さよなら、また会う日まで。

 見上げた空は高くて、当然だけどどれだけ手を伸ばしても届きそうになかった。いつもいる都会とは違った、広くて遠くて青い空。
 後ろから足音が聞こえて、姉がやってくる。悲しそうに微笑みながら、私の背中を優しく叩いてくれた。それが何だか、苦しくて悲しくて。
 少し前まであったはずの日常は、ばらばらに崩れ落ちてしまった。私はそんな脆いものに寄りかかって生きていたのだと、初めて知った。何があっても壊れないと思っていた。何が起きても――いや、何も起きないと信じていた。そんな訳もないのに。
 煙が昇っていく。手を伸ばしても届きそうにない。もう二度と触れることはできない。ふわふわと高く行ってしまうのに、比例して私の心は落ちていく。まだやりたいことがあった。まだ話したいことがあった。まだ見せたいものがあった。まだ一緒にいたかった。
 見上げた空には煙が混じる。高くて澄み切った、何ものも包み込むような空が滲んだ。
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