顔バレしました
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「大事な話がある」なんて芝居がかったセリフ、わたしの人生で使う日が来るとは思わなかった。
あの件の翌日、清田くんにその言葉を送り、会う時間を作ってもらった。場所は、彼の家。
「……」
「……」
清田くんも、雰囲気でいい事ではないと感じているのか、苦々しい顔をしながらわたしを見ている。その目があまりに優しいものだから、決意がゆらぎそうになる。
いや、「それほどの覚悟なら」と協力してくれた兄のことを思い出す。覚悟して決断したはずだ。
「……き、清田くん……私と別れて欲しい」
「……どうして?」
ゆらっと視線が揺れる。
わたしの言葉がどれだけ彼を傷つけているか想像するだけで泣きそうになる。でも、言い出しっぺが最初に泣くなんてずるいから、必死に我慢する。
「……顔出ししようと思うの」
「……え?」
「ネットの世界で自分の顔を出して活動しようと思う」
「……」
「そうすると、きっと大学でもバレるし、もしかしたら清田くんにも迷惑がかかるかもしれない」
「だから、別れたい」と言い切ると、清田くんは悲しそうに笑って「俺はちかちゃんにかけられるなら、迷惑じゃない」と答えた。あまりに優しい言葉に、わたしは唇をきゅっと噛み締めた。
「……わたしが嫌なの。清田くんには、これから沢山のことが待ってるじゃん。就職も、結婚も……。それにわたしと付き合っていたことが影を落とすのは嫌なの」
「……なんで、顔出ししようと思ったの?」
「……」
落ち着いて聞く清田くん。この人の前で嘘をつけないと思った。こんなに真剣に聞こうとしてくれる人の前でそんなの、不誠実だ。
元々不誠実なくせに、何を今更誠実ぶってるんだろうかと思うけれど。
「……わたしの、大事な人を少しでも守りたいから」
「……それって、キヨ……さん?」
「……」
彼の言葉に小さく頷いた。
こんなわたしでも、キヨくんのためにできること。
思いついたのは、わたしも顔を出すことだった。同じ境遇の相手がいるだけで楽になれるはずだと思ったし、少しでも話題になれば、キヨくんの騒ぎも収まるんじゃないかと思ったから。
お兄ちゃんは、「だから、清田くんとも別れる覚悟だ」と言ったわたしの話を聞いて、協力してくれた。「キヨが喜ぶとは俺は思わねーよ」と釘を刺されたけれど、別に喜んでもらいたいわけじゃない。
「……それって、ちかちゃんがしたいからするの?」
清田くんの質問に、わたしははっきりと頷いた。
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「大事な話がある」なんて芝居がかったセリフ、わたしの人生で使う日が来るとは思わなかった。
あの件の翌日、清田くんにその言葉を送り、会う時間を作ってもらった。場所は、彼の家。
「……」
「……」
清田くんも、雰囲気でいい事ではないと感じているのか、苦々しい顔をしながらわたしを見ている。その目があまりに優しいものだから、決意がゆらぎそうになる。
いや、「それほどの覚悟なら」と協力してくれた兄のことを思い出す。覚悟して決断したはずだ。
「……き、清田くん……私と別れて欲しい」
「……どうして?」
ゆらっと視線が揺れる。
わたしの言葉がどれだけ彼を傷つけているか想像するだけで泣きそうになる。でも、言い出しっぺが最初に泣くなんてずるいから、必死に我慢する。
「……顔出ししようと思うの」
「……え?」
「ネットの世界で自分の顔を出して活動しようと思う」
「……」
「そうすると、きっと大学でもバレるし、もしかしたら清田くんにも迷惑がかかるかもしれない」
「だから、別れたい」と言い切ると、清田くんは悲しそうに笑って「俺はちかちゃんにかけられるなら、迷惑じゃない」と答えた。あまりに優しい言葉に、わたしは唇をきゅっと噛み締めた。
「……わたしが嫌なの。清田くんには、これから沢山のことが待ってるじゃん。就職も、結婚も……。それにわたしと付き合っていたことが影を落とすのは嫌なの」
「……なんで、顔出ししようと思ったの?」
「……」
落ち着いて聞く清田くん。この人の前で嘘をつけないと思った。こんなに真剣に聞こうとしてくれる人の前でそんなの、不誠実だ。
元々不誠実なくせに、何を今更誠実ぶってるんだろうかと思うけれど。
「……わたしの、大事な人を少しでも守りたいから」
「……それって、キヨ……さん?」
「……」
彼の言葉に小さく頷いた。
こんなわたしでも、キヨくんのためにできること。
思いついたのは、わたしも顔を出すことだった。同じ境遇の相手がいるだけで楽になれるはずだと思ったし、少しでも話題になれば、キヨくんの騒ぎも収まるんじゃないかと思ったから。
お兄ちゃんは、「だから、清田くんとも別れる覚悟だ」と言ったわたしの話を聞いて、協力してくれた。「キヨが喜ぶとは俺は思わねーよ」と釘を刺されたけれど、別に喜んでもらいたいわけじゃない。
「……それって、ちかちゃんがしたいからするの?」
清田くんの質問に、わたしははっきりと頷いた。
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