彼の一言だけで
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「……うっそぉ」
わたしがレトさんととったその動画は、すごい勢いで再生され、コメントも沢山ついた。コミュニティに入ってくれた人もぐんと増える。
やっぱりレトさん、伊達じゃない。
わたしはスマホでその自分のページをまじまじと見つめる。わたしがひいひい言ってるのに神プレイ連発し、そしてそれをげらげらレトさんが笑っている、更に兄フラというのがすごく面白かったらしい。
「前田さん」
「え!?あ、うん、なに?」
放課後に教室でそれを眺めていたわたしに、クラスの子が声をかけてくる。咄嗟にスマホを閉じて隠す。
「私昨日急にカラオケ行こうって隣の高校の人に誘われてさ!前田さんもいかない?」
「……行こうかなぁ」
「まじ!」
ここのところ、動画撮影と編集で息抜きをしてなかった。本腰を入れるために部活も退部したけど、放課後はそそくさと帰っていた。
珍しく……というか、初めて誘いに頷くわたしに彼女は飛び上がるほど喜んでくれる。
「実はさ!前田さんのこと誘って欲しいって言われてたの!」
「……え」
他校って男子なのか。わたしが尋ねる暇もなく、引きずられるようにして札幌へ繰り出した。
東京ほどではないけど、人のたくさん歩いている札幌駅前で合流したのは、お兄ちゃんが通っていた高校の制服を着た男の子たち。中には、高校の時のキヨくんを彷彿とさせるようなひょろっとした金髪の男の子もいる。
「ごめんね急に誘って」
「ううん、ちょうど遊びたいねって言ってたから、ね、前田さん」
「あぁ……」
「前田さんまで来てくれると思わなかった」
嬉しげな男子たちに苦笑いしながら、キヨくんたちと同じ制服だからと少し浮ついていた気持ちが落ちていく。
昔からこう、何かと男子から向けられる視線が熱っぽいのが気持ちが悪くて嫌だった。自分で言うのも変な話だけど、父と母のいいパーツを総取りした私はそこそこ
「可愛いね」
そう。
歩き始めた時、わたしの隣に当たり前のように立った金髪の男の子は、ぼそっと言いながら照れくさそうにネクタイを触っている。
わたしはその、人から向けられる「かわいい」が、いつのまにか素直に受け止められない捻くれ者になっていた。
女の子もそうだ。結局わたし、ダシにされていた。今更気づいても遅いけれど。
全然キヨくんと似てなんかいない。
わたしは熱っぽい視線をかわすようにできる限り豪快に笑って見せた。
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「……うっそぉ」
わたしがレトさんととったその動画は、すごい勢いで再生され、コメントも沢山ついた。コミュニティに入ってくれた人もぐんと増える。
やっぱりレトさん、伊達じゃない。
わたしはスマホでその自分のページをまじまじと見つめる。わたしがひいひい言ってるのに神プレイ連発し、そしてそれをげらげらレトさんが笑っている、更に兄フラというのがすごく面白かったらしい。
「前田さん」
「え!?あ、うん、なに?」
放課後に教室でそれを眺めていたわたしに、クラスの子が声をかけてくる。咄嗟にスマホを閉じて隠す。
「私昨日急にカラオケ行こうって隣の高校の人に誘われてさ!前田さんもいかない?」
「……行こうかなぁ」
「まじ!」
ここのところ、動画撮影と編集で息抜きをしてなかった。本腰を入れるために部活も退部したけど、放課後はそそくさと帰っていた。
珍しく……というか、初めて誘いに頷くわたしに彼女は飛び上がるほど喜んでくれる。
「実はさ!前田さんのこと誘って欲しいって言われてたの!」
「……え」
他校って男子なのか。わたしが尋ねる暇もなく、引きずられるようにして札幌へ繰り出した。
東京ほどではないけど、人のたくさん歩いている札幌駅前で合流したのは、お兄ちゃんが通っていた高校の制服を着た男の子たち。中には、高校の時のキヨくんを彷彿とさせるようなひょろっとした金髪の男の子もいる。
「ごめんね急に誘って」
「ううん、ちょうど遊びたいねって言ってたから、ね、前田さん」
「あぁ……」
「前田さんまで来てくれると思わなかった」
嬉しげな男子たちに苦笑いしながら、キヨくんたちと同じ制服だからと少し浮ついていた気持ちが落ちていく。
昔からこう、何かと男子から向けられる視線が熱っぽいのが気持ちが悪くて嫌だった。自分で言うのも変な話だけど、父と母のいいパーツを総取りした私はそこそこ
「可愛いね」
そう。
歩き始めた時、わたしの隣に当たり前のように立った金髪の男の子は、ぼそっと言いながら照れくさそうにネクタイを触っている。
わたしはその、人から向けられる「かわいい」が、いつのまにか素直に受け止められない捻くれ者になっていた。
女の子もそうだ。結局わたし、ダシにされていた。今更気づいても遅いけれど。
全然キヨくんと似てなんかいない。
わたしは熱っぽい視線をかわすようにできる限り豪快に笑って見せた。
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