兄が話す妹の話
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kiyo
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やっぱりこの子は特別だなと思う。
時間の流れの中で、誰もが何かを諦めて進んでいく。「大人になったんだから」と言って。
それでも、やっぱり俺は好きなものを手離したくない。妥協したくない。諦めたことを誇りたくない。
そんな俺の考えを、世間はなめていると言うけれど、この子は無条件に認めてくれる。「キヨくんなら出来るよ」となんの根拠があるのか分からないが言ってしまう。そして魔法のように、自分でもできると思えてしまう。
「キヨくん、コンビニでなにか買って!」
「いやだ」
出会った時と変わらず俺にたかろうとしてくるちかちゃんをあしらいながら笑う。
これまでの全てをこの子のおかげだとは思わない。実力だと思ってる。だけど、俺は、この子がいなかったらできなかった選択が沢山あった。
認めてくれて、受け入れてくれる人がいるってだけでなんでも出来るような気がしてくる。
「あれ、前田さんじゃん!」
「あ、ほんとだぁ」
ちょうどコンビニからでてきたちかちゃんと同じ高校の制服を着た女の子たちが声をかけてきた。
ぴくっと止まってしまうちかちゃん。
「え、なにその人!カレシ!?」
「え、うそぉ!話聞きたい!」
「うちらこれからサイゼ行こって言ってるんだけど、前田さんも行かない?」
単純にちかちゃんと仲良くなりたくて言ってるんだと思うこのコトバが、ちかちゃんには自分を攻撃してくる準備運動のように思えてしまうんだろう。
「えっと……」と口ごもっている彼女の背中をぽんっと叩いた。
「行っといでよ」
「……」
「今俺ね、ちかちゃんとゲーセン行ってきたんだけど、マジでUFOキャッチャープロだから何でもとってくれるよ」
彼女らに俺が言ってのければ、「え、意外~!」とどっとウケる。
ちかちゃんは、彼女達の方に1歩踏み出した。
「行ってもいいかな」
「やったー!話してみたかったんだ」
「行こ行こ!」
ちかちゃんは、少しほっとしたような顔になると、俺の方を振り返って小さく手を振り彼女たちと一緒に歩いていった。
俺は自分の家の方へ踵を返す。
多分俺は、ちかちゃんのことが好きなんだろう。ちかちゃんも俺のことが好きだと思うけど、それは多分、俺の言うところの「好き違い」ってやつで。
第一、俺の伝える「好き」が彼女にとって嬉しいものじゃないこともよくわかってる。兄の友達で一生居れたらそれでいい。
それでもやっぱり、隣に立っていたい。
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やっぱりこの子は特別だなと思う。
時間の流れの中で、誰もが何かを諦めて進んでいく。「大人になったんだから」と言って。
それでも、やっぱり俺は好きなものを手離したくない。妥協したくない。諦めたことを誇りたくない。
そんな俺の考えを、世間はなめていると言うけれど、この子は無条件に認めてくれる。「キヨくんなら出来るよ」となんの根拠があるのか分からないが言ってしまう。そして魔法のように、自分でもできると思えてしまう。
「キヨくん、コンビニでなにか買って!」
「いやだ」
出会った時と変わらず俺にたかろうとしてくるちかちゃんをあしらいながら笑う。
これまでの全てをこの子のおかげだとは思わない。実力だと思ってる。だけど、俺は、この子がいなかったらできなかった選択が沢山あった。
認めてくれて、受け入れてくれる人がいるってだけでなんでも出来るような気がしてくる。
「あれ、前田さんじゃん!」
「あ、ほんとだぁ」
ちょうどコンビニからでてきたちかちゃんと同じ高校の制服を着た女の子たちが声をかけてきた。
ぴくっと止まってしまうちかちゃん。
「え、なにその人!カレシ!?」
「え、うそぉ!話聞きたい!」
「うちらこれからサイゼ行こって言ってるんだけど、前田さんも行かない?」
単純にちかちゃんと仲良くなりたくて言ってるんだと思うこのコトバが、ちかちゃんには自分を攻撃してくる準備運動のように思えてしまうんだろう。
「えっと……」と口ごもっている彼女の背中をぽんっと叩いた。
「行っといでよ」
「……」
「今俺ね、ちかちゃんとゲーセン行ってきたんだけど、マジでUFOキャッチャープロだから何でもとってくれるよ」
彼女らに俺が言ってのければ、「え、意外~!」とどっとウケる。
ちかちゃんは、彼女達の方に1歩踏み出した。
「行ってもいいかな」
「やったー!話してみたかったんだ」
「行こ行こ!」
ちかちゃんは、少しほっとしたような顔になると、俺の方を振り返って小さく手を振り彼女たちと一緒に歩いていった。
俺は自分の家の方へ踵を返す。
多分俺は、ちかちゃんのことが好きなんだろう。ちかちゃんも俺のことが好きだと思うけど、それは多分、俺の言うところの「好き違い」ってやつで。
第一、俺の伝える「好き」が彼女にとって嬉しいものじゃないこともよくわかってる。兄の友達で一生居れたらそれでいい。
それでもやっぱり、隣に立っていたい。
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