顔バレしました
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kiyo
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正直、自分が顔バレした時よりも泣きそうだった。例えるなら、自分の子供が自分を犠牲にして俺の病気を治す薬をもらってきたとかそんなかんじ。子供いないからわかんないけど。
けれど、顔出ししようと考えた経緯を一生懸命伝えるちかちゃんに、怒りはしゅんと消えた。
俺が言おうと思っていたことの半分以上、本人は分かった上で行動していたらしかったから。
「ちかちゃんは、俺がちかちゃんを守るために自分犠牲にしたら嬉しい?」
彼女はふるふると首を振る。
俺によって解かれた掌は、じんわりと汗ばんでいて、それほど緊張していたんだなと分かる。
「だろ?俺もおんなじなんだよ」
「……じゃあ、キヨくんは、わたしが顔バレしたらどうする?」
そんなの、俺も顔を出す。ちかちゃんに相談無しで。今回の彼女と全く同じ行動をとることは、安易に想像出来た。
自分でもかなりドライな方だと思うけれど、自分の大事なものに対してはやっぱり自己犠牲的な行動を取ってしまうところが俺にもある。
「……とにかく」
「……誤魔化した」
ああ言えばこう言う。ちかちゃんなりに、相当考えて決断したことなんだろう。だからこんなに意固地なのだと思う。
「ちかちゃんの熱い気持ちはわかった。けど、俺の気持ちもわかって」
「うん」
ちかちゃんはちょっと考えると、頭を下げた。
「勝手な行動してごめんなさい。せめて、相談するべきだった」
「うん。分かればいいよ。怒ってないし」
我ながら切り替えがえぐいほど早い。頷いた俺に、ちかちゃんは「ありがと」と情けなく笑った。
「二度とこんなことして欲しくないけど、ちかちゃんの気持ちは嬉しい。俺のこと考えて動いてくれてありがとう」
「……」
ちかちゃんは暫く俺を無言で見つめると、ばっと顔を手で覆った。ぐずぐずと音が聞こえるあたり、泣いてるんだろう。こういう喜怒哀楽の分かりやすく激しいところがかなり好きだ。
俺はちかちゃんに「泣いてんの?」と意地悪で聞く。
「泣いてない」
「泣かないで。ほら、これあげる」
ずっと俺のリュックの中で出番を待っていた入学祝い。既に紙袋はぐしゃぐしゃで不格好なそれを、ちかちゃんに差し出した。
ちかちゃんは、やっぱり赤くなっていた目を手の隙間から覗かせる。
「なにこれ」
「入学祝い」
「おそ」
率直な感想に吹き出した。
.
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正直、自分が顔バレした時よりも泣きそうだった。例えるなら、自分の子供が自分を犠牲にして俺の病気を治す薬をもらってきたとかそんなかんじ。子供いないからわかんないけど。
けれど、顔出ししようと考えた経緯を一生懸命伝えるちかちゃんに、怒りはしゅんと消えた。
俺が言おうと思っていたことの半分以上、本人は分かった上で行動していたらしかったから。
「ちかちゃんは、俺がちかちゃんを守るために自分犠牲にしたら嬉しい?」
彼女はふるふると首を振る。
俺によって解かれた掌は、じんわりと汗ばんでいて、それほど緊張していたんだなと分かる。
「だろ?俺もおんなじなんだよ」
「……じゃあ、キヨくんは、わたしが顔バレしたらどうする?」
そんなの、俺も顔を出す。ちかちゃんに相談無しで。今回の彼女と全く同じ行動をとることは、安易に想像出来た。
自分でもかなりドライな方だと思うけれど、自分の大事なものに対してはやっぱり自己犠牲的な行動を取ってしまうところが俺にもある。
「……とにかく」
「……誤魔化した」
ああ言えばこう言う。ちかちゃんなりに、相当考えて決断したことなんだろう。だからこんなに意固地なのだと思う。
「ちかちゃんの熱い気持ちはわかった。けど、俺の気持ちもわかって」
「うん」
ちかちゃんはちょっと考えると、頭を下げた。
「勝手な行動してごめんなさい。せめて、相談するべきだった」
「うん。分かればいいよ。怒ってないし」
我ながら切り替えがえぐいほど早い。頷いた俺に、ちかちゃんは「ありがと」と情けなく笑った。
「二度とこんなことして欲しくないけど、ちかちゃんの気持ちは嬉しい。俺のこと考えて動いてくれてありがとう」
「……」
ちかちゃんは暫く俺を無言で見つめると、ばっと顔を手で覆った。ぐずぐずと音が聞こえるあたり、泣いてるんだろう。こういう喜怒哀楽の分かりやすく激しいところがかなり好きだ。
俺はちかちゃんに「泣いてんの?」と意地悪で聞く。
「泣いてない」
「泣かないで。ほら、これあげる」
ずっと俺のリュックの中で出番を待っていた入学祝い。既に紙袋はぐしゃぐしゃで不格好なそれを、ちかちゃんに差し出した。
ちかちゃんは、やっぱり赤くなっていた目を手の隙間から覗かせる。
「なにこれ」
「入学祝い」
「おそ」
率直な感想に吹き出した。
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