2025年の会話

「これで、七月ともお別れかぁ。よし、お別れ会開こう」
「開くなら毎月やれよ? かわいそうだろ他の月が」
「だって七月が終わるってことはさ、夏が終わるようなもんじゃん? そりゃあ、お別れ会もするよ」
「しないよ。夏は終わらないしな。まだまだ三十度は続くから、水分塩分補給はしっかりしろよ」
「おかあさん!」
「違います、ただの同居人です、こんにちは」
「あ、こんにちは。……っていうかさぁ、お母さんってまじすごいよね」
「どういう流れ? いやまあ、否定はしないどころか大肯定なんだけどさ」
「お母さんって……、なんであんなに僕たちのためにがんばってくれるんだろうなぁ。ほんと、めちゃくちゃだよ」
「どういうつもり? めちゃくちゃじゃないよ、家族愛ね」
「だってさぁ、反抗期あってもぜんぶ愛でカバーしてくれるのやばくない? 最高すぎじゃん? おかんしか勝たんよ」
「そりゃそう、お母さんって世界で最強の生き物だからね」
「夏休み縁側で夕涼みしたの、すごい懐かしいな」
「お前の実家そんな感じだったっけ」
「それで、親戚のお姉ちゃんがクラリネットでマイボニーの練習しててさ――」
「いやおい、それはぼくなつの世界な」
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