初めての生放送
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断る隙を与えない。多分これがお兄ちゃんなりのわたしへの対処法。丸め込まれたわたしは、今こうして人生初めての飛行機に乗っている。
「え、飛行機初?」
問いにこくりと頷くわたしに、隣の席のキヨくんは小さく笑った。わたしとキヨくんの後ろには、ヒラくんとフジくんが並んで乗っている。
なんだかこうしてゆっくり一緒にいるのってすごく久しぶりだ。親戚のお兄さんに久々に会うような感じがする。しかも札幌から東京までの空の旅1時間半、微妙に気まずい。
「……なんかこうやってちかちゃんとゆっくり二人でって久々だね」
「……あ、うん」
隣に座ったキヨくんは、私の方を見て言った。高校の頃よりさっぱりした髪は金髪のメッシュなんて入れちゃっておしゃれだ。
まじまじとキヨくんをみると、なんだか私の知ってるキヨくんではないような気がして微妙どころかかなり気まずく感じてきた。
「……高校楽しい?」
「……まあまあ。キヨくんは大学楽しい?」
「……」
私の質問にキヨくんは「まあまあ」と私の真似をして答えた。実際、最俺皆高校を卒業してからゲーム実況に更に本腰を入れていて、大学生活をエンジョイしているという感じでもなかった。
「実況で食っていけたら最高だけどな」と言っていた彼の言葉は絵空事ではなく、こうしてイベントにも頻繁に呼ばれるくらいにしっかりと形になっていた。
「……ちかちゃんに数学教えてあげてたけど、もう忘れたなぁほぼ」
キヨくんとわたしは、なんとなく開いていた手元の数学の課題を見る。
キヨくん達の今の活動は、きっと高校生の時とは違う。遊びじゃない。一方わたしは、時々実況になんて出て、何になるんだろう。わたしはキヨくん達みたいにゲームで食べていきたいと思っているんだろうか。ゲームは好きだ、すきだけど。
私は一体どうなりたいんだろう。
「……キヨくんは」
「……ん?」
「なんでもない」
「……俺ちょっと寝るね」
「大学出たらどうするの?」彼が高校生の時は「就職して一生安泰だ」と言っていた。けれど、今の彼に尋ねて帰ってくる答えはそれとは違うような気がして、私の知ってるキヨくんとは違う気がして、怖くなって飲み込んだ。
「ちかちゃんじゃがりこ食うー?」
「うん、ありがとう」
私の何かを感じ取ったのか、フジくんが後ろからじゃがりこを差し出してくれた。
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断る隙を与えない。多分これがお兄ちゃんなりのわたしへの対処法。丸め込まれたわたしは、今こうして人生初めての飛行機に乗っている。
「え、飛行機初?」
問いにこくりと頷くわたしに、隣の席のキヨくんは小さく笑った。わたしとキヨくんの後ろには、ヒラくんとフジくんが並んで乗っている。
なんだかこうしてゆっくり一緒にいるのってすごく久しぶりだ。親戚のお兄さんに久々に会うような感じがする。しかも札幌から東京までの空の旅1時間半、微妙に気まずい。
「……なんかこうやってちかちゃんとゆっくり二人でって久々だね」
「……あ、うん」
隣に座ったキヨくんは、私の方を見て言った。高校の頃よりさっぱりした髪は金髪のメッシュなんて入れちゃっておしゃれだ。
まじまじとキヨくんをみると、なんだか私の知ってるキヨくんではないような気がして微妙どころかかなり気まずく感じてきた。
「……高校楽しい?」
「……まあまあ。キヨくんは大学楽しい?」
「……」
私の質問にキヨくんは「まあまあ」と私の真似をして答えた。実際、最俺皆高校を卒業してからゲーム実況に更に本腰を入れていて、大学生活をエンジョイしているという感じでもなかった。
「実況で食っていけたら最高だけどな」と言っていた彼の言葉は絵空事ではなく、こうしてイベントにも頻繁に呼ばれるくらいにしっかりと形になっていた。
「……ちかちゃんに数学教えてあげてたけど、もう忘れたなぁほぼ」
キヨくんとわたしは、なんとなく開いていた手元の数学の課題を見る。
キヨくん達の今の活動は、きっと高校生の時とは違う。遊びじゃない。一方わたしは、時々実況になんて出て、何になるんだろう。わたしはキヨくん達みたいにゲームで食べていきたいと思っているんだろうか。ゲームは好きだ、すきだけど。
私は一体どうなりたいんだろう。
「……キヨくんは」
「……ん?」
「なんでもない」
「……俺ちょっと寝るね」
「大学出たらどうするの?」彼が高校生の時は「就職して一生安泰だ」と言っていた。けれど、今の彼に尋ねて帰ってくる答えはそれとは違うような気がして、私の知ってるキヨくんとは違う気がして、怖くなって飲み込んだ。
「ちかちゃんじゃがりこ食うー?」
「うん、ありがとう」
私の何かを感じ取ったのか、フジくんが後ろからじゃがりこを差し出してくれた。
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