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　スマブラで文字通り大乱闘を繰り広げて動画の撮影は終わった。いつの間にか夜の22時を指す時計を見て、キヨくんは機材を片付けながら、「風呂洗ってくるわ」とお風呂場の方へ歩いていった。

　変にカチコチだったわたしの体は、ゲームをしたことで力が抜けて、綾鷹をごくりとひとくち。
　キヨくんは家で最低限の手伝いはしていたのか、割とテキパキと動く。うちのお兄ちゃんに比べて、だけど。

　すごいなぁ。大人って感じ。

　わたしは小さく笑った。



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　2人ともそれぞれお風呂に入ると、キヨくんもわたしもスウェットのダル着になる。キヨくんはいつもセットしている髪がふんわり降りていて、ちょっと可愛い。



「可愛いね」

「え？」

「髪」

「……あー、あんま見ないでくれます〜」



　「ちかちゃんのえっち」と低い声で言って、笑いながら動画を編集している。



「……ちかちゃんは」

「……ん？」



　キヨくんはわたしの姿を上から下まで見ると、しばらく黙ってからロンTをぺろんと少しめくる。いきなりの行動に思わず飛び上がって逃げると、「下履いてんならOK」と謎のOKサインを出した。

　オーバーサイズのロンTにショートパンツだったから、下を履いてるか気になったらしい。



「履いてなかったらどうする気だったの」

「ごちそうさまですということで」

「えっちはどっちよ」



　本当に。来た時はすごくすごく緊張していたけど、こうして二人でいるとだんだんほっこりしてくるから不思議で。わたしはキヨくんといるそんな時間がすごく好きだ。



「じゃあちかちゃん、俺は駅前のビジホに行きますので」

「え？」

「冷蔵庫の中のものとか勝手に飲み食いしていいし、分からなかったらLINEして」

「……」



　キヨくんの言葉を頭の中で噛み砕く。
　キヨくんはこれからビジネスホテルに行くから、ここは自由に使ってもらっていいよ、ということか。キヨくんは別の場所に泊まるってこと？



「え、そ、そんな、悪いよ！」

「一緒の部屋に泊まる方がよっぽど悪いしょ」

「……じゃ、じゃあ、あの、せめてホテル代」



　わたしは慌てて鞄を探る。
　キヨくんは「いーって、気にしないで」とヘラヘラしている。「でも〜…」と申し訳なさで消えそうになる私の声に、キヨくんは吹き出すように笑った。



「じゃあ、これからコンビニ行こう。そこで俺の好きなもん買って？それでいいよ、宿泊代は」

「……いーの？」

「いーよ」



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