出番待ちの紙袋
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「えっと、ビール5つとお冷やを1つお願いします」
「かしこまりました、少々お待ちください」
1番下座に座り、ぱぱっと注文したわたしを見て、ガッチさんが「お!ちかちゃんJDになって社会スキル身に付けてんね〜」と笑った。
どれもこれも清田くんからの受け売りだけど。
「髪染めたんだね、似合ってんじゃん」
「ありがとうございます牛沢さん……」
「うっしーでいいって言ってんのに」
奥に座った牛沢さん――いや、うっしー……が、髪型を褒めてくれたのでえへへと笑う。
今日は、上座から、ガッチさん、うっしー、レトさん、フジくん、キヨくん、わたしの6人で居酒屋にやってきた。元々わたしの入学を祝いたいねって言ってくれていたんだけど、時期を合わせているうちにいつの間にやら6月。あるあるだ。
「お待たせしました」
運ばれてきたドリンクを配り、ガッチさんのご機嫌な音頭で乾杯した。
わたしの隣に座っているフジくんを見て、キヨくんが「フジお前今日はちかちゃんのと同じ色の酒頼むなよ」と注意する。
「おっけー。今日はビールしか飲まねえ」
「もうそのネタいいってば……!」
「いつまで言ってるの、もう2年近く前だよ」と顔を顰めるわたしに、みんなは「もうそんな前か……」とおじさんムーブが始まった。
その後、今何のゲームをやっているだとか、誰の動画が熱いだとか、ガッチさんの娘さんが3歳になっただとか話をしているうちにだんだんみんな楽しそうになってくる。
わたしは、お酒を飲まずとも、割とこのみんなの馬鹿な雰囲気を見て味わうのが好きだ。
目の前で戯れあっているキヨくんとレトさんを見ていると、隣に座っていたフジくんががしっとわたしの手首を掴んで挙手させた。
「ここでちかちゃんよりみなさんにご報告があります!」
「……へ?」
思い思いに話していたみんなの視線がわたしに集まる。報告することと言われると、一つしか思い当たらないけれど、フジくんにはまだ言っていない。言ったのはお兄ちゃんにだけだ。
「聞いたぞ☆」とご機嫌のフジくんを見て、兄の口の軽さにげんなりとする。
「なに?」
目の前に座るキヨくんの声にドキッと心臓が跳ねる。顔が上げられない。
「……か、かれしが、出来ました」
「……」
蚊の鳴くような声で言ったわたしに、みんなは暫く沈黙すると、ガッチさんの「え、まじ!」という声を皮切りに盛り上がる。
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「えっと、ビール5つとお冷やを1つお願いします」
「かしこまりました、少々お待ちください」
1番下座に座り、ぱぱっと注文したわたしを見て、ガッチさんが「お!ちかちゃんJDになって社会スキル身に付けてんね〜」と笑った。
どれもこれも清田くんからの受け売りだけど。
「髪染めたんだね、似合ってんじゃん」
「ありがとうございます牛沢さん……」
「うっしーでいいって言ってんのに」
奥に座った牛沢さん――いや、うっしー……が、髪型を褒めてくれたのでえへへと笑う。
今日は、上座から、ガッチさん、うっしー、レトさん、フジくん、キヨくん、わたしの6人で居酒屋にやってきた。元々わたしの入学を祝いたいねって言ってくれていたんだけど、時期を合わせているうちにいつの間にやら6月。あるあるだ。
「お待たせしました」
運ばれてきたドリンクを配り、ガッチさんのご機嫌な音頭で乾杯した。
わたしの隣に座っているフジくんを見て、キヨくんが「フジお前今日はちかちゃんのと同じ色の酒頼むなよ」と注意する。
「おっけー。今日はビールしか飲まねえ」
「もうそのネタいいってば……!」
「いつまで言ってるの、もう2年近く前だよ」と顔を顰めるわたしに、みんなは「もうそんな前か……」とおじさんムーブが始まった。
その後、今何のゲームをやっているだとか、誰の動画が熱いだとか、ガッチさんの娘さんが3歳になっただとか話をしているうちにだんだんみんな楽しそうになってくる。
わたしは、お酒を飲まずとも、割とこのみんなの馬鹿な雰囲気を見て味わうのが好きだ。
目の前で戯れあっているキヨくんとレトさんを見ていると、隣に座っていたフジくんががしっとわたしの手首を掴んで挙手させた。
「ここでちかちゃんよりみなさんにご報告があります!」
「……へ?」
思い思いに話していたみんなの視線がわたしに集まる。報告することと言われると、一つしか思い当たらないけれど、フジくんにはまだ言っていない。言ったのはお兄ちゃんにだけだ。
「聞いたぞ☆」とご機嫌のフジくんを見て、兄の口の軽さにげんなりとする。
「なに?」
目の前に座るキヨくんの声にドキッと心臓が跳ねる。顔が上げられない。
「……か、かれしが、出来ました」
「……」
蚊の鳴くような声で言ったわたしに、みんなは暫く沈黙すると、ガッチさんの「え、まじ!」という声を皮切りに盛り上がる。
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