紅茶と角砂糖と、それから
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「お腹空いた……」
今日は朝からクライアントとの打ち合わせが続いていてまだ昼食を食べていない。
腕時計を見るとお昼の時間はとっくに過ぎていてもう少しでおやつの時間。
この後も事務所で打ち合わせがあるからご飯にありつけるまではもう暫く掛かりそう。
「とりあえず自販機で何かお腹に溜まるものでも買うか」
廊下に並んでいる自販機を見比べる。
コーヒーやお茶と並んで王道のコーンポタージュにコンソメスープ、しじみにみそ汁まであるのか。
コーンポタージュかみそ汁か、間をとってコンソメスープ?しじみは……二日酔いじゃないし……。
「穂花」
「あ、カミュ。お疲れさま」
エレベーターのある方からやって来たカミュは私の隣に立った。
「何を迷っている」
「いやまだお昼ご飯食べてなくて。この後も打ち合わせあるから、とりあえずお腹に溜まるものでも買おうかなと」
「全く、道中コンビニもあっただろうが。大方浮かんできたメロディをメモしていたんだろう?」
「……なんでもお見通しなんですね」
「バカめ」
ポカりと持っていた書類で叩かれた。痛くないぞー、セシルくんのときとは全然違うなぁ。
そんな事を考えるとついニマニマとしてしまう。
そんな私を呆れた顔で見たカミュは着ていたジャケットのポケットから何かを取り出した。
「下らんことを考えてないで早く手を出さんか」
「はい!すみません!」
勢いよくお辞儀をしながら手を目の前に差し出した。
あれ?事務所の廊下で私何してるんだろう……?
ぐるぐると考えているとカミュの手がそっと添えられ、次の瞬間には掌に小さくて硬い何かが幾つかコロコロと乗った。
自分の靴先とカミュの足しか見えないほど頭を下げているから何が手に乗ったか分からない。
恐る恐る頭を上げて手に乗ったものを見る。
「飴……?」
「特別だ」
包み紙に包まれた黄色の飴は「バターキャンディ」と書いてある。
見たことない飴だけど、どんな味なんだろう……?
「あまり無理をするな」
「うん、ありがとう……」
「終わったら連絡しろ、迎えに行く」
「え、でも今日は遅くなるよ……?」
この後も事務所での打ち合わせが細々と入っている、それに打ち合わせとは延びるものだ。
なんだかんだで予定の時間より遅くなるはず。
「明日は午後からだからな、多少遅くなったところで困るような用事もない」
「分かった、遅くても11時には終わるから」
腕時計を見るとそろそろ会議室に行かなければならない。
まだ自販機で飲み物も買ってなかった。うーん、コーンポタージュにしよう。
ガコンガコンと出てきた缶をジャケットのポケットに突っ込む。
ほんのりと横腹が温かい。
「じゃ、またあとで。飴ありがとう」
「ああ」
最後にするりと頬を撫でられカミュは横をすり抜けて行った。
……昨日買ったケーキでもご馳走しようかな。
「うしっ!頑張るぞ」
「む、結構濃いなぁ」
北海道のバターキャンディは結構濃厚でした。