兄が話す妹の話
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kiyo
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ちかちゃんは、子供の頃から可愛かったらしく、更に末っ子。蝶よ花よと育てられてきたらしい。
こーすけが見せてくれたちかちゃんの幼少期の頃の写真は、たしかにクリクリとしていて可愛い。
「小学校高学年くらいまでかな。ちかは明るくて人懐こくてクラスの中でも中心にいるようなタイプでさ」
「さぞモテたろうね」
フジがアルバムをめくりながら独り言のように言う。こーすけがその言葉に「そーなんだよ」と溜息をつきながら言った。
俺はフジの持ってるアルバムを覗き込む。たしかに、小学校高学年とは思えないくらい可愛らしく、これで明るい性格と来たら、ほっとかれないだろうなと簡単に想像が着いた。
「……クラスで1番目立つ女子の好きな人がちかを好きだったり、親切にした男がしつこく付きまとってきたり、男を遊びに釣るダシみたいに使われたりさ、色々あったから」
「少女漫画みたいだね」
「ほんとに。周りの人から言われる容姿への褒め言葉も自分が消費されてるようにしか感じられなくなってんだよ」
初めて会った時から、可愛いとは思っていた。友達の妹という関係性じゃなかったら、クラスメイトで同い年の関係性だとしたら、俺もちかちゃんを簡単に傷つけていたかもしれないと思うとぞっとした。
たしかに思い返してみれば、あの、東京での飲み会の夜。「キヨくんに可愛いって言われて、わたし、素直に嬉しくて」と照れながら言ってくれた。
俺以外から言われる「可愛い」に、彼女がどれだけ傷つけられてきたんだろうと想像する。
「お前らと仲良くできてんのは、お前らがちかのことそういう風に見ないからだろ」
「……そういう風に見た事がないと言われると嘘になる」
「お前よくこの流れで言えたな」
率直に答えるフジに、こーすけが眉間に皺を寄せながら言う。場を和ませようとして言ったであろうフジの一言に、俺も心の中で同意する。
ちかちゃんに対して、下心がゼロだったなんてことはない。
人懐こくコロコロ表情を変えるところ、俺の言葉にストレートに思いを返してくれるところ、何より他の男といるところを見ただけでモヤモヤするなんて、俺のちかちゃんへの好意の裏付けでしかないと思う。
「だからさ、容姿のことあんまり言わないでやって。友達もなかなか出来ないみたいだけど、それでも学校行ってんだし見守ってやって欲しい」
こーすけの兄なりの切実な気持ちを聞いて、ヒラはスマホを取り出してメールを打ち始めた。
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ちかちゃんは、子供の頃から可愛かったらしく、更に末っ子。蝶よ花よと育てられてきたらしい。
こーすけが見せてくれたちかちゃんの幼少期の頃の写真は、たしかにクリクリとしていて可愛い。
「小学校高学年くらいまでかな。ちかは明るくて人懐こくてクラスの中でも中心にいるようなタイプでさ」
「さぞモテたろうね」
フジがアルバムをめくりながら独り言のように言う。こーすけがその言葉に「そーなんだよ」と溜息をつきながら言った。
俺はフジの持ってるアルバムを覗き込む。たしかに、小学校高学年とは思えないくらい可愛らしく、これで明るい性格と来たら、ほっとかれないだろうなと簡単に想像が着いた。
「……クラスで1番目立つ女子の好きな人がちかを好きだったり、親切にした男がしつこく付きまとってきたり、男を遊びに釣るダシみたいに使われたりさ、色々あったから」
「少女漫画みたいだね」
「ほんとに。周りの人から言われる容姿への褒め言葉も自分が消費されてるようにしか感じられなくなってんだよ」
初めて会った時から、可愛いとは思っていた。友達の妹という関係性じゃなかったら、クラスメイトで同い年の関係性だとしたら、俺もちかちゃんを簡単に傷つけていたかもしれないと思うとぞっとした。
たしかに思い返してみれば、あの、東京での飲み会の夜。「キヨくんに可愛いって言われて、わたし、素直に嬉しくて」と照れながら言ってくれた。
俺以外から言われる「可愛い」に、彼女がどれだけ傷つけられてきたんだろうと想像する。
「お前らと仲良くできてんのは、お前らがちかのことそういう風に見ないからだろ」
「……そういう風に見た事がないと言われると嘘になる」
「お前よくこの流れで言えたな」
率直に答えるフジに、こーすけが眉間に皺を寄せながら言う。場を和ませようとして言ったであろうフジの一言に、俺も心の中で同意する。
ちかちゃんに対して、下心がゼロだったなんてことはない。
人懐こくコロコロ表情を変えるところ、俺の言葉にストレートに思いを返してくれるところ、何より他の男といるところを見ただけでモヤモヤするなんて、俺のちかちゃんへの好意の裏付けでしかないと思う。
「だからさ、容姿のことあんまり言わないでやって。友達もなかなか出来ないみたいだけど、それでも学校行ってんだし見守ってやって欲しい」
こーすけの兄なりの切実な気持ちを聞いて、ヒラはスマホを取り出してメールを打ち始めた。
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