紅茶と角砂糖と、それから
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フワフワする頭の片隅で私の好きな声が呼んでいる気がする。
でもまだこのまどろみの中に居たいような、もっと私の好きな声で起こしてほしいような……。
そういう意味を込めて手を声のする方へ伸ばした。
「……お嬢様は目覚めのキスをご所望のようですね?」
「ん……?」
「かしこまりました。それではその唇に……」
「まっ……!!!歯磨きしてないから!!」
勢いよくバチッと目を開けると目の前に顔はなく、ベッドに腰かけたカミュがキスをする気は微塵もなさそうな顔でこちらを見ていた。
待ってくれ、目覚めのキスとは。
「起きたか」
「へい、起きやした」
「全く……。一回で起きろ」
「そーりー」
「……反省していないようだな?」
ブンブンと顔を左右に振った。
ズイッと身を乗り出したカミュは本当にキスをしそうで怖い。
寝起きのキスはダメ、絶対。
口の前でバッテンを作った私を見て、ため息をつきながらカミュは立ち上がった。
「先ほど寿から連絡があった。一時間後には家を出るぞ」
「らじゃー」
モゾモゾと布団の海をかき分けベッドの端を目指す。
私の部屋にあるものも一人暮らしの割には大きいがこのベッドは更に大きい。
やっと着いた端に腰掛け大きく伸びをした。
「ベッド貸してくれてありがとう。よく寝れた」
徹夜続きでまともに寝ないまま朝一で事務所に向かい大切な用を済ませたあと、カミュの家に連絡もなく押し掛けた。
今日は夜にQUARTET NIGHTと事務所で軽く新曲の打ち合わせをするだけ。
それまでベッドで寝かせてくれと血走った目でお願いした所で記憶が途切れている。
大方その場で寝てしまった私をベッドまで運んでくれたのだろう。身に付けているものも着てきた服ではなくカミュのシャツに変わっている。これぞ彼シャツ。
「もっと小まめに寝ろ」
「ハイ、ごもっともです……」
「まあ、お前に言ったところで納期をどうにか出来るわけではないからな。とりあえずシャワーを浴びてこい」
「いや、そこまでしていただく訳には……」
「その頭で事務所に行くつもりか?」
「え……」
枕元にある携帯を掴み鏡代わりに覗くと鳥の巣のようものに仕上がっていた。
徹夜続きで時間が惜しいからトリートメントなどの手入れを怠っていたからかも……。
悲しくなってガックリと肩を落とすと頭上から呆れたような声が降ってくる。
「着替えもあるだろう、さっさと行ってこい」
「ハイ、スミマセン」
色違いのお高そうなスリッパを足に引っ掛けベッドから立った。
今日のように押し掛けることがあるため下着だけはいくつかセットで置かせて貰っている。
洋服は着てきたやつでいいだろう。
カミュが一足先に下へ降りていくので携帯を持ってその背中を追いかけた。
私はシャイニング事務所所属の作曲家。
好きな言葉は「今日の徹夜は明日のオフ」
そして私の恋人はカミュです。
でもまだこのまどろみの中に居たいような、もっと私の好きな声で起こしてほしいような……。
そういう意味を込めて手を声のする方へ伸ばした。
「……お嬢様は目覚めのキスをご所望のようですね?」
「ん……?」
「かしこまりました。それではその唇に……」
「まっ……!!!歯磨きしてないから!!」
勢いよくバチッと目を開けると目の前に顔はなく、ベッドに腰かけたカミュがキスをする気は微塵もなさそうな顔でこちらを見ていた。
待ってくれ、目覚めのキスとは。
「起きたか」
「へい、起きやした」
「全く……。一回で起きろ」
「そーりー」
「……反省していないようだな?」
ブンブンと顔を左右に振った。
ズイッと身を乗り出したカミュは本当にキスをしそうで怖い。
寝起きのキスはダメ、絶対。
口の前でバッテンを作った私を見て、ため息をつきながらカミュは立ち上がった。
「先ほど寿から連絡があった。一時間後には家を出るぞ」
「らじゃー」
モゾモゾと布団の海をかき分けベッドの端を目指す。
私の部屋にあるものも一人暮らしの割には大きいがこのベッドは更に大きい。
やっと着いた端に腰掛け大きく伸びをした。
「ベッド貸してくれてありがとう。よく寝れた」
徹夜続きでまともに寝ないまま朝一で事務所に向かい大切な用を済ませたあと、カミュの家に連絡もなく押し掛けた。
今日は夜にQUARTET NIGHTと事務所で軽く新曲の打ち合わせをするだけ。
それまでベッドで寝かせてくれと血走った目でお願いした所で記憶が途切れている。
大方その場で寝てしまった私をベッドまで運んでくれたのだろう。身に付けているものも着てきた服ではなくカミュのシャツに変わっている。これぞ彼シャツ。
「もっと小まめに寝ろ」
「ハイ、ごもっともです……」
「まあ、お前に言ったところで納期をどうにか出来るわけではないからな。とりあえずシャワーを浴びてこい」
「いや、そこまでしていただく訳には……」
「その頭で事務所に行くつもりか?」
「え……」
枕元にある携帯を掴み鏡代わりに覗くと鳥の巣のようものに仕上がっていた。
徹夜続きで時間が惜しいからトリートメントなどの手入れを怠っていたからかも……。
悲しくなってガックリと肩を落とすと頭上から呆れたような声が降ってくる。
「着替えもあるだろう、さっさと行ってこい」
「ハイ、スミマセン」
色違いのお高そうなスリッパを足に引っ掛けベッドから立った。
今日のように押し掛けることがあるため下着だけはいくつかセットで置かせて貰っている。
洋服は着てきたやつでいいだろう。
カミュが一足先に下へ降りていくので携帯を持ってその背中を追いかけた。
私はシャイニング事務所所属の作曲家。
好きな言葉は「今日の徹夜は明日のオフ」
そして私の恋人はカミュです。
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