顔バレしました
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「ちかちゃん、地頭いいね、覚えたこと忘れないし」
「……そう?」
清田くんちで課題を進める。彼はといえば、本当に数学が得意なようで、私より一足先に課題を終えて、ベッドに胡座をかきギターをいじっている。
フジくんはベースだけど、よくそうしてるの見るな。
「うん、1回教えたらすぐ腑に落ちるしさ、1回教えたところはもう聞いてこないじゃん」
「わたしほんとに数学苦手なんだけどね。お兄ちゃんもお姉ちゃんもお馬鹿だからああなりたくなくて」
清田くんは私の言葉にぶふっと吹き出して「偉いね」と笑っている。
なんだろう。このデジャヴ感は。深く考えるまでもなく、中学生の時キヨくんちに通って数学を教えて貰っていた時だと思い出す。
『頼むぜ、最終兵器』
私に向けてくれた笑顔が、あの時のわたしにはすごくすごく嬉しくて、憧れのキヨくんに認められた気になって、自慢げだったな。
思い出し笑いをするわたしに、清田くんは「なに?」と不思議そうにするけれど、わたしは慌てて「なんでも!」と答えて宿題に戻る。
「……先生」
「……はい」
さっき賢いと褒められたばかりなのに、静かに挙手する。清田くんは半笑いだ。
ギターを置いて床に降りてくると、「どこ?」とわたしのノートをのぞきこんだ。
彼の横顔をちらりと見ると、いつも通り小ぶりのピアスがきらりと耳元に光っている。
「……ねえ。清田くんピアスいつ開けたの?」
「え、……高校卒業の日」
「ふぇ〜!やんちゃだねぇ〜!」
清田くんの顔に「だから言いたくなかったんだ」と書いてある。
わたしは自分の耳たぶをつまみながら、「……私も開けたい」と続けた。
「え?」
「お揃いのピアスとかさ、どう」
「……」
次は「嬉しい」と顔に書いてある。ほんとに表情で全部よみとれる、わかりやすい人だなぁと思わず笑いが溢れた。
清田くんは、「じゃあ、課題終わったらドラッグストアにピアッサー買いに行こう」と言った。
「……痛い?」
「まあ一瞬だよ」
「一瞬は痛いのか」
「俺がやったげようか?」
「……なんか怖い」
ピアスの穴という残るものをもう彼に差し出しちゃえば、私の心も少しくらい反省して清田くんにちゃんと向き合おうとするのではと思った。
ちょっと怖いけど、それも全部キヨくんのことを忘れていくためのステップと思えばいい。
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「ちかちゃん、地頭いいね、覚えたこと忘れないし」
「……そう?」
清田くんちで課題を進める。彼はといえば、本当に数学が得意なようで、私より一足先に課題を終えて、ベッドに胡座をかきギターをいじっている。
フジくんはベースだけど、よくそうしてるの見るな。
「うん、1回教えたらすぐ腑に落ちるしさ、1回教えたところはもう聞いてこないじゃん」
「わたしほんとに数学苦手なんだけどね。お兄ちゃんもお姉ちゃんもお馬鹿だからああなりたくなくて」
清田くんは私の言葉にぶふっと吹き出して「偉いね」と笑っている。
なんだろう。このデジャヴ感は。深く考えるまでもなく、中学生の時キヨくんちに通って数学を教えて貰っていた時だと思い出す。
『頼むぜ、最終兵器』
私に向けてくれた笑顔が、あの時のわたしにはすごくすごく嬉しくて、憧れのキヨくんに認められた気になって、自慢げだったな。
思い出し笑いをするわたしに、清田くんは「なに?」と不思議そうにするけれど、わたしは慌てて「なんでも!」と答えて宿題に戻る。
「……先生」
「……はい」
さっき賢いと褒められたばかりなのに、静かに挙手する。清田くんは半笑いだ。
ギターを置いて床に降りてくると、「どこ?」とわたしのノートをのぞきこんだ。
彼の横顔をちらりと見ると、いつも通り小ぶりのピアスがきらりと耳元に光っている。
「……ねえ。清田くんピアスいつ開けたの?」
「え、……高校卒業の日」
「ふぇ〜!やんちゃだねぇ〜!」
清田くんの顔に「だから言いたくなかったんだ」と書いてある。
わたしは自分の耳たぶをつまみながら、「……私も開けたい」と続けた。
「え?」
「お揃いのピアスとかさ、どう」
「……」
次は「嬉しい」と顔に書いてある。ほんとに表情で全部よみとれる、わかりやすい人だなぁと思わず笑いが溢れた。
清田くんは、「じゃあ、課題終わったらドラッグストアにピアッサー買いに行こう」と言った。
「……痛い?」
「まあ一瞬だよ」
「一瞬は痛いのか」
「俺がやったげようか?」
「……なんか怖い」
ピアスの穴という残るものをもう彼に差し出しちゃえば、私の心も少しくらい反省して清田くんにちゃんと向き合おうとするのではと思った。
ちょっと怖いけど、それも全部キヨくんのことを忘れていくためのステップと思えばいい。
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