初めての生放送
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わたしが高校生になり、キヨくんは大学生になった。高校生の時より活動の幅がぐんと広がり、人気もでてきた最俺は、東京のニコ生のイベントに出て、有名な実況者の方と絡むことも増えてきた。
わたしは、月に1回程度動画に出演するかしないか、そのくらい。
お兄ちゃんはまだしも、ほかの3人に会う回数はかなり減っていた。
「……ちかお前さ」
「なに?」
久々に晩御飯のタイミングが合ったわたしとお兄ちゃんは、並んでもぐもぐとハンバーグを頬張る。お母さんとお姉ちゃんは先にご飯を食べ終えて、テレビを見ていた。
「今度の土曜空いてる?」
「……空いてるけど、なんで?」
たしか、部活はテスト前で休みだったはずだ。まあテスト勉強をしなくてはいけないんだけど。
お兄ちゃんは「マジ!?部活ない!?」と嬉しげに私の背中をバシバシ叩く。
「その日、東京でニコ生のイベントがあるんだけど、俺、でれねえんだわ」
「なんで?」
「……いや…バイト間違って入れてて、断れなくて」
相変わらずだ。お兄ちゃんの言葉に冷たい視線を送っていると、お兄ちゃんははぐらかすように話を続ける。
「お前、俺の代わりにイベント出れねえかな」
「え?」
絶句する。
ゲームの画面がひたすら映し出されて声だけ入っている動画とは違って、人前に立って顔を出して話して、それが生配信される。何度か皆が出演しているのを見たことがあるけれど、クオリティはさることながら形式はほとんど芸能人のそれだった。
「む、むりむりむり!!わたし、生放送とか、絶対無理だよ!」
「……そこをなんとか!」
「なんで、お兄ちゃん以外の3人で行けばいいじゃん」
「……向こう側からのお願いなんだよ。俺が行けないならちかを寄越せってさ」
「……どういう理屈なの」
お兄ちゃんの言い分では、4人揃ってないと意味が無いけれど、まあ顔出しをしたことがない妹が顔出しで出てくれればかなり話題になるからそれなら番組側もOKしたらしい。
「……嫌」
「なんで」
「なんでって……」
最俺の人気が高まる度に、わたしはこうして実況に出ていることに何故だか引け目を感じ始めていた。
わたしはなんの意味があって実況なんてしているんだろうと思うことが度々あった。動画に出る回数が減っていったのも、時間のことと同時に私の気持ちも原因だった。そんな気持ちによってみんなに置いていかれている感じがしていた。
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わたしが高校生になり、キヨくんは大学生になった。高校生の時より活動の幅がぐんと広がり、人気もでてきた最俺は、東京のニコ生のイベントに出て、有名な実況者の方と絡むことも増えてきた。
わたしは、月に1回程度動画に出演するかしないか、そのくらい。
お兄ちゃんはまだしも、ほかの3人に会う回数はかなり減っていた。
「……ちかお前さ」
「なに?」
久々に晩御飯のタイミングが合ったわたしとお兄ちゃんは、並んでもぐもぐとハンバーグを頬張る。お母さんとお姉ちゃんは先にご飯を食べ終えて、テレビを見ていた。
「今度の土曜空いてる?」
「……空いてるけど、なんで?」
たしか、部活はテスト前で休みだったはずだ。まあテスト勉強をしなくてはいけないんだけど。
お兄ちゃんは「マジ!?部活ない!?」と嬉しげに私の背中をバシバシ叩く。
「その日、東京でニコ生のイベントがあるんだけど、俺、でれねえんだわ」
「なんで?」
「……いや…バイト間違って入れてて、断れなくて」
相変わらずだ。お兄ちゃんの言葉に冷たい視線を送っていると、お兄ちゃんははぐらかすように話を続ける。
「お前、俺の代わりにイベント出れねえかな」
「え?」
絶句する。
ゲームの画面がひたすら映し出されて声だけ入っている動画とは違って、人前に立って顔を出して話して、それが生配信される。何度か皆が出演しているのを見たことがあるけれど、クオリティはさることながら形式はほとんど芸能人のそれだった。
「む、むりむりむり!!わたし、生放送とか、絶対無理だよ!」
「……そこをなんとか!」
「なんで、お兄ちゃん以外の3人で行けばいいじゃん」
「……向こう側からのお願いなんだよ。俺が行けないならちかを寄越せってさ」
「……どういう理屈なの」
お兄ちゃんの言い分では、4人揃ってないと意味が無いけれど、まあ顔出しをしたことがない妹が顔出しで出てくれればかなり話題になるからそれなら番組側もOKしたらしい。
「……嫌」
「なんで」
「なんでって……」
最俺の人気が高まる度に、わたしはこうして実況に出ていることに何故だか引け目を感じ始めていた。
わたしはなんの意味があって実況なんてしているんだろうと思うことが度々あった。動画に出る回数が減っていったのも、時間のことと同時に私の気持ちも原因だった。そんな気持ちによってみんなに置いていかれている感じがしていた。
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