2024年の会話

「ふぅー、最高だね」
「そうだな、お前がタバコ吸ってさえなければ世界でいちばんだったんだけどな。煙がジャマなのよ」
「えぇ? 僕の副流煙がそんなに魅力的?」
「正反対の内容になる特別な耳持ってる?」
「確かに、星空と煙のマッチはきれいだよねぇ」
「その感性お前だけだろ、知らないけどさ」
「ベランダでタバコを吸いながら君と一緒に星空眺められる日がくるなんて、思ってもみなかったなぁ」
「ん、俺のことなんだと思ってる? 恋人?」
「月が、……綺麗だね?」
「おい黙れ、こっち見んな。お前のその演技力の無駄づかいってなんでしちゃうの? まじでもったいないな」
「そんなことより君のメガネの白さが気になっちゃうな」
「当人の俺が気にしてないのに」
「それはおかしいでしょ、ばちくもってるよ」
「おかしいよなぁ」
「さっき星きれいって話してなかった? え、見えてる?」
「いや、きれいとは言ってない。世界でいちばんとしか」
「同義でしょ、さすがに。ちゃんと見なよ」
「そろそろ見えてくるから待って」
「わかんないけど普通ってくもりは拭くんじゃ――」
「あれっ、サンタじゃね」
「えっ! どこどこ!」
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