彼の一言だけで
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fuji
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「なにそれであいつ機嫌悪いの」
「うん」
二人でちかちゃんのデート(?)目撃後、最俺で集合して動画を撮ろうとこーすけの家に集まると、キヨは凄い勢いでいちごのショートケーキを食らい始めた。
おい、それはちかちゃんへのお祝いじゃなかったのか、という目で彼を見ていると「……なんだよ」と睨まれた。
「いえなにも」
「……だいたいあんな高校で金髪に染めるようなやつろくでもねぇって」
「わぁ、ブーメラン」
誰しもが思ったことを口にしたヒラは、キヨの冷たい目線を受けてもヘラヘラ笑っている。
「これが大人の対応」とドヤ顔していたのに、その大人の対応とやらは目の前で本人によってものすごい勢いで胃袋の中へ消えていく。
「大人の対応ねえ」
「……さっさと動画とるぞ」
俺の呟きを聞こえなかったふりをして続けるキヨに、こーすけと顔を見合わせながら苦笑いする。
ちかちゃんが実況の世界に戻ってきたのを一番喜んでいたのは、身内のこーすけを差し置いてキヨだ。
それは、俺たちよりキヨの方が、ちかちゃんをかなり大切にしているからだとはわかっていたけど、その大切さって友達の妹、実況仲間、それだけなのだろうか。
「キヨお前さあ」
携帯の画面を見つめていつも以上に無口なキヨに俺が口を開きかけた時、こーすけの部屋の扉がすごい勢いで開いた。
「ちかノックぐらいしろ!」
「ごめん!ただいま!」
扉の向こうには息を切らしているちかちゃんが立っていた。学生鞄を持ったままだから、玄関からそのままここへ駆け込んできたんだろう。
ちかちゃんはそのままキヨの方に駆け寄ってすぐ隣にペタンと座る。
「キヨくん!」
「……な、なに」
「LINEありがと!」
「うん」
「わたし、すごく嬉しくて、その、動画が伸びたことも、キヨくんが気にかけて見ててくれたことも」
だから走って帰ってきたの、と言うちかちゃんは、言わないがいつもながらかわいい。
横で見ていてこんななのに、それを真正面から受けているキヨはどんな気持ちだろうかと思いつつ彼の顔を見る。目を泳がせながら「……そーなんだ」とか言っている。頑張ってくれ、大人の対応見せてくれ。
「私もっと頑張るから、見ててね」
そう言うと、ちかちゃんはそそくさと部屋を出ていった。
「……」
「見んな」
キヨは俺たち三人にクッションを投げつけると、いちごだけころんと残った皿を持ってちかちゃんの部屋の方へと向かった。
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「なにそれであいつ機嫌悪いの」
「うん」
二人でちかちゃんのデート(?)目撃後、最俺で集合して動画を撮ろうとこーすけの家に集まると、キヨは凄い勢いでいちごのショートケーキを食らい始めた。
おい、それはちかちゃんへのお祝いじゃなかったのか、という目で彼を見ていると「……なんだよ」と睨まれた。
「いえなにも」
「……だいたいあんな高校で金髪に染めるようなやつろくでもねぇって」
「わぁ、ブーメラン」
誰しもが思ったことを口にしたヒラは、キヨの冷たい目線を受けてもヘラヘラ笑っている。
「これが大人の対応」とドヤ顔していたのに、その大人の対応とやらは目の前で本人によってものすごい勢いで胃袋の中へ消えていく。
「大人の対応ねえ」
「……さっさと動画とるぞ」
俺の呟きを聞こえなかったふりをして続けるキヨに、こーすけと顔を見合わせながら苦笑いする。
ちかちゃんが実況の世界に戻ってきたのを一番喜んでいたのは、身内のこーすけを差し置いてキヨだ。
それは、俺たちよりキヨの方が、ちかちゃんをかなり大切にしているからだとはわかっていたけど、その大切さって友達の妹、実況仲間、それだけなのだろうか。
「キヨお前さあ」
携帯の画面を見つめていつも以上に無口なキヨに俺が口を開きかけた時、こーすけの部屋の扉がすごい勢いで開いた。
「ちかノックぐらいしろ!」
「ごめん!ただいま!」
扉の向こうには息を切らしているちかちゃんが立っていた。学生鞄を持ったままだから、玄関からそのままここへ駆け込んできたんだろう。
ちかちゃんはそのままキヨの方に駆け寄ってすぐ隣にペタンと座る。
「キヨくん!」
「……な、なに」
「LINEありがと!」
「うん」
「わたし、すごく嬉しくて、その、動画が伸びたことも、キヨくんが気にかけて見ててくれたことも」
だから走って帰ってきたの、と言うちかちゃんは、言わないがいつもながらかわいい。
横で見ていてこんななのに、それを真正面から受けているキヨはどんな気持ちだろうかと思いつつ彼の顔を見る。目を泳がせながら「……そーなんだ」とか言っている。頑張ってくれ、大人の対応見せてくれ。
「私もっと頑張るから、見ててね」
そう言うと、ちかちゃんはそそくさと部屋を出ていった。
「……」
「見んな」
キヨは俺たち三人にクッションを投げつけると、いちごだけころんと残った皿を持ってちかちゃんの部屋の方へと向かった。
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