兄が話す妹の話
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思い返してみれば、中学生くらいになってから周りの人に壁を作っていたのは自分の方で、わかってもらえないわかってもらえないと嘆いているだけだった。
「嫌われたんならそのときは、俺たちのところに帰ってくればいいよ」
キヨくんの言葉に無言で頷く。
なんの偶然か運命か、こうしてお兄ちゃんの友達に出会えて、距離が縮まって、安心して過ごせる場所が家族以外にできたから、きっと今のわたしなら頑張れる。
でも、でもさ、キヨくん。
「……大学卒業したら、どうするの?」
わたしの問いかけに、キヨくんは痛いところをつかれたかのように口ごもる。
「俺たちの所へ帰ってくればいいよ」と言ってくれたけれど、キヨくんは変わらず居てくれるのか。いつまでも変わらず。
社会人になっても、ゲーム実況は続けてくれるかもしれないけれど、今よりも確実にわたしとキヨくんの距離は遠くなる。
「……そういう星回りになってんのかな」
「へ?」
「いや、実況始める時に最初に話したのもちかちゃんだったじゃん。これも最初に言うんだけど」
キヨくんは自嘲気味に笑うと、背もたれにすとんと背中をつけた。
「俺さ、東京行きたい。東京行って、実況で稼いで、そんで楽しく暮らす」
言い切ったキヨくんに、わたしは無言で数度瞬きをした。
キヨくんは私の顔をちらっと見て「あきれた?」と聞く。かぶりをふる私に、キヨくんは少し口元を弛めた。
「キヨくんなら出来ると思う!……から、あきれない」
キヨくんは私の言葉に黙ると、すーっと息を吐きながら口元を両手でおおった。
「……好きだわぁ」
「え?」
「ちかちゃんのそういうところがほんと」
「変わんなくてほっとする」と続ける。「好き」の言葉に心臓がはねたけど、慌てて気持ちをもちなおす。
「でも、ヒラくんに就活のこと聞いてたって……」
「一応ね、親には何社か受けた上で相談しようと思ってんの」
「なるほど」
わたしの見ているキヨくんはずっと、自分の楽しいことを追い求めてやっていて、私の行く先を照らすように進んでくれる。時々眩しすぎて手が届かないような気がするけれど、わたしが置いていかれそうになったら手を引っ張って救ってくれる。
「……寂しい?北海道のままでもいいかなぁとも、思ってるんだけどさ」
「……寂しいけど応援する、誰がなんと言おうと応援する」
わたしの言葉に、キヨくんは暫く驚いたように止まったけど、「うん」と優しい顔で頷いた。
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思い返してみれば、中学生くらいになってから周りの人に壁を作っていたのは自分の方で、わかってもらえないわかってもらえないと嘆いているだけだった。
「嫌われたんならそのときは、俺たちのところに帰ってくればいいよ」
キヨくんの言葉に無言で頷く。
なんの偶然か運命か、こうしてお兄ちゃんの友達に出会えて、距離が縮まって、安心して過ごせる場所が家族以外にできたから、きっと今のわたしなら頑張れる。
でも、でもさ、キヨくん。
「……大学卒業したら、どうするの?」
わたしの問いかけに、キヨくんは痛いところをつかれたかのように口ごもる。
「俺たちの所へ帰ってくればいいよ」と言ってくれたけれど、キヨくんは変わらず居てくれるのか。いつまでも変わらず。
社会人になっても、ゲーム実況は続けてくれるかもしれないけれど、今よりも確実にわたしとキヨくんの距離は遠くなる。
「……そういう星回りになってんのかな」
「へ?」
「いや、実況始める時に最初に話したのもちかちゃんだったじゃん。これも最初に言うんだけど」
キヨくんは自嘲気味に笑うと、背もたれにすとんと背中をつけた。
「俺さ、東京行きたい。東京行って、実況で稼いで、そんで楽しく暮らす」
言い切ったキヨくんに、わたしは無言で数度瞬きをした。
キヨくんは私の顔をちらっと見て「あきれた?」と聞く。かぶりをふる私に、キヨくんは少し口元を弛めた。
「キヨくんなら出来ると思う!……から、あきれない」
キヨくんは私の言葉に黙ると、すーっと息を吐きながら口元を両手でおおった。
「……好きだわぁ」
「え?」
「ちかちゃんのそういうところがほんと」
「変わんなくてほっとする」と続ける。「好き」の言葉に心臓がはねたけど、慌てて気持ちをもちなおす。
「でも、ヒラくんに就活のこと聞いてたって……」
「一応ね、親には何社か受けた上で相談しようと思ってんの」
「なるほど」
わたしの見ているキヨくんはずっと、自分の楽しいことを追い求めてやっていて、私の行く先を照らすように進んでくれる。時々眩しすぎて手が届かないような気がするけれど、わたしが置いていかれそうになったら手を引っ張って救ってくれる。
「……寂しい?北海道のままでもいいかなぁとも、思ってるんだけどさ」
「……寂しいけど応援する、誰がなんと言おうと応援する」
わたしの言葉に、キヨくんは暫く驚いたように止まったけど、「うん」と優しい顔で頷いた。
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