東京で共同生活
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「くそ兄貴だね」
「……もう分かってたことだけどね」
「たしかに」
キヨくんは、すごく苦々しい顔をして「どうぞ」とわたしを部屋に招き入れてくれた。まだダンボールのちらかった部屋は、こざっぱりとしていて、いかにもキヨくんらしい。
部屋の隅にはダンボールの上に編集機材が置いてあり、かろうじて実況はできるという状態になっていた。すごい貧乏学生みたいな部屋だ。
「キヨくん、ほんとに泊めてもらってよかったの?」
「ちかちゃんが追い出されて路頭に迷うよりはね」
「……お兄ちゃんもいくらなんでもそこまで……」
「しねぇって言いきれます?」
キヨくんの言葉に思わず言葉を詰まらせる。いや、いくらなんでも妹を大都会の夜に置き去りにするなんてこと、うちの兄でもそれは……。はっきり否定できないのが悔しい。
キヨくんは、「今度くそ暑い日に追い出してやろうぜ、仕返しで」と笑いながら座布団を私にくれた。
「部屋なんにもないね」
「必要なものだけ持ってきたから」
「……独房?」
「ひっど!」
キヨくんは私の言葉にケラケラ笑う。
笑いが一段落すると、なんとも言えない沈黙が流れる。
よく考えてみれば、キヨくんが実家で暮らしていた時は何度もお邪魔していたキヨくんの部屋だけど、今回は一人暮らし。完全に、キヨくんと私2人きり。
しかも、泊めてくれる、ときた。
「……キヨくん、あの」
「ちかちゃん!実況撮ろうぜ!せっかくだし」
「え、あ、うん……」
キヨくんは私の方を全く見ようとしない。
わたしの言葉から逃げるように立ち上がると、Wiiを録画する準備を始めた。あれ、ドギマギしてるのってわたしだけ?
そう思うと途端に恥ずかしくなってきて、私と出かけた時にとったカービィが部屋の脇においてあったからそれを掴んで体操座りをした。
(落ち着け……落ち着けわたし)
「はい」
「……ハイ」
キヨくんに差し出されたWiiリモコンを受け取る。
「はいじゃあとりまーす」といつものように録画を始めたキヨくんは、がらっと動画モードに早変わり。
「うぃーす!どうもキヨでーす!」
「あ、ちかです!」
「今日はねえ、くそ兄貴に家を追い出された可哀想な家なき子、ちかちゃんとスマブラしまーす」
録画を始めた途端にくるくると口が回る。
隣の部屋とか大丈夫なんだろうかと心配しながら、わたしはキヨくんに合わせて無理矢理テンションを上げた。
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「くそ兄貴だね」
「……もう分かってたことだけどね」
「たしかに」
キヨくんは、すごく苦々しい顔をして「どうぞ」とわたしを部屋に招き入れてくれた。まだダンボールのちらかった部屋は、こざっぱりとしていて、いかにもキヨくんらしい。
部屋の隅にはダンボールの上に編集機材が置いてあり、かろうじて実況はできるという状態になっていた。すごい貧乏学生みたいな部屋だ。
「キヨくん、ほんとに泊めてもらってよかったの?」
「ちかちゃんが追い出されて路頭に迷うよりはね」
「……お兄ちゃんもいくらなんでもそこまで……」
「しねぇって言いきれます?」
キヨくんの言葉に思わず言葉を詰まらせる。いや、いくらなんでも妹を大都会の夜に置き去りにするなんてこと、うちの兄でもそれは……。はっきり否定できないのが悔しい。
キヨくんは、「今度くそ暑い日に追い出してやろうぜ、仕返しで」と笑いながら座布団を私にくれた。
「部屋なんにもないね」
「必要なものだけ持ってきたから」
「……独房?」
「ひっど!」
キヨくんは私の言葉にケラケラ笑う。
笑いが一段落すると、なんとも言えない沈黙が流れる。
よく考えてみれば、キヨくんが実家で暮らしていた時は何度もお邪魔していたキヨくんの部屋だけど、今回は一人暮らし。完全に、キヨくんと私2人きり。
しかも、泊めてくれる、ときた。
「……キヨくん、あの」
「ちかちゃん!実況撮ろうぜ!せっかくだし」
「え、あ、うん……」
キヨくんは私の方を全く見ようとしない。
わたしの言葉から逃げるように立ち上がると、Wiiを録画する準備を始めた。あれ、ドギマギしてるのってわたしだけ?
そう思うと途端に恥ずかしくなってきて、私と出かけた時にとったカービィが部屋の脇においてあったからそれを掴んで体操座りをした。
(落ち着け……落ち着けわたし)
「はい」
「……ハイ」
キヨくんに差し出されたWiiリモコンを受け取る。
「はいじゃあとりまーす」といつものように録画を始めたキヨくんは、がらっと動画モードに早変わり。
「うぃーす!どうもキヨでーす!」
「あ、ちかです!」
「今日はねえ、くそ兄貴に家を追い出された可哀想な家なき子、ちかちゃんとスマブラしまーす」
録画を始めた途端にくるくると口が回る。
隣の部屋とか大丈夫なんだろうかと心配しながら、わたしはキヨくんに合わせて無理矢理テンションを上げた。
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