2024年の会話

「……なんか、洗濯物びっちり干しすぎじゃね?」
 掃除機をかけ終えてふと見たバルコニーには、所狭しと服が並んでる。もちろんこれをやったのは俺じゃない。だって洗濯の担当は俺じゃないから――いやまあ、あいつが怠惰すぎてやってくれないときは俺がやらないと回らないけど、あいつは洗濯が二週にいっぺんでも生活できるとか言いやがるから意味がわからん。服多すぎだろ、ぼろいやつは捨てろ。とは何度も言ってるはずなのに、気にならないらしい。
 なんで?
「本当に乾いてんのかよ、これ」
 確かめようと窓に手をかけ……やめた。絶対暑い。いい具合にエアコンががんばってくれてるのに、ここで窓開けて外出て生ぬるく濡れてそうな布を触る気にはならない。明日の俺が困るのより、今の俺の快適を優先してやろうと思った。
 明日後悔するんだよなぁ、こういうことするとさ。
 と、なぜかあいつから電話がかかってきた。あれ、今日は何しに出てんだっけ。飲み会だったかバイトだったか……。
「なんですかぁ?」
『ねえねえ見て見て!』なにを、と冷たく返せばスマホからそのままあいつが出てきそうな大声で、『そと!』
 窓の外に目をやると、満面の笑みでにっこにこしながらこっちに手を振ってるのが見えた。その手には持ち帰りの寿司独特の袋がある。
『昨日話してて食べたくなったから、寿司!』
「お前……まじ最高すぎ」
30/73ページ
スキ