このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

🖤 ̖́- 京の𝐥𝐨𝐧𝐠 𝐬𝐭𝐨𝐫𝐲

第1章02
---


アイプリという存在を知ったのは、小学校の高学年。
父のライブに連れて行ってもらった先で、アイプリのステージが始まったのだ。


音、光、衣装、歌声。すべてが絵空事のようでいて、確かに“ここ”にあった。

観客は息を呑み、ひとりの存在を見つめる——その真ん中に立つということの意味に、幼いながら心が震えた。


その夜、父に言った。


「アイプリになりたい。俺も、歌いたい」


父は豪快に笑ったあと、真剣な顔でうなずいた。

「なら本気でやれ。やるなら、一番を目指せ。俺が教えてやる」


翌日から、地獄のような特訓が始まった。

ボイトレ、呼吸法、感情表現、表情筋トレーニング——。


並行して、母からはメイクの指導があった。
自分の印象を、色と線でどう“演出”するか。


最初は興味本位だったが、やがて京はそれらすべてを“自分を守る鎧”として吸収していった。


---


中学生になる頃には、学内外で「美形」「声がいい」と言われるようになった。

だが、京自身は誰とも群れようとしなかった。


「誰かと合わせるより、一人でいるほうが気がラク」

そんな態度は誤解を招いたし、孤立にもつながった。
けれどそれでもよかった。


ステージに立てば、すべてが変わる。


観客の空気をつかみ、世界を染める“歌”がある限り、
京は孤独ではなかった。



→
2/3ページ
スキ