出番待ちの紙袋
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キヨくんが出て行った後、フジくんはわたしに回していた腕をぱっと離して、レトさんの方に「あれ、やりすぎた?」と話に行く。
「やりすぎ」
「あちゃー……」
「レトさん、キヨくんそんなに飲んでたの?」
「あーまあ、いつもよりペースはかなり早かったかな」
「……」
わたしは、自分のバッグを掴んでカバンの中から財布を出そうとする。
すると、ガッチさんが「あ、いいよ。今日一応ちかちゃんの祝いなんだし」と一言。うっしーが「早く行ってきな」と笑った。
「ありがとうございます、ご馳走様です!」
「おう、またご飯行こうね!」
4人に別れを告げると、急いで居酒屋を出た。
周りを見渡せば、人より頭一つ飛び出たわかりやすい身長を探す。
「き、キヨくん!」
「……」
振り返ったキヨくんはたしかに顔色が悪くて、心配になる。いつも飲まれないようにセーブできる人なのに。
「大丈夫?わたしタクシー拾ってくるよ」
「何でくんの」
「え」
「みんなのとこ戻んな」
わたしを遠ざけるように言うキヨくんに、「だって体調悪そうだから」と答えると、「大丈夫だから」と頑なだ。
人通りが少ないとはいえ視線が痛くて、二人のどちらからともなくビルの間の路地裏に入った。
少し薄暗いけれど割と綺麗に整備されている。
「キヨくん、お水飲む?持ってきたよわたし」
「……」
「フジくんに飲ませるかなーと思ったんだけどキヨくんだったかぁ〜」
なんだか呆けたようにわたしを見ているキヨくんに、「ちょっと待ってね」と鞄を探って水を出そうとすると、いきなりぎゅっと抱き寄せられた。
「……へ?」
「……」
わたしの背中に回されたキヨくんの腕、わたしの右頬につくキヨくんの胸板、体全身を包み込まれている。
暫く自体が理解できず呆然としていたけれど、キヨくんに抱きしめられているこの状況を認識し直すとどんどん体が熱くなる。
「き、キヨくん?」
「……うん」
うんって。キヨくんの少しかすれた低い声が耳元を掠めた。
わたしはどんどん早くなる鼓動に狼狽える。体全部が心臓になったみたいに脈打つ鼓動が伝わってくる。
キヨくんの体もほんのり熱いような気がしたけれど、自分の体が熱いのかキヨくんの体が熱いのかよくわからない。
「……どうしたの?」
キヨくんはわたしの声にぱっと我に帰ったように体を離す。彼の顔を見上げると、見たことないほど赤くて、「ごめん……ごめん……まじで」と狼狽えている。
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キヨくんが出て行った後、フジくんはわたしに回していた腕をぱっと離して、レトさんの方に「あれ、やりすぎた?」と話に行く。
「やりすぎ」
「あちゃー……」
「レトさん、キヨくんそんなに飲んでたの?」
「あーまあ、いつもよりペースはかなり早かったかな」
「……」
わたしは、自分のバッグを掴んでカバンの中から財布を出そうとする。
すると、ガッチさんが「あ、いいよ。今日一応ちかちゃんの祝いなんだし」と一言。うっしーが「早く行ってきな」と笑った。
「ありがとうございます、ご馳走様です!」
「おう、またご飯行こうね!」
4人に別れを告げると、急いで居酒屋を出た。
周りを見渡せば、人より頭一つ飛び出たわかりやすい身長を探す。
「き、キヨくん!」
「……」
振り返ったキヨくんはたしかに顔色が悪くて、心配になる。いつも飲まれないようにセーブできる人なのに。
「大丈夫?わたしタクシー拾ってくるよ」
「何でくんの」
「え」
「みんなのとこ戻んな」
わたしを遠ざけるように言うキヨくんに、「だって体調悪そうだから」と答えると、「大丈夫だから」と頑なだ。
人通りが少ないとはいえ視線が痛くて、二人のどちらからともなくビルの間の路地裏に入った。
少し薄暗いけれど割と綺麗に整備されている。
「キヨくん、お水飲む?持ってきたよわたし」
「……」
「フジくんに飲ませるかなーと思ったんだけどキヨくんだったかぁ〜」
なんだか呆けたようにわたしを見ているキヨくんに、「ちょっと待ってね」と鞄を探って水を出そうとすると、いきなりぎゅっと抱き寄せられた。
「……へ?」
「……」
わたしの背中に回されたキヨくんの腕、わたしの右頬につくキヨくんの胸板、体全身を包み込まれている。
暫く自体が理解できず呆然としていたけれど、キヨくんに抱きしめられているこの状況を認識し直すとどんどん体が熱くなる。
「き、キヨくん?」
「……うん」
うんって。キヨくんの少しかすれた低い声が耳元を掠めた。
わたしはどんどん早くなる鼓動に狼狽える。体全部が心臓になったみたいに脈打つ鼓動が伝わってくる。
キヨくんの体もほんのり熱いような気がしたけれど、自分の体が熱いのかキヨくんの体が熱いのかよくわからない。
「……どうしたの?」
キヨくんはわたしの声にぱっと我に帰ったように体を離す。彼の顔を見上げると、見たことないほど赤くて、「ごめん……ごめん……まじで」と狼狽えている。
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