芽生えた気持ち
認めたくない気持ちなんて誰にでもある……。
桜が咲き、風に揺られて舞散っていく。気がつけばそんな景色に魅入られて足が止まっていた。
五十嵐桜依は部活の顧問に言われ必要最低限の画材の数を数えていた。もちろん、一人ではない。何人かで和気あいあいと数を数えていた。けれど一人また一人とバイトや塾があると帰っていき、必然と数えた数を書いた紙を出す事が桜依と二人の後輩になっただけ。
その二人は双子の後輩で桜依とも仲が良く、三人で持っていくという話も出たが春先と言えど日が影ればまだ冷える。だからこそ桜依は後輩を先に帰らせようと率先して持っていくことに決め、教員室へと足を運んでいる途中だった。
それに正直にいえばあまり早く家に帰りたくないのも事実だ。部活がある日は下校時刻ギリギリまで残っているようにしていたし、部活以外でも何かと理由をつけて帰るのを遅らせてもいた。
その理由は自分の中にある違和感と、気持ちなのも本人はよく知っている。
「はぁ……」
ひらひらと舞い散る桜を見ながら今日何度目かのため息が不意にこぼれた。誰が悪いわけじゃ無いことが何よりも辛く、考えても仕方が無いからこそ、違和感をどうにか消したいとも思っている。
やり場のない怒りにまた小さくため息をこぼした桜依は重い足を職員室へと進めた。
桜が咲き、風に揺られて舞散っていく。気がつけばそんな景色に魅入られて足が止まっていた。
五十嵐桜依は部活の顧問に言われ必要最低限の画材の数を数えていた。もちろん、一人ではない。何人かで和気あいあいと数を数えていた。けれど一人また一人とバイトや塾があると帰っていき、必然と数えた数を書いた紙を出す事が桜依と二人の後輩になっただけ。
その二人は双子の後輩で桜依とも仲が良く、三人で持っていくという話も出たが春先と言えど日が影ればまだ冷える。だからこそ桜依は後輩を先に帰らせようと率先して持っていくことに決め、教員室へと足を運んでいる途中だった。
それに正直にいえばあまり早く家に帰りたくないのも事実だ。部活がある日は下校時刻ギリギリまで残っているようにしていたし、部活以外でも何かと理由をつけて帰るのを遅らせてもいた。
その理由は自分の中にある違和感と、気持ちなのも本人はよく知っている。
「はぁ……」
ひらひらと舞い散る桜を見ながら今日何度目かのため息が不意にこぼれた。誰が悪いわけじゃ無いことが何よりも辛く、考えても仕方が無いからこそ、違和感をどうにか消したいとも思っている。
やり場のない怒りにまた小さくため息をこぼした桜依は重い足を職員室へと進めた。