Nice week!
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
事務所の敷地内にあるカフェ。
平日のおやつ時、私以外の人がいないこの空間に安堵した。
スランプってやつなのかもしれない。
ピアノの前に座っても、シャーペンを持っても、頭の中に一音も鳴らせなくて気分転換に部屋を出た。
一緒に持ってきた楽譜はトートバッグの中に入れたまま。
ホットコーヒーを冷ますふりをしながら、ぼーっと外を眺める。
そういえば学生の頃はどうやって書いていたんだっけ……。
テーマがあったけど好きな曲を書くことが出来ていたあの頃はこんな風に悩むことも無かった。
悩むとしたら沢山作った曲から一つに絞らなきゃいけなかったときくらい。
どの曲もいいものばかりだったから。
事務所に入ってからは制限の多い中で曲を作っている。クライアントから求められる曲は自分の好みだけじゃ作れない。
例え「これにこのテーマの曲を使うの?」と思っても求めているのがそれならば仕方がない。
そっとトートバッグから企画書を出した。
『一十木音也 ソロ曲×2』
テーマも曲調の指定も何もない、自由に書いていい曲。
音也の曲は学生のときから一番書いてきた。
ST☆RISHとしてデビューした今も音也の曲は半分以上書いている。
音也が自分の曲を歌ってくれるのが好きで、嬉しくて仕方がないのに……。
それなのに、一音も鳴らないなんてどうしちゃったんだろう。
テーブルに肘をついて顔を覆った。
ポンポン
「はい、」
プニッ
肩を叩かれて振り替えったら頬っぺたに指が刺さってたなんてことは、小学生 の頃によくありました。
「へへ、穂花引っ掛かった」
「音也」
イタズラの犯人は白い歯を見せて子供のように笑った。
「寮に帰る途中に穂花の姿が見えたから寄ったんだ~」
お昼まだだったからお腹ペコペコだよ……と言って注文しにいった。
そういえば学生の頃も校内のカフェテリアで一緒にお喋りしたなぁと思い出す。
サッカー帰りの音也はさっきみたいに「お腹ペコペコ~……」ってカレーを頼んでた。
「……懐かしいなぁ」
「ただいまー、はいこれ」
目の前に出されたのはホットケーキ。
分厚い二枚重ねの上にバターとシロップがかかってる昔ながらの素朴なホットケーキ。
「穂花ホットケーキ好きでしょ?」
「うん、でも何で」
「うーん」
カレーオムライスセットのトレーを置いて隣に座った音也は、少し考えるようにして答えた。
「穂花珍しく楽譜持ってきてるのに鞄にしまったままだし、いつもは頼まないコーヒー頼んでるからさ」
なんか悩んでるんだろうなーって思って!と言って音也はホットケーキを指差した。
「ホットケーキ食べてからまた考えればいいんじゃない?穂花なら大丈夫だよ、だって俺の自慢の作曲家だからさ!」
目がチカチカして一気に音が降ってきた。
お空のお星さまが落ちてきたみたいに、たくさんの音が。
隣をみると音を降らした当の本人は「いただきまーす」といってカレーオムライスを食べ始めてる。
さっきまでは一音も鳴らなかったのに、ずーっと悩んでたのが何だったんだろうって言うくらい沢山の音が頭の中で鳴ってる。
「音也この後付き合ってよ、曲できた」
美味しそうに食べてる彼はこの後とびっきりの笑顔で答えてくれるだろう。
そんな事を頭の隅で思いながら大好きなホットケーキにナイフを入れた。
平日のおやつ時、私以外の人がいないこの空間に安堵した。
スランプってやつなのかもしれない。
ピアノの前に座っても、シャーペンを持っても、頭の中に一音も鳴らせなくて気分転換に部屋を出た。
一緒に持ってきた楽譜はトートバッグの中に入れたまま。
ホットコーヒーを冷ますふりをしながら、ぼーっと外を眺める。
そういえば学生の頃はどうやって書いていたんだっけ……。
テーマがあったけど好きな曲を書くことが出来ていたあの頃はこんな風に悩むことも無かった。
悩むとしたら沢山作った曲から一つに絞らなきゃいけなかったときくらい。
どの曲もいいものばかりだったから。
事務所に入ってからは制限の多い中で曲を作っている。クライアントから求められる曲は自分の好みだけじゃ作れない。
例え「これにこのテーマの曲を使うの?」と思っても求めているのがそれならば仕方がない。
そっとトートバッグから企画書を出した。
『一十木音也 ソロ曲×2』
テーマも曲調の指定も何もない、自由に書いていい曲。
音也の曲は学生のときから一番書いてきた。
ST☆RISHとしてデビューした今も音也の曲は半分以上書いている。
音也が自分の曲を歌ってくれるのが好きで、嬉しくて仕方がないのに……。
それなのに、一音も鳴らないなんてどうしちゃったんだろう。
テーブルに肘をついて顔を覆った。
ポンポン
「はい、」
プニッ
肩を叩かれて振り替えったら頬っぺたに指が刺さってたなんてことは、
「へへ、穂花引っ掛かった」
「音也」
イタズラの犯人は白い歯を見せて子供のように笑った。
「寮に帰る途中に穂花の姿が見えたから寄ったんだ~」
お昼まだだったからお腹ペコペコだよ……と言って注文しにいった。
そういえば学生の頃も校内のカフェテリアで一緒にお喋りしたなぁと思い出す。
サッカー帰りの音也はさっきみたいに「お腹ペコペコ~……」ってカレーを頼んでた。
「……懐かしいなぁ」
「ただいまー、はいこれ」
目の前に出されたのはホットケーキ。
分厚い二枚重ねの上にバターとシロップがかかってる昔ながらの素朴なホットケーキ。
「穂花ホットケーキ好きでしょ?」
「うん、でも何で」
「うーん」
カレーオムライスセットのトレーを置いて隣に座った音也は、少し考えるようにして答えた。
「穂花珍しく楽譜持ってきてるのに鞄にしまったままだし、いつもは頼まないコーヒー頼んでるからさ」
なんか悩んでるんだろうなーって思って!と言って音也はホットケーキを指差した。
「ホットケーキ食べてからまた考えればいいんじゃない?穂花なら大丈夫だよ、だって俺の自慢の作曲家だからさ!」
目がチカチカして一気に音が降ってきた。
お空のお星さまが落ちてきたみたいに、たくさんの音が。
隣をみると音を降らした当の本人は「いただきまーす」といってカレーオムライスを食べ始めてる。
さっきまでは一音も鳴らなかったのに、ずーっと悩んでたのが何だったんだろうって言うくらい沢山の音が頭の中で鳴ってる。
「音也この後付き合ってよ、曲できた」
美味しそうに食べてる彼はこの後とびっきりの笑顔で答えてくれるだろう。
そんな事を頭の隅で思いながら大好きなホットケーキにナイフを入れた。