顔バレしました
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お通夜のような雰囲気の部屋で、向かい合うわたしとキヨくんに、お兄ちゃんは居づらそうにソファに座っている。
「こーすけ……二人で話したいからどっか行ってて」
「あんま怒んなよ」
「怒ってない。また連絡するから」
「頼む」とお兄ちゃんを見上げる彼に、お兄ちゃんはわたしをちらっと見て「必要なら呼べよ」とだけ伝えると大人しく部屋から出ていった。
清田くんと話し合いを終えて、今帰ってきたばかり。
「あの」
「……うん」
「お兄ちゃんからどう聞いたか分からないけど、あれはキヨくんは関係ない」
「……ちかちゃん」
「はい」
「嘘は無し」
取ってつけたような言葉は通用しないらしく、キヨくんは大きなため息をついた。
キヨくんがわたしの行動に怒ることは想像できていた。怒る理由まで想像出来ていた上でやったことだった。それくらいの覚悟はあった。
「……キヨくんの騒ぎが少しでも収まればいいなと思ってやりました」
「……うん」
実際、キヨくんの騒ぎよりも、わたしの顔出し動画の反響は大きく、Twitterのトレンドにわたしの名前や顔出しという言葉が入ったくらいだった。ここまでとは予想していなかったし、火消しできたとも思ってないけれど、わたしの意図は達成された感じだった。
キヨくんはなんにも話さない。
「顔出ししたら、誹謗中傷や身バレとか特定とか、色々起きる可能性があるのはわかってるし、キヨくんが喜ばないこともわかってる」
「じゃあなんですんの」
「キヨくんが大事だからだよ」
「……」
私の答えに、キヨくんは黙り込む。
「エゴだってわかってる。けど、キヨくんが大変な時に何もしないではいられなかった」
「……うん」
「お母さんには相談したし、お父さんも説き伏せた。彼氏も巻き添え食らうかもしれないから別れた。周りの人に迷惑をかけないようにしたつもり」
「……ばかじゃん」
「ばかでいいよ……」
「やりたいからやったの」と答えるわたしに、キヨくんはわたしをじっと見る。
「……ちかちゃんの気持ちはすげぇ嬉しいけど、二度とこんなことして欲しくない」
机の上でぷるぷると握られていた私の拳の力を抜くように、キヨくんの綺麗な手が私の指を1本1本広げていく。
「ちかちゃんが俺のこと大事って言ってくれんのもすげぇ嬉しいけど、俺……とか、他のみんなにとってもちかちゃんは大事なわけね」と、キヨくんはゆっくり考えながら伝えるように言葉を紡ぐ。
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お通夜のような雰囲気の部屋で、向かい合うわたしとキヨくんに、お兄ちゃんは居づらそうにソファに座っている。
「こーすけ……二人で話したいからどっか行ってて」
「あんま怒んなよ」
「怒ってない。また連絡するから」
「頼む」とお兄ちゃんを見上げる彼に、お兄ちゃんはわたしをちらっと見て「必要なら呼べよ」とだけ伝えると大人しく部屋から出ていった。
清田くんと話し合いを終えて、今帰ってきたばかり。
「あの」
「……うん」
「お兄ちゃんからどう聞いたか分からないけど、あれはキヨくんは関係ない」
「……ちかちゃん」
「はい」
「嘘は無し」
取ってつけたような言葉は通用しないらしく、キヨくんは大きなため息をついた。
キヨくんがわたしの行動に怒ることは想像できていた。怒る理由まで想像出来ていた上でやったことだった。それくらいの覚悟はあった。
「……キヨくんの騒ぎが少しでも収まればいいなと思ってやりました」
「……うん」
実際、キヨくんの騒ぎよりも、わたしの顔出し動画の反響は大きく、Twitterのトレンドにわたしの名前や顔出しという言葉が入ったくらいだった。ここまでとは予想していなかったし、火消しできたとも思ってないけれど、わたしの意図は達成された感じだった。
キヨくんはなんにも話さない。
「顔出ししたら、誹謗中傷や身バレとか特定とか、色々起きる可能性があるのはわかってるし、キヨくんが喜ばないこともわかってる」
「じゃあなんですんの」
「キヨくんが大事だからだよ」
「……」
私の答えに、キヨくんは黙り込む。
「エゴだってわかってる。けど、キヨくんが大変な時に何もしないではいられなかった」
「……うん」
「お母さんには相談したし、お父さんも説き伏せた。彼氏も巻き添え食らうかもしれないから別れた。周りの人に迷惑をかけないようにしたつもり」
「……ばかじゃん」
「ばかでいいよ……」
「やりたいからやったの」と答えるわたしに、キヨくんはわたしをじっと見る。
「……ちかちゃんの気持ちはすげぇ嬉しいけど、二度とこんなことして欲しくない」
机の上でぷるぷると握られていた私の拳の力を抜くように、キヨくんの綺麗な手が私の指を1本1本広げていく。
「ちかちゃんが俺のこと大事って言ってくれんのもすげぇ嬉しいけど、俺……とか、他のみんなにとってもちかちゃんは大事なわけね」と、キヨくんはゆっくり考えながら伝えるように言葉を紡ぐ。
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