本棚全体の夢小説設定の説明
間違ってるだろ!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「もう、蔵馬,さん、お茶が冷めちゃうよ……? あ、黒蔵馬か」
背を向けかけたオレの腕を怒ったように引いた声に、美馬さんがハッとこちらを向く。
慌てて見ていなかったふりをしようとしたのだが、その前に彼女はつまらなそうにため息をついた。
何なんですか、その反応は。
言ってやろうかとも思ったが、またしてもその前に仏頂面は”点”の言葉に引っ張られるように元の位置に戻っていく。
「白君、どうしてもそこをどきたくないというのなら理由を言ってください」
「理由?」
「そうです。美馬をひとりにするのが心配だというのなら、代わりにオレがいると言っているのだから問題はないでしょう? それともあなたでなければいけない理由があるんですか?」
「そういえばないな……」
「だったらもういいでしょう? さあ、立ってください」
「でもどうしてか分からないけれど、ここで彼女を誰かに任せてどこかへ行ったら後でモヤモヤする気がするんです」
「……いや、私は……」
「答えになっていませんね。ほら、美馬も困っているでしょう?」
「そうですね。どうしてこんな風に思うんでしょうね」
「あなたはふざけているんですか!」
「フフ……本当にふざけているみたいですね、オレ」
オレの手を引っ張ったままその様子を見ていた彼女が驚いたようにこちらを見る。
「どうかしたの、あのふたり」
「ここでのオレはいつもどうかしているから、あのふたりもそうなんだと思います」
彼女はポカンとしてオレを見る。
「若菜さんを取り合ってること?」
オレは笑って首を横に振る。
「オレらしい言葉で、オレらしくないことを言うことかな」
彼女はますます分からないといった風に言い争いをするふたりを見る。
「いい加減にその手を離してください」
「おや、蔵馬,君、そんなに引っ張ったら可哀想ですよ」
もはや言い合いは引っ張り合いに変わっていた。
「若菜さん、飲んでいるんでしょ? あんなに頭を振って大丈夫なのかな」
酒酔いの紅潮などどこへやら、すっかり青ざめたその女が虚ろな目でこちらを見る。
「……助けろ……」
「蔵馬、何とかしてあげて」
引かれていた腕が逆に押し出され、オレは後ろを振り返った。
「そういうの、人身御供って言うんですよ」
「私はムリだよ、怖いもん」
仕方がないか。
オレは一歩だけ前に出て、その女に向かって努めて明るく微笑みかけた。
「美馬さん、いい歳して吐いたりしないでくださいね」
オレはくるりと背を向け、隠れるように立っていた彼女の背中を押した。
「お茶、冷めちゃったかな。喉が渇いたね」
「えっ? えええ?」
彼女は焦ったように美馬さんを見るが、先ほどまでこちらにすがるように向けられていた眼差しは早くも次なる藁、もとい救世主を求めてさまよっていた。
「いいの? 放っておいて」
口ではそう聞きながらも、彼女はもう振り返ることもなく先ほどのグループの中にオレを連れていく。
「遅いですよ、蔵馬さん」
「あれ、蔵馬,は?」
「お茶、いれ直しますね」
オレはあっという間にその中に迎え入れられ、その集団の一部となる。
同じ部屋の中だというのに、さっきまでとは全然違う世界にいるようだ。
周囲を見渡すと、隣のグループにはやはりオレがいて、別のところにもしっかりと紛れ込んでいて、でもそれぞれ全く違うテンションでそこに溶け込んでいた。
「おかしな茶会だな……」
思わず呟くと、彼女たちは顔を見合わせる。
「何を今さら」
「だってここ、若菜さんのサイトですよ」
「こんな変な蔵馬サイト、聞いたことないです。13日の金曜日にお祝いしたり」
「そうね……蔵馬が変な占いしたり」
「サイト専門用語辞典があったり」
「黄泉さんがウサギのエサになったり」
「ウサギのエサは黄泉さまの耳ですってば!」
「ヨミミミっていえば、前から突っ込んでいいものか悩んでいたんですけど、黄泉さんの頭に無駄にボーボー生えてるのって角ですよね」
「そうそう、そうなんですよね。私もクロちゃんのネタが強烈すぎて、黄泉さんのイラスト書くときに頭中から耳生やしそうになりました。あれ? って思って原作見たら角だったという……」
「黄泉さんの頭が大惨事ですね」
「確か道場のクロちゃんの短編に『黄泉さんの耳は6枚もあるんだから……』って下りがあったかな」
「あの話のイラスト可愛かったですね!」
「可愛すぎて衝撃的だった」
「衝撃的って言えば蔵馬パフェの写真……」
女性のお喋りというものは小川を流れていく花のようだ。
のんびりと流れに乗り、ちょっと何かに引っ掛かればそこで寄り合ってくるくると踊る。
一輪が流れていくとそれに続き、またどこかで寄り道をし、特に何を残すわけでもない。
ただ色とりどりの美しさと香りとを無邪気にばら撒いて季節を彩る。
和やかな雰囲気にようやく人心地を取り戻し、オレはティーカップを取り上げた。
20251228
背を向けかけたオレの腕を怒ったように引いた声に、美馬さんがハッとこちらを向く。
慌てて見ていなかったふりをしようとしたのだが、その前に彼女はつまらなそうにため息をついた。
何なんですか、その反応は。
言ってやろうかとも思ったが、またしてもその前に仏頂面は”点”の言葉に引っ張られるように元の位置に戻っていく。
「白君、どうしてもそこをどきたくないというのなら理由を言ってください」
「理由?」
「そうです。美馬をひとりにするのが心配だというのなら、代わりにオレがいると言っているのだから問題はないでしょう? それともあなたでなければいけない理由があるんですか?」
「そういえばないな……」
「だったらもういいでしょう? さあ、立ってください」
「でもどうしてか分からないけれど、ここで彼女を誰かに任せてどこかへ行ったら後でモヤモヤする気がするんです」
「……いや、私は……」
「答えになっていませんね。ほら、美馬も困っているでしょう?」
「そうですね。どうしてこんな風に思うんでしょうね」
「あなたはふざけているんですか!」
「フフ……本当にふざけているみたいですね、オレ」
オレの手を引っ張ったままその様子を見ていた彼女が驚いたようにこちらを見る。
「どうかしたの、あのふたり」
「ここでのオレはいつもどうかしているから、あのふたりもそうなんだと思います」
彼女はポカンとしてオレを見る。
「若菜さんを取り合ってること?」
オレは笑って首を横に振る。
「オレらしい言葉で、オレらしくないことを言うことかな」
彼女はますます分からないといった風に言い争いをするふたりを見る。
「いい加減にその手を離してください」
「おや、蔵馬,君、そんなに引っ張ったら可哀想ですよ」
もはや言い合いは引っ張り合いに変わっていた。
「若菜さん、飲んでいるんでしょ? あんなに頭を振って大丈夫なのかな」
酒酔いの紅潮などどこへやら、すっかり青ざめたその女が虚ろな目でこちらを見る。
「……助けろ……」
「蔵馬、何とかしてあげて」
引かれていた腕が逆に押し出され、オレは後ろを振り返った。
「そういうの、人身御供って言うんですよ」
「私はムリだよ、怖いもん」
仕方がないか。
オレは一歩だけ前に出て、その女に向かって努めて明るく微笑みかけた。
「美馬さん、いい歳して吐いたりしないでくださいね」
オレはくるりと背を向け、隠れるように立っていた彼女の背中を押した。
「お茶、冷めちゃったかな。喉が渇いたね」
「えっ? えええ?」
彼女は焦ったように美馬さんを見るが、先ほどまでこちらにすがるように向けられていた眼差しは早くも次なる藁、もとい救世主を求めてさまよっていた。
「いいの? 放っておいて」
口ではそう聞きながらも、彼女はもう振り返ることもなく先ほどのグループの中にオレを連れていく。
「遅いですよ、蔵馬さん」
「あれ、蔵馬,は?」
「お茶、いれ直しますね」
オレはあっという間にその中に迎え入れられ、その集団の一部となる。
同じ部屋の中だというのに、さっきまでとは全然違う世界にいるようだ。
周囲を見渡すと、隣のグループにはやはりオレがいて、別のところにもしっかりと紛れ込んでいて、でもそれぞれ全く違うテンションでそこに溶け込んでいた。
「おかしな茶会だな……」
思わず呟くと、彼女たちは顔を見合わせる。
「何を今さら」
「だってここ、若菜さんのサイトですよ」
「こんな変な蔵馬サイト、聞いたことないです。13日の金曜日にお祝いしたり」
「そうね……蔵馬が変な占いしたり」
「サイト専門用語辞典があったり」
「黄泉さんがウサギのエサになったり」
「ウサギのエサは黄泉さまの耳ですってば!」
「ヨミミミっていえば、前から突っ込んでいいものか悩んでいたんですけど、黄泉さんの頭に無駄にボーボー生えてるのって角ですよね」
「そうそう、そうなんですよね。私もクロちゃんのネタが強烈すぎて、黄泉さんのイラスト書くときに頭中から耳生やしそうになりました。あれ? って思って原作見たら角だったという……」
「黄泉さんの頭が大惨事ですね」
「確か道場のクロちゃんの短編に『黄泉さんの耳は6枚もあるんだから……』って下りがあったかな」
「あの話のイラスト可愛かったですね!」
「可愛すぎて衝撃的だった」
「衝撃的って言えば蔵馬パフェの写真……」
女性のお喋りというものは小川を流れていく花のようだ。
のんびりと流れに乗り、ちょっと何かに引っ掛かればそこで寄り合ってくるくると踊る。
一輪が流れていくとそれに続き、またどこかで寄り道をし、特に何を残すわけでもない。
ただ色とりどりの美しさと香りとを無邪気にばら撒いて季節を彩る。
和やかな雰囲気にようやく人心地を取り戻し、オレはティーカップを取り上げた。
20251228