頼むぜ最終兵器
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キヨくんと初めて会ったのは、多分わたしが中学生、キヨくんが高校生の夏休み。
お兄ちゃんが度々家に友達を連れて来てゲームをして遊んでいるというのはお母さんやお姉ちゃんから聞いていたけれど、わたしは塾や部活でタイミングが合ったことがなかった。
たまたまその日は雨が降っていて、部活が休みで、塾もなんだかめんどくさくてサボっていた。お兄ちゃんが連れて来たのがキヨくんだった。
「……」
「え、この子こーすけの妹?」
「ん?あー、うん」
「へー似てないね」
金髪のヤンキーだ。
第一印象はそれ。
お兄ちゃんの通っている高校は別に進学校っていうわけでもないけど荒れてもいない。その学校にこんな人がいるなんて、高校生になったらみんなこんなにイキリだすのかと思った。
怖い。
直感的にそう思ったわたしは「ごゆっくり……」と愛想笑いを顔に貼り付けてリビングへ戻った。
「お母さん!」
「なにー?」
「お兄ちゃんが不良連れて来た!!」
「はぁ?」
金髪で、背が高くて、と言葉を続けるわたしにお母さんは「高校生なんてそんなもんよ~」と背中をバシバシ叩いた。高校生なんてそんなもんなのか?だったら私は高校生になんてなりたくない。
「はい、じゃあこれお兄の部屋によろしくね」
「は?お母さん今のわたしの話聞いてた?」
「金髪で背の高いイケメンが来たって?」
「言ってないよ……」
お盆に乗った麦茶とポテチ。
絶句するわたしは、このポテチがわたしが買ったものだということと、この家のパワーバランスはお母さんを頂点とした年功序列のピラミッドだということを知っている。諦めた。
意を決してノックをして「お兄ちゃん、お母さんがお菓子って」と扉越しに言うと、お兄ちゃんは勢いよく扉を足で蹴り開け、「ちか!お前ちょっとこのステージやって!!」とでかい声で耳をつんざく。
「……えぇ?」
「何回やってもここ勝てねーのさ……なぁキヨ」
「バグってんじゃねーのこれ」
「ゲームに当たるな」
『キヨ』と呼ばれたヤンキーは、ため息をつきながら「お願いします」とわたしにコントローラーを渡してくる。交換するようにお盆を受け取ると、「ありがとうございます!」とお母さんに聞こえるように廊下に向かって言った。
ずいぶんと礼儀が正しいヤンキー。
ゲームに向かってキレているお兄ちゃんを尻目に、私はファミコンのコントローラーを握ると操作を始めた。
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キヨくんと初めて会ったのは、多分わたしが中学生、キヨくんが高校生の夏休み。
お兄ちゃんが度々家に友達を連れて来てゲームをして遊んでいるというのはお母さんやお姉ちゃんから聞いていたけれど、わたしは塾や部活でタイミングが合ったことがなかった。
たまたまその日は雨が降っていて、部活が休みで、塾もなんだかめんどくさくてサボっていた。お兄ちゃんが連れて来たのがキヨくんだった。
「……」
「え、この子こーすけの妹?」
「ん?あー、うん」
「へー似てないね」
金髪のヤンキーだ。
第一印象はそれ。
お兄ちゃんの通っている高校は別に進学校っていうわけでもないけど荒れてもいない。その学校にこんな人がいるなんて、高校生になったらみんなこんなにイキリだすのかと思った。
怖い。
直感的にそう思ったわたしは「ごゆっくり……」と愛想笑いを顔に貼り付けてリビングへ戻った。
「お母さん!」
「なにー?」
「お兄ちゃんが不良連れて来た!!」
「はぁ?」
金髪で、背が高くて、と言葉を続けるわたしにお母さんは「高校生なんてそんなもんよ~」と背中をバシバシ叩いた。高校生なんてそんなもんなのか?だったら私は高校生になんてなりたくない。
「はい、じゃあこれお兄の部屋によろしくね」
「は?お母さん今のわたしの話聞いてた?」
「金髪で背の高いイケメンが来たって?」
「言ってないよ……」
お盆に乗った麦茶とポテチ。
絶句するわたしは、このポテチがわたしが買ったものだということと、この家のパワーバランスはお母さんを頂点とした年功序列のピラミッドだということを知っている。諦めた。
意を決してノックをして「お兄ちゃん、お母さんがお菓子って」と扉越しに言うと、お兄ちゃんは勢いよく扉を足で蹴り開け、「ちか!お前ちょっとこのステージやって!!」とでかい声で耳をつんざく。
「……えぇ?」
「何回やってもここ勝てねーのさ……なぁキヨ」
「バグってんじゃねーのこれ」
「ゲームに当たるな」
『キヨ』と呼ばれたヤンキーは、ため息をつきながら「お願いします」とわたしにコントローラーを渡してくる。交換するようにお盆を受け取ると、「ありがとうございます!」とお母さんに聞こえるように廊下に向かって言った。
ずいぶんと礼儀が正しいヤンキー。
ゲームに向かってキレているお兄ちゃんを尻目に、私はファミコンのコントローラーを握ると操作を始めた。
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