kiyo

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　こーすけの妹のちかちゃんは、兄仕込みだと言うゲームの腕前で俺たちがゲームが進められず詰む度に救世主のように現れてクリアしていく。

　最初は異常に俺に警戒し、「麦茶はお口に合いますか……？」とか怯えていたちかちゃんも、何度も顔を合わせるうちに俺の存在に慣れて来たようだった。



「あ」

「どうも……」




　サッカー部の部活帰りにセコマでアイスを物色していると、同じく学校帰りらしいちかちゃんと鉢合わせた。

　俺の声に気がついた様子で小さく頭を下げる彼女に俺も軽く会釈をする。慣れて来たとはいえ、こーすけ抜きで二人きりになるのは少し気まずい。ちかちゃんは少し緊張したように前髪をいじりながら「部活帰りですか？」と笑う。




「うん。ちかちゃんも？」

「はい！お金ないんですけど涼みにきました」

「なんだそれ」



　吹き出すと、ちかちゃんは照れ臭そうに頭を掻く。彼女の言種に俺が笑うと、照れ臭そうにする仕草が可愛くて微笑ましくて結構好きだ。



「あ、アイス買うんですか？」

「うん」

「いいなぁ」

「奢ってあげようか？」



　俺の言葉に「いいの！」と飛び跳ねる。俺も金がないからパピコを買って半分ずつだけど、と続ける。

　お会計を済ませて外に出ると、蝉の声を聞きながらパピコをぱきっと割って渡す。「ありがとうございます！」と飛びついた。本当に、こーすけに似ても似つかない。



「ゲーム屋さん寄ったからお金なかったんです」

「なんか買ったの？」

「お兄ちゃんがDQの新作買ってこいって言うから」

「ふーん」

「早く家帰ってやりたいな」

「……ちかちゃんさ」

「うん？」

「ゲーム実況とか見る？」

「ちょっとなら見たことありますよ」



　ここのところ俺の中で渦巻いていた一つの計画。

　俺はゲームをするのも勿論大好きだけど、それと同じくらいニコニコ動画でゲーム実況を見るのも好きだった。

　でも、俺の方が面白い動画取れるんじゃねって、正直思う。だって、スイッチが入った時の俺は、我ながら面白いと思うんだ。

　まだ誰にも話してなかった計画。なぜだか分からないが、友達の妹という微妙な距離感がそうさせたのか、ちかちゃんの持ち前の雰囲気がそうさせたのか、初めて打ち明けた相手は親でも友達でもなくちかちゃんだった。

　俺の無謀な夢を聞いたちかちゃんは、なんでもない顔で「いいね楽しそう！」とパピコを吸った。



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