2025年の会話

「ねえ」
「はい、なんですか」
「こっち見て会話しなよ」
「え、お前だれ? ただの同居人よな?」
「親しい仲にも礼儀ありだよ。僕がかわいそうじゃん」
「それは一理ある。はい、すみませんでした」
「じゃあさ、人狼ゲームやろうよ」
「……は?」
「だから、人狼ゲーム、やろうよって」
「ルール知ってる? もしくはバカ?」
「どっちでもないよ」
「じゃあルール知らないじゃん。だめじゃん。出直せよ」
「ちょっと調べたらめっちゃおもしろそうだったからさぁ、僕だってやってみたいわけ!」
「あのね、ちょっと調べたならわかったかもしれないけど、あのゲーム、ふたりきりではできないのよ」
「えっ……」
「本当に調べたんかお前。ババ抜きふたりでやっても楽しくないでしょ? それと似たような虚無感がつきまとうわけ、ふたりきりでの人狼ってのは」
「でもね、君ってば天然だから気づいてないみたいだけど」
「納得いかんな、お前に天然言われるの」
「これもうゲームがはじまってるの。僕が嘘つきだから、君が僕に喰われて終わり。僕の勝ち」
「……え、ルールどうなってる?」
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