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さっきからハニーは電話に夢中だ。
ハニーの手作りランチを食べたあと二人でゆっくりしようと思っていたらかかってきた電話。
確認の連絡のようだったけど、途中から話が変わったみたいだ。
「それで──なんだけど」
「ハニー……」
ソファーから声をかけても気づかない。
かれこれ1時間はほったらかしだ。
キッチンで楽しそうに話すハニーの後ろ姿が見える。
電話の相手が聖川って言うのも気に食わない。
これが子羊ちゃんか
「……穂花」
「うん、うん───わっ、」
後ろからハニーを抱き締めて肩に顔を埋める。
髪からハニーが使っているシャンプーの香りがして少しだけホッとしている。
『泉大丈夫か?』
「あ、ごめんごめん大丈夫」
『ならいいが、』
顔を埋めた反対側から聖川の声がひそかに聞こえる。
またモヤモヤし始めて抱き締める力を少し強めた。
「うん、分かった!ありがとう」
あれから数分、やっと電話が終わった。
ハニーは俺がお腹に回していた腕を解いて向き合うように立った。
「レンおまたせ、ごめんね」
「……聖川と何の話をしてたんだい?」
「んー、まだナイショかな」
人差し指を口元に当てて考えるような仕草をしてハニーは悪戯顔で笑った。
「こんなに俺をほったらかしにしたのに教えてくれないのかい……?」
「ダーリンやきもち?」
「……ダメかな?」
「ぜーんぜん!ダーリンがやきもち妬いてくれて私は嬉しいよ」
「いつも私ばっかりやきもち妬いてるんだもん」とハニーは笑った。
仕事中はクールなイメージが強いハニーだけど、笑うと花が咲いたように明るい笑顔なのを学生の頃から知っている。
「ハニーキスして」
「はいはい、ダーリン」
背伸びをしてキスをする穂花を抱き締める。
触れるだけのものから熱く情熱的なキスへと変わっていく。
キスをする度に穂花への愛しさが溢れてきた。
「遅くなっちゃったけどお昼寝しよう?」
「エスコートは俺に任せて」
お姫様抱っこで寝室へとエスコートする。
穂花をベッドにそっと降ろして俺も隣で横になった。
コロンとこっちに寄ってきた穂花に布団をかけて抱き締める。そして可愛いつむじにキスを一つ。
「おやすみレン」
「おやすみ穂花……」
────いい夢を。
***
後日談
「おい神宮寺」
「……なんだい聖川」
楽屋で聖川からホチキスで留められた数枚の紙を渡された。
「なんだこれは」
「泉に頼まれていたものだ」
「穂花から……?」
ペラペラと捲ってみるとレシピと思われるものが書かれていた。
「『レンが撮影で身体絞っているみたいだから、筋肉がつきやすくて体力回復の料理を教えてほしい』と電話で言われたのでな」
「あの時か……」
「ああ。とりあえず渡しておいてくれ」
「分かった」
“まだナイショ”がこんなところで種明かしされるとはね。
俺のためにだなんて、やきもち妬いていた俺はまるで子供みたいじゃないか。
「……サンキュー聖川」
「ああ」
変える前に穂花の好きな花でも買っていこう。
とびきりの笑顔を想像して俺は仕事に向かった。
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