紅茶と角砂糖と、それから
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1─────────
『HAPPY NEW YEAR!!』
掛け声と共に発射音がして銀テープが勢いよく宙を舞う。
単体だけでもキラキラと輝くそれは照明によって夜空から降ってくる流れ星のようにみえた。
年越しカウントダウンも終えて後半戦もあと少し。
リハ後に修正した所も問題なく進んでいたし、今日のために新しく書き下ろした新曲の反応も上々。
今年最後の、もう日付が変わったから昨年最後の大仕事を無事に終えるそとが出来てホッとした。
「ラストスパート、全力で駆け抜けるよ~!ついてきてねマイガール!」
嶺二の煽りでまた一層と盛り上がる歓声に笑みが零れ、ペンライトをキュッと握りしめた。
ここ数日の中では驚くほど目覚めの良い朝だ。
いつもより少し遅くて、でもまだ起こすには早い時間。
隣でまだ眠っているカミュを起こさないようにそっと腕から抜け出して下へと降りていく。
「おはよう」の挨拶をしてくれたアレキサンダーに「おはようのキス」を返してそっと玄関を開けた。
一度自宅に戻ってお泊まり用の荷物を取りに行かなくてはいけない。
作曲関係の物はいつも持ち歩いてるパソコンと書くもの────ペンと楽譜があればなんとかなるし、カミュの家にはピアノも完備されているから、問題なくお泊まりできる。
あとは──────
「これこれ」
冷蔵庫からお重箱を取り出し風呂敷に包んだ。
今日から3日間お正月休みです!
「……ただいま~」
行きと同様そっと玄関を開けた。
わふわふっと玄関の開く音を聞き付けて駆け寄って来たアレクを引き連れてキッチンに向かう。
お重箱の入った紙袋をシンクに置いて、玄関に置きっぱなしだった他の荷物を取りに行った。
「……ほのか」
「あ、カミュ。おはよう」
「うむ……、おはよう……」
荷物を取ってリビングへ行くと丁度カミュが下りてくるところだった。
珍しくぽやぽやしている、……かわいい。
普段より少しゆっくりな足取りでソファーに向かい腰掛け、小さなあくびをするカミュは昨日の執事モードからは想像もつかない。
ここ1ヶ月はカウントダウンライブに向けての準備や宣伝、その他にも年末の特番や生放送が続いていたから疲れが溜まっているのだろう。
久しぶりの連休、三日目は夕方から打ち合わせだけ入っていると言っていたけど、それまではしっかり休んで欲しい。
「朝ごはん食べる?それとももう少し寝る?」
「朝食を先に取る……」
「分かった。じゃあ用意してくるから、カミュもその間に支度してきて」
コクリと頷いてゆっくり洗面所に向かったカミュを見送ってからまたキッチンに戻った。
紙袋から風呂敷に包まれたお重箱を取り出す。そっと蓋を開けて一重ずつ並べる、色は違えどまるで黄金の入った玉手箱のようだ。
壱の重と弐の重には伊達巻き、参の重には栗きんとんが敷き詰められている。
三日前から夜な夜な作ってはタッパーに入れ昨日のライブ前にお重箱に詰めた。つまり手作り。
壱、弐の重に敷き詰められた伊達巻きは市販のものより甘々で太めに作った。
栗きんとんは年末特番の告知インタビューで気になっていると言っていたのを観たから、急遽作ったと言うわけだ。ちなみに実家 の栗きんとんは元々甘めなので、多少砂糖が2倍3倍になったとしても変わらないよなぁと徹夜続きの頭で作っていたので、甘さだけは保証出来るぜ。
そんな事を取り皿を用意しながら思っているとスルリと腰に腕が回った。
パジャマから部屋着のシャツに着替えたカミュが私を抱き締めるように立っている。
顔を洗ってさっぱりしたからなのか、さっきのおねむなカミュでは無い。
腰に腕を回したままのカミュをそのままにして続きをしていると、ちゅっちゅっと旋毛にキスが落ちてくる。
最初は放置していたそれも、暫く続くとだんだん恥ずかしくなってきた。
「おや、顔が赤いですね?どうされました?」
意地悪な声が頭上から聞こえる。ふんっ、分かってやってるくせに。
とはいえ顔が赤いのは自分でも分かるので、顔に集まった血が早く引くように頭の中で般若心経を唱える。
その間も頭上で甘味の魔王 からの攻撃 は続いている、油断するな私。
まだ続く旋毛へのキスを阻止するように手で隠す。
ふっ、これで攻撃は出来ない筈だ。
「なんだ、ここにして欲しかったのか。初めからそう言えばいいものを」
「へ……?」
腰に回した腕でくるりと身体を回転させられ、あっという間に向き合うような形なってしまった。
そしてちょっとドヤ顔をするときに自己主張が激しかった唇へ優しくキスをされる。
旋毛に手を置いたままキスをされると言う、新年早々お間抜けな私を見て笑ってはまたキスをしてくる。
「も、いいよ……」
「ご満足頂けたようでなによりです」
「満足満足、大満足なので栗きんとんを持ってリビングへGoしてください」
ポンっと栗きんとんの入ったお重を持たせ背中を軽く押す。
さっきからアレクが「ホノカどの、主人とのイチャイチャの途中申し訳ないが、吾輩のご飯はまだだろうか……?」と言う顔でこちらを見ているんだなぁ。ごめんよ、アレク……。
「カミュ」
「なんだ」
「明けましておめでとう、今年もよろしくお願いします」
「ああ、明けましておめでとう。こちらこそ今年もよろしく頼む」
去り際にもう一度キスをしてカミュはリビングに向かった。
結局なんでこんなに甘々なのかは分からないまま。
そして手作り伊達巻きと栗きんとんを食べたカミュがまたご機嫌になって更に甘くなるまであと──────。
「はい、アレクのご飯。遅くなってごめんね」
「わふっ(ホノカどの感謝する!)」
「今年もよろしくね、アレク」
「わふわふっ!(こちらこそ主人と吾輩をよろしく頼むホノカどの!)」
「にしても何で今日はあんなに甘々だったんだろうね?」
「わ、わふわふ(そ、それは)」
「あれ?アレクなんか知ってる?」
「わ、わふ(わ、吾輩は何も)」
「そう?……ま、いっか」
「わふ(ホッ)」
(主人、約束は守りましたぞ)
『ぐっすり眠っている。無理もない、年末は俺と同様に忙しかったようだしな』
『わふ(主人、嬉しそうですね)』
『そうだな。まあ明日から三日間、久しぶりの休みだ。二人でゆっくり過ごすとしよう』
『わふわふ(そうしてくだされ。主人もホノカどのも働き過ぎですぞ!)』
『働きすぎか……。では明日は存分に甘やかすとしよう。まともに会えなかった分まで』
『わふんわふんっ!(良いとおもいます!吾輩もお供しますぞ)』
『それではアレキサンダー、これは俺達だけの秘密だ。穂花に気づかれぬようにな』
『わふ!(お任せください主人!)』
『HAPPY NEW YEAR!!』
掛け声と共に発射音がして銀テープが勢いよく宙を舞う。
単体だけでもキラキラと輝くそれは照明によって夜空から降ってくる流れ星のようにみえた。
年越しカウントダウンも終えて後半戦もあと少し。
リハ後に修正した所も問題なく進んでいたし、今日のために新しく書き下ろした新曲の反応も上々。
今年最後の、もう日付が変わったから昨年最後の大仕事を無事に終えるそとが出来てホッとした。
「ラストスパート、全力で駆け抜けるよ~!ついてきてねマイガール!」
嶺二の煽りでまた一層と盛り上がる歓声に笑みが零れ、ペンライトをキュッと握りしめた。
ここ数日の中では驚くほど目覚めの良い朝だ。
いつもより少し遅くて、でもまだ起こすには早い時間。
隣でまだ眠っているカミュを起こさないようにそっと腕から抜け出して下へと降りていく。
「おはよう」の挨拶をしてくれたアレキサンダーに「おはようのキス」を返してそっと玄関を開けた。
一度自宅に戻ってお泊まり用の荷物を取りに行かなくてはいけない。
作曲関係の物はいつも持ち歩いてるパソコンと書くもの────ペンと楽譜があればなんとかなるし、カミュの家にはピアノも完備されているから、問題なくお泊まりできる。
あとは──────
「これこれ」
冷蔵庫からお重箱を取り出し風呂敷に包んだ。
今日から3日間お正月休みです!
「……ただいま~」
行きと同様そっと玄関を開けた。
わふわふっと玄関の開く音を聞き付けて駆け寄って来たアレクを引き連れてキッチンに向かう。
お重箱の入った紙袋をシンクに置いて、玄関に置きっぱなしだった他の荷物を取りに行った。
「……ほのか」
「あ、カミュ。おはよう」
「うむ……、おはよう……」
荷物を取ってリビングへ行くと丁度カミュが下りてくるところだった。
珍しくぽやぽやしている、……かわいい。
普段より少しゆっくりな足取りでソファーに向かい腰掛け、小さなあくびをするカミュは昨日の執事モードからは想像もつかない。
ここ1ヶ月はカウントダウンライブに向けての準備や宣伝、その他にも年末の特番や生放送が続いていたから疲れが溜まっているのだろう。
久しぶりの連休、三日目は夕方から打ち合わせだけ入っていると言っていたけど、それまではしっかり休んで欲しい。
「朝ごはん食べる?それとももう少し寝る?」
「朝食を先に取る……」
「分かった。じゃあ用意してくるから、カミュもその間に支度してきて」
コクリと頷いてゆっくり洗面所に向かったカミュを見送ってからまたキッチンに戻った。
紙袋から風呂敷に包まれたお重箱を取り出す。そっと蓋を開けて一重ずつ並べる、色は違えどまるで黄金の入った玉手箱のようだ。
壱の重と弐の重には伊達巻き、参の重には栗きんとんが敷き詰められている。
三日前から夜な夜な作ってはタッパーに入れ昨日のライブ前にお重箱に詰めた。つまり手作り。
壱、弐の重に敷き詰められた伊達巻きは市販のものより甘々で太めに作った。
栗きんとんは年末特番の告知インタビューで気になっていると言っていたのを観たから、急遽作ったと言うわけだ。ちなみに
そんな事を取り皿を用意しながら思っているとスルリと腰に腕が回った。
パジャマから部屋着のシャツに着替えたカミュが私を抱き締めるように立っている。
顔を洗ってさっぱりしたからなのか、さっきのおねむなカミュでは無い。
腰に腕を回したままのカミュをそのままにして続きをしていると、ちゅっちゅっと旋毛にキスが落ちてくる。
最初は放置していたそれも、暫く続くとだんだん恥ずかしくなってきた。
「おや、顔が赤いですね?どうされました?」
意地悪な声が頭上から聞こえる。ふんっ、分かってやってるくせに。
とはいえ顔が赤いのは自分でも分かるので、顔に集まった血が早く引くように頭の中で般若心経を唱える。
その間も頭上で
まだ続く旋毛へのキスを阻止するように手で隠す。
ふっ、これで攻撃は出来ない筈だ。
「なんだ、ここにして欲しかったのか。初めからそう言えばいいものを」
「へ……?」
腰に回した腕でくるりと身体を回転させられ、あっという間に向き合うような形なってしまった。
そしてちょっとドヤ顔をするときに自己主張が激しかった唇へ優しくキスをされる。
旋毛に手を置いたままキスをされると言う、新年早々お間抜けな私を見て笑ってはまたキスをしてくる。
「も、いいよ……」
「ご満足頂けたようでなによりです」
「満足満足、大満足なので栗きんとんを持ってリビングへGoしてください」
ポンっと栗きんとんの入ったお重を持たせ背中を軽く押す。
さっきからアレクが「ホノカどの、主人とのイチャイチャの途中申し訳ないが、吾輩のご飯はまだだろうか……?」と言う顔でこちらを見ているんだなぁ。ごめんよ、アレク……。
「カミュ」
「なんだ」
「明けましておめでとう、今年もよろしくお願いします」
「ああ、明けましておめでとう。こちらこそ今年もよろしく頼む」
去り際にもう一度キスをしてカミュはリビングに向かった。
結局なんでこんなに甘々なのかは分からないまま。
そして手作り伊達巻きと栗きんとんを食べたカミュがまたご機嫌になって更に甘くなるまであと──────。
「はい、アレクのご飯。遅くなってごめんね」
「わふっ(ホノカどの感謝する!)」
「今年もよろしくね、アレク」
「わふわふっ!(こちらこそ主人と吾輩をよろしく頼むホノカどの!)」
「にしても何で今日はあんなに甘々だったんだろうね?」
「わ、わふわふ(そ、それは)」
「あれ?アレクなんか知ってる?」
「わ、わふ(わ、吾輩は何も)」
「そう?……ま、いっか」
「わふ(ホッ)」
(主人、約束は守りましたぞ)
『ぐっすり眠っている。無理もない、年末は俺と同様に忙しかったようだしな』
『わふ(主人、嬉しそうですね)』
『そうだな。まあ明日から三日間、久しぶりの休みだ。二人でゆっくり過ごすとしよう』
『わふわふ(そうしてくだされ。主人もホノカどのも働き過ぎですぞ!)』
『働きすぎか……。では明日は存分に甘やかすとしよう。まともに会えなかった分まで』
『わふんわふんっ!(良いとおもいます!吾輩もお供しますぞ)』
『それではアレキサンダー、これは俺達だけの秘密だ。穂花に気づかれぬようにな』
『わふ!(お任せください主人!)』