東京で共同生活
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ぽろぽろと涙が出る。
自分から突き放しておいてなんなのか。
わたしは下を向いてスタスタ歩いてキヨくんの家へ帰ってきた。
倒れ込むようにベッドに転がると、布団を被ってまるまった。キヨくんのにおいがほんのりする。ぐずぐずといつまでも止まらない涙が、自分を子供だと裏付けているようで嫌で嫌で仕方がない。
第一、泊めて貰えて、寝る時は別のホテルを借りて出ていくだなんて、やっぱりキヨくんにとって私の存在は、友達の妹でしかないということの裏付けでしかない。
好きなら、なにか起きちゃってもいいじゃない。期待しないでここにきたわけじゃない。
けれど、キヨくんは、わたしが家から追い出されたのが可哀想で、招き入れてくれて、わたしに変な勘違いさせないように、友達の妹と変な関係にならないように、同じ部屋で寝ない選択をした。
分かりきっていたことだった。
キヨくんにとってのわたしは、なんにも特別じゃなく、ただの友達の妹で実況仲間。それ以上でもそれ以下でもない。
わたしにとっても、キヨくんは兄の友達で実況仲間。それだけ。好きなんかじゃない。こんな気持ち、消えてしまえ。
目をぎゅっとつぶるけれど、布団のキヨくんの香りが鼻をくすぐる度に、涙が溢れて止まらなかった。
諦めの悪い、意地の悪いわたしは、ほんの少しだけ、キヨくんから連絡が来ないかと、部屋へ帰ってきてくれないかと期待していたけれど、結局夜が明けるまでキヨくんが帰ってくることは無かった。
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目が腫れまくり、クマもやばい。
メイクする気力もなく、すっぴん隠しで大きな眼鏡をかけて、キヨくんの家を出た。
朝、「鍵、ポストに入れといて」とだけ来ていたLINEを見て、ポストに鍵を入れると、わたしは足早に大学へと向かう。
よりによって、今日は大学での学部生全員集まってのガイダンス。
ガイダンス会場で、俯いて教室の隅の方に座ると、すぐに隣に誰かが座った。顔を隠すようにうつむく。
「……あ、隣良かったですか?座って」
「……あ、はい」
八方美人は治らず、思わず顔を上げて返事をしてしまう。目が合った。
彼は、工学部らしからぬ風貌で、金髪。出会った時のキヨくんと、少しだけ似ていた。
「俺、清田拓真」
「……あ、前田……ちかです」
名前までなんだかキヨくんとにている。ゆっくり答えると、清田くんは「え」と言葉を止め慌てて繕い直すように「よろしく」と笑った。
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ぽろぽろと涙が出る。
自分から突き放しておいてなんなのか。
わたしは下を向いてスタスタ歩いてキヨくんの家へ帰ってきた。
倒れ込むようにベッドに転がると、布団を被ってまるまった。キヨくんのにおいがほんのりする。ぐずぐずといつまでも止まらない涙が、自分を子供だと裏付けているようで嫌で嫌で仕方がない。
第一、泊めて貰えて、寝る時は別のホテルを借りて出ていくだなんて、やっぱりキヨくんにとって私の存在は、友達の妹でしかないということの裏付けでしかない。
好きなら、なにか起きちゃってもいいじゃない。期待しないでここにきたわけじゃない。
けれど、キヨくんは、わたしが家から追い出されたのが可哀想で、招き入れてくれて、わたしに変な勘違いさせないように、友達の妹と変な関係にならないように、同じ部屋で寝ない選択をした。
分かりきっていたことだった。
キヨくんにとってのわたしは、なんにも特別じゃなく、ただの友達の妹で実況仲間。それ以上でもそれ以下でもない。
わたしにとっても、キヨくんは兄の友達で実況仲間。それだけ。好きなんかじゃない。こんな気持ち、消えてしまえ。
目をぎゅっとつぶるけれど、布団のキヨくんの香りが鼻をくすぐる度に、涙が溢れて止まらなかった。
諦めの悪い、意地の悪いわたしは、ほんの少しだけ、キヨくんから連絡が来ないかと、部屋へ帰ってきてくれないかと期待していたけれど、結局夜が明けるまでキヨくんが帰ってくることは無かった。
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目が腫れまくり、クマもやばい。
メイクする気力もなく、すっぴん隠しで大きな眼鏡をかけて、キヨくんの家を出た。
朝、「鍵、ポストに入れといて」とだけ来ていたLINEを見て、ポストに鍵を入れると、わたしは足早に大学へと向かう。
よりによって、今日は大学での学部生全員集まってのガイダンス。
ガイダンス会場で、俯いて教室の隅の方に座ると、すぐに隣に誰かが座った。顔を隠すようにうつむく。
「……あ、隣良かったですか?座って」
「……あ、はい」
八方美人は治らず、思わず顔を上げて返事をしてしまう。目が合った。
彼は、工学部らしからぬ風貌で、金髪。出会った時のキヨくんと、少しだけ似ていた。
「俺、清田拓真」
「……あ、前田……ちかです」
名前までなんだかキヨくんとにている。ゆっくり答えると、清田くんは「え」と言葉を止め慌てて繕い直すように「よろしく」と笑った。
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