体を重ねているときは特に意地悪ばかりされている気がする。すごく恥ずかしくて、すごく気持ちいい意地悪を。
「……っ。……ああっ」
花の内側で孟徳の指が動かされ、巧みに弱い場所を嬲り、薄く開いた花の唇からひっきりなしに甘く掠れた喘ぎが漏れる。
今まさに花は追い込まれていた。身体を満たす甘やかな痺れが心地よくて仕方ないけど、自分がどうなってしまうかわからなくて、恥ずかしくて怖い。けれど、やめて欲しいと頼んだところで彼がやめてくれるはずもないから、花はされるがまま孟徳の愛撫に無防備な裸身を委ねていた。
けれど、孟徳の指がついに花の秘部の突起に触れた、そのとき。
「っ、そこ、だめ……!」
「――とっても恥ずかしいけど、すごく気持ちよくて、本当はもっとしてほしいときに。ダメって言っちゃうのは君の癖なのかな」
淫らな情熱をその瞳に宿しながらも、あくまでも表面上は穏やかに孟徳は花を煽ってくる。『俺を拒もうとするなんて許さないよ、花ちゃん』そんな声が聞こえてきそうだ。
やはり、孟徳に隠し事など不可能だ。全てを見透かされてしまう。
「っ……!」
「恥ずかしがってつい『ダメ』って言っちゃう君もかわいいけど、俺はそろそろ欲望に素直な君も見てみたいんだけどな」
大人の男らしい余裕たっぷりの笑みを浮かべ、孟徳は花の濡れた割れ目にふっと息を吹きかけた。
「……きゃっ!」
花は小さな悲鳴を上げて、高く上げていた腰をひときわ大きく跳ねさせる。まるでいたずらっ子の少年のような孟徳の振る舞いに、花の瞳に生理的な涙が浮かび始めた。
ただでさえ明るいリビングのソファーで、あまりにも淫らで大胆な姿勢を取らされているというのに、大事な場所を弄ばれてこんなふうにからかわれたら、本当にただの罰ゲームだ。
「やめてください……。孟徳さんっ……」
「ダメだよ。……ほら、素直になって。俺を欲しがって見せてよ。花ちゃん」
「っ、欲しがるって……」
「『もっと気持ち良くしてください』って、言ってみて」
いつもなら、花がここまで拒めば『仕方ないな』と苦笑して攻め手を緩めてくれるのに、今日の孟徳は違った。あくまでも言わせようとしてくる。
まさに「言ってくれるまで逃がさない」という構えで、この状況で押し問答をして孟徳に勝てる気がしなかった花は仕方なく、求められた通りの言葉を口にした。
「もっと、気持ち良くしてください……。孟徳さん……」
「うん、今のは嘘じゃないね。君の本当の気持ちだ」
「……っ!」
嫌味なほど明るく満足げな孟徳の笑みに、花は悔しさを覚えてしまう。孟徳はやっぱりずるい。こんなのって卑怯だ。
どんなに頑張っても逃げきれなくて、結局彼の好きにされてしまう。笑顔で押しの強い彼に、いつも根負けしている気がする。これも惚れた弱みなのか。
「ちゃんと言えて偉かったね。これからは、たまにはそう言って? ……じゃあ、お望みどおりに良くしてあげる」
「えっ……。きゃっ……!」
再び、孟徳が花の脚の間に顔を埋めてくる。今までもしっかりと愛されてきたけど、今度の彼は容赦がなかった。花の裂け目の先端の突起を直接舌で舐めてくる。
「……ああっ! ……んっ!」
一切の手抜きのない孟徳の巧みな口淫に、花の唇からひときわ甲高い喘ぎが溢れる。もう、溶けてしまいそうだ。包皮を剝かれた無防備な突起を舌で刺激されながら、濡れた裂け目に差し入れられた何本もの指を動かされる。
くちゅくちゅといういやらしい水音に快感をさらに煽られて、今まさに孟徳に愛されている場所からじんわりと広がってゆく甘い痺れに、花は無防備な肉体の全てを支配されてゆく。
「っ……。孟徳さんっ……」
自分の脚の間に顔を埋めている孟徳の柔らかな髪の毛が、太腿の内側に当たってくすぐったい。花は甘やかな快楽に震える声で孟徳を呼ぶが、孟徳は返事もせずに花の秘部に奉仕を続けた。
「っ……! んんっ……!」
このままでは、本当に理性を手放してしまいそうだ。孟徳に脚の間を舐められながら、花は心の内で叫んだ。
『気持ちいい……。すごく気持ちいいから、もっと……』
とはいえ、言葉の真偽を見抜ける孟徳の前でこの言葉を口に出す勇気は、今の花にはなかった。
「あっ……。ああっ……」
何かをこらえるかのような喘ぎが、ひっきりなしに唇から溢れる。高く上げさせられている腰を小刻みに震わせながら、花は甘い快楽に身悶えた。
ソファーから落ちてしまわないように、背もたれにかけた右脚にぎゅっと力を入れる花だが、すると自然に孟徳の眼前でよりいっそう脚を大きく広げる形になってしまう。
これではまるで、さらなる愛撫をねだっているかのようだ。無意識のうちに孟徳を喜ばせる振る舞いばかりをしてしまって、花はますます追い込まれる。
「……っ、孟徳さんっ……」
目が眩むほどの快楽に泣き出しそうになりながら、花は孟徳の名を呼んだ。まるで彼に救いを求めるかのように。
これまでの孟徳の執拗な愛撫で、花はたまらない気持ちになっていた。早く自分の秘部を孟徳の楔に貫かれたい。そして、散々に揺すぶられて容赦なく嬲られたい。
「花ちゃんかわいい……。今、すごく女の子の顔してるよ。ねぇ、もっと『気持ちいい』って、言ってよ」
「っ……」
先ほどのやりとりのせいか、まるで悪い魔法にかかったかのように逆らえない。恥ずかしい言葉を口にするとすごく気持ちよくなれるんだって、孟徳に教わってしまったから。その快感をもう一度味わいたくて。
「すごく……。すごく、気持ちいいです……。こんなの初めて……っ」
大きく開いた脚の間からさらさらとした蜜を溢れさせながら、花は潤んだ瞳で孟徳に訴えた。嘘が分かる彼なら、自分の浅ましい本心を見透かしてくれるだろう。
今はもうなけなしの理性も羞恥心も、全て孟徳に溶かされてしまった。愛しい彼に自分の淫らさの全てを見抜いて欲しかった。
「……君の本音が聞けて嬉しい。やっと素直になってくれたね」
満足げな笑みを浮かべて、孟徳は瞳を細める。どこまでも高慢な支配者のような彼に、いやらしい振る舞いを褒められてしまった。
これじゃあまるで犬のしつけだ。『いいこと』をしたらご主人様に褒められて、その行動を強化させられる。けれど、孟徳が喜んでくれるならそれでもいいと思えてくる。
(……気持ちよかったら、気持ちいいって伝えてもいいんだ……)
裸の身体を孟徳に好きに弄られながら、花は心地よさに朦朧とした頭で思考する。
初めてが孟徳だから、男の人と『そういうこと』をしているときにどう振る舞えばいいのかなんて、わからないけれど。孟徳が望むなら、これからはもっと自分に素直になろう。そう決めたら心がすっと軽くなった。
「っ、孟徳さん。もう……」
「……なあに?」
「指じゃなくて……。孟徳さんが欲しいです……」
てらいなく自然に、そして素直に、花は孟徳自身を求めてしまう。
「……うん、わかった」
薄い笑みを浮かべて花に応じると、孟徳は近くのテーブルの上に置いていた正方形の個包装を手に取って封を開け、充血しきった自身の楔に装着する。
「……っ」
明るい室内でその姿を目にした花は羞恥と動揺に目を見開くが。
「――じゃあ、入れるね」
花の返事は待たずに、孟徳はそのまま彼女の秘部に押し入った。
***
「やっと、君の中に入れた……。温かいね。すごく癒される……」
腕の中の花を愛おしげに見おろしながら、孟徳は唇の端を上げた笑みを浮かべる。その一方で花は挿入の圧迫感に返事ができずにいた。
「っ……!」
しばらくすれば慣れるけど、入れられたばかりはやはり苦しくて、世の中の女の子たちはみんなこれに耐えているのかと思うと、尊敬してしまう。
けれど、しばらく経ってようやく慣れてきた花は、そっと孟徳を仰ぎ見た。
まだ怒ってるのかなと思っていたけど、孟徳の表情は意外なほど柔らかかった。まるで何かの幸せに浸っているかのような、恍惚とした……。先ほどまでの異様な緊張感が和らいで、ようやく穏やかさが戻ってきたような気がする。
よかった、花は心の内でそっとつぶやいた。孟徳の心の機微はわかるようでわからないけど、気持ちが安らいでくれたなら何よりだ。
「じゃあ、動くね……?」
孟徳にそう宣言されて、ソファーのシートの上で花は孟徳と再び抱き合った。花の身体に孟徳の身体の重みがかかる。
けれど、先ほどのようなのしかかられて押しつぶされるようなものではなく、孟徳の逞しい腕や身体に包み込まれているかのような優しいものだ。自分とは違う温もりに幸せな気持ちになる。今日も彼の身体とその愛に溺れていたい。
「っは……。やっぱりソファーは狭いね。なかなか動けないな……」
孟徳はかすかに苦笑すると、少し困ったような戸惑ったような様子でつぶやく。ソファーのシートの上はベッドより幅が狭いから。場数を踏んだ大人の孟徳がこんな感想を漏らすのが新鮮で、花の胸の鼓動は高鳴る。
「……花ちゃんも落ちないように頑張って」
そう口にして、花のソファーの背もたれに掛けている右脚を撫でると、孟徳は腰を揺らし始めた。
ソファーから落ちないように動こうとすれば、動きも自然と普段と違ったものになる。普段ベッドでしているときよりもぎごちなく、けれどそれが花をいつも以上にドキドキさせてしまう。
クッションの上に腰を乗せて秘部を高くつきだしているから、孟徳のものがいつもより違った角度で花の深くまで入り込んできて、そして出ていく。
「あっ……。っ……」
いつもと違う挿入の心地よさに浸りながらも、花は右脚に力を入れてソファーの背もたれを挟むようにして、大きく脚を広げていた。その姿はまるで、孟徳の肉の楔を自分自身のより深くまで、招き入れようとしているかのようだ。
ソファーから落ちないようにこうしているだけなのに、自分からこんな恥ずかしい体位を取ってしまうなんて。しかし今さらやめるわけにもいかず、花は己の淫らさをソファーの狭さのせいにして、孟徳の律動に無防備な身体を委ねていた。
「ああっ……。んんっ……」
孟徳の充血しきった肉の楔が隘路から引きずり出されるたびに、身体の奥からは痺れるような心地よさがこみ上げて、花は甘やかに喘ぎながらその快楽に浸った。ソファーの上での愛の営みは予想以上に新鮮だった。
(っ、すごいよぉ……。こんなの、初めて……)
腰の下にクッションを入れて秘部だけを高く突き出して、大きく脚を広げて、いつもと違った角度から挿入されて、孟徳の少しぎごちない抜き差しを楽しむ。入れられる角度が違えば、当たる角度も得られる快楽も違ってくる。
(ちょっと苦しいけど、溶けちゃいそう……)
ずっとこの心地よさを味わっていたい。花はそんな幸福に浸りながら、無防備な肉体を孟徳の好きにされていた。
明るいリビングでしているから、自分のあられもない姿や孟徳と繋がり合っている部分も全て、彼に見られているだろう。
最初は恥ずかしさばかりが先に立ったけど、今となってはその視線が心地よい。自分のいやらしい姿の全てを孟徳の眼前に晒して、彼の熱を帯びた視線を全身で感じていたかった。
しかし、不意に孟徳の抜き差しが止まる。
「……?」
花が不審に思って見上げると同時に、孟徳が覆いかぶさってきた。そのまま耳元で囁かれる。
「……花ちゃん、すごく気持ちよさそうだね。どんなふうにいいのか、教えてよ」
「っ、孟徳さん……」
「ほら、教えて?」
「……っ」
改めて尋ねられると今更ながら恥ずかしくなってくる。孟徳に愛されながら自分ひとりで快感を追うのと、こうやって孟徳に確かめられながら心地よさを追うのは、やっぱり違うから。
「いつもより、角度が違って……。深く入ってくる感じが……」
「……良かったの?」
明らかな誘導尋問だ。孟徳はよほど花に淫らな言葉を口にさせたいらしく、それは花にも容易に察せた。けれど、さきほどそれを口にしたら孟徳は喜んでくれたから。
「……すごくよかった。……です。ずっと、されたかったくらいに……」
あまりの恥ずかしさに花の身体がわずかに震え、頬に朱が差し、全身が火照ってゆく。脚の間にもじんわりとした心地よさが広がって、花は思わず腰を甘く揺らしてしまった。
孟徳に望まれるまま淫らな言葉を口にするのは確かに心地よいけれど、やはりまだ慣れない。孟徳にとっても自分にとっても、いやらしい本心を言葉にした方が良いとわかっていても。
気持ちいいときは気持ちいいと伝えるというのは、経験の浅い花にとってはまさに羞恥との戦いだったが。
「……そっか」
花の予想以上に孟徳は嬉しそうにしてくれた。表情を見ずとも雰囲気で察せられる。嘘のわかる孟徳だから、花の発言が真実だということもわかったはずで、こんなに喜んでもらえるなら、頑張って良かったと花は安堵する。
やはり、まだ二十歳の女の子。花の心の内にはいまだにこんな淫らな振る舞いをしたら引かれるんじゃないかという、根深い不安があったから。けれどそれも、孟徳の甘やかな優しさによって薄れていく。
「……俺も、すごくよかったよ。花ちゃんの中、いつもよりずっと濡れてて温かいし」
孟徳は相変わらず優しいが、花は改めて恥ずかしくなってしまう。顔を赤くしてもじもじとする花だが、孟徳は大人らしい穏やかさで続ける。
「ソファーでするの新鮮だね。ベッドより動きにくいけど、それが気持ちいいし……。あと、すごく開放感がある」
「え……?」
開放感ってなんだろう。不思議に思った花だが、孟徳はすぐに答えをくれた。
「わからないなら教えてあげる」
そう囁かれてすぐ、花はあっと思う間もなく孟徳に抱き起こされた。
ソファーの背もたれに掛けていた右脚を下ろされて、逞しい腕でぐっと抱え上げられ、そのまま孟徳と正面から抱き合う格好で、花はソファーに座らされた。孟徳はソファーの背もたれに背中をつけて、花は背もたれと向かい合う格好だ。
「……ほら、花ちゃん。窓の外見てよ」
促されずとも、もう目にしていた。なにせ自分の目の前には窓しかないのだから。
「わ、すごいです……」
孟徳と生まれたままの姿で抱き合いながら、彼の肉の楔で己の秘部を貫かれながら、花は窓外の景色に見とれた。
タワーマンションの高層階の大きな窓から見える昼間のビル群。薄曇りの空からはいつの間にか雪が降り始めていた。カーテンも降りてないから、孟徳の言う通りすごく開放的だ。花にとっては展望台のような見晴らしで、ここがマンションのリビングだと忘れてしまう。
愛の営みのさなかに、一糸纏わぬ姿で抱き合って繋がり合ったまま、恋人と窓の外の景色を楽しむなんて、一体何をしているのかという感じだけど。美しい真冬の光景に心を奪われている花は、自らの状況を振り返る余裕もない。
「……雪、綺麗ですね」
裸の孟徳にしがみついたまま、花は心からの賛辞を口にする。すると、お約束のような言葉が返ってきた。
「そうだね。でも君の方がずっと綺麗だから」
孟徳は相変わらずだ。口の上手さは天下一品。
「っ、またそんなこと……」
「いいじゃない、本当のことだし。俺に抱かれているときの君は、外の景色なんかよりずっと綺麗だよ」
「孟徳さんっ……」
臆面もなく、言いよどむこともなく、歯の浮くような賛辞をくれる孟徳に、花は自分の状況を思い出して顔を赤くした。一体自分は何をやっているのだろう。孟徳に水を向けられて、花は現実に引き戻される。
タワーマンション高層階の窓外の雪景色は、花にとってはまだ現実味が薄いけど。孟徳の腕に囚われている裸の自分は紛れもなく現実だ。充血した孟徳の楔はいまだに固さを失わず、向かい合って抱き合う形で、花の裂け目を深々と貫いている。
花も孟徳も一糸まとわぬ無防備な姿だから、先ほどまでのぎこちなくも激しい行為で上気したお互いの素肌や、孟徳の逞しい身体や温もりに生々しい肉感を感じる。
今日は明るいリビングでしていて、お互いの秘められた部分も照明の下に晒されているからなおさらだ。ほんの少し視線を下におろせば、まさに孟徳の肉の楔をくわえこんでいる自分のその場所が、目についてしまう。
「見晴らしのいい場所でするのって非日常感あっていいよね。なんか高まっちゃうよ」
「っ、孟徳さんのバカ……。外からは見えないんですよね……?」
孟徳のあからさまな物言いにむくれながらも、花は不安になってしまう。
すぐ近くに同じくらいの高さのビルがあるわけじゃないけど、まだ昼間で周囲は明るいのに、カーテンのない巨大な窓のすぐそばで、彼氏との愛の営みに夢中になっていただなんて自分が信じられない。
室内の照明も眩しいほどだから、ここが建物の一階だったらと思うと恥ずかしさに消えてしまいたくなる。
無色透明なガラス一枚隔てただけで、中からも外からも丸見えだから、昼日向の道端で孟徳との愛の行為にのめりこんでいる姿を、彼の肉の楔で自らの秘部を貫かれて快楽を得ているあられもない姿を、多くの人々に見られてしまったはずだ。
しかし、花の女の子らしい懸念に対して、孟徳は『なんだそんなこと』といった様子で苦笑した。
「見えないよ。大丈夫。……俺が君の一番かわいい姿を、他の男の目に触れさせるわけないじゃない。見せつけるにしても嫌だし」
後半どこか不穏な気配を感じた気がするけど、花は努めて気にしないことにした。すると、孟徳が自分の膝の上の花を見上げてきた。
「それじゃあ花ちゃん、このまま自分で動いてみて? できないならやってあげるし……」
花の裸の腰をなでながら、孟徳はいけしゃあしゃあと甘いおねだりをしてくる。相変わらず甘え上手で押しの強い孟徳に悔しい気持ちになるけど、彼に任せたら何をされるかわからないから。
「じ、自分でします……っ」
花はムキになってそう答えた。
「……うん。……じゃあ、してくれる?」
なぜか意地になっている様子の姫君に孟徳は主導権を渡してやった。ソファーに座っている孟徳に跨って花が動くという体位だ。
「んっっ……。つっ……」
不慣れなはずなのに、ぎごちないながらも一生懸命に腰を動かしてくれる花に、孟徳は愛しさを募らせる。愛の営みの最中ですら、こうやって自分のできること全てで頑張ろうとしてくれる姿勢が嬉しい。
花がいつも以上にぎゅっと抱きしめてくれるから、花が腰を揺らすたびに形のよい胸の膨らみが孟徳の顔に押しつけられ、彼女の意外なほどに積極的な動きで、ソファーのシートがときおりきしんだような音を立てる。
(……言ってみるもんだよな。予想以上じゃないか。すごいご褒美だ)
花の胸の谷間に顔を埋めて、マシュマロのような柔らかさを堪能しながら、孟徳は男としての喜びを噛みしめた。文若と喧嘩になりかけたときは最悪だったけど、今は最高の気分だ。
(怪我の功名とはこのことだな)
文若に感謝はしないけど、きっかけをつくってくれたことに礼を言ってもいい気がしてきた。
今日の花はシチュエーションに興奮しているのか、やけに大胆で己の欲求に忠実で、孟徳はそんな彼女が快楽に集中できるように、細い腰をさりげなく支えてやっていた。
花の動きはぎごちなくて単調だけど一生懸命で、孟徳に快楽を与えようとしながらも自らも気持ちよくなろうとしていて、その姿がすごく嬉しく思えた。
恋した女に男として必要とされる喜びなんて、知っていたつもりだったけど、いざ花にそういった意味で切実に求められると、改めて満ち足りた気持ちになる。
可憐な初花の綻ぶ様を見届ける喜びは、花と出逢って初めて知ったものだ。孟徳が花を見上げながら物思いに耽っていると、不意に声を掛けられた。
「……孟徳さん、気持ちいいですか?」
「うん、すごくいいよ」
心の中では別のことに気を取られていても、孟徳は反射的に甘い笑顔で適切な返しをする。これまでの数多の経験で培われた抜群の反射神経と外面の良さだ。
たとえ相手が花であっても、こういうときに無駄な隙など少しも見せない。それが孟徳の男としてのプライドだった。そしてこれを機会に、孟徳は花に腰の動かし方を教えてやった。
「すごくいいけど、ここはこう動いてくれた方が、もっと嬉しいかな……」
「こう……。ですか……?」
「うん、上手。……これでもっと気持ちよくなれるよ。もう一度動いてごらん」
花は孟徳に教わった通りに、腰を上下に揺すり始めた。自分の腰を孟徳の楔が抜けきらないぎりぎりのところまで浮かせてから、すとんと落とす。花の自重も手伝って、充血しきった孟徳の肉の楔が花の最奥をひといきに突き上げる。
「ああっ……! んっ……」
先ほどよりも強い刺激に眩暈がしたのか、もうたまらないといった様子で花はぎゅっと目を閉じてしまう。同時に花の脚もきつく閉じられて、孟徳は花と繋がったまま、膝の上の裸の彼女にしがみつかれる格好になった。
これはこれで密着度が高くて嬉しいけど、大好きな花の瞳をもっと見ていたかった孟徳は、おもむろに水を向けた。
「……花ちゃん。外の景色、見てみてよ」
素直な花は言われるままにゆっくりと目を開ける。
「あっ……」
「せっかくこんなところでしてるんだから、外の景色もちゃんと楽しんで」
焦点を失ったとろんとした瞳だったが、花は窓外の光景に釘付けのようで、孟徳は苦笑する。花にとってはまだ非日常の美しい景色なのだろう。自分にとっては見慣れたいつもの風景でしかなかったとしても。
孟徳は花が逃げないように、彼女の腰をさりげなく掴んで自身の楔の真上に固定させてから。
「……花ちゃん、かわいいよ。もう溶けそうって顔してる。俺の上で腰を揺らすのそんなに良かった?」
「はい……」
「そっか」
返答を渋られるかとも思ったが、今日の花は不思議なほど素直で、恥ずかしそうにしながらも嘘のない言葉を聞かせてくれた。
花がこんなにも大胆な発言をしてくれるなんて、しかもこれが掛け値なしの本心だなんて、まさに男冥利に尽きる。可憐な姫君に頑張って尽くした甲斐があった。
素直な花にもっと淫らな言葉を言わせてみたい気もしたが、そろそろ自分も我慢できなくなってきた孟徳は、花を見上げると。
「……ね、今度は俺が動いてもいい?」
花の返事は聞かずに、孟徳は花の腰をしっかりと掴んで自分の腰を上下に揺らし始めた。
「っ……」
花の呻くような甘い喘ぎが、孟徳のすぐそばで零される。孟徳の逞しい身体にしがみついたまま、彼の容赦ない突き上げに耐えている花は、やはり苦しげな様子だったが。今の孟徳に攻め手を緩めるつもりはなく、花の熱く濡れた隘路を孟徳は容赦なく突き上げ続ける。
純粋でかわいらしい花を、こんなところで好きにできるなんて最高だ。照明を落とした寝室で大切に抱くのもいいけど、明かりをつけたまま適当な場所で存分に抱いて、ひたすらに快感を追う行為も孟徳にとっては久しぶりの楽しみだった。
いつもと違う場所でなしくずしに抱かれて、戸惑いながらも快楽に流されて変化していく花を眺めるのも、意外なほどに面白かった。
好きな男に雑に抱かれて感じてしまう女の子は案外多い。そして孟徳もまた、ストレスがたまったときなどは、そういう楽しみ方をしたいときがあった。
けれど花だけは、きちんと大事にしなければならない女の子だ。そんなことはわかっているけど、それでも孟徳は今日の行為で彼女をベッドに連れて行くつもりはなかった。
「……最後は、床でしちゃおっか」
「っ……!」
「ラグ、ひいてるから大丈夫だよ」
緊張に身体を固くする花を適当に宥めてから。孟徳は再び花を抱え上げて床に寝かせて、そのまま覆いかぶさった。
花が寝かされている白いラグは毛足の長い上質なもので、シーツの上を彷彿とさせたが、花はまだ戸惑っているようだ。
「ここで、しちゃうんですか……?」
「最後、出すのにソファじゃさすがに狭くてさ」
穏やかに苦笑して孟徳は言い訳をする。
「ベッドまで行くのも惜しいし、今日はここで最後までしちゃおう? ……もう、我慢できないんだ」
もう我慢できないと、そう口にすれば許されると経験で知っていたから、孟徳はそのまま花を抱き込んだ。
「もっと俺の身体に脚を絡めて、腰を上にあげてみて……? うん、上手」
「……っ」
細かく指示を出して花の腰をしっかりと上げさせれば、二人の身体の密着度はより高まり、挿入はいっそう深くなる。
肉体の最奥まで貫かれる苦しさに身を固くする花の緊張を解いてやるべく、孟徳はいたずらっぽい笑みを浮かべると。
「このラグ真っ白だけど、汚しても洗えるやつだから安心して」
「っ!」
「力抜いて、全部俺に任せて……。花ちゃん……」
「……っ、孟徳さん」
そのまま、孟徳は花の手指を恋人繋ぎで握り込んだ。
視界に入るのは孟徳のマンションのリビングの天井で、花にとっては驚くほど新鮮だった。
身体を重ねるときは、いつもどちらかの家の寝室で周囲も薄暗かったのに。今は周りも明るくて、顔を少し横に向ければテーブルや家具の脚が目に入るのかと思うと『こんなところでしちゃってるんだ』という倒錯的な興奮を覚えてしまう。
床でするのも初めてで、花は新たな快楽を教えられた思いだった。場所を変えただけで、こんなにもドキドキできてしまうなんて。
孟徳はずっと年上だからか、花の知らない色んなことを知っていて、特に男女の営みに関しては花は孟徳から教わる一方だった。けれど……。
「……っ」
不意に背中に軽い痛みと心地よさを覚えて、花は眉を寄せた。孟徳の動きが激しいせいだけど、その痛みすらも興奮に変えてしまえるのだから、どうしようもない。己の浅ましさを自覚して、花はさらなる快感を得てしまう。
孟徳と繋がり合っている場所からは、先ほどからずっと淫らな粘液の音がし続けている。太腿を液体が伝う感触をつぶさに感じて、今更ながら花は恥ずかしくなってしまう。
ラグは汚れても洗えるって言ってたけど、白いラグは小さな染みでも目立ちそうだから、本当に汚してしまうのは憚られた。けれど、自分の中から溢れてしまうものはそう簡単には止められない。
(っ、汚したくないのに、汚しちゃう……)
けれど、そうやって意識すればするほど身体は淫らに反応してしまう。ぐちゅぐちゅといった水音も恥ずかしくなるほど大きくて、花は自分の内側がさらに熱く濡れていくのを感じていた。
「……っ、花ちゃん、すごいね。やらしい音がする。……本当に、ラグ汚しちゃいそうだね」
「っ、孟徳さんの……。せいです……」
「……そうだね。……たくさん汚してくれていいよ。花ちゃんがいっぱい感じてくれて、すごく嬉しい」
欲望の熱を帯びた瞳で花を見おろし、孟徳は満足げな笑みを浮かべる。
「それじゃあ、とっても良くなってる俺のお姫様の中に……。出しちゃうね」
にわかに孟徳の腰の動きが早くなったが。何を思ったのか孟徳は不意に速度を緩めたり、かと思えば早くしたりを繰り返してきて、そのたびに花の小さな裂け目からは淫らな蜜が滴ってしまう。
(……孟徳さんの、意地悪……)
さっきはすぐ出すと言ったくせに。孟徳は間違いなくわざと時間をかけて花を嬲って、花の蜜が溢れるようにしている。
しかし、今の花にはどうしようもない。抵抗することも拒むこともできず、ただ孟徳に愛されるままに、自身の淫らさの全てを溢れさせていた。真っ白なラグはわずかな染みも目立つのに、止められない。止めたくない。
またしても、花はこの倒錯的な今の状況に興奮してしまっていた。ラグを汚せば汚しただけ、あとから孟徳にからかわれるのがわかっているのに、だからこそ沢山汚してしまいたかった。
現実の孟徳の激しい突き上げを受けながら、花は脳内で事後の彼を夢想する。
『――いっぱい汚しちゃったね。そんなに気持ち良かったんだ』
『――こら、まだ終わりじゃないよ。俺のことも楽しませてよ……』
脳内の孟徳に無垢な心を嬲られながら、現実の孟徳に真っ白な裸体を嬲られる。
「っ……。ああっ……!」
あまりの心地よさに悶えるように喘いでしまう。こんなにも良くなれたのは初めてかもしれない。もっと、もっと気持ちよくなりたい。そして、自分自身の無防備な素顔の全てを孟徳に知ってもらいたい。
「ああっ……。んっ……」
孟徳の逞しい身体にしがみつきながら、花は彼の肉の楔を呑み込んでいる自身の小さな裂け目から、蜜が滴るようすを空想する。
そのうちに。あまりに良くなってしまった花は、いつしかそのまま果ててしまった。同時に花の隘路がぎゅっと狭まり、つられるように孟徳もまた彼女の中で吐精した。
全てを終えてすぐに、孟徳が毛布を持ってきてくれた。マンションの室内はエアコンが効いているとはいえ、今は冬だから暖かくしておいた方がいい。
花は先ほどまでの営みの疲れを癒そうと、ソファーの上で毛布にくるまってじっとしていた。孟徳はといえば上半身裸で下着とボトムスだけを身につけて、床に敷いているラグの上に直接腰を下ろしていたのだが。
「……あっ、花ちゃん見てこれ。本当に染みがついてる」
どこかはしゃいだような口ぶりで、孟徳はラグのある部分を指さしながら、ソファーに座る花を見上げる。
「えっ……!?」
「……これも花ちゃんが俺に感じてくれた証かと思うと、すごく嬉しいな」
「っ、孟徳さん……」
「記念にそのままにしとこうかな。かわいい染みだよね~」
「ちょっ……! やめてください……!」
なんとなくわかっていたこととはいえ、実際に孟徳本人に言われてしまうと恥ずかしさが先に立つ。花は頬を染めて彼を止めようとしたが、やはり聞く耳を持ってもらえない。
「よく見ると他にもあるよ。花ちゃん濡れてたもんね。探してみようかな……」
「孟徳さんっ……!」
「ここと、そこと、あそこと……。あっ、こんなところにもある」
「……っ!」
「沢山汚しちゃったね、花ちゃん。……すごくかわいい」
すっかり機嫌を良くした孟徳はソファーに乗ってくると、花を毛布ごと抱きしめた。
はたから見ればいい歳をした大人の男が、半裸で大きな毛布の塊に抱きついているという妙な光景だが、孟徳がやるとそんなことでもさまになってしまうのが面白い。
「……ねぇ、もしかして君って濡れやすい?」
「わかりません……」
「濡れやすいのはいいことだよ。……これからも俺で感じて気持ち良くなって」
甘いやりとりだ。上機嫌の孟徳は花がくるまる毛布にキスをして、重ねて尋ねてくる。
「……ベッド以外でしたの初めてだよね。興奮しちゃった?」
「しちゃい、ました……」
「そうだよね、あんなに汚しちゃうくらいだもんね」
「っ……!」
「俺も頑張った甲斐があったな~。お姫様にはちゃんと楽しんでもらわないと。……景色も綺麗だったよね」
「……そう。……ですね」
さすがに羞恥に耐えられなくなってきた。花の口数が自然と少なくなる。
「繋がったまま窓の外の雪を眺めたり、そのまま床でしちゃったり新鮮だったね」
「新鮮でした、けど……」
「けど?」
「孟徳さんは初めてじゃないんですよね。ソファーでしたり、とか……」
言いにくそうにしながらも、そんなことを尋ねてくる花に、孟徳は思わず苦笑してしまう。すねた様子もかわいいけど、なぜ言わせようとするのか。
「なんでそんなことを聞くの、君は」
事後の甘い余韻を自ら積極的にぶち壊してくる年下の恋人に、孟徳は改めて彼女への恋心を募らせる。やっぱりこの子は面白い。いつまで経っても変わらない。
はぐらかしてもよかったけど、この子には嘘はつかないと約束しているから。
「……うん、初めてじゃないよ。でも、君としたのは初めてだったし。――俺の初めては君じゃないけど、君は俺の最後の女の子だよ。俺の現在と未来は全部君に捧げられてるから、それだけは忘れないで」
ことあるごとに、孟徳は同じような言葉を口にしていた。最初は花を安心させるためのリップサービスかと思っていたけど、もしかしたら彼なりの誓いなのかもしれない。
あえて何度も口に出して、思い出しては噛みしめるのだ。恋に落ちた瞬間のときめきや、想いが通じ合ったときの幸せを、忘れてしまわないように。永遠のように繰り返される日常の中で、大切な想いが色褪せてしまわないように。
孟徳の彼なりの誠意を感じ取り、花もまたこの人にふさわしい自分でい続けようという誓いを新たにする。すると、花の返事がないことにすねたのか孟徳が甘えた声で尋ねてきた。
「……ねえ君は? 君の今と未来は?」
こんな彼をかわいくて仕方ないと思ってしまうあたり、自分も相当にやられている。きっと永遠に恋をしている。だいぶ年上でわがままで甘えん坊な、曹孟徳という唯一無二の存在に。
「……孟徳さんのものですよ。私の今とこれからも、孟徳さんだけのものです」
花は孟徳の目を見つめる。彼にはこれだけで伝わると知っていたから。
「ならよかった」
幸せそうに孟徳は笑う。どこか安心したような彼の様子に、花はようやく安堵したのだった。
***
そして後日。通っている大学近くの花の独り暮らしのマンションで。
玄関土間に置いてあるポインテッドトゥの甲浅のパンプスを見つめながら、花は小さく息を吐いた。あの一件の翌日に本当に買ってくれた、孟徳からの贈り物だ。
さすが孟徳が選んだだけあって、華奢で繊細なイメージながらもストラップつきで脱げにくく、
ヒールも低めで歩きやすいという、とてもいい靴だ。
特に装飾もない白に近いベージュだけど、シンプルな分どんな服にも合わせやすくて、花もお気に入りの一足になったのだが。
(この靴見るたびになんか思い出すよ、あのときのこと。うーん……)
物に罪はないのに複雑な気持ちになって、花は頭を抱えそうになった。
End
◆あとがき 約2000文字
お疲れ様です。作者です。
今回は現パロ孟徳さんのお家でイチャイチャするお話でした。
ただやってるだけのお話なので、現パロでなくても
三国時代でもいける気がするのですが、とりあえず現パロで書きました
三国時代は原作に忠実で孟徳さんをちゃんと
丞相と呼べるのがいいところですよね。
対して現パロは孟徳さんたちが現実の日本にいたらこんな感じになるのかな
といった妄想できるのがいいところかなと思っています。
(※個人の主観ですが)
薄〇鬼でも恋〇記でも現パロばかり書いているんですが
キャラたちが現代の日本に実在したらこんな感じかなと妄想して
時代物から現代日本に設定変更して
架空のキャラを現実の日本に落とし込んでいく作業がわりと好きです
キャラの設定も結構真面目に考えて描写も工夫して書いているので、
そのあたりの空気を感じ取っていただけると嬉しいです
孟徳さんが常務なのも「ジョウ」の読みが丞相に通じるからというのと
実質的な最高権力者だけど名目上の一番は別にいる(社長や会長)
という点で三国時代の孟徳さんとの共通項を作りました
ちなみに丞相→常務、魏公→専務、皇帝・皇族→社長や会長
といったイメージです
薄〇鬼SSL沖×千だと一歳年上の色気のある小悪魔な先輩と付き合って
愛されながらも振り回されたい毎日
恋〇記孟×花だと政財界の超有名人・大手企業の重役を務める
セレブでVIPなだいぶ年上の彼氏×JDの秘密の恋と日常@大都会
という感じ(テーマ?)を目指して書いていました
雰囲気を感じて貰えたら嬉しいです
さて、本題に入ります。今作の内容についてです。
助演男優賞は文若さんですね。毎度どうもすみません……。
魏軍推しなので文若さんも大好きです
せっかくのデートを部下に邪魔されて不機嫌になった孟徳さんと
自宅タワマンなしくずしソファーで〇〇〇
在宅勤務その他の事情でストレス溜めてる孟徳さんを
ヨシヨシしてあげたいですね……!
そして、本作はなんとなく思いでがえしリスペクトで制作しました。
前作の「スウィートオスマンサス」で本編の振り返りをやったので
その続きを本作でやりました
序盤の花ちゃんの家事を手伝おうとして拒否られる孟徳さんや
花ちゃんがうっかり他の男と関わってしまい焼きもちをやく孟徳さんや
最後仲直りして愛を確かめ合う孟花のふたりの場面は、
最果ての廟よりネタをお借りしています。
孟徳さんが文若さんとガチ目に喧嘩したり、その後も不機嫌になるところは
実録三都賦や学園恋戦記、孟徳/文若ルート本編の喧嘩の場面を参考にしています
怖い丞相モードで他人と喧嘩する孟徳さんを書いたことがなかったので新鮮でした。
少しイライラしている怖い孟徳さんも書いていて楽しかったです。
そして、本作の清書を書き進めているうちに、
全年齢パートで孟徳さんが予想以上に激怒してしまい、
収拾がつかなくなってしまったので、紆余曲折を経た末にR18部分のテーマが
「ちょっとイラついてる孟徳さんに雑に愛される話」になりました。
甘くて優しくて女性には紳士的な孟徳さんも好きですが
ゲスかっこいい男・曹孟徳も書いていて楽しかったです
若い頃の女好き設定や本編の妾エンドの描写もあるので、
孟徳さんはゲス系の口説きも似合いますね
実録・三都賦では玄徳さんに「女性に対しての振る舞いは賊としか言いようがない」
と悪口言われてて笑いました
最後となりましたが、今作のタイトル「レットイットスノー」は
ジル〇チュアートの同名の香水よりお借りしております。
といいつつも有名な洋楽(クリスマスソング)でもいいかもしれません。
孟徳さんは彼女に甘えるのも似合いますね
余談ですが、今作に出てくるお茶のモデルはル〇シアのピッコロです。
ノンカフェインで美味しいので、個人的なお勧めです
こんなところまでお読みくださりありがとうございました。
また次回作でお目にかかれましたら嬉しいです
***
◆孟徳視点(下書き没文章・自分用メモ)
孟徳は気持ち良くなってる花の痴態を楽しみながら抜き差し
身体を揺らしてやるたびに揺れる裸の胸
腰を高く上げて突き出した状態で大きく脚を広げているから
繋がっている部分も丸見え
明るいから細部までその淫らな造形を楽しめる
女の性器なんて見慣れているけど
花のものを明るい中でじっくり眺めるのは初めてかも
快感に浸りきった様子で恥じらうこともなく無抵抗な
無防備に晒している秘部を目でも楽しむ
薄い下生え、淫らな粘膜の赤さ、
孟徳のものを付け根まで飲み込んでいる小さな裂け目から滴っている愛液
無防備な純真無垢な白いからだの秘められた場所の全てを鑑賞し終えて
眺め終えて
孟徳は抜き差しをいったん止めた