「君はさ、死ぬ前になに食べたい？」
「え、今から俺殺そうとしてる？　だめだよ、犯罪だから」
「じゃなくて、地球が終わるなら最後に食べるのはなにかみたいな、よくあるやつじゃん」
「びっくりした、頭に銃口突きつけられてるのかと思った」
「そんなことするわけないじゃん！」
「想像にかたくないから言ってるんだ俺は。わかんないだろうな、言動が意味わかんねえ同居人と住んでる常識人枠の気持ちなんてさ」
「うん、わかんないよ。だって僕は君じゃないもの。それでなに食べたいかって話なんだけど」
「すごいね、お前は自分の軸がしっかりしてるよ」
「僕は焼肉かお寿司かなぁって思ってるんだ」
「こういうところはフツーだよな」
「だって死ぬ前ってスペシャルに行きたいじゃん？」
「俺は逆にいつも通りでありたい。カップ麺か焼きそば」
「えー、フツーすぎない？」
「これもフツーになるのかよ。……てかフツーってなに？」
「いやそれな？」
「チャラいな」
「最後の晩餐でもフツーって言われるの意味わかんなすぎ」
「たしかに、人間終わる瞬間なのにフツーとか言ってらんないよな」
「そんなことは言ってないよ」
「じゃあどういう意味？」