MISS YOU MORE 鳥籠(R18)
名前変換設定
本棚全体の夢小説設定薄桜鬼とテニプリは名前変換可、刀剣乱舞はネームレス夢です
※恋戦記小説について
現在一部作品のみ名前変換可にしていますが、ヒロインの下の名前「花」が一般名詞でもあるため「花瓶の花」などで巻き込み変換されてしまいます
それでも良い方は変換してお楽しみください。それがダメな方はデフォ名「山田花」でお楽しみください
すみませんが、よろしくお願いいたします
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番外編 バーにて
その後。一日ホテルの部屋でだらだら過ごしていたら、夜遅くになっていた。
孟徳と名前は上階のバーでピアノの生演奏があるというので聴きに来ていた。場にふさわしい格好ということで、ふたりともドレスアップしている。
名前は孟徳が用意してくれた淡いコーラルピンクのワンピースを着ていた。首筋のキスマークはコンシーラーで隠してある。孟徳もまた小綺麗なスーツを身につけて、髪をきちんとセットしていた。
「ホテルのバーって初めてです……」
「大丈夫だよ、浮いてない。……その服も似合ってる。俺の見立て通りだ」
名前を勇気づけて、孟徳はスマートにエスコートをする。名前もまたその場から浮かないように背筋を伸ばして、歩みを進めた。
バーは雰囲気のある間接照明で薄暗く、まるで海の底にいるかのようだ。窓際に設置されたグランドピアノも美しく、窓外の夜景も宝石のように煌めいていた。
既に演奏は始まっており、店内にはピアノの優美な旋律が流れていた。演目は有名な洋楽で、場の雰囲気にぴったりの大人っぽいアレンジを加えられている。そして。
「……わ、公瑾さんです」
「なんであいつが……」
ここにきてまさかの知人との遭遇である。
演奏者は公瑾だった。雰囲気のあるバーで都心の夜景を背景にグランドピアノを弾く公瑾は、文句なしに格好よかった。彼の端正な容姿と見事な演奏は、場の雰囲気に馴染みすぎるほどに馴染んでいる。
その場に居合わせた客、特に女性客の多くは彼の演奏だけではなく、彼本人に心を奪われているようだった。名前もまた知人の名演奏に顔を綻ばせたが、孟徳はあからさまに嫌そうな顔をする。
孟徳の今まさに名前の腰を抱こうとしていた手が、出鼻をくじかれて引っ込められた。
結局。公瑾に見つかりたくないという理由で、ふたりは彼の視界に入らないカウンター席に腰を落ち着けた。さっそく、グラスを拭いていたバーテンダーがふたりに会釈をしてくる。
しかし、こんなところに来るのなんて初めてだ。戸惑いを隠せずにいる名前の代わりに、孟徳が二人分のドリンクをオーダーした。
「彼女にはノンアルコールのなにか甘いものを。俺には――」
「――かしこまりました」
洗練された大人の空間そのもののバーカウンター。孟徳にとっては見慣れた光景でも、名前にとってはそうではない。
先ほど公瑾のピアノに気を取られていた名前は、今度はバーテンダーの所作に釘付けだった。
高級店に勤めるバーテンダーはやはり腕がいいようで、シェイカーを振る仕草も格好よく、眺めているだけでも楽しくなる。しかし。
「…………」
先程から自分ではなく他の男ばかりを気にする名前に、孟徳は複雑な気持ちになってくる。せっかく二人でいるのに自分に心を向けてくれないのが不満だった。
けれど、この自由さが彼女の美点だ。いついかなるときも自分だけを見つめてくれる女には、いっそ飽きてしまっているから。
よそ見ばかりの姫君を自分の方に振り向かせたくて、孟徳は名前の耳元に唇を寄せた。
「……名前ちゃん、さっきからさ。俺の前で他の男に見惚れるのは感心しないよ?」
「えっ……!?」
「バーテンダーはともかく、周公瑾に心奪われるのはいただけないな」
カウンターテーブルの下。孟徳はさりげなく自分の膝を名前の脚にそっと添わせるように密着させた。不意の触れ合いにどきりとしたのか、名前はぴくりと小さく肩を震わせる。
しかし、名前は孟徳の膝がくっつけられた状態で、離すことも、くっつけ返すこともせず。ただ、孟徳にされるがままでいた。
気を利かせたバーテンダーが孟徳に目礼してその場をすっと離れ、孟徳と名前を二人きりにする。
「っ…… ピアノの演奏が綺麗だなって思ってただけですよ。別に、何もないです」
「何もないのは当たり前だよ。そうだとしても、あいつばっかり見るのはやめてよ? 君の視界に入る男は俺だけでいい」
まるで、ささやかな痴話喧嘩だ。独占欲をあえて覗かせる孟徳と、困惑しながらも言い訳をする名前。
孟徳は名前を責めながらも彼女の方に上体をわずかに傾けた。さりげなくふたりの肩が触れ合う。
座る位置はぬかりなく彼女の左側を陣取っている。
右利きの彼女がグラスを持つのは右手だから。グラスを持つ右手にガードされないのは、彼女の左側だ。まだお酒はきてないけど、仮にきたとしても阻まれることはありえない位置。
孟徳は不自然にならない程度にさらに距離を詰め、彼女に自分を意識させる。彼女の膝の上の左手に自分の右手をそっと重ねた。
まさかそんなことをされると思っていなかったのか、名前の目が驚きにわずかに見開かれ、大きな瞳が潤みはじめる。
「っ、大袈裟ですよ……。なんで、そんな……」
妙に押しの強い孟徳の言動に名前が戸惑っているうちに、ちょうど二人分のお酒ができあがった。
バーテンダーは引き続き、名前たちから少し離れたところで別の客をもてなしている。連れの男の要望通りの『彼女の視界に入らない』場所だ。
「……まぁいいや、お酒もきたし乾杯しようか」
いつまでも圧をかけ続けても仕方がない。孟徳は名前から身体を離すと、彼女を酒に誘った。
あくまでもここは高級ホテルのバーカウンターだ。出逢い目的のスタンディングバーではない。人目もある上に知人までいる。ベタベタしすぎるのはよくない。
後々やりづらくなってもいけないから、孟徳は計算してあえて名前から距離を取る。
しかし、孟徳がやっと自分から離れてくれて、名前は安堵したようだった。あからさまにほっとしている。いったんは仕切り直しだ。
「――わぁ、おいしいですね」
乾杯を終えて、名前はさっそくカクテルに口をつけていた。
「口に合ってよかった。シンデレラは有名なノンアルコールのカクテルだよ。パイナップルとオレンジとレモンのジュースをシェイクして作るんだ」
孟徳はさりげなく解説を入れる。
「そうなんですね。孟徳さんのはなんていうお酒なんですか?」
「俺のはアプリコットフィズだよ。甘い、杏子のお酒なんだ。飲んでみる?」
「っ、はい……!」
「はいどうぞ」
「ありがとうございます」
孟徳が先ほどまでちびちびとやっていた酒を、名前はためらいなく口にした。恋人同士だから間接キスも気にしない。
「……おいしいです。本当に杏子の味がしますね」
「でしょ。度数も弱いし、君でも飲めそうだね」
「孟徳さんは、いつもこういうところで、こういうお酒飲んでるんですか?」
「……え?」
不意にそんなことを訊かれて、孟徳は一瞬だけ返答に窮した。
「……バーなんてもうそんなに行かないよ。今は忙しいしね。普段飲むのは…… そうだな、もう少し度数が強いのが多いかも」
嘘にならない程度の無難な答えを返して、孟徳は名前から返された己のカクテルに再び口に運ぶ。
今日は名前に合わせて度数の低い甘いお酒を頼んだ孟徳だったが、グラスを傾けながら訥々と語る彼は大人の男らしい格好よさだ。横顔だってとても綺麗で。
孟徳の意外なほど長い睫毛にすっきりとした鼻梁、存在感のある喉仏に名前は見惚れた。バーの間接照明は孟徳の横顔をより大人っぽく演出している。
いつもより華やかなスーツも似合っていて、髪をセットしているのも非日常の格好よさだ。
職場で強権を振るう常務でも、名前の前でおどけてみせる孟徳さんでもない、歳相応の世慣れた大人の姿。
そういえば孟徳のこういう姿は、今まであまり見たことがなかったかも。名前はふと思い至る。
「そうなんですね……」
先ほどの孟徳の返しに名前はそう答えた。なぜかしみじみとしている彼女が面白くなってしまった。孟徳は淡く微笑むと。
「――今はまだ目立っちゃうから、君がもう少し大人になったら、また二人で飲みに来ようか」
「……私、そんなに浮いてますか?」
「そうじゃないよ。ただ、今日は顔見知りもいるし、なんか落ち着かないんだよね」
少し離れたところでピアノを弾いてる周公瑾を目で指して、孟徳は小さく肩をすくめた。なんとなく先ほどから視線を感じる。腕時計で時間を確かめて、孟徳は名前に水を向けた。
「……日付が変わる前に、部屋に戻ろうか」
「あっ、はい……」
「――早く、君を抱きしめて眠りたい」
さりげなく上体を名前の方に傾けて。「いいよね?」と甘く囁いた。
自分の膝を名前の脚に軽く触れ合わせたまま、孟徳は彼女の小さな手をカウンターの下でぎゅっと握る。
カウンターテーブルの下で手を握るのはこれで二度目だ。今回はただ手を重ねるだけではない。恋人繋ぎのように指を絡ませて深く握り込み、名前に欲望をアピールする。
高級ホテルのバーカウンターという非日常の空間の雰囲気に吞まれているのか、彼女の頬にさっと朱が走った。
意外なほど素直な名前の反応に孟徳の機嫌が上向く。あと少し。
「……孟徳さん、酔ってませんか?」
「まさか。酔うわけないでしょ、あれくらいで…… 俺はいつだって君に本気だよ。今だって本気で口説いてる」
「っ……!」
「――行こうか」
一瞬だけ体を離して、彼女を立たせて。再び手を取りエスコート。
こうやってバーで女性をお持ち帰りするのはいつぶりだろうか。随分と久しぶりな気がする。
気恥ずかしさに戸惑っている様子の名前だったが、孟徳を拒むこともせず大人しく彼についてきた。
俯いて頬を染めたまま、しかし、名前は孟徳の手をきゅっと握り返してくる。
姫君の恥じらいながらの意思表示。己の勝ちを確信した孟徳は満足げに瞳を細めると、心の中で口笛を吹いた。
■番外編 翌日
その翌日の昼間。今日もまた孟徳と名前はホテルのスイートルームでまったりと過ごしていた。
見たかった映画を室内の巨大なテレビで流しながら、ルームサービスで頼んだ紅茶とコーヒーを二人で飲んでいた、そのとき。孟徳のスマホが鳴った。
しかし、彼はそれを無視して優雅にコーヒーを口に運ぶ。着信音は聞こえているはずなのに頑なに出ようとしない孟徳に、名前はおずおずと声をかける。
「あの、孟徳さん、スマホが鳴って……」
「――え? 俺は聞こえないけど?」
この反応はひどいと思う。名前は困惑するが。
「……冗談だよ、そんな顔しないでよ、名前ちゃん」
孟徳は柔らかく苦笑すると、名前の頭をポンポンとなでて、どことなく嫌そうにつぶやいた。
「……あの着信音は私用スマホに文若がかけてきてるな」
「じゃあ、出ないと……」
「嫌だよ! 休暇中に君といるのに、なんであんな辛気臭いやつの相手なんてしなきゃいけない」
「でも、文若さんも用事があってかけてきてるんじゃないんですか……?」
「仕方ないな…… じゃあ、君が電話中ずーっと俺の腕の中にいてくれるなら、あいつからの電話に出てもいい。どう?」
「っ、わ、わかりました……」
「よし、交渉成立だ。おいで、名前ちゃん」
孟徳は立ち上がって先程から鳴りっぱなしのスマホを手に取ると、大きなソファーに腰を下ろして両手を広げた。
まるで少女向けの恋愛小説のようなシチュエーションだけど、名前にときめきはあまりなかった。むしろちょっとした罰ゲームだ。
「それでは、失礼します……」
名前は仕方なく彼の腕の中に収まった。孟徳の脚の間にちょこんと座って、後ろから抱きしめられる形になる。
「……っ!」
なんだか意味もなく緊張する。いよいよお仕置き感が増してきた。
休み中に私用スマホが鳴っただけなのだから、完全プライベートのはずなんだけど。鳴らした相手が文若だから、名前は何かあったのかと心配していた。
しかし孟徳はひょうひょうとした様子で楽しげに口の端を上げると、スマホの画面をタップして電話に出た。そして、すぐに名前の脚の間に右手を滑り込ませてくる。
「……!」
名前は声を殺したまま身体を固くするが、孟徳は普段通りだ。
「――俺だ。どうした、文若」
仲がいいように見えて、あくまでも孟徳と文若は職場の上司と部下という関係。純粋な友人とは違う。
孟徳の仕事用の声は格好いいけど威圧感があって、名前はドキッとする。緊張感がいよいよ高まる。
『……常務。休暇中に申し訳ありません。急ぎでご連絡したいことがございまして』
電話越しに聞く文若の声がなんだか新鮮だ。文若もまた孟徳を相手にしているからか、畏まった様子だった。
「急ぎ?」
孟徳は不機嫌な様子で訝しげに問い返す。けれど、孟徳の悪戯な指先は名前の脚の間のその場所に容赦なく触れてきた。
下着の上から裂け目の上を何度も往復し、名前の一番感じてしまう肉芽を引っ掻くように刺激してくる。
ビリビリとした甘い心地よさを感じて、名前は思わずため息をこぼしたくなったが。そんなことをしたら文若の耳に届いてしまう。名前は息を殺しながら身体を固くした。
まだ、下着の中に手を入れられたわけではない。けれど、この調子だと今すぐにでも入れられてしまいそうで、名前は覚悟を決めた。
孟徳にどんなことをされたとしても、喘ぎ声だけはこらえないと。あんな声を文若に聞かせるわけにはいかない。
まさか己の電話相手がそんなことになっているとは夢にも思っていない文若は、淡々とした様子で話を続けていた。
『――ええ。常務、昨日深夜に彼女を伴ってコンラードホテルの宿泊者専用のバーに赴かれたそうですね』
「……否定はしない」
孟徳がそう口にしたと同時に、彼の右手が名前の下着の中に入れられて、ついに孟徳の指が名前の割れ目の中に入り込んでくる。
名前は無言のままじっと耐えるが、孟徳は容赦がなかった。あっという間に指を増やして、名前のその場所をほぐすように、大きくかき混ぜ始めた。
(っ……!)
まるで、挿入の前段階のようだ。名前はベッドで裸の自分を愛でているときの孟徳をありありと思い出し、己の浅ましさにぎゅっと目を閉じる。
声をこらえなければならないせいか、妙に快感が強まってしまう。自分の身体がいつも以上に敏感になっている気がして、名前は戸惑う。
(なんでだろう…… 今日はすごく、感じちゃう、な……)
孟徳の腕の中にいるだけで、おかしな気持ちになってしまう。今すぐ着ている服の全てを脱ぎ捨てて、彼にふるいつきたくなるような。
そして、名前の最も感じてしまう場所に孟徳の親指が添えられた。
(っ…… そんなとこ……!)
名前は心の内で悲鳴を上げるが、今まさに文若と電話中の孟徳に対してダメと伝えられるはずもない。
それどころか下手に拒もうとすれば余計にひどいことをされてしまいそうで。名前は両手で口を抑えて、孟徳の蹂躙を甘んじて受け入れた。
(ああっ…… んっ…… っ……!)
しっかりと脚を広げたまま、心の内で存分に喘ぎながら、名前はびくびくと身体を震わせる。脚の間の肉芽を孟徳に手加減なしで嫐られているのだ。もうたまらない。
孟徳の腕の中でまるでいやいやをするように小さく首を振りながら、名前は彼の手によって与えられる強すぎる快楽に耐えていた。
(これ以上続けられたら、ほんとにイッちゃうよぉ……)
名前は大きな瞳に生理的な涙を浮かべるが、孟徳の愛撫は止まらない。確実に彼女を追い詰めてくる。
(イっちゃうときの声、文若さんに聞かれたら、恥ずかしくて生きていけない……)
名前がそんなことになっているにもかかわらず、電話の向こうの文若は粛々と話を続けていた。
『――私のところに匿名のタレコミがございました。おそらくは周公瑾の手のものでしょう。隠し撮りと思しき画像も添付されておりました』
「……なに?」
文若と孟徳の込み入ったやり取りを聞きながら、脚の間の裂け目を孟徳に好きに弄られて気持ち良くなっているなんて、もうめちゃくちゃだ。
孟徳も文若の話に合わせて緊張感のある声を出しているけれど、その前に大事な電話をしながら、恋人の陰核を刺激して裂け目の中をグチャグチャにするのをやめて欲しい。
孟徳と文若の会話の内容はそこそこ真面目なもののはずなのに、孟徳のせいで今まさに悦楽の高みに押し上げられようとしている名前はそれどころではなかった。
まるで仕事中の文若のすぐ近くで、彼に気づかれないようにしながら、孟徳と愛の行為に耽っているかのような背徳感だ。
『――文若に気づかれないように最後までできたら君の勝ちだからね、名前ちゃん』
『――孟徳さん、ひどいです……』
『――別にひどくはないでしょ。したいって言ってきたのは君の方なんだから』
『――っ』
『――じゃあ、入れちゃうね』
『……あっ ……んっ』
『文若に見つかりたくなかったら、大人しくしてるんだよ……』
やがて、名前の中に入れられている孟徳の指先は、彼女をさらに追い詰めるかのようにひときわ大きく動き始めた。
名前のその場所から勢いをつけてすっと引き抜かれて、またずぷりと入れられる。まるで本番さながらの律動だ。名前の裂け目の中を彼の指が何度も繰り返し行き来する。
名前は先ほどよりずっと両手で口元を抑えていたが、今や上の口よりも下の口のほうが危機的な状況だった。
孟徳の巧みな愛撫によって、名前の秘部からは浅ましいほどに体液が溢れ出ていた。
孟徳がほんの少し指を動かせば、名前のその場所はまるでちょっとした楽器のように、淫らな音色を奏でてしまうだろう。
しかし、素直な身体の反応は止めようがなく、名前は孟徳の腕の中で手慰みの悪戯をされながら、水のような愛液をとめどなく滴らせていた。感じすぎて裂け目の中がぐっしょりとなっているのが、自分でもわかる。
(こんなやらしい音、文若さんに聞かれたくないのに……)
早くふたりの電話が終わって欲しい。名前はそう願うが、なかなか都合良くはいかない。文若の孟徳に対するお小言はまだまだ続きそうだった。
『――あなたが彼女相手にだらしなく鼻の下を伸ばされてお戯れをなさっている画像はこちらで握り潰しましたが。常務! 公共の場で女性を伴っている際は、常に周囲に目配りをしながら節度ある振る舞いを……!』
文若のわかりきった説教にいよいよ苛立ったのか、孟徳は名前の無防備な陰核をぎゅっと爪で押し潰してきた。こらえきれず、名前はついに甘やかな喘ぎを漏らしてしまう。
「っ、ああっ…… ……っ!」
小さくかすれた声だったけど、人の声はノイズとはみなされず、スマホのマイクに拾われてしまった。
『――常務? どなたかとご一緒なのですか?』
文若ににわかに緊張が走る。神経質で警戒心の強い文若らしく、さっそく確認を入れてきた。空気を読んで聞こえなかったフリをしてくれるほど、文若は甘くもなければ色ごとに長けてもいない。
名前はしまったという顔で口を噤むが、孟徳は堂々としらを切る。
「安心しろ、文若。ここに部外者はいない。お前が口を挟むようなことじゃない」
文若に対しても嘘をつかない孟徳だから、誰もいないとは言わなかった。明らかに違和感のある言い回し。
けれど最後に「お前の文句は聞かない」ときっちり圧をかけるのが孟徳らしかった。
『そう、ですか……』
語るべき言葉を失くし、文若は黙り込む。名前もまた懸命に沈黙を守っていたが、孟徳の容赦ない愛撫は今も続いている。
何本もの指をきっちりと揃えて、名前のその場所に入れたり出したり、孟徳は本番以上の動きで名前を追い詰めてくる。
名前の顔はもう真っ赤だ。完全に余裕をなくしている。けれど、今にも気をやって果ててしまいそうな彼女に対して、孟徳は平静そのものだった。
名前の無防備な秘部を手慰みにしながらも、ポーカーフェイスを崩さずに文若との長電話に興じている今の孟徳は、なんだかマフィアのボスみたいだ。
高級ホテルの一室で、愛人の裸の身体をオモチャにしながら、部下との長電話に興じている、裏社会のボス。
「しっかし、あんなところにまで孫家の奴らが潜り込んでるとはなぁ。ご苦労なことだ」
孟徳の話題転換をきっかけに、名前は昨夜のことを思い出す。
あの場でずっとピアノを弾いていた公瑾が盗撮するのは不可能だ。きっと他にも仲間がいて、写真を撮ったのはその人なんだろう。だからこそ孟徳は孫家の奴らなんて言い方をしている。
(……撮られてたの、全然気づかなかったな)
孟徳の腕の中で自分の身体を好き勝手に弄ばれながらも、名前は深く反省した。
孟徳に優しくエスコートされて甘やかされて、浮かれていた自分が情けなかった。もっと自分がしっかりしていれば、隠し撮りにも気がつけて彼を守れたかもしれないのに。
けれど。意気消沈する名前に対して、孟徳は当然の権利といった様子で怒りを燃やした。
「孫家の…… 周公瑾か。俺と彼女の憩いのひとときを邪魔するとは、あの男もよほど『早死にしたい』と見えるなぁ、文若」
思いのほか低い声に、名前の胸がぎゅっと掴まれる。このような言い方であっても、孟徳は守ろうとしてくれているのだ。名前と二人で過ごす時間と、名前自身を。
孟徳の指が名前の中からようやく抜かれて、名前はほっと息をついた。孟徳の右手はまだ名前の脚の間にあったけど、下着の中から彼の手が出ていっただけで、名前はだいぶ安心できた。ようやく落ち着けそうだ。
けれど、その一方で。
「……っ、常務』
電話の向こうの文若は明らかに沈んだ様子だ。しかし、怒り心頭らしい孟徳は彼に冷たく追い打ちをかけた。
「――お前たちはずっと何かを勘違いしているようだが、俺はタレントでも政治家でもないし、彼女だって恋愛禁止のアイドルグループのメンバーじゃない」
『……存じております』
「俺も彼女もただの私人で一般人だ。お互い独身だし、彼女も二十歳を過ぎている。なにより両家の親公認の付き合いで結婚の約束もしている。やましいことは何ひとつない」
『……つまり、今後も振る舞いを改めるつもりはないと』
「そうなるな」
孟徳の気持ちは嬉しい。けれど、名前は素直に喜べなかった。こんな調子で大丈夫なのだろうか。
孟徳だけではない、文若のことも気がかりだった。生真面目で思い詰めやすい彼が、心配で仕方がない。
『そう、ですか……』
文若は絞り出すように呻いた。孟徳を支えることを生き甲斐にしている彼が、その孟徳にこのような形で拒絶されて、どれほど傷ついているだろう。
まるで我が事のように名前は胸を痛めたが、今回の揉め事の原因である自分に、文若に寄り添う資格などないのだ。
孟徳はまだ怒りが収まらない様子で、低い声で彼を呼んだ。
『――おい、文若」
『……はい』
「周公瑾には俺の方から話をつけておく。俺たちに金輪際おかしな手出しができないように、あの陰湿な芸能くずれにはきっちり分からせておかないとな」
孟徳と公瑾は昔から折り合いが悪いらしく、孟徳は辛辣な言葉を吐き捨てる。
『……っ』
文若は小さく息を呑むが、平静を装って言葉を続けた。
『……また揉み消しが必要な事態になりましたらお早めにご連絡ください。マスコミ対応も、できることとそうでないことがございますので』
「要件はそれだけか?」
『……常務』
「なんだ?」
『私は、常務とあの者の交際に反対しているわけではありません。ただ、人目のある場所での振る舞い方だけを考え直して頂ければ、それで……』
「彼女と仕事、どちらかしか選べないなら、俺は彼女を選ぶね。仕事なんてスッパリ辞めてやるさ」
『っ、常務……!』
ここまでくると文若が可哀想になってくる。名前はいよいよ心臓が握りつぶされるかのような痛みを覚えたが、今さらどうしようもない。
「――話はそれだけか?」
『はい…… 休暇中ご連絡差し上げて申し訳ございま――』
文若の口上が終わる前に、孟徳はスマホを放り投げた。
ちょうど名前の目の前、厚いカーペットが敷かれた床に孟徳のスマホが叩きつけられ鈍い音を立てる。いつも空恐ろしいほどに冷静な孟徳が、感情に任せてこんなことをするなんて。
孟徳の粗暴な振る舞いに名前は驚きを隠せなかったが、同時に言い知れない悲しみも覚えてしまう。
ただ好きなだけなのに、ただ愛しているというだけなのに。自分たちをとりまく現実はこんなにもままならない。
「――はい、名前ちゃん。もう電話終わったから」
「……孟徳さん、スマホを投げるのは」
「別にいいでしょ。しかしやっぱりあいつからの電話なんてろくなことじゃないな」
「……すみません、孟徳さん。私がもっと気をつけていれば」
「どうして君が謝るの。謝らなきゃいけないのは俺の方だよ。俺のせいで君を巻き込んだ」
「っ……」
「たかがデートすら思うようにできないなんて、どうかしてるね。嫌になっちゃうよ」
「……そう、ですね」
孟徳は努めて明るく振る舞っているようだが、やはり纏う空気が重い。そんな彼を励ましたくて。
「……でも、ここには誰もいませんよ。今は好きなだけ、イチャイチャできます」
名前は孟徳の方を振り返り、彼を抱きしめた。ままならない現実と、自分たちを傷つけるだけのしがらみから、この人を守りたい。守ってあげたい……。名前は改めて決意する。
(これからは、私がちゃんと気をつけないと……)
愛する孟徳のために。そして、彼を陰に日向に支えてくれている文若たちのためにも……。
「……ったく、あのお方は」
スマホを左手に握りしめたまま、眉間に皺を寄せて、荀文若は大きなため息をついた。
「しかし、電話中にあのような……」
孟徳との電話中、一瞬だけハッキリと耳に届いた女性の呻くような声。そして孟徳の『ここに部外者はいない』という発言。
もしかしてと思ったが、自分との通話の最後、孟徳は電話を切らずにスマホを投げたのだ。
おそらくは自分に聞かせるためにあえてそうしたのだろう。スマホが床にぶつかったと思しき鈍い音の直後に聞こえてきた声。
『――名前ちゃん電話終わったから』
『――孟徳さんスマホを投げるのは……』
これ以上は聞いてはいけない気がして、慌てて自分から電話を切ったが、文若は再び深いため息をつく。
「名前、頼んだぞ…… 真に常務をお守りできるのは、もうお前しかいないのだ……」
自分にできることは、もはや何もない。あとはただ、祈ることだけ……。文若の苦悩は晴れぬまま、その胸の内に澱のように降り積もる。
Fin.
以下はあとがきです
MISS YOU MORE 改稿版あとがき
■
少々思うところがありまして、
今回(2025年9月)本作品を大幅に改稿いたしました。
話の大筋は変わっていませんが、
一部の地の文とプレイ内容が多少変更となっております。
作者的には修正後の文章の方が気に入っているのですが
(とはいえ実はまだまだ気になることがあって、また修正したり
一部の文章を5千文字くらい削除するかもしれません……)
読者様はいかがでしょうか……?
既存作の修正やリメイクってえてして
「直す前の文章の方が、粗削りながらも勢いがあって面白かった」
みたいになりがちなのですが(涙)
本作の修正は「修正後の方が良かったよ!」と
読者様に思って頂けていたら嬉しいです。
作者的にはいつも超必死の全力で
お話を書いたり直したりしているのですが
その全力がから回っていなければいいなと思います。
今回の修正では「鳥籠・籠の鳥」要素を多少ですが追加しています。
そして、名前ちゃんが孟徳さんの愛人みたいになっています。
(本当は正式な恋人なのですが)
高級ホテルでの孟名前のラブアフェアを楽しんでもらえたら嬉しいです
■
(以上あとがき新規文章です:2025.9)
(以下は昔書いた本作品のあとがきです。多分2~3年前くらいの文章です)
お疲れ様です。作者です。
文若さんのお風呂ネタがあまりにも自分的に大ヒットだったので
それの孟徳さんverを書きました
今まで同じネタのキャラ違いって描いたことがなかったんですが
書いてみてなかなか楽しかったです
同じネタですが結構違う感じにかけて良かったです
努力して頑張って差別化したというよりは
そのキャラクター固有の魅力や個性や「らしさ」を追求して書いていたら
自然と勝手に差別化されていたという感じです
やっぱり同じようなシチュやプレイでも
お相手の男性が違えば別物になるんだなと思いました。
女の子が同じ子(我らが名前先輩ですね)でも、
こうも内容が変わるのが面白いです
そして、最後の孟徳さんとバーに行く場面
今回、名前ちゃんは無難なシンデレラ、孟徳さんにはアプリコットフィズ
(アプリコットの味と香りは金木犀に似ています)を頼んでもらいましたが
自分的に孟徳さんのイメージカクテルはロブロイかなと思っています
ロブロイ
カクテル言葉は「貴方の心を奪いたい」
卑劣な貴族に家族と仲間を殺された義賊の名前が由来で、
その彼も劇的な人生を送ったというのが孟徳さんっぽいなと思いました
王様や将軍や王子や貴族ではなく、賊の名前というのが合ってるなと思いますし
赤いお酒で甘いのに度数が高くて油断して沢山飲んだら潰れそうとか、
カクテルの女王「マンハッタン」をアレンジしたもの
(あくまで王そのものではなくて王っぽいもの)
なのがイメージに近いかなと思いました
今回エロシーンを書くのも楽しかったんですが、
バーのシーンを書くのも楽しかったです。
孟徳さんにロマンチックなお高いバーのカウンター席で
静かに熱~く大人の魅力で口説かれてみた―い♡ お持ち帰りされてみた―い♡
という筆者の情念が高まってあの内容になりました。周公瑾を添えてお送りします。
見どころは最後、名前先輩がはずかしがりながらも
孟徳さんの手を握り返して言外のOKを伝えるところです
ちゃんと頑張ってオトナの駆け引きしてる名前ちゃんもかわいいですね
あとはベタなんですが、カウンターのテーブルの下で
自分の脚を名前ちゃんの脚にくっつけて意識させたり
こっそり手を握ったり、さりげなく肩をくっけたり離したりして
名前ちゃんに一生懸命ボディタッチしてる孟徳さんも、書いてて面白かったです
タイミングよくタッチしてドキッとさせてその気にさせるって
と〇メモGSの大接近モードみたいだなと思いました
最後となりましたが番外編の電話のシーン
孟名前のシーンはエロエロしく書けて良かったのですが
筆者は文若さんも大好きなので文若さんが不憫でしんどくなりました。
ですが本作は孟徳ルートハピエンベースの現パロなので
こういう感じになっています(;_;)
孟徳さんと文若さんの真の和解はまだ遠いかな……。
そして今回の愛すべきゲスト公瑾さんに深い感謝をささげたいと思います。
公瑾さんありがとう、貴方のお陰で話が動き、
孟徳さんが怒ったり妬いたりしてくれました
やはり物語に悪役は必要です。悪役の性格が悪ければ悪いほど良いですね。
公瑾さんも地味に大好きな筆者です。なのでよく出してしまいます
それではまた次回、
ここまでお読みくださりありがとうございました。
※以下はト書きのおまけSSです。
書いたものを消すのが勿体なかったので置いておきます。
■おまけ(700文字)
ト書きSS・孟徳さんと待ち合わせ。
文若さんのイルミデート話の孟徳さんverです。ゲストに孔明師匠。
冬の繁華街。イルミネーションデート
スタバで買った飲み物を飲みながら待っている名前ちゃん
(孟徳さんまだかなぁ)
すると、人の気配
「――あれっ、キミどうしたの?」
「師匠!」
孔明登場
「えっと、待ち合わせをしていて」
「ふーん、待ち合わせねぇ……。あっ、ねぇそれスタバの新作だよね。おいしそう、一口ちょうだい」
「あっ!」
ごくごくごく。やたら沢山飲む孔明
「師匠!ひとくちが大きいです!」
結構しっかり飲まれた。むくれる名前
「ごめんごめん、つい美味しくて。……お詫びに代わりになにか買ってあげるよ。名前、何か欲しいものはない?」
「代わりはいいですから、飲み物返してください!」
「――随分楽しそうだねぇ」
孟徳登場
「あ、孟徳さん」
「うげっ」
「名前ちゃん、遅れてごめんね。――おい孔明、ドリンクは貴様にくれてやる。わかったら金輪際、俺の名前ちゃんにおかしなちょっかいを出してくれるなよ」
孔明に対しては威圧感を放ちながら怖い丞相モード
「ドリンクは俺が買ってあげるよ♡ いこっか名前ちゃん」
名前に対してはすごく甘い口調
「……は、はい」
孟徳の落差にちょっと引いてる名前。しかし気を取り直して孔明に挨拶。
自分が孟徳を連れてこの場から早く退散しないと
孟徳と孔明で喧嘩になってしまいそうと心配している名前
「すみません、師匠。また今度」
「はいはい。またね~」
しれっとした明るい様子の孔明 仕方ないかぁみたいな感じ
孟徳、孔明に対して「お前に『また』なんてないんだよ」と思いながらも、
名前を引っ張っていく
おしまい