リクエスト
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
明日、全国ツアーから真斗くんが帰ってくる。
2週間地方と収録の為に
何度か着替えを取りに戻ってきたみたいだけど、タイミングが悪くて会えなかった。
モゾモゾとベッドに潜り込んで携帯を開く。
送った最新のメッセージにはまだ既読がついていない。
アプリを閉じて携帯をサイドテーブルに置いた。
同棲を始めた時に買ったクイーンサイズのベッド。
広い方がストレスにならないよねってこのサイズにしたけれど、結局お互いを抱き締めて寝ていたからあまり関係なくて。
この2週間一人で眠るにはとても広くて冷たかった。
クライアントから至急、追加でもう一曲作って欲しいと連絡があったのは朝の9時を少し過ぎた頃。
真斗くんが帰ってくる前に夕飯の仕込みをしようと思っていた予定は事務所で作曲する予定に上書きされた。
とんとんっと優しく肩を叩かれたことで譜面から意識が浮上した。
傍らに置かれた携帯の時計を見ると18時40分、かなり集中していたらしい。
「穂花」
「っえ、真斗くん」
「ただいま」
「おかえりなさい……!」
名前を呼ばれて振り返るとずっと会いたかった人が居た。
驚く私を見てクスリと笑った真斗くんは、隣の椅子を引いて私と向き合うように座った。
「その様子だと、部屋へ入る時に一度声を掛けたのだが気づかなかったようだな」
「わ、ごめん。集中してたみたいで。家に戻ってから来てくれたの?」
「ああ。持っていった物を片してきた」
「手伝えなくてごめん……」
「気にしなくていい。急遽入った仕事だったのだろう?」
「……うん」
真斗くんの大きな掌が頭を優しく撫でてくれる。
動いた時にふわりと香る匂いは2週間前のものと同じで、とても安心した。
「あとこれ送ったら終わり」
データをクライアントに送ってパソコンを閉じると、隣に居る真斗くんの方へ引っ張られ抱きしめられた。
「やっと穂花に触れることが出来た。やはり声だけでは辛い」
「……私も寂しかった」
胸一杯に真斗くんの匂いがしてドキドキしている。
優しく名前を呼ばれて顔を上げるとキスが降ってきた。
角度を変えながらお互いの存在を確かめるように──────。
「穂花愛している」
「私も……おやすみ」
2週間、一人で眠るのには広くて冷たかったベッド。
いまは真斗くんに抱き締められてとても温かくて、もう寂しさは感じない。
10/10ページ