兄が話す妹の話
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あのウーロンハイ事件からしばらく経った。
今日は何の動画を撮ろうか。中古のゲームショップにでも寄って、掘り出し物がないか探してみようかと思い、近所の中古のゲーム屋に足を運ぶ。
わたしが店の中をウロウロしていると、スーツを着た見慣れた姿を見つける。「ヒラくんじゃん」と呼びかけるわたしに、本人は「ヨォ」といつもと変わらないトーンで返してきた。
実況を始めたとはいえ、実況一本で食べて行くにはなかなか厳しい現状。ヒラくんは高校卒業後就職して、社会人としても生活していた。キヨくんとフジくんは大学生、お兄ちゃんは実況とアルバイトだ。
「お疲れ、今日はやいね」
「定時退社だよ普通に。お前は何してんの」
「掘り出し物探し」
「勉強しろ」
「ヒラくんだけには言われたくない」
「わたし、これでも成績いい方なんだからね」とヒラくんに言うと、「どーだか」と笑いながら棚を物色している。
最俺のみんなといるときは楽しい。特にヒラくんは今まで浴びたことのないような言葉を浴びせてくる。思う存分わたしも言い返せるので、一番気楽かもしれない。
ヒラくんはこれからうちに来るところだったというので、わたしは一本レトロゲームを買うと、二人で家に向かって歩き始めた。
「ヒラくん、仕事どう?できるの?」
「お前それどう言う意味」
「そのままの意味」
「できてるよ。普通に」
「へぇ、想像できないな」
ヒラくんは、実は最俺で一番変な人だと思う。そんなヒラくんだけ就職してるって何だか不思議。
ヒラくんは冷たい目線でわたしを見ながら、「お前こそ、ちゃんと高校生活できてんの。友達いなさそうだけど」と痛いところを突いてきた。
部活を辞める前はまだしも、実況に本腰入れ始めてからと言うもの、友達が確実に減ったような気がする。と言うか、高校生になってからみんな恋一色という感じであまり話が合わないし、正直しんどい。
「……ヒラくんには関係ないでしょ」
「あ、図星?」
「うるさいなぁ!友達くらいいるってば!」
「俺が女ならちかちゃんみたいな女友達横に置きたくないなぁ」
「顔だけいいから比べられそう」とわたしの地雷を踏み抜いていくヒラくんに、絶句する。何様なのか、と思うが、割と的を射ている。
「あ、こないださ、キヨに就活のことちょっと聞かれた」
「え?」
「あいつ、就職する気なのかねぇ」
「……」
ヒラくんは空を見上げてぼやいていた。
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あのウーロンハイ事件からしばらく経った。
今日は何の動画を撮ろうか。中古のゲームショップにでも寄って、掘り出し物がないか探してみようかと思い、近所の中古のゲーム屋に足を運ぶ。
わたしが店の中をウロウロしていると、スーツを着た見慣れた姿を見つける。「ヒラくんじゃん」と呼びかけるわたしに、本人は「ヨォ」といつもと変わらないトーンで返してきた。
実況を始めたとはいえ、実況一本で食べて行くにはなかなか厳しい現状。ヒラくんは高校卒業後就職して、社会人としても生活していた。キヨくんとフジくんは大学生、お兄ちゃんは実況とアルバイトだ。
「お疲れ、今日はやいね」
「定時退社だよ普通に。お前は何してんの」
「掘り出し物探し」
「勉強しろ」
「ヒラくんだけには言われたくない」
「わたし、これでも成績いい方なんだからね」とヒラくんに言うと、「どーだか」と笑いながら棚を物色している。
最俺のみんなといるときは楽しい。特にヒラくんは今まで浴びたことのないような言葉を浴びせてくる。思う存分わたしも言い返せるので、一番気楽かもしれない。
ヒラくんはこれからうちに来るところだったというので、わたしは一本レトロゲームを買うと、二人で家に向かって歩き始めた。
「ヒラくん、仕事どう?できるの?」
「お前それどう言う意味」
「そのままの意味」
「できてるよ。普通に」
「へぇ、想像できないな」
ヒラくんは、実は最俺で一番変な人だと思う。そんなヒラくんだけ就職してるって何だか不思議。
ヒラくんは冷たい目線でわたしを見ながら、「お前こそ、ちゃんと高校生活できてんの。友達いなさそうだけど」と痛いところを突いてきた。
部活を辞める前はまだしも、実況に本腰入れ始めてからと言うもの、友達が確実に減ったような気がする。と言うか、高校生になってからみんな恋一色という感じであまり話が合わないし、正直しんどい。
「……ヒラくんには関係ないでしょ」
「あ、図星?」
「うるさいなぁ!友達くらいいるってば!」
「俺が女ならちかちゃんみたいな女友達横に置きたくないなぁ」
「顔だけいいから比べられそう」とわたしの地雷を踏み抜いていくヒラくんに、絶句する。何様なのか、と思うが、割と的を射ている。
「あ、こないださ、キヨに就活のことちょっと聞かれた」
「え?」
「あいつ、就職する気なのかねぇ」
「……」
ヒラくんは空を見上げてぼやいていた。
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