出番待ちの紙袋

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主人公

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「キヨお前二次会来ねーの?」

「すみません!俺明日朝からバイトなんすよ」

「そっか、じゃあまた誘うわ」



 飲み会が終わりお店の前に出ると、清田くんがこれまた上手に断っていた。人付き合いが上手な人なんだなと、これまでの振る舞いでよくわかる。

 「ちかちゃんは?」とわたしを見た先輩に、「わたしも明日朝からバイトなので……」と嘘をつくと「えー」と不満げだ。



「まあまあ!ほら、みんな行っちゃいますよ!」



 清田くんは先輩達を他の人達と合流するように急かすと、ひらひら手を振って見送った。何から何まで助けてもらってばっかりだ。

 結局、その場に残ったのはわたしと清田くんのみ。
 先輩達の背中が見えなくなった瞬間に、清田くんの方をパッと見て「ありがとう!」勢いよくお礼を言った。



「え、なになに。俺何にもしてねーよ」

「ううん、場の雰囲気壊さず助けてくれて本当にありがとう」

「……」



 「ほんっとうに助かった」と切実に伝えるわたしを暫く見つめて、清田くんは照れ臭そうに「うん」とはにかんだ。お酒をたくさん飲まされたからか、顔が赤いのが、いつもと雰囲気が違って少しかわいい。

 清田くんは「……あー」と疲れた声を出しながらその場にしゃがみ込む。



「ど、どうしたの?」

「……俺、酒飲んだの初めて。弱いんかも」

「気持ち悪いの?」

「ちょっと……なんか気が抜けたらいきなりきた……」



 わたしもしゃがんで清田くんの背中をさする。



「清田くん、送ってくよ。歩けそう?」

「……そこ、近くに公園あるんだけど、そこで水買っていい?」

「勿論。わたし買ってるから、ゆっくり歩いてきて!」



 よろよろと公園のベンチまで歩いてきた清田くんに、自動販売機で買ったお水を渡すとわたしも隣に座った。

 夜の公園って、なんだかいつもと雰囲気が違って少しワクワクする。



「……夜の公園ってワクワクするよね」

「……わたしも今おんなじこと思ってた」

「……まじ?」



 ぽろっと溢れた清田くんの一言に思わず笑うと、清田くんも嬉しそうに笑いながら水を口に含む。



「なんだか、大学生になってから清田くんに助けてもらってばかりだな」

「そう?」

「うん。何かお礼させて」

「……」



 私の言葉に清田くんは暫く止まると、「あの……さ」とおずおず口を開いた。



ちかちゃんって……ゲーム実況とかやってる?」

「へ?」



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