頼むぜ最終兵器
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1度おじゃましたあの日から、わたしは何度もキヨくんちに遊びに行くようになった。キヨくんのお母さんは愉快で可愛い人で、キヨくんが家にいない時も度々私を招いてお菓子をご馳走してくれた。キヨくんのお兄さんも実況がらみでわたしのことを知っているのか、「お、妹~」と反応をしてくれる。
キヨくんとわたしは、二人でいる時は動画を撮るか、でもそれよりももっぱら勉強に付き合ってもらう時の方が多かった。
キヨくんは来年、大学生になる。数学の苦手なわたしに付き合って、「中学レベルなら余裕のよっちゃんイカよ」とドヤ顔してのけるキヨくんは、実際に中学の数学くらいなら難なく教えてくれた。
出会った時の金髪ヤンキーとは印象が打って変わる。
「……ちかちゃん数学苦手だねぇ」
「……うちの家系は文系なの」
「……ほおん。……でも、ちかちゃん真面目に勉強してんね」
「……お兄ちゃんもお姉ちゃんも馬鹿だからああなりたくないの」
わたしの言葉にブフッと吹き出して「偉い偉い」と余裕をぶっこいている。
それはそうだ。推薦の枠を勝ち取ったキヨくんは、周りよりも大分早く受験が終わり、部活も引退し、悠々自適に暮らしている。
わたしはといえば、お兄ちゃんやヒラくんのように勉学に苦しむ学生生活は送りたくないし、キヨくんのようにそつなくこなして容量良くやるっていうのも難しい。
しっかり自分の力を出し切っていい高校に行っていい大学に行っていい企業に就職したい。価値観は人それぞれだけれど、わたしたちは三者三様かなり違う。
「キヨくんは、大学に行って何するの?」
「えー……まあ、大学行って就職すんのが一生安泰コースじゃん」
「……ゲーム実況とかやる割に、堅実だよね」
「でっかくなりたいとは思ってるけど、ゲーム実況で食ってける確証があるわけじゃないじゃん」
「……ふうん」
「俺の方が面白い」という動機で実況を始めるくらいのキヨくんなのに、意外と堅実な意見。わたしが黙って彼を見つめていると、キヨくんは照れ臭そうにベッドの上に転がって呟いた。
「……食っていけたら、最高だけどな~」
「……キヨくんならできるよ」
ベッドの上にピョンっと座って言った。私の方を見上げるキヨくんは、小さく口角をあげると「頼むぜ最終兵器」と言った。
そのあと、肩を叩いて「男のベッドに乗るような高校生にはならないように!」と無理やり立ち上がらせた。
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1度おじゃましたあの日から、わたしは何度もキヨくんちに遊びに行くようになった。キヨくんのお母さんは愉快で可愛い人で、キヨくんが家にいない時も度々私を招いてお菓子をご馳走してくれた。キヨくんのお兄さんも実況がらみでわたしのことを知っているのか、「お、妹~」と反応をしてくれる。
キヨくんとわたしは、二人でいる時は動画を撮るか、でもそれよりももっぱら勉強に付き合ってもらう時の方が多かった。
キヨくんは来年、大学生になる。数学の苦手なわたしに付き合って、「中学レベルなら余裕のよっちゃんイカよ」とドヤ顔してのけるキヨくんは、実際に中学の数学くらいなら難なく教えてくれた。
出会った時の金髪ヤンキーとは印象が打って変わる。
「……ちかちゃん数学苦手だねぇ」
「……うちの家系は文系なの」
「……ほおん。……でも、ちかちゃん真面目に勉強してんね」
「……お兄ちゃんもお姉ちゃんも馬鹿だからああなりたくないの」
わたしの言葉にブフッと吹き出して「偉い偉い」と余裕をぶっこいている。
それはそうだ。推薦の枠を勝ち取ったキヨくんは、周りよりも大分早く受験が終わり、部活も引退し、悠々自適に暮らしている。
わたしはといえば、お兄ちゃんやヒラくんのように勉学に苦しむ学生生活は送りたくないし、キヨくんのようにそつなくこなして容量良くやるっていうのも難しい。
しっかり自分の力を出し切っていい高校に行っていい大学に行っていい企業に就職したい。価値観は人それぞれだけれど、わたしたちは三者三様かなり違う。
「キヨくんは、大学に行って何するの?」
「えー……まあ、大学行って就職すんのが一生安泰コースじゃん」
「……ゲーム実況とかやる割に、堅実だよね」
「でっかくなりたいとは思ってるけど、ゲーム実況で食ってける確証があるわけじゃないじゃん」
「……ふうん」
「俺の方が面白い」という動機で実況を始めるくらいのキヨくんなのに、意外と堅実な意見。わたしが黙って彼を見つめていると、キヨくんは照れ臭そうにベッドの上に転がって呟いた。
「……食っていけたら、最高だけどな~」
「……キヨくんならできるよ」
ベッドの上にピョンっと座って言った。私の方を見上げるキヨくんは、小さく口角をあげると「頼むぜ最終兵器」と言った。
そのあと、肩を叩いて「男のベッドに乗るような高校生にはならないように!」と無理やり立ち上がらせた。
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