初めての生放送
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「……」
絶句。
生まれてこの方北海道から外に出たことがほとんどなかった生粋の道産子のわたしは、人がゴミのようだという有名な台詞が頭をよぎるほどの人の波と、高すぎるビルに唖然としていた。
何度も東京に来ているキヨくん達は、そんな中をスイスイと歩いて行くものだから、わたしは慌ててついて行く。
「別世界」
最俺が何か大きなことを成し遂げるたびに頭をよぎるその単語を、慌てて振り払う。今はメランコリーに浸っている場合じゃない。ついていかなきゃ迷子になる。
「ヒラ初めて来た時迷子なってたよなー」
「いや、あれは普通に気になる店があったからそっちいっただけだから」
「言い訳言い訳」
「ちかちゃん迷子にならないでね」
「う、うん」
キヨくんは、わたしの手からボストンバッグをひょいっと貰い受け、少しだけ歩くペースを落とす。
「ありがとう」と慌ててお礼を言うわたしに、「うん」とキヨくんは笑った。
あ、私の知ってる優しいキヨくんだ。知らない土地に知らない人の中で少しだけ落ち着く。
ついた先は、かなり寂れた雑居ビル。ここがニコニコ動画の本社なのか?わたしの言いたいことを読み取ったらしいキヨくんが苦笑いしつつ自動ドアを潜った。
そこからはあっという間だった。
受付で挨拶をするとすぐに控室へ通され、今日のイベントの簡単な流れの説明をされる。キヨくん達は落ち着いたように頷いていて、あのヒラくんでさえ余裕が感じられるほど。
わたしはといえば、言われる言葉を頭で反芻するのでいっぱいいっぱいだった。
「……」
「ちかちゃん」
「……」
「おーい」
「は。はいっ!」
お兄ちゃんが急遽ドンキで買ってきたセーラー服を着て、控え室の隅に座ってぼんやりとしていたわたしをキヨくんが覗き込む。
各々準備をしていたヒラくんとフジくんも心配そうにわたしを見ていた。
「大丈夫?」
「……あの、わたし」
うわずる声で言いかけたわたしを遮るように、スタッフさんが扉を開けた。出番のようだ。
マスクやサングラスをつけはじめるみんなに、わたしも慌ててマスクをつけ、これまたお兄ちゃんがふざけて買ってきたハートのサングラスをした。
手汗がひどく、ほぼ言葉を発していないのに喉がカラカラなのに気がついたのは、生放送が終わった後だった。
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「……」
絶句。
生まれてこの方北海道から外に出たことがほとんどなかった生粋の道産子のわたしは、人がゴミのようだという有名な台詞が頭をよぎるほどの人の波と、高すぎるビルに唖然としていた。
何度も東京に来ているキヨくん達は、そんな中をスイスイと歩いて行くものだから、わたしは慌ててついて行く。
「別世界」
最俺が何か大きなことを成し遂げるたびに頭をよぎるその単語を、慌てて振り払う。今はメランコリーに浸っている場合じゃない。ついていかなきゃ迷子になる。
「ヒラ初めて来た時迷子なってたよなー」
「いや、あれは普通に気になる店があったからそっちいっただけだから」
「言い訳言い訳」
「ちかちゃん迷子にならないでね」
「う、うん」
キヨくんは、わたしの手からボストンバッグをひょいっと貰い受け、少しだけ歩くペースを落とす。
「ありがとう」と慌ててお礼を言うわたしに、「うん」とキヨくんは笑った。
あ、私の知ってる優しいキヨくんだ。知らない土地に知らない人の中で少しだけ落ち着く。
ついた先は、かなり寂れた雑居ビル。ここがニコニコ動画の本社なのか?わたしの言いたいことを読み取ったらしいキヨくんが苦笑いしつつ自動ドアを潜った。
そこからはあっという間だった。
受付で挨拶をするとすぐに控室へ通され、今日のイベントの簡単な流れの説明をされる。キヨくん達は落ち着いたように頷いていて、あのヒラくんでさえ余裕が感じられるほど。
わたしはといえば、言われる言葉を頭で反芻するのでいっぱいいっぱいだった。
「……」
「ちかちゃん」
「……」
「おーい」
「は。はいっ!」
お兄ちゃんが急遽ドンキで買ってきたセーラー服を着て、控え室の隅に座ってぼんやりとしていたわたしをキヨくんが覗き込む。
各々準備をしていたヒラくんとフジくんも心配そうにわたしを見ていた。
「大丈夫?」
「……あの、わたし」
うわずる声で言いかけたわたしを遮るように、スタッフさんが扉を開けた。出番のようだ。
マスクやサングラスをつけはじめるみんなに、わたしも慌ててマスクをつけ、これまたお兄ちゃんがふざけて買ってきたハートのサングラスをした。
手汗がひどく、ほぼ言葉を発していないのに喉がカラカラなのに気がついたのは、生放送が終わった後だった。
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